高見浩のレビュー一覧
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ネタバレ脚注25 "十九世紀の世界地図では、諸大国の領土を赤(イギリス)、青(フランス)、オレンジ(ポルトガル)、緑(イタリア)、紫(ドイツ)、黄色(ベルギー)の各色で色分けしていた。" p.204
"油のようにねっとりとした波が大儀そうに艦をもち上げては下ろし、細いマストを揺らしている。" p.35
これぞ目の当たりにしたものの描写と思える。想像では、こうはいかない。
" この黒人たちが緩慢な死をとげつつあるのは、ひと目でわかった。彼らは敵でもなければ犯罪者でもなく、もはやこの世の者でもない――病いと飢えにからみとられ、緑がかった薄暗闇のなかにもつれ合って横たわる黒い影にすぎない。" p.42
"顔を照らす松明の明かりが不吉な翳を生んでいた。" p.64
脚注から超訳の気配がうかがえたのだが、これは翻訳の妙であろうか。原文の味だろうか。
序盤から、映画『地獄の黙示録』にすごく似てると感じた。調べてみたら本書を翻案して制作されたとのこと。そもそもそれで気になって読もうリストに積んだのだった。積んだまま忘れていた。ことによると2022年より前から。
良い読み心地ではない。序盤は特に。うだうだぐだぐだ自分語り。天使憑きを思い出させる。天使憑きは若年の頃からのトラウマ。減点。
自分語りでないところには感じ入るものがあり、時にマジックリアリズム的な心地よさも覚える。加点。
コンゴの状況を憂いたとされる作家が南アメリカの金鉱に投資している。どう解釈したらいいのか。それはそれ、というやつか。
訳者は解説において<自然対人間>というテーマがあると記している。この記述は、本書に覚えた違和感を追求するのに役に立った。
本書においてアフリカ人は、二通りに描かれている。船員として働くアフリカ人と、そうでないアフリカ人。そうでないアフリカ人は、人間としてではなく、アフリカの事物として記されているように読めた。船員として働くアフリカ人は、特徴的な風習を特筆している点はあったとしても人として描写しているので、単純に<こちら側対あちら側>という構図にすぎないと感じられる。
少しでも理解が及ぶもの、こちら側にいるのは人間、そうでないものは自然という対照。欧米主観対その他。
そのような印象が本書に冠された「植民地主義の闇を凝視した」という評に違和感を覚えさせる。
著者がレイシストであるという批判は古くからあるようで、実際、イギリスの植民地は絶賛し、他をくさすというようなこともあったようだ。本書の舞台となるコンゴはこのときベルギー王の私有。南アの金鉱に投資できた理由もわかる。レイシストかどうかはわからないが、ダブスタではある。
訳者が巻末解説に記した著者の影響について。
『密偵』はグレアム・グリーンに。
『ナーシサス号の黒人』はヘミングウェイに。
コッポラ『地獄の黙示録』に。
ヴェルトナー・ヘルツォーク『アギーレ/神の怒り』に。
キャロル・リード『第三の男』に。 -
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日本縦断サイクリングに持ち込んだ本のうちの1冊が本書だ。面白く、かつ、サクサク読み進められない、というのが選択基準だ。結果、本書と『ホモ・デウス』を持ち込んだが、サイクリング中は主に『ホモ・デウス』を読んでいたので、本書は帰宅後読み進めることになった。
映画『地獄の黙示録』の原案として知られる本書だが、私も中学生の時に観た『地獄の黙示録』が忘れられず、いつか本書『闇の奥』を読みたいと思っていた。新潮社のStar Classicsシリーズの新訳が発刊されたので、手に取ってみた。
1800年代の欧州とアフリカの象牙交易の様子がよくわかる。なんと命の価値の低いことかと感じ入る。
コンゴ奥地で辣腕をふるっているクルツの元に、河をさかのぼり辿り着くお話は、地獄の黙示録そのままだ。王国を打立てたクルツの最期の言葉は『The horror horror 』だ。映画でマーロン・ブランドが吐息のようにつぶやいた言葉だ。本書では『地獄だ 地獄だ』と訳されているが、『恐怖』ともとれるか。いや、でも定冠詞がついているので、感情ではなく情景を指したと考えられ、やはりクルツは『地獄』を見ているのか。 -
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読んだ本 ハンニバル・ライジング トマス・ハリス 20250728
妹の復讐とハンニバルがなぜ食人を伴うサイコパスとなったのかを紐解くお話ですが、「羊たちの沈黙」を裏付けするような面白さには欠けてるな。
そもそも復讐の仕方が普通で、なんかのスパイものみたい。殺人紳士的な不気味さに欠けるし、残虐性、嗜好性みたいなものもみられない。後のハンニバル・レクターにつながってないよな。
なんか、食人もちょっとだし、なんだかんだ言って、豊かな愛情を受けてるってのもどうだか。結局敵はナチの協力者で、ゆがんだ人格を育てるにはひねりがありませんよ。書き直してほしいな。
お口なしに、最後に残しといた「レッドドラゴン」を読んで、このシリーズも終わりです。原点に帰ろう。 -
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読んだ本 ハンニバル・ライジング トマス・ハリス 20250725
羊たちの沈黙シリーズ。
ハンニバルがダークヒーロー化して、プロファイリング的なお話からサイコアクション小説になってしまった。その序章的なお話し。少しディスり気味ですが、なんだかんだ興味深く読んじゃいますね。それにしても、これほどジャポニズム的に日本文化に関する描写があるのは意外でした。映画の印象がほとんどないんだけど、こんなんだったけな?
