福永武彦のレビュー一覧

  • 堀辰雄/福永武彦/中村真一郎

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    高校時代に、図書同好会というサークルに入っていたが、1級上の先輩が福永武彦を愛読していた。当時は特に惹かれるものはなかったのだが、今読んでみると、意識の流れの描写が洗練されていて上手いと思う。
    堀辰雄のかげろうの日記も楽しく読んだ。中村真一郎もそうだが、昔の作家はきちんと古典に学び、吸収していたのだなと感心する。

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    2016年06月12日
  • 日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集

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    町田康、いらない文章が散見。覚める部分。不必要な敬語とか。バランスが大事。彼はしょせん自意識の病の中にある。
    その上で、「陰茎を検査した半裁」「鐘を打たせようとした話」「娘婿の変態行為の話」は格別に面白い。

    しかし福永武彦の訳は端正で美しい。
    天狗に狂った染殿の后の話は、鬼が白昼堂々と侵入し、夫の目の前で淫行に至る描写が生々しく恐怖。

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    2016年03月16日
  • 夢みる少年の昼と夜

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    不安定な少年、少女期の果てしない空想(妄想)。思春期を過ぎ、変化に乗り切れなかった女性の妄想に壊れていく姿、妄想に巻き込まれていく男性。常に死やおしまいの予感の漂う中、強い感受性によりそれを綺麗に包み隠そうとしつつ、読み手を導いていく印象でした。戦争と言う大きな傷、変化を踏まえたこその作品のような気がします。それゆえ抱える重さもひとしおです。

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    2015年10月07日
  • 堀辰雄/福永武彦/中村真一郎

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    長編というか、いろいろなタイトルがおさまっていて
    500P弱を読み終わりました。
    堀辰雄氏・福永武彦氏(池澤夏樹氏の父)・中村真一郎氏
    3人の作品。
    堀辰雄氏の「かげろうの日記」「ほととぎす」は
    いまいちわかりませんでした。
    福永武彦氏の「深淵」「世界の終り」「廃市」は
    3作品ともとてもよかったと思います。
    狂気・退廃・情念などがにじみ出ていたと思います。
    中村真一郎氏の「雲のゆき来」は漢文や漢詩
    古文詩などが多くあって、読みづらい部分が多く
    ありましたが、それを差し引いてもとてもよかった
    と思いました。
    やっぱり自分の知らない作品それも古典的な作品
    に出逢える機会は大切だと思います。
    この全

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    2015年05月17日
  • 古事記物語

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    詩人、小説家である福永武彦による古事記物語。古事記原文をわかりやすく、かつ、美しい文体で表現している。同じ神話でも、ギリシアやローマの神々とは違った、伸びやかさ、大らかさを感じる。

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    2015年02月09日
  • 現代語訳 日本書紀

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    ネタバレ

    【認識】
    日本書紀を現代語に翻訳した書籍

    【対象】
    ・日本書紀に興味のある人
    ・原文(漢語)を読めない人

    【感想】
    原文どうしで比較するとどうなるかは知らないが、古事記よりも文章的に堅い印象。

    古事記と同様に前半は天皇の由来を語るための神話。
    後半は天皇が誰とくっついて、どうなったかとかそういう話。

    個人的に前半が好き。
    後半は天皇が思い通りにいかなくて激おこってのが多く、エピソードが単調で退屈だった。

    普通の物語と違って面白いところは、そのエピソード必要あったの!!ってなるところ。
    ○○しますから許してください→許さない、という逸話に対して、その○○を細かく説明する必要ありましたか

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    2013年10月21日
  • 廃市・飛ぶ男

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    「未来都市」を読んで「新世界より」(貴志祐介)を、
    「退屈な少年」を読んで「喪失」(福田章二)を連想した。

    福永武彦はすごいね、作風に倦怠がない。似たテーマ(死と絵描きと三角関係)はあるけれど、どれを読んでも読後の印象がすごい(ボキャ貧)。

    もうちょっと考えてから書き直します。

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    2013年07月06日
  • 現代語訳 古事記

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    神話は昔よく絵本で読んで読んだなーと懐かしくなりました。
    訳がわかりやすくて読みやすい。
    近親相姦や一夫多妻制など、今とは異なる古代日本人の性の観念も読み取れて興味が持てた。

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    2013年04月14日
  • 古事記物語

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    やっぱり、古典ってどうも苦手なんだけど、
    大らかな答えや、今と変わらない部分があるんたなぁって

    古事記の入門にはいいかも◎

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    2012年10月10日
  • 夢みる少年の昼と夜

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    ぶんがくーなアイテム(鏡とか)がたくさんちりばめられた、幻想的で素敵な短編集なんですが、何で引用文がわざわざそこなのっていうとこ登録しちゃったよ。

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    2012年10月09日
  • 告別

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    敬愛する作家、福永武彦の作品を久しぶりに読んでみました。

