高見浩のレビュー一覧

  • 闇の奥(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    植民地支配の醜悪さがきつい。
    何度かヨーロッパに戻れる機会があったのに、思いとどまったクルツの心情を考えながら読む。
    未開の地に西洋文明を教示、ついでに象牙で一儲けのつもりが、身も心も自らが軽蔑する蛮人以下になってしまう。身を守るために残忍にならざるを得ない、ジャングルの圧倒的な自然と、そこに住む人たちのわけのわからなさ。
    多面的でいろんな読み方ができる本だと思うけれど、逐一、対比がはっきりしているのでストーリーや会話の意図はとりあえずは読み取りやすい。
    例えば船に乗組員として乗せた食人族が、白人のマーロウ達を飢えていたとしても襲わなかったこと。それに比べてクルツが奥の駐在所の入り口に無数の生

    0
    2025年10月16日
  • 移動祝祭日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    若き駆け出し作家になろうとする頃のパリ在住の日々。晩年、死を目前に完成したヘミングウェイが思い出を綴ったもの。
    移動祝祭日というタイトルの印象に比べると、内容は純粋で真面目で慎ましい暮らしぶりである。当時は1920年代の華やかな戦間期であって、文人や画家のきらめく才能たちと交流できたのは確かなのだが。その退廃的な気分に毒されるまでの、素朴で幸福な時代を綴ったのだろう。

    解説に種明かしがあり、実際とはいささか違うとの指摘もある。それを読んでもなお、ヘミングウェイという若者の純粋さ素朴さに感じるところのある作品だった。

    0
    2025年08月01日
  • 河を渡って木立の中へ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ヘミングウェイが戦争で訪れた北イタリアの地への愛情が垣間見れる。虚しいと分かっていながら、架空の騎士団ごっこをしたり、猟をしたり、レナータとの恋に浸ったり…老いと病気に悪態をつくのはそうした虚しさや淋しさを隠すためであり、本人もそれに気づいている。

    0
    2025年07月28日
  • 闇の奥(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    『青の6号』の小説で、この本が触れられていたので読んだ。熱帯雨林、蛮人、「ガリア戦記」という単語など、影響は伺える。が、基本的には植民地支配の話だった。

    序盤は語り部が誰なのかはっきり分からなかった。
    だんだん、マーロウという男がコンゴの川を遡り、奥地の出張所にいるクルツに会いに行くストーリーとわかる。
    タイトルの『闇の奥』とは、文化的なイギリスからコンゴの熱帯雨林のなかを食肉するという蛮人を怖がりながら進む船の航路のこととも取れるし、かなり才能あるクルツがジャングルの奥で精神を病んでしまったことを指しているとも思える。

    0
    2025年07月14日
  • 河を渡って木立の中へ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ヘミングウェイは軍人と老人と死と女性がテーマである。米軍の退役軍人である主人公が、フランス戦線で負傷し、ベニスで愛人の若い女性と短い時間を過ごして、心臓発作で死んでいくという話である。

    0
    2025年06月24日
  • ハンニバル(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    【2025年65冊目】
    レクター博士への復讐に燃えるメイスンは、クラリスを囮に博士を誘き出す算段を整えつつあった。そうして捉えた博士を豚に食わせ、その様子を彼自身に観察させる――。一方、クラリスはでっち上げの罪によりFBIを追われかけていた。上司であるクロスフォードは病に伏し、彼女を擁護できるものはいなくなっていく…たった一人、レクター博士を除いて。

    映画と原作が少し違うということは織り込み済みで読みましたが、面白かった!レクター博士がプレゼント持ってきたのに捕まった時、残された手紙を見てなんかぐっと来てしまいました。恋じゃねぇか…。

