福永武彦のレビュー一覧

  • 夢みる少年の昼と夜

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    短編11編を収録しています。

    表題作の「夢みる少年の昼と夜」は、ギリシア神話に興味を示す少年を主人公にした物語で、感受性の強い少年の不安定な心をていねいにえがきとろうとしています。

    おなじく強い印象をのこす少年が登場する「死者の馭者」や、画家の父をもつ少女を主人公とする「鏡の中の少女」は、すこし神秘的な内容を含んでおり、ロマン派の小説の影響が感じられます。

    一方「鬼」は、『今昔物語』から想を得てつくられた作品です。人間の心のありようを冷徹に見つめようとする著者のまなざしが印象的です。

    兄の自殺した理由を知る女性をえがいた「秋の嘆き」や、精神に異常をきたす医者の妻をえがいた「世界の終り」

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    2021年08月30日
  • 忘却の河

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    ネタバレ

    家族ってなんだろうという疑問を個々の魂のありかた、ゆくえから見つめている作品。

     といって、難しい言葉が並べてあるのではなく、日常の生活を描き積み重ねてあるのですっとはいってくるのだ。

     父親と母親と二人の年頃の娘、時代は昭和30年代なかば 生活は上等の部類。

     なに悩むことあろうと思うのだが、父はなぜだか心ここにあらず(これが物語の芯)、母は不治の病、長女は母の看病で家にしばられ鬱屈したよう、妹はひとり楽しげな大学生生活を送っているようで家族てんでばらばら。

     現代の複雑なストレスのたまる家族たちと変わりないではないか。だから古いものがたりだけれど今読める。

     ちなみにわたしの娘時

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    2021年08月22日
  • 現代語訳 古事記

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    私の乏しい知識では古事記のイメージってほぼ上巻ばかり

    覚悟はしてたけどカタカナの羅列に悪戦苦闘
    なんとかとりあえず読み終えました

    最近日本の神様を扱った小説をよく読むので読んでみようと思って

    新しい発見も沢山あったので良かったです

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    2021年07月01日
  • 現代語訳 古事記

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    初めて読みました~
    小さい時に読み聞かせてもらったヤマタノオロチ、因幡の白うさぎ、ヤマトタケルの話などなど
    「これか~!」
    と思いながら読み進めました。
    「天皇家の歴史まとめ」の性質があるので、物語として捉えるにはチョット大雑把な気がしますが
    切り取って話を作りたくなるようなネタは満載。

    個人の思想はどうあれ、
    西洋文化の下地に聖書があるように
    日本文化の下地にも古事記に記されているような「物の見方」が流れているように感じます。

    とりあえず名前が多すぎ&似すぎ&読みづらすぎ!(笑)

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    2020年08月15日
  • 古事記物語

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    児童書だから最後まで読めたのだろう。

    生と死,愛情と残酷さ,賢さと狡さ,何とも人間らしさが詰まった物語。このような物語があり,それを伝えている日本に驚く。

    神功皇后は九州福岡にエピソードが多く,関連する神社も多い。

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    2020年04月21日
  • 古事記物語

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    元々が読みやすいとはいえないものなので仕方が無いと思うがやっぱり心から面白かった!とはいえなかった。まずは名前の長さと意味のわからなさでくじけそうになり、登場人物の多さでまたくじける。カナは漢字にルビを振った方が理解しやすいかと思った。けれども、相当に読みやすくはなっているのだと思う。現代の子どもたちの倫理観としてこの結婚?の多さとか、兄弟での争いとかは受入れられるのだろうか。昔話として天の岩戸とかイザナギイザナミ、海幸山幸、天皇の寿命の長さなんかを基礎知識として知っていないと楽しめないものなのかなと思った。文体の美しさとかはよくわからないのだけど、読みにくいものではなかったので、次へのステッ

