福永武彦のレビュー一覧
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美しい文章という噂を聞いて読んだ。
物語の中心にあるのは信仰(愛とか生死とか)。
サナトリウム(現在)の場面から始まり、汐見の日記を読む(前半は18歳の時の忍との恋。恋なのか?後半は24歳の時野千枝子との恋)構成。
特に後半の千枝子のパートは、ジッドの『狭き門』を思わせるほど、清くあろうとする姿勢が強く、読んでいてどこか既視感を覚えた。でも清くあろうとしているのは無神論者の汐見の方だと感じた。キリスト教を信仰している千枝子は千枝子で、汐見への思いに葛藤しながらも神を通した愛こそ普遍の愛であるとの意志を貫こうとする。こちらの方が人間的では?
読み進めると主人公の汐見は、自己憐憫に浸るエゴイス -
Posted by ブクログ
ネタバレ純文学。夏目漱石の「こころ」と似た構成。
冒頭は結核サナトリウムで同室の青年・汐見を亡くすシーン。主人公は無謀な手術を自分から依頼して命を落とした汐見を、ある種の自殺だと疑う。彼から渡されていた「のおと」を読むと、そこには生前手に入れられなかった二つの愛について書かれていた。
第一の手帳 弓道部の後輩男子・藤木への愛
第二の手帳 その妹・千枝子への愛
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耽美な情景描写と若い精神の迷走ぶりが延々と続き、自分の青春時代を思い出して心が乱された。
冒頭のサナトリウムでの汐見はかなり肝が座っていて素敵だと思ったけれど、手記で語られる性格はかなり自己中心的。藤木はまだ幼くて友だち以上を望まない -
Posted by ブクログ
『草の花』『海市』につづいて福永先生の作品を読むのは三冊目。
連作短編集で、父の語りに始まり娘二人、娘の知り合い、妻など家族それぞれの立場からそれぞれの悩みを描き、ラストはまた父の語り。語り手は変わるが物語は進行しています。
一読しただけでは語るのが難しくて、読後もなかなか感想を書けずにいたので、また再読したいとおもいますが、冒頭とラストの父の章が最も印象的でした。これ昭和39年に書かれたんですよね、始まり方が斬新でした。戦死した友人の雨天下の瞳の描写や、賽の河原を訪れる場面等々、福永先生ならではの美しい描写。
一言では語れないので、何度も読み込んで理解したい作品です。
個人的には『草の花