まぁ、人殺して食べちゃうようなサイコ・パスを、もっと悪い奴出してきて少し理解させるようなのも、どうかと思いますが、いよいよ復讐の下巻に入ると楽しみにしている自分がいます。 -
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読んだ本 ハンニバル トマス・ハリス 20250704
レクター博士というキャラクターを描いた小説ってことで、レクター博士の異常さと超人性を楽しみました。
この異常者より悪い奴を出してきてヒーローにしちゃうってとこがすごいんだけど、なんかたのしめちゃうんでしよね。
あれ、こんな終わり方だっけ?って思って、帰ってすぐにU-NEXTで映画を観たんですが、なんか映画の終わり方の方が好きかな。面白さは圧倒的に本の方なんだけど。あと、バーニーの俳優が全然イメージと違った。これも異常性がないと。
次はレクター博士礼賛のハンニバル・ライジングを読んで、最後にレッド・ドラゴンかな -
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19世紀末のアフリカ大陸
植民地化を進める西洋人の、想像を越える未知の世界が広がる。
小説『闇の奥』は、コッポラが映画「地獄の黙示録」を作る際の原型とした物語。
19世紀末のアフリカ、コンゴを舞台とした探検記録のような、それでいて、全編にわたりまとわりつくような熱帯雨林の世界を描き綴っており、ページごと進むのがかなり難儀。
(舞台をベトナム戦争としたコッポラの映画の方が、まだ分かりやすい?)
冒険を求めて、主人公マーロウは何が飛び出すかわからない密林のなかの川を遡上する。
そして、行き着いた“奥”で、不思議な集団を率いていたクルツという人物と出会う。
幽霊の運び手
従順な崇拝者ども
鬱然とした密林
どんよりとして湾曲した水路
規則的でくぐもった太鼓の響き
『地獄だ!地獄だ!』 -
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読んだ本 ハンニバル トマス・ハリス 20250630
今年は、このシリーズを読破しようと思ってます。「羊たちの沈黙」は、やっぱり色あせないサイコサスペンスで、プロファイル的な面白さでしたが、「ハンニバル」については、なんかアクション小説というか、サスペンス小説というか、そこが残念なんですよね。映画で一通り観てるんで、「レッド・ドラゴン」もやっぱり犯罪心理小説の面白さがあったもんな。
ハンニバル・レクターっていう強烈なキャラを生んじゃったために、こういうスターのための小説になっちゃったんだろうな。
とは言え、プロファイルの先にいる異常者たちが暴れまわる不気味さはあるので、面白いのは面白いんですが。 -
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うーん
まずこれを飲んだ一番の理由は、コンゴで起きた歴史的人間の蛮行を知りたいと思ったから。つまり、小説というより、ノンフィクション?或いは歴史書的な目的で読んだ。結果として、そういうのというよりは随分と人間の内面を描いた哲学的な小説といった意味合いが強かった。もちろん、「蛮族」達の悲惨さは艶やかな筆記から伝わってはきたが、描写がもの足りなかったというのが正直なところ。つまり、国王のことと、或いは手足の切断についてまるで描写がなかったのは、あれれ?という感じだった。更に言えば、哲学的小説としての話だが、これは私が未熟だからなのか?クルト?にも語り部にもいまいち移入できなかった。およそ現代日本にはない全力100%の自然の力ってのはありありと感じられたけど、クルト?の正義と絶望はあまりわからなかったかな? -
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『レクター』シリーズの著者トマス・ハリスによる新作『カリ・モーラ』です。
食人の精神科医ハンニバル・レクターが登場する世界観とは一線を画し、少し落ち着いた猟奇事件が描かれています。
獣医を夢見るコロンビア移民女性カリ・モーラの元に、全身無毛の臓器密売人のハンス・ペーター・シュナイダーが現れます。
カリ・モーラ自身は凄惨な人生を送ってきた25歳ですが、周りに集う人間たちも只者ではありません。
熟練の殺し屋が密集している状態が続き、先ほどまで生きていた者が次のページでは死んでいる…という状況にも納得ができてしまいます。
美しき、そして哀しきカリ・モーラに平穏は訪れるのでしょうか…。