高見浩のレビュー一覧
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植民地支配の醜悪さがきつい。
何度かヨーロッパに戻れる機会があったのに、思いとどまったクルツの心情を考えながら読む。
未開の地に西洋文明を教示、ついでに象牙で一儲けのつもりが、身も心も自らが軽蔑する蛮人以下になってしまう。身を守るために残忍にならざるを得ない、ジャングルの圧倒的な自然と、そこに住む人たちのわけのわからなさ。
多面的でいろんな読み方ができる本だと思うけれど、逐一、対比がはっきりしているのでストーリーや会話の意図はとりあえずは読み取りやすい。
例えば船に乗組員として乗せた食人族が、白人のマーロウ達を飢えていたとしても襲わなかったこと。それに比べてクルツが奥の駐在所の入り口に無数の生首を置いていること。
人としての尊厳や残虐さや死生観などが、ジャングルと西洋文明の徹底的な対比を通して語られていく。
最後のクルツの言葉を婚約者に言えなかったマーロウは、そういう人だからこそ、帰って来れたんだと思う。 -
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ネタバレ【2025年65冊目】
レクター博士への復讐に燃えるメイスンは、クラリスを囮に博士を誘き出す算段を整えつつあった。そうして捉えた博士を豚に食わせ、その様子を彼自身に観察させる――。一方、クラリスはでっち上げの罪によりFBIを追われかけていた。上司であるクロスフォードは病に伏し、彼女を擁護できるものはいなくなっていく…たった一人、レクター博士を除いて。
映画と原作が少し違うということは織り込み済みで読みましたが、面白かった!レクター博士がプレゼント持ってきたのに捕まった時、残された手紙を見てなんかぐっと来てしまいました。恋じゃねぇか…。
メイスンの最期も映画とは違いましたが、原作準拠にするとそりゃとんでもないことになりますわな、R18どころではない。クレンドラーの脳漿を食べたのはクラリスだったんでしょうか…?
引き続きシリーズを楽しんでいこうと思います。
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ここまで書いてから、映画の評論みたいなのを読みました。原作の要素を取り入れつつ、原作の重要なシーンを改悪していて、全く別の話になっているという指摘でした。なるほど、だから原作との乖離を感じて違和感があったのか、という納得感。確かに映画では精神的な説明がつかないみたいなシーンが多かった気がします。その分、原作の素晴らしさが際立つわけですが。あと、脳漿は二人で食べてました、やっぱそうだよね! -
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【2025年64冊目】
皮剥ぎビルの事件から7年、FBI特別捜査官となったクラリス・スタンフォードは麻薬組織摘発チームの一人として現場に向かっていた。慎重にことを進めていたはずが、蓋を開けてみると情報は筒抜けで、クラリスは銃撃戦の末、組織の女ボスを射殺する。赤子を抱いた彼女を死に至らしめたとして、糾弾されるクラリスだったが、一人の男の進言により事なきを得る。それはかつて、レクター博士による被害を受けたメイスン・ヴァージャーだった。復讐を誓う男の手は、逃亡の末フィレンツェに潜伏するレクター博士に延びつつあったが…。
こちらも映画を見てから読みました。相変わらず原作リスペクトなことがよくわかりますね。映画では、レクター博士の見かけそんなに変わってなかった気がするんですけど、原作ではちょっとした整形手術を施して逃亡しやすくしているようです。
後半は、懸賞金に釣られた男が中心の話で、クラリスがほとんど出てこないのが残念なのですが、檻の中にいないレクター博士の一面をいろいろと見ることができるのは、なかなか良いですね。機転利きすぎ、天才すぎ、恐ろしいのにかっこいい。痺れます。
下巻も楽しみに読み進めます! -
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【2025年63冊目】
誘拐された娘を救出するため、上院議員はレクター博士に面会し、取引の上で情報を引き出す。一方でクラリスは、訓練生としての地位が危うくなりつつも、独自の捜査を続けていた。再びレクター博士に面会したクラリスは、彼の発する言葉からヒントを得て、犯人の思考、過去の被害者の身辺に肉薄していく――。
一気読みでした。映画のシーンを思い出しながらでしたが、クライマックスの建物内での描写にはハラハラさせられました。クラリスと犯人視点の両方が描かれてるのにシームレスに視点が切り替わるのが見事でした。翻訳者の方の腕も良かったのでしょう。
しかし、レクター博士の滲み出る色気はなんなんでしょうか…だいぶ映画のイメージにひっぱられてるからとも言えなくないですが。映画もまた見ようかなぁ。
しかし、本も映画も面白いという奇跡みたいな作品ですね。 -
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【2025年62冊目】
連続女性誘拐皮剥事件が世間を賑わすアメリカ。FBIの訓練生であるクラリス・スターリングは上部の要請で、ある一人の男を訪ねる。男の名はハンニバル・レクター。殺人を犯し、被害者の人肉を食べたことで精神異常犯罪者用病院に収監されている。クラリスは皮剥事件の犯人を割り出すため、レクター博士と応酬をすることになるが――。
映画を見て「これは原作も読みたい!」と手に取った一冊。映画、結構原作に忠実に作られてたことがわかってまずはにっこりしています。映画でハンニバルを演じたアンソニー・ホプキンスを思い浮かべながら読んでいました。あの人、色気すごいですよね…。
連続皮剥事件の犯人の精神に迫るため、犯罪者に協力を求めるFBIの訓練生という構図がまず好きで。しかも映画でクラリス演じたジョディ・フォスターもめちゃ美しいと来てるものですから、想像の中でも眼福で(続編に出てないのが残念)
と、若干映画の感想にもなってしまいましたが、映画制作陣がいかに原作をリスペクトしていたのかがよくわかりますね。 -
Posted by ブクログ
序文から心をわしづかみにされた。
若い頃、ほんのわずかな間、パリに滞在したことがある。帰国後もしばらくの間は、熱にうかされたように、パリでのことを思い返せずにはいられなかったから。
無駄のない文章と鋭い観察眼で、ヘミングウェイがいた1920年代のパリと、同時代に生きた作家たちの飾らない様子が描かれており、最後まで興味深く読めた。
この作品はヘミングウェイの死の一年前に完成したそう。その後、猟銃での自死を選んだヘミングウェイ。そんな単純なことではないのかもしれないが、やはり人は死ぬ前に一番幸せだった時のことを思い出さずにはいられないのだろうか…等々、老いることについても考えさせられた。