福永武彦のレビュー一覧

  • 死の島(上)

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    福永武彦のいちばんの名作と紹介されて、読みました。
    いくつものテーマと、いくつもの時空と
    死とか愛とかのテーマの下に、最も大きく広がる原爆。そして全体の根底を流れる、うすくて広いまた他のテーマと…
    とても複雑だけれどこの形で描くことのできる福永武彦はやっぱりすごい。
    何度も読み返してもっと考えなくてはいけないと思っています。

    こんな素晴らしい本が絶版というのはもったいなさすぎる。
    もっと多くのひとに読んでもらいたいです。

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    2013年05月05日
  • 廃市・飛ぶ男

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    長いこと読み終え無いまま放置していた小説をようやく読み終えた。
    感動するくらい日本語が綺麗。久々に有機的な物語を読んだ気がして、昂ぶるものがあります。
    福永武彦の小説はこれが初めてだったのですが、もっと読みたいですね!

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    2013年04月27日
  • ゴーギャンの世界

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    ゴーギャン関連の本をいくつか読んだが、この本がもっともすぐれた内容だった。ゴーギャンの心理にわけいり、深い考察を繰り広げる。福永武彦らしい、リリカルな表現のつみかさねで、ゴーギャンの謎に迫っていく。また読み返した一冊だ。

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    2012年06月11日
  • 古事記物語

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    古事記入門に最適。

    わかりやすく平易な言葉で書かれていて、大人が読んでも楽しめる文章。

    猪瀬直樹さんが「言葉の力」の中でおすすめしていたので読んでみたが、古事記の原文に挑む前に出会えてよかった。

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    2012年04月10日
  • 忘却の河

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    ストーリーだけの小説なんて読み返したくなるわけないですが、 この本は、人生であと4回は読み返したくなるでしょう。 思想がいい。哲学がいい。表現がいい。切り込み方がいい。

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    2012年11月18日
  • 現代語訳 古事記

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    大人になって読むと「古事記」はとんでもない本だとしみじみ…
    ギリシャ神話の神様もひどいけど日本の神様もけっこう酷すぎ。
    神様の名前片仮名が多すぎてわけわからなくなったので、さらに本買ってこようと思います。

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    2012年03月02日
  • 忘却の河

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    家族という集団の中で暮らしていながらも一人一人が単独の問題を抱えた存在でありその一人一人の物語が見事に絡み合ってひとつの救いの絵となりカタルシスを呼び起こしている。これほど重いテーマを面白いお話で読ませる手腕はさすがとしか。とにかく愛するものを失ったことに対する喪失感とそれに密接に結びついた罪の意識の描き込みが半端じゃない。何度も涙しつつも一気に読んでしまった。

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    2011年12月01日
  • 草の花

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    孤独な二人、僕と藤木。孤独が故に藤木を求めた僕。孤独が故に僕を拒んだ藤木。愛を知ることもなく、決められた道をしか歩けず、そして君は一人きりで死んでいった。愛がなにかを知ることもなく...
    人間は儚い。人間は拙い。人間は悲しい。人間は寂しい。だけど、だからこそ、人間は美しい。

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    2020年09月01日
  • 忘却の河

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    あまりにも好きすぎて、読んでいる途中は一生読み終わらなければいいと思った。そのくらい小説世界に没頭し、心酔した。そんな小説。
    福永武彦本人の人生観であるか、はたまた完璧なフィクションであるかは分かりませんが、全ての登場人物が抱えるそれぞれの孤独に共感する。愛の挫折ゆえに魂が死んでしまった人間が苦しむ様子はまるで作者自身の人生がそうであったかのように思わせる何かがあって、怖くなった。
    お涙頂戴でも何でもないのに、涙がこぼれる。こんな読書体験、はじめて。ありがとう。

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    2011年08月24日
  • 忘却の河

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    『草の花』が有名ですが、私はこちらの作品の方がすきです。
    とても古い本だし、時代背景もうんと昔なのですが、共感するところがたくさんあります。男性作家なのに、女性の感情がここまで表現できる人は最近みかけません。もの静かな文面なのに心が揺さぶられます。間違いなく私の好きな本ベスト10に入ります。
    廃盤になった本もゼヒ読んでみたい、、、。

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    2011年08月09日
  • 忘却の河

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    すばらしい。
    今自分の家族のコミュニケーションに疑問を持っている人に薦めたい。
    最近読んだ小説では文句なしのクラシック。
    本当にすばらしい。
    福永さんのほかの作品も読みたくなった。

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    2011年04月26日
  • 忘却の河

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    私の生涯ベストと言って憚らない小説です。
    ストーリー展開,文章,どれも文句のつけようがありません。
    何度読んでも涙が出ます。
    ずっと絶版でしたが,文庫版が復刊されて,大変嬉しいです。