    メイスンの最期も映画とは違いましたが、原作準拠にすると

    0
    2025年06月18日
  • ハンニバル(上)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    【2025年64冊目】
    皮剥ぎビルの事件から7年、FBI特別捜査官となったクラリス・スタンフォードは麻薬組織摘発チームの一人として現場に向かっていた。慎重にことを進めていたはずが、蓋を開けてみると情報は筒抜けで、クラリスは銃撃戦の末、組織の女ボスを射殺する。赤子を抱いた彼女を死に至らしめたとして、糾弾されるクラリスだったが、一人の男の進言により事なきを得る。それはかつて、レクター博士による被害を受けたメイスン・ヴァージャーだった。復讐を誓う男の手は、逃亡の末フィレンツェに潜伏するレクター博士に延びつつあったが…。

    こちらも映画を見てから読みました。相変わらず原作リスペクトなことがよくわかりま

    0
    2025年06月13日
  • 羊たちの沈黙(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    【2025年63冊目】
    誘拐された娘を救出するため、上院議員はレクター博士に面会し、取引の上で情報を引き出す。一方でクラリスは、訓練生としての地位が危うくなりつつも、独自の捜査を続けていた。再びレクター博士に面会したクラリスは、彼の発する言葉からヒントを得て、犯人の思考、過去の被害者の身辺に肉薄していく――。

    一気読みでした。映画のシーンを思い出しながらでしたが、クライマックスの建物内での描写にはハラハラさせられました。クラリスと犯人視点の両方が描かれてるのにシームレスに視点が切り替わるのが見事でした。翻訳者の方の腕も良かったのでしょう。

    しかし、レクター博士の滲み出る色気はなんなんでしょ

    0
    2025年06月08日
  • 羊たちの沈黙(上)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    【2025年62冊目】
    連続女性誘拐皮剥事件が世間を賑わすアメリカ。FBIの訓練生であるクラリス・スターリングは上部の要請で、ある一人の男を訪ねる。男の名はハンニバル・レクター。殺人を犯し、被害者の人肉を食べたことで精神異常犯罪者用病院に収監されている。クラリスは皮剥事件の犯人を割り出すため、レクター博士と応酬をすることになるが――。

    映画を見て「これは原作も読みたい!」と手に取った一冊。映画、結構原作に忠実に作られてたことがわかってまずはにっこりしています。映画でハンニバルを演じたアンソニー・ホプキンスを思い浮かべながら読んでいました。あの人、色気すごいですよね…。

    連続皮剥事件の犯人の

    0
    2025年06月07日
  • ハンニバル(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白かった。
    「羊たちの沈黙」ではレクター博士がクラリスを癒して、「ハンニバル」ではクラリスがレクター博士を癒して、薬が使われたとはいえ幸せな終わりになった。
    FBIにとっては人材的に損失を被ってしまったけれど、評価されずに働いていたクラリスにとってこの結末は幸せなものだったのだろうか?
    いずれ洗脳が解けたとき、どちらかは死ぬことになるのか?
    ラストのグランドラーのシーンは今までされていた嫌がらせのことを考えてスッキリした。

    0
    2025年04月06日
  • 羊たちの沈黙(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    レクター博士らしいグロテスクな脱獄。
    そしてホテルでのしばしの安息と、クラリスに残したメッセージや新たに送った手紙など、良きキャラクター性。
    犯人も犯人で、母親の若き姿に憧れる洋裁が得意なオネエ寄りの男。愛犬を人質にとられ、愛犬のために髪の毛を諦めて頭から撃ち抜くか…と検討する。人間味も感じられ、個性的で好き。最期は呆気なかったが。
    クラリスが有能すぎるが、犯人の家を突き止めて偽名を名乗る犯人と対峙するところからワクワクする。


    子羊の悲鳴は止んだかい?クラリス

    クラリスの知る最も明敏な二人の人間のうち、一人は同時に彼女の知る最も堅実な人間であり、もう一人は最も恐ろしい人間だった。その二人

    0
    2024年10月09日
  • 羊たちの沈黙(上)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    映画は好きで何回か見ているが、本書は思ったよりグロ表現が少なかった。それもあって、事件の凄惨さの割には読みやすい。
    やはり、レクター博士とクラリスの対話が一番面白い。話の流れは知っているものの、やっぱり面白くて一気に読めた。
    映画と比べて、クラリスの研修生として、男ばかりの中の女としての苦労などをより感じる。

