高見浩のレビュー一覧

  • 羊たちの沈黙(下)(新潮文庫)

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    既に知れ渡っているレクター博士の脱出劇の模様、バッファロウ・ビルのラストに至るまで、一旦流れ始めたら息もつかせぬ展開。細部の描写は偏執的だが、その分一つ一つ調べながら読んでいくと情景が浮き上がってくるようだった。クラリスとミスター・ガムの応酬、蛾の出現で張り詰めるその場の緊張感、手紙によって多少窺い知れる博士の感情、仕事ぶりや時折挿入されるベッラとの関係から見えるクロフォードの人間性、情感たっぷりにほんの1ページ程で綴られるエピローグ。個人的にチルトンはとてもいい味を出している。どこの職場にもいて、そして一番平均的な人間心理を投影しているキャラクターだと思う。
    読み終えて、映画も確かめたくなっ

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    2020年08月23日
  • ホット・ゾーン エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々

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    ネタバレ

    ノンフィクションなのに描写が劇的で引き込まれる。感染して数日で人体が文字通り崩壊していく様は想像するだけで恐ろしい。だけどそのために広がる範囲が狭いのだそう。
    アフリカの洞窟が発生源としたら、自然と触れることの素晴らしさを今までは想像していたけれど、それ以上にまだまだ人が知らない有象無象の何かが自然の中にはあって、自然は恐ろしいものなのだと考えを改めされられた。

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    2020年08月15日
  • ホット・ゾーン エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々

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    ノンフィクションの、しかも翻訳だったのに、次に何がどう展開していくのか、ハラハラした気持ちで最後まで読みきってしまった。
    感染症に関心が高まっている中で、それに対処する人達がどんな考えで何をしているのか、わずかでも分かったような気になれて良かった。
    200726

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    2020年07月27日
  • ホット・ゾーン エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々

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    単行本が流行ってた時はホラーというかグロっぽいと思って読んでなかったのよね。コロナ騒動もあり、文庫化を機に読んでみた。
    いやはや、冒頭やっぱり描写キツいやん、グロいやん、と思ったけど、その点だけで言えばそこがピークであとはエボラ封じ込めの人間ドラマよね。とはいえ防護服に穴が見つかった時の恐怖の描写とかは迫り来るものあり。

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    2020年07月02日
  • ホット・ゾーン エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々

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    ここ数年でいちばん怖かった本。
    まず冒頭の超絶大物2人による推薦コメントで、すでに不穏な予感がした。おそるおそる本編を読み始めると、意外に文体や描写がよく内容に引き込まれる…………と思ったとたん、早くも第1の犠牲者! 彼がエボラウイルスによって、肉体や精神がどのように変容していくかが、まるで著者が罹患してことがあるかのように、精緻に描写されていく。ひたすら、こわい。32ページ目の飛行機内での肉体崩壊で怖さがピークに達し、いったん読むのを諦める。一時は、このまま古本屋に売ろうかとも考えたが、さすがにそれは情けない。丸一日間をおき、なんとか気合いを入れて、あとは勢いで読み切った。32ページ目よりこ

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    2020年06月18日
  • ホット・ゾーン エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々

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    ネタバレ

    無料で公開されてたのを読んだら、先が気になっちゃって…買ってしまいました。。

    前半に紹介される、エボラとマールブルグの犠牲になった数名の記録、ちょうど無料で公開されてた部分がものすごいインパクト。
    シチューとかマカロニとかプリンとか、ちょくちょく食べ物に例えられてるのはきついものがあったが…w
    日常生活も織り交ぜて描いてあるので感情移入しがち、小説を読んでいるみたい。読んでるこっちは彼が今まさに周囲にウィルスを撒き散らしていることを知っているわけで…

    感染した体内で起こっていること。専門的な話を小説にした…というよりも、映画を見てるみたいだったな。
    ウィルスが細胞の中に入り、中で極限まで増

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    2020年06月10日
  • ホット・ゾーン エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々