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    2020年04月21日
  • 忘却の河

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    「忘却(レーテー)」。それは「死」(タナトス)と「眠り」(ヒュプノス)の姉妹。また、冥府の河の名前で、死者はこの水を飲んで現世の記憶を忘れるという――。過去の事件に深くとらわれる中年男、彼の長女、次女、病床にある妻、若い男、それぞれの独白。愛の挫折とその不在に悩み、孤独な魂を抱えて救いを希求する彼らの葛藤を描いて、『草の花』とともに読み継がれてきた傑作長編。

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    2019年06月19日
  • 死の島(上)

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    「島」という絵を通じて相馬が知り合った女性-広島で被爆し心と体に深い傷を負った芸術家・素子と彼女と暮らす美しく清楚な綾子、双方に惹かれてしまった彼の許に二人が広島で心中したという報せが届く。これは一日の物語であり、一年の出来事であり、一生の話であり、一人類へ与えられた悠久の啓示でもある。文学史に燦然と輝く、著者を代表する長篇小説。

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    2019年06月19日
  • 死の島(下)

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    生きているのか、死んでしまったのか。素子と綾子の身を案じる相馬を乗せた東京発の急行列車は夜を繋いで走り続け、京都、神戸、姫路、岡山-と移り行く風景や車中での会話が彼の心と記憶を写し出す。そして目的地・広島着四・三六分。愛と死、原爆と平和、極限ともいえる人間の姿を斬新ながら、正統的な筆致で描いた歴史に残る長篇。

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    2019年06月19日
  • 草の花

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    汐見は藤木を永遠に忘れられず、それに絶望して、危険な手術に踏み切ったのだろうと思った。全然ちえこを好きな感じもしないし、ちえこ自身も「兄と重ねて見られるのが辛い」と後年の手紙に書いている。
    本人は悦に入ってると感じてしまうくらい「孤独」を見せるが、現実よりも面影を選んだ人間の末路だと思う。
    しかしながら文体が上品で丁寧なので読ませる。

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    2019年02月04日
  • 現代語訳 古事記

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    福永武彦の古事記現代語訳本である。宇宙開闢から神話の時代の上巻、神武〜応神天皇までの中巻、仁徳〜推古天皇までの下巻から成る。上巻では、荒唐無稽な説話が語られているが、ギリシャ神話と同じように、妙に神々が人間臭いのが面白い。中巻からは天皇の系譜が語られている。168歳まで生きた崇神天皇、身長が3m余りあった景行天皇(子が80人もいたらしい)など尋常でないスケール感、25代武烈天皇の崩御の後世継ぎがいなくて、15代応神天皇の5世の孫(継体天皇)を担ぎだすなど途絶える危機があった。ひたすら誰々を妻として、子の名前が何々という記述が累々と続き、名付けへの思いが感じられる。改めて稗田阿礼の凄まじい記憶力

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    2019年01月14日
  • 現代語訳 古事記

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    日本書紀と並び称されるが、こちらは本居宣長に見出されるまでは知られていなかったらしい。国造りの神話から始まって、推古までの歴代天皇の系譜・物語まで。性も人殺しも古代らしい率直さで語られていて、神様も天皇も現代的感覚からするとけっこうヒドイやつが多い。天の岩戸、八岐大蛇、因幡の白兎など有名エピソード以外にも面白い神話が多い。個人的にはアメノウズメがイイ感じ。

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    2018年11月05日
  • P+D BOOKS 加田伶太郎 作品集

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    福永武彦が加田伶太郎のペンネームで発表した探偵小説集(プラスSF1篇)。片手間のお遊びで書いたから駄作的な言い訳を本人は書かれておられますが、いやはやどれもベーシックな本格ものを目指されてて面白い。
    ペンネームの加田伶太郎や探偵の名前はアナグラムで決めている所から始まり、序文に『福永武彦』が『加田伶太郎』の友人として序文を寄せる体裁にしているところ、随筆『素人探偵誕生記』と、随所に遊び心と推理小説愛が溢れていました。
    『完全犯罪』『眠りの誘惑』が好みでした。