    福永武彦は、どうしてこんなに愛について、端的に本質をついた、
    しかも美しい日本語が書けるのだろう。

    随分昔の作品なのに、その文体は私には今読んでもとても瑞々しく思われます。

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    2012年07月22日
  • 廃市・飛ぶ男

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    ネタバレ

    モスラの原作者福永武彦さんの短編集。
    全部で8作の小説が入っているけど、どれも「狭き門」みたいな感じがある。
    売れない芸術家モノとか三角関係とかが多い。

    「廃市」は福岡県の柳川市をモデルにしているように思うが、とてもはかない美しい物語だった。

    全体的にどれも完成度が高いように思う。
    当時の流行なのか、やたらカタカナが出てくるのがちょっと現代っ子には読みにくいと思うけど(笑)

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    2012年02月25日
  • 告別

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    福永武彦はもうありえないくらい頭がいい。人間が生きることへの深い洞察、それを文章として組み立てる文学性、すべてを兼ね備えたわたしが最も愛する小説家。
    告別は模索のあとがうかがえる。今までとは少し違った表現方法を用いて、次々と時系列がとんでいき、文学として深く大きくまとまった主題性は感じないけれど、生死についてのできる限りの表現がぎゅっと押し込められた感じ。このひとが問題として捉えていたことは深く深く、作品を越えても共有される。

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    2011年12月04日
  • 忘却の河

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    連作形式って初めてかも。各章で主人公が変わっていくっておもしろい。
    昭和三十九年って、私が生まれる20年も前なのに、あまり違和感なく読めた。
    生死と愛、罪、ふるさとについて。
    内容や構成が深すぎて、私なんぞではうまく感想も書けない。巻末の解説等が「そうそうっ!」て端的にまとめられててよかったw
    何度も読み返したい一作になる気がする。
    福永武彦さんの他の作品も読みたい!

    (裏表紙の説明)過去の事件に深くとらわれる中年男、彼の長女、次女、病床にある妻、若い男、それぞれの独白。愛の挫折とその不在に悩み、孤独な魂を抱えて救いを希求する彼らの葛藤を描いた傑作長編。

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    2011年11月28日
  • ボードレールの世界

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     別の原稿の準備のために読む。夫人による解説にもあるように、作家福永武彦の出発点となった最初の著書。彼はボードレールの世界を踏破することをつうじて、みずからの詩作へ踏み出そうとしたのではないか。最後に収録されているきわめて詳細な年譜が、そのことを物語っていよう。福永は、ボードレールのそれぞれの詩が、いつ、どこで生まれたのかを跡づけながら読み解き、訳していった。そうした作業のなかから生まれたのが、岩波文庫に収められている『パリの憂愁』の訳書であろう。ちなみに、私は言わばその古本でボードレールに毒されたのだった。こうした福永のボードレール研究は、現在の研究の水準からすれば、正されなければならない点

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    2011年08月12日
  • 廃市・飛ぶ男

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    「廃市」はボクの「人生の最期に読みたい本」候補のひとつです。
    映画化もされました。

    「死都ブリュージュ」にインスパイアされて書かれたという話も聞いています。

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    2011年04月08日
  • 廃市・飛ぶ男

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     短編集。少年に焦点を当てた「夜の寂しい顔」「退屈な少年」に挟まれ、愛と死と孤独に震える六編が収められています。福永文学の代表である、夢と現実の狭間で自己意識と対峙する人物や、河のある静謐な描写に貫かれた一冊。私は特に「廃市」が好き。

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    2012年09月13日
  • 古事記物語

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    これは「古事記入門書」としてはかなり読みやすい本だと思います。  おおまかなエピソードはほぼ網羅されているし、神様の名前もちゃんとカタカナ表記の後に漢字フリガナ(? 音だけで選ばれた当て字っぽいのも多いけど)付きだし・・・・。  古事記に出てくる神様 & 天孫の名前って、カタカナやヒラガナだけで表記されちゃうと、舌を噛みそうになっちゃううえ、古代日本人が抱いていたその人のイメージ・・・・みたいなものが伝わってこないと思うんですよね。  その顕著な例が天照大御神とか大国主命だと思うんですよ。  漢字だけであの読み方(アマテラスオオミカミ オオクニヌシノミコト)はなかなか結びつかないけれど

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    2011年03月08日
  • 忘却の河

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    純文学・・、と心して読み始めましたが、
    きれいな文章で難しく感じることなく読み進められました。
    しかし核になっているテーマは重く、深いもの、
    それも現代に生きる私たちには遠いものかもしれません。
    家族それぞれ抱える、お互い知ることもない傷のようなもの。
    それぞれの人生の中で、時代の中で、
    家族の愛や自分の愛・誠意を疑い、はたまた現実の壁を感じて、
    苦しんでいるけれど。
    最終章でやっと、家族の愛情そのものを感じられて、ちょっとほっとする・・。

    一章ずつ語り手が変わるのだけど、世代も環境も違う人の回想や生活が
    丁寧に描写されているのが読みごたえがありました。
    誠実に生きると、人生が案外長く苦しく

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    2011年02月12日
  • 現代語訳 古事記

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    原文は一切ない、非常に読みやすい古事記。
    古事記というものを初めて読んでみたわけですが、神様達が意外にも人間くさいし、その子孫である天皇達は恋多きようで、親しみが沸きました。

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    2010年09月14日