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    捕食者だ。

    生き物が病気になり、それを治癒させるのは薬や外科的手術ではない。

    病気を治すのは元々ヒトに備わっている様々な免疫系ないしは生の本能、すなわち自己治癒力であって、医療者はそれを促進させる存在に過ぎない。

    医療者が自己の万能感や無力感に飲み込まれないために、そして実際、疾病の治療機序はこの自己治癒力に拠るところが大きい。

    しかし、このエボラウィルス(フィロウィルスというべきだろうか)はヒトの免疫系を瞬く間に喰い尽くし、「崩壊」させ、さらに感染を拡げるために大量出血という手段で「爆発」させる。

    気付かないうちに、或いはほんの少しの油断という間隙を突いて、襲いかかってくる。

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    2020年06月02日
  • ハンニバル(上)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    映画も好きだけどやっぱこれ原作だよなあ。頭のなかではどうしてもクラリスはジョディーフォスターだ。クロスフォードの扱いはクラリスの巣立ちを見せたかったのか、としても、だ?

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    2020年05月19日
  • ハンニバル(下)(新潮文庫)

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    映画、原作、どっちも好きかもしれない。

    レクター博士の心を満たせる人は、クラリスだけなのね。
    知識、教養全てのレベルが高くて、素晴らしすぎた。
    これでレクターの殺人(食人)が治まっているいるのなら、ハッピーエンドなのかもしれないけど、クラリスは最初は薬で操られていたわけで、本人の意思でレクターを選んだのではないから、そこが少しもやもやするけれど、クラリスが目覚めるのでは、と時々確認しているあたり、目覚めてもおかしくないのかもしれない。

    レクターはどうせ死ぬならクラリスに殺されてもいいと思っている気もするし、目覚めてほしくないとも思っているのでしょう。

    どっちにしろ、博士との日々は優雅で贅

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    2020年04月15日
  • 羊たちの沈黙(上)(新潮文庫)

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    「まるでハンニバル・レクターだな」
    と、他の警察モノでセリフに出てくるくらい有名な本

    被害者の皮を剥ぐ「バッファロウ・ビル」と呼ばれる連続殺人鬼を追うクラリスと、豊富な知識と洞察で捜査を手助けする。"人喰い"ハンニバル・レクター博士、2人の駆け引きによって捜査が進んでいく。

    この本が売れた後「サイコキラーブーム」みたいなのが起きたらしい。当時のことはよくわからないけど、よく読むサスペンスモノの中にもサイコパスが出てくることも多く、それらの
    「元祖」のような感覚で読み始めてみる。

    …何というか、音楽で言うと(現代のサイコスリラー)「ゴリゴリのEDM」を聴いたあとすぐに

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    2021年08月08日
  • カリ・モーラ(新潮文庫)

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     ハンニバル・シリーズを完結させてから13年も鳴りを潜めていたトマス・ハリスが帰ってきた。それもレクター博士シリーズのようなサイコ・サスペンスではなく、初期の『ブラック・サンデー』のような国際テロ小説でもなく。作者が現在生活し、その地に魅力を感じてやまないマイアミを舞台として、犯罪者たちの激闘をブラックでアップテンポな筆致で描きつつ、ひとりのニューヒロインを際立たせたエンターテインメント小説という形で。

     本書は、『スカーフェイス』でお馴染みの、実在のコロンビア麻薬カルテル王パブロ・エスコバルがマイアミに実際に遺したとされる豪邸が軸となる。現在では何代目かの持ち主によって取り壊されてしまった

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    2019年08月20日
  • 羊たちの沈黙(下)(新潮文庫)

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    結局、最後まで読んでも映画の内容は殆ど思い出せず。でも良いんです。原作の内容が素晴らしかったから。これに対して素晴らしいというのも不謹慎かもしれないけど、でも面白かった。サイコもの百花繚乱の現代においてすら、本作の優位性・孤高性は揺るがないというのを、改めて思い知らされました。後半、脱走劇で圧倒的存在感を示して以降、レクター博士の登場はほとんどなかったけど、こうなると、博士のアナザーストーリーものぞいてみたくなる、ってもんです。

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    2019年08月19日
  • 心を強くする「世界一のメンタル」50のルール

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    悩んだ時、疲れた時、不安な時、自分がどうしたいか分からない時、この本を読むとその解決策が見つかるかもしれないと思った。サーシャの伝えを実行しなければ変わらないけど(笑) 心を強くする方法を学ぶことができます。

