高見浩のレビュー一覧

  • 羊たちの沈黙(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    レクター博士らしいグロテスクな脱獄。
    そしてホテルでのしばしの安息と、クラリスに残したメッセージや新たに送った手紙など、良きキャラクター性。
    犯人も犯人で、母親の若き姿に憧れる洋裁が得意なオネエ寄りの男。愛犬を人質にとられ、愛犬のために髪の毛を諦めて頭から撃ち抜くか…と検討する。人間味も感じられ、個性的で好き。最期は呆気なかったが。
    クラリスが有能すぎるが、犯人の家を突き止めて偽名を名乗る犯人と対峙するところからワクワクする。


    子羊の悲鳴は止んだかい?クラリス

    クラリスの知る最も明敏な二人の人間のうち、一人は同時に彼女の知る最も堅実な人間であり、もう一人は最も恐ろしい人間だった。その二人

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    2024年10月09日
  • 羊たちの沈黙(上)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    映画は好きで何回か見ているが、本書は思ったよりグロ表現が少なかった。それもあって、事件の凄惨さの割には読みやすい。
    やはり、レクター博士とクラリスの対話が一番面白い。話の流れは知っているものの、やっぱり面白くて一気に読めた。
    映画と比べて、クラリスの研修生として、男ばかりの中の女としての苦労などをより感じる。

    上巻はレクター博士に対し、協力してくれたら待遇を良くしてあげるとクラリスが説得したにも関わらず、実はそれを盗聴していたチルトンが横暴を働き、台無しにしてしまうまで。

    クラリスに精液をかけた房に入っている犯罪者に対し、レクター博士は言葉だけでそいつを自殺に追い込み、クラリスに謝罪するの

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    2024年10月02日
  • ハンニバル(下)(新潮文庫)

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    独特の緊張感が漂う。サイコスリラーというのかな? レクターという魅力的ではあるもののやはりただの人殺しであるという不思議な気分で読む事に。
    そこに見透かされるのか、興味が持続するかどうかという緊張感があり作品独自の面白さがそこにはあったと思う。

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    2024年04月19日
  • 老人と海(新潮文庫)

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    老人の闘いをリアルに描写している。物語の中に劇的な展開はないが、老人の海との闘いに痺れた。
    身体は老いても、心は最後まで折れない老人がかっこいい。

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    2025年12月01日
  • 移動祝祭日

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    文豪アーネスト・ヘミングウェイが何者でもなかった頃のこと。

    愛する妻と、お金はないが幸せな日々を送るパリでの時間。
    懐かしさと苦さと甘さが混ざった回想録。

    100年前のパリをヘミングウェイが、フィッツジェラルドが、ジョイスが、ピカソが歩いて声を交わしていたんだな、本当に。

    誰も拒まないパリの懐の深さを知った気分。

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    2023年12月27日
  • ホット・ゾーン エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々

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    前半の臨場感すごい
    後半は尻すぼみ?たまたまワシントンで見つかっただけで、知らずに感染広がってる例ありそう

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    2023年12月24日
  • 移動祝祭日

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    面白かったです。ヘミングウェイの1920年代のパリでの作家としての修業時代、パリで暮らす文壇、画家達、ガートルード・スタイン、フィッツジェラルドとの交流が描かれています。また、最初の妻との破綻と二番目の妻となるポーリンファイファーとの三角関係で悩むヘミングウェイがさらっと書いています。

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    2023年12月19日
  • 羊たちの沈黙(下)(新潮文庫)

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    映画(ハンニバルやレッドドラゴンは何回か観たけど、羊たち〜はいまだに観れていない……)もあってか、「ハンニバル・レクターの物語」という印象が強かったけど、あくまでほんの一部、「クラリス・スターリングの物語」なんだと実感した。

    上巻を読み、そして下巻を読んで、クラリスがさらに好きになった。

    読みながら、クレンドラー、チルトンには腑が煮え繰り返った……。

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    2023年03月25日
  • 移動祝祭日

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    序文から心をわしづかみにされた。
    若い頃、ほんのわずかな間、パリに滞在したことがある。帰国後もしばらくの間は、熱にうかされたように、パリでのことを思い返せずにはいられなかったから。

    無駄のない文章と鋭い観察眼で、ヘミングウェイがいた1920年代のパリと、同時代に生きた作家たちの飾らない様子が描かれており、最後まで興味深く読めた。

    この作品はヘミングウェイの死の一年前に完成したそう。その後、猟銃での自死を選んだヘミングウェイ。そんな単純なことではないのかもしれないが、やはり人は死ぬ前に一番幸せだった時のことを思い出さずにはいられないのだろうか…等々、老いることについても考えさせられた。

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    2023年02月11日
  • 闇の奥(新潮文庫)

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    全てを支配できると思い込む人間の傲慢さ
    不可能な事をできると信じ、できなかったら狂い出す人間の滑稽さ

    一見輝かしいことは、多くの人の肉体と精神が犠牲になって生まれているのだと思った。

    人が求めているのは平等ではなく、人よりも上に立つ事なのだと思う。

    地味にクルツの妻がホラー。

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    2022年12月20日
  • 闇の奥(新潮文庫)