    上巻はレクター博士に対し、協力してくれたら待遇を良くしてあげるとクラリスが説得したにも関わらず、実はそれを盗聴していたチルトンが横暴を働き、台無しにしてしまうまで。

    クラリスに精液をかけた房に入っている犯罪者に対し、レクター博士は言葉だけでそいつを自殺に追い込み、クラリスに謝罪するの

    0
    2024年10月02日
  • ハンニバル(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    独特の緊張感が漂う。サイコスリラーというのかな? レクターという魅力的ではあるもののやはりただの人殺しであるという不思議な気分で読む事に。
    そこに見透かされるのか、興味が持続するかどうかという緊張感があり作品独自の面白さがそこにはあったと思う。

    0
    2024年04月19日
  • 移動祝祭日

    Posted by ブクログ

    文豪アーネスト・ヘミングウェイが何者でもなかった頃のこと。

    愛する妻と、お金はないが幸せな日々を送るパリでの時間。
    懐かしさと苦さと甘さが混ざった回想録。

    100年前のパリをヘミングウェイが、フィッツジェラルドが、ジョイスが、ピカソが歩いて声を交わしていたんだな、本当に。

    誰も拒まないパリの懐の深さを知った気分。

    0
    2023年12月27日
  • ホット・ゾーン エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々

    Posted by ブクログ

    前半の臨場感すごい
    後半は尻すぼみ?たまたまワシントンで見つかっただけで、知らずに感染広がってる例ありそう

    0
    2023年12月24日
  • 移動祝祭日

    Posted by ブクログ

    面白かったです。ヘミングウェイの1920年代のパリでの作家としての修業時代、パリで暮らす文壇、画家達、ガートルード・スタイン、フィッツジェラルドとの交流が描かれています。また、最初の妻との破綻と二番目の妻となるポーリンファイファーとの三角関係で悩むヘミングウェイがさらっと書いています。

    0
    2023年12月19日
  • 羊たちの沈黙(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    映画(ハンニバルやレッドドラゴンは何回か観たけど、羊たち〜はいまだに観れていない……)もあってか、「ハンニバル・レクターの物語」という印象が強かったけど、あくまでほんの一部、「クラリス・スターリングの物語」なんだと実感した。

    上巻を読み、そして下巻を読んで、クラリスがさらに好きになった。

    読みながら、クレンドラー、チルトンには腑が煮え繰り返った……。

    0
    2023年03月25日
  • 闇の奥(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    大自然を前に、人間の愚かさを直視したコンラッドでなければ書けない本
    植民地主義時代の価値観がとても丁寧に描かれていたし、マーロウと一緒に冒険している気分にもなれる
    『地獄の黙示録』同様、やっぱりクルツのインパクトは強烈だった

    0
    2023年02月21日
  • 移動祝祭日

    Posted by ブクログ

    序文から心をわしづかみにされた。
    若い頃、ほんのわずかな間、パリに滞在したことがある。帰国後もしばらくの間は、熱にうかされたように、パリでのことを思い返せずにはいられなかったから。

    無駄のない文章と鋭い観察眼で、ヘミングウェイがいた1920年代のパリと、同時代に生きた作家たちの飾らない様子が描かれており、最後まで興味深く読めた。

    この作品はヘミングウェイの死の一年前に完成したそう。その後、猟銃での自死を選んだヘミングウェイ。そんな単純なことではないのかもしれないが、やはり人は死ぬ前に一番幸せだった時のことを思い出さずにはいられないのだろうか…等々、老いることについても考えさせられた。

    0
    2023年02月11日
  • 闇の奥(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    全てを支配できると思い込む人間の傲慢さ
    不可能な事をできると信じ、できなかったら狂い出す人間の滑稽さ

    一見輝かしいことは、多くの人の肉体と精神が犠牲になって生まれているのだと思った。

    人が求めているのは平等ではなく、人よりも上に立つ事なのだと思う。

    地味にクルツの妻がホラー。

    0
    2022年12月20日