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    2011年03月21日
  • 忘却の河

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    静かで端正な文章が美しい。父親の、現代と過去の交錯する描写が秀逸です。意外にもハッピーエンド……(と私は思った)。一章の冒頭に引用されたギリシャ神話辞典の言葉「レーテー」の説明文から引き込まれる。あと、福永武彦と池澤夏樹って親子だったんだ……。

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    2010年11月24日
  • 忘却の河

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    本文の一部が、いつぞやのセンター試験(本試験か追試かは忘れた)で使われてた。
    戦後まもない時代の、とある家族の物語。
    ある章では父の視点、別の章では娘の視点というように
    それぞれの章が家族の中の一人の視点から描かれている。
    このタイミングで読んで良かったなあと思えた本だった。
    10代の頃ってまだ家族と一緒に暮らしているのもあるし、精神的にも未熟だからあまり自分の家族を客観的に捉えて、考えることってできないけど、
    一人暮らしを初めてあと数年後にはもしかしたら自分も家族とかもつかもしれないんだよなあとか思うようになると、家族を扱った小説が割とリアルに感じられるようになる。
    読んでて思ったのは、家族

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    2010年11月13日
  • 現代語訳 古事記

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    日本最古の典籍から、どうやって日本が誕生したのか、建国の由来、今や当たり前の土地の名前、そして、神々の誕生の由来などが知れて非常に奥深い。 現代人が忘れてはならない大事なテーマが間違いなくここにあると感じました。

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    2010年10月25日
  • 死の島(上)

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    ◆ 過去と終わりに向かって 男は旅立った ◆

    分厚い二冊を一挙に読んだ。
    一昼夜の 特別な体験だった。

    男が列車に乗って広島まで行く。それだけの話。
    ヒロシマはシノシマでもある。原爆がからんでいる。
    時空が分解され渦巻くように集約していく。

    三人の登場人物 相馬鼎、萌木素子、相見綾子の名前は 実在の人物以上に ぼくの中に残った。

    日本文学最良の財産のひとつ。

    持ってる本の数だけ読んだ作品。
    というか、出たすべてを購入してると思う。

    この文庫は、まだ出てるんやろか?
    もともと河出書房新社の普及版で読みました(これには時刻表とカレンダーが栞としてついていた)。
    感動のあまり、発作的に古

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    2011年02月09日
  • 忘却の河

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     ある家族の肖像を、家族の一人ひとりの視点から描いた、連作短編集。戦時に友を死なせ、もっとさかのぼればごく幼い頃に生まれてきたことを否定されて、己の生きる意味を見出せないまま、亡霊のように生きてきた父親。その夫との間に愛を築きあげることができず、かつて生まれたばかりで死なせてしまった息子のことを嘆き続けて、病み衰えている母親。晩生な長女と進歩的な妹、二人の娘たちのそれぞれの恋愛……
     それぞれの独立した短編を続けて読むと、大きなひとつの長編になっている形式です。

     重厚。ひとつひとつの短編が非常に重く、しかし心の機微が丁寧に描かれていて、引き込まれて一気に読まずにはいられない力がありました。

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    2010年07月13日
  • 忘却の河

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    私にとって完璧な小説です。
    読んでいるときは本当に幸せだった。文体も構成も素晴らしい。


    中小企業の社長である父、寝たきりの妻、家事を行う長女、大学生の次女、長女に密かに心を向ける美術講師。
    5人の視点から語られる家族。

    彼らはそれぞれ心に孤独と秘密を抱える。
    なぜ自分は生きて親しい人たちは死んだのか、彼らの心はどこにあったのか、そして自分はどこに心を向けて生きていけばいいのだろう。

    互いにすれ違い分かり合えなくても、それでもふと気が付くこともある。
    そして家族は続く。

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    2015年06月05日
  • 忘却の河

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    初めて福永武彦を読んだ。
    この時代ならではの奥ゆかしい日本の家族が描かれていて美しい。

    中年の男、その長女と次女、そして病気で寝込んでいる妻の視点で章が展開される。

    中年の男が終盤の長女に対して言う台詞が好き。

    「私たちはそういうふうに躾られてきたのだ。それに私は自分の感情を殺すことも覚えていた。それでもどうにもならない時がある。心の中が溢れて来て抑えることの出来ない時がある。私にしたってお前が可愛くないわけではなかった。そういう時に私はこっそりお前のそばへ行って、小さな声でこの子守唄を歌ったものだ」【332頁】

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    2010年03月17日
  • 現代語訳 日本書紀

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    古事記を読んだら次はこれ。間違い探しっていうより、微妙に表現が違うのが、かえって想像力を豊かにします。

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    2010年01月22日