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    いわずと知れた地獄の黙示録の元本。出張先の書店で見かけて購入。
    原始の混沌に魅せられてしまった殉教者に魅せられてしまう物語なんだろうか。
    虐殺機関の元ネタなんだろうなー。

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    2022年11月28日
  • 闇の奥(新潮文庫)

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     古典を読まなくなって何年にもなる。十代、二十代の頃は、向学心も強かったためか古典ばかり読んでいたのに、今は新作の追っかけに四苦八苦してそれで済ませている自分がいる。でも古典は、今も時に気になる。未読の古典はずっと心の片隅で消化されることなく遺り、燻り続ける熾火である。

     本作は多くの方とおそらく同様に映画『地獄の黙示録』を契機に知ることになったものだ。コンラッドという作家は冒険小説作家の起源みたいなものである。ぼくはパソコン通信時代<冒険小説フォーラム>に入りびたり、ついにはSYSOP(システム・オペレーターの略でフォーラム運営者を言う)にもなりゆき上なってしまったが、恥ずかしながら冒険小

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    2022年11月18日
  • 闇の奥(新潮文庫)

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    狂気の描き方がほわっとしてるというか、表面的に読めばそこまで気が違ってるようには思えない。わかりにくい、といえばそれまで。この作品にホラーやサイコパスめいたものを期待してはいけない。そこらへんに散らばってる出来事や事実を拾い集めると、胃がもたれるような気味の悪さが浮かんでくるタイプ。じわじわきますね。映画のようなドラマティックさはないものの、多くの謎を残したまま、置いてけぼりにされるので。

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    2022年11月03日
  • 羊たちの沈黙(下)(新潮文庫)

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    ハンニバル•レクターがやはり大変魅力的な作品(魅力的と言ってしまうと俗っぽいが)。
    緊張感、レクター博士に出し抜かれる感覚、そして頭の中に映像が流れ込んでくるような緻密な情景描写。映像化に成功した作品としても頷ける。イイね!

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    2022年09月23日
  • 羊たちの沈黙(上下)合本版(新潮文庫)

    J

    購入済み

    映画のファンだから読んでみた

    良かった!先に映画を観てるのもあって、場面が容易に想像できて楽しめた。

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    2022年04月10日
  • 心を強くする「世界一のメンタル」50のルール

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    7年間パートナーとして共にしたセリーナ・ウィリアムスの元から去る選択、そしてこれからも続くと思っていた大阪なおみからの突然の解任。
    この愛すべき2人の選手との思い出話と共に綴られる言葉たちは力強く、心のトレーニングとなる良本でした。

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    2022年02月24日
  • ハンニバル・ライジング(上)(新潮文庫)

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    ハンニバル・レクターさんが「ハンニバル・カンニバル」になる事情が見えてくる幼少から青年時代のお話。
    とにかく文章の表現が美しい…と思いました。原語で読めばもっと味があるのでしょう。

    ハンニバル少年が影響を受ける日本人の叔母さんである紫夫人の日本人像がリアルな日本人からすると「フジヤマ・ゲイシャ」っぽいのだけど、日本文化への憧憬とリスペクトはきちんと感じられました。
    被爆した広島の禎子さんが血縁だったり、伊達政宗さんぽい人がご先祖だったりは、同じようなことを日本の小説でも外国人キャラに対してやっているのだろうからOK牧場です。
    海外の方にとって日本女性はかく神秘的なものであるのならば、らじ家の

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    2021年12月26日
  • ハンニバル(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    この物語の最初にクラリスは「理解と共感は違う。その違いを知ることが大人になるということだ。」と言っていたけれど、前作の若い頃からクラリスはレクター博士を「理解」できていて、それが今作の最後では「共感」もできてしまったということなのかな。

    クラリスにとっては父親、レクター博士にとっては妹という心の大きな空洞があって、陰と陽が見事に噛み合ってしまった。もともと最初から自分たちは同族といった「理解」はあっただろうし、才色兼備な女性にありがちなクラリスの表層的な社会的鎧をレクター博士が薬と時間で溶かしてしまって、こういうラストになったのでしょう。

    共通の敵となって殺されたサディストが、食肉加工会社

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    2021年12月18日
  • 羊たちの沈黙(下)(新潮文庫)

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    犯罪部分についてはこの本がこの手の内容では「金字塔」であるからか真新しさは感じない世代なのだけど、ちょっとした文章に深みを感じる作品でした。
    正直言って訳はイマイチだと思うけれどね。

    「羊たちの沈黙」は、クラリスが自分を高める努力を放棄したり、怠惰な暮らしで満足するようになってしまえば忘却されるのだろうけれど、クラリスがクラリスらしく生きていこうと限り、常にその静寂は破られていくのだろうね。

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    2021年12月12日
  • 羊たちの沈黙(上)(新潮文庫)

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    アンソニー・ホプキンスさんのレクター博士のイメージはあるのだけど、お話の内容は全然覚えていないので再読。
    FBI訓練生のクラリスさんの成長が、連続殺人の被害者たちののどに押し込められた蛾の繭のイメージとリンクする感じ。
    今の自分から脱皮することは簡単ではないし、場合によっては脱皮の途中で死んでしまうほど危険なことでもあるけれど、やはり生物にとって物理的だろうが精神的だろうが「脱皮」は成長のために必要であり、潜在的な願望でもあるのだろうな。

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    2021年12月11日