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    2019年08月18日
  • 羊たちの沈黙(上)(新潮文庫)

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    映画版を観たのがもう、20年も前のことだから、内容に関してはほぼ完全に忘却の彼方。だから、この連続誘拐殺人の結末とかはまったく覚えてないけど、レクター博士との邂逅シーンとかは、読みながらそれなりに思い出した。それだけインパクトが大きかったってことやね。小説版でも不気味さは健在で、後半にかけてのハチャメチャぶりが見ものになってくる予感。

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    2019年07月29日
  • 心を強くする「世界一のメンタル」50のルール

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    大阪選手を支えた名コーチによるメンタル強化の一冊。50のルールが紹介されているので、自分にあうルールがきっとみつかるはず。個人的に印象的だったルールはつぎの2つ

    ・肉体を鍛えてしまえばおのずとメンタルも強くなる。→体を鍛える過程で限界を突破しようと頑張れば、精神面でも肉体面でも一段上のレベルに到達する。
    ・意思力こそ万能の武器→人間は自分の意思一つで何でも、恒久的に変えられる。

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    2019年07月20日
  • ハンニバル(上)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    <上下巻を通してのレビュー>

    「羊たちの沈黙」で、すっかりレクター博士が大好きになってしまったのですよ。
    あの知性と冷静さの虜になったといっても過言ではありません。

    ハンニバル・レクター博士の「記憶の宮殿」へようこそ……
    と同時に、クラリスに重くのしかかった策謀の渦の中へようこそ。

    レクター博士へ復讐を誓う資産家が念入りな計画を立て、そこにどんどん、国家の機密を扱う人物たちがいとも簡単に買収されてゆき、一見、その計画は成功しそうに思える。
    彼らの誤算は、レクター博士とクラリスを甘く見過ぎていたということに他ならない。

    賛否両論はあるが、あのエンディングがすべてを物語っているのではないだ

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    2019年09月29日
  • 移動祝祭日

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    往来堂書店『D坂文庫2012冬』から。
    文豪が若き日々をパリで過ごした時の回想録。当時の暮らしぶりや交友が赤裸々に語られていて、大文豪も所詮"男"だったんだなぁと、その存在が少し身近になった。それにしても、スコット・フィッツジェラルドとのことを描いた部分は出色。これだけで短編小説として楽しめる。
    それから、もうひとつ。これから絵画を観るときは空腹にしよう。

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    2018年11月18日
  • 眺めのいい部屋売ります

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    ネタバレ

    ブルックリンの街並みが好き。


    あの部屋を手放すのはやめたほうがいい、そう思ってたけど、年とってから階段つーのは辛いよなあ。

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    2017年07月25日
  • 移動祝祭日

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    「もし幸運にも、若者の頃、パリで暮らす事ができたなら、その後の人生をどこですごそうと、パリはついてくる。パリは移動祝祭日だからだ」

    という冒頭のエピグラフで有名なヘミングウェイの遺作。以前から気になる本であったのだが、品切れ状態となっていた。新訳で、文庫で出たので早速、読んでみる。

    20年代のパリという伝説的な都市と伝説的な芸術家たち。そして、貧しくも、芸術を志す青年と新婚の夫婦の美しい愛。カフェ、レストラン、リゾートなどなどの風俗の記述。様々な芸術家達の姿の辛口の描写。

    もう、絵に描いたような「修業時代の芸術家の貧しいけど、幸せな日々」の話である。そして、その美しい日々は、作家と

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    2017年05月02日
  • 移動祝祭日

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    お決まりぽいですが、『ミッドナイト・イン・パリ』繋がりで読んだら面白すぎて一気読み。ヘミングウェイが辛辣すぎて笑えて仕方ない。文学に真面目でひとを作品で判断するところとかどこかの誰かみたいで、可笑しかった。こういう男が好きだ。1920年代の狂騒の時代といわれたパリにたくさんの作家たちが集ったのは、アメリカがピューリタン色が強かったせいもあると思うけど、パリに行ったらなにかかわるのかもと思わせるものがあるのかも、昔も今も。短編集を読もう。

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    2017年01月11日