福永武彦のレビュー一覧
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ネタバレ純文学。夏目漱石の「こころ」と似た構成。
冒頭は結核サナトリウムで同室の青年・汐見を亡くすシーン。主人公は無謀な手術を自分から依頼して命を落とした汐見を、ある種の自殺だと疑う。彼から渡されていた「のおと」を読むと、そこには生前手に入れられなかった二つの愛について書かれていた。
第一の手帳 弓道部の後輩男子・藤木への愛
第二の手帳 その妹・千枝子への愛
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耽美な情景描写と若い精神の迷走ぶりが延々と続き、自分の青春時代を思い出して心が乱された。
冒頭のサナトリウムでの汐見はかなり肝が座っていて素敵だと思ったけれど、手記で語られる性格はかなり自己中心的。藤木はまだ幼くて友だち以上を望まない -
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『草の花』『海市』につづいて福永先生の作品を読むのは三冊目。
連作短編集で、父の語りに始まり娘二人、娘の知り合い、妻など家族それぞれの立場からそれぞれの悩みを描き、ラストはまた父の語り。語り手は変わるが物語は進行しています。
一読しただけでは語るのが難しくて、読後もなかなか感想を書けずにいたので、また再読したいとおもいますが、冒頭とラストの父の章が最も印象的でした。これ昭和39年に書かれたんですよね、始まり方が斬新でした。戦死した友人の雨天下の瞳の描写や、賽の河原を訪れる場面等々、福永先生ならではの美しい描写。
一言では語れないので、何度も読み込んで理解したい作品です。
個人的には『草の花 -
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『草の花』が好きすぎて、氏の他の作品も読んでみようと手にとった2作目。
文章がとにかく好きなので、蜃気楼を見に行く冒頭から世界観に浸らされて酔いました。
「私」こと画家の渋の視点で語られる一人称の合間に、「彼」「彼女」の三人称視点をはさむことによって、物語の全体像が少しずつ明らかになっていきます。『草の花』しか読んだことがなかったので、福永さんってわりと構成にこだわるんだな〜というのが新鮮でした。『草の花』のノートという構成もすごく好きですが。
さて、内容ですが。
安見子さんと接近してからは、やたらとホテルでいちゃこく渋さん‥‥‥。彼の悩ましい語り口と、そのいちゃこきっぷりのギャップに「うー -
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美しい筆運び、とぎすまされたみずみずしい感性の文章がいい。特に「第一の手帳」が好きだ。青春の輝き、うつろいをかくも美しく書けたらいいなーと思わされた。三島由紀夫もその美少年「藤木忍」にいたく魅せられたと書いている。
サナトリウムで知りあった主人公汐見茂思(しおみしげし)は、無謀とも思える手術を進んで受け死んでしまった。雪の朝、語り手に残された手記を読んでいくと、戦争の影におびえる青春の悲劇があり、孤独な一人の青年の魂の鎮魂歌がせつせつと語ってあった。
『生きるということは、その人間の固有の表現だからね。』
『思い出すことは生きることなのだ。』
芸術家は作品を残すことによって未来を持つかも