    船田学名義で書かれた未完のSF『地球を遠く離れて』も、未完ではありますが、物語が一区切りするところまで書かれてますし、面白かった。

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    2017年12月27日
  • 廃市・飛ぶ男

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    のっけから比喩のこねくり回しで始まる短編集。安部公房のフォロワーかと思いきや、同世代に活躍していた「戦後派」の純文学の旗手だった模様。

    この本の中で、やはり一番印象に残るのは「未来都市」だろう。異常ノイロンを修復し、犯罪は一切起こらない都市における反乱と離脱。アイデアからメカニズムが明確に打ち立てられ、その中での矛盾を見出す。

    他の作品も、物語の外殻は非常に緻密で強力なのであるが、つい癖で些細な人の出入りだの感情の起伏だのを追ってしまい、幹であり殻になっている部分を読み飛ばすと、よくわからないまま終わってしまう。

    内容は全て難しいわけではないが、動きが少ないので読むのに非常に時間がかかる

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    2016年10月05日
  • 日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集

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    内容よりは資料的価値だろう。

    町田康が訳した宇治拾遺物語は秀逸。
    自由自在過ぎて、言葉もない。

    千年経っても人間は何も変わらない。というか、千年前の人間たちのなんと奔放なことか。

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    2016年03月21日
  • 夢みる少年の昼と夜

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    草の花の美しさに中てられて読み始めたので、長編と短編の違いで少し戸惑った。しかし読み進めるうちに、短編は短編で瞬間の風景を切り取る力に魅せられた。幻想の中に住む人たちについての短編集といったところだろうか。「鏡の中の少女」「死後」「世界の終り」のような夢遊病に近い感覚を持つ小説は夜に読みたい。

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    2016年01月17日
  • 風のかたみ

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    福永武彦が「今昔物語」を材に取るとこうなるのか。登場人物がお上品になるのはこの作家ならでは。破天荒な人物が破天荒になりきれていないようで残念。らしいといえば、らしい。

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    2014年01月25日
  • 現代語訳 古事記

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    少しカタカナが多くルビも最初だけなので読みにくいという欠点はあるものの、全体を通してはまぁまぁ分かりやすかったですね。今まで学校で題名しか教えられなかったのでどんなものかと思い読んでみましたが、だいたい漫画とか小説とかってこういう古文書が基になっているのだなと理解しました。

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    2013年07月09日
  • 忘却の河

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    福永武彦はいう。
    『私がこれを書くのは 私がこの部屋にいるからであり
    ここにいて私が何かを発見したからである。
    その発見したものが何であるか。私の過去であるか。
    私の生き方であるか。私の運命であるか。
    それは私にはわからない。
    ・・・・
    僕は思想なんてものを信じてはいなかったんだ。
    ・・・・
    生きるということは何のためなのか。
    思想のためなのか。人類のためなのか。自分のためなのか。
    僕は 思想も人類も自分も信じない。
    地球が滅びようと、労働者の天下が来ようと、
    僕にとってそれが何だというのだ。
    僕の身体が死んでしまえば、それで終わりだ、
    ・・・
    僕はただすべての人が平等でありたい、
    皆が幸福で

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    2013年03月10日
  • 古事記物語

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    ちゃんと読んでなかった古事記
    いまさらすぎるけど読んでみた。

    神様大杉
    名前むずかしすぎ
    天皇争いすぎ‥
    奥さんもらいすぎ!


    いなばのしろうさぎや
    結局お父さんに愛されなかったヤマトタケルや
    ヤマタノオロチの話や
    あまのいわととか
    くさなぎのつるぎとか
    うみさちやまさちとか

    なんとなく知ってた神話がずらり

    でもざっと読みすぎて頭に入ってないな‥

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    2013年03月03日