塩原通緒のレビュー一覧
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ネタバレ「あーこれこれ、これが言いたかった」が詰まった一冊。
どんなものでもいいけど、データから何かモデルを作ったことがある人なら納得できる内容よねー。
データを用いてモデルを作ろうとする時点で、ある種の論理/倫理/バイアスに縛られている。というより、まずはモデルありきなんだろうなぁ。仮説を立てて、データを集めて、正しい結果が得られるかどうか確認する。(いわゆるPDCAサイクルというやつだ)
それが選べる中で最良である手段なのはわかるけど、一方で最初に立てた仮説が軸になってしまう。そのモデルが過去の現象を上手く説明できてしまえば修正する必要もない。
『ブラック・スワン』のタレブが「過去50年間で、 -
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チョムスキー帝国を瓦解に導く強力な一撃。キーワードは、ジェスチャーゲーム、即興、ボトルネック、チャンキング。なにも難しい概念ではない。これらをもとに、人間の言語に関してまったく新しい視点が提供される。
人間どうしの意思疎通の基本は身振りや音声を用いた即興的なジェスチャーゲーム。クリスチャンセンとチェイターはそう主張する。そのゲームが何度も繰り返されて様式化し(簡素なものへと変化し)、多数の人々の間で共有されれば、それが言語になる。世界に何千という言語があるのも、それぞれの人間集団が即興的なやりとりのなかでそれぞれの言語を生み出し、受け継いできたからだ。
読みどころは4章と5章。チョムスキーのい -
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第二次世界大戦後、アメリカは豊かだった。1950年代。
これはよく聞く話。
技術革新がなされ、それが労働者にも反映された、古き良き時代。
しかしそれが続かなかった。
機械化がどんどん進み、労働者は隅に追いやられた。切られた。
必然的に労働分配率は下がる。
理屈は分かる。それだけ設備投資に金が要るのだ。その金が利益を生む。
。。ここでまた、ミルトン・フリードマンが登場する。
企業は利益と配当だけ考えればいいと。フリードマン・ドクトリンと。
悪のように書かれる。フリードマン信者としては心外だな。
フリードマンは再配分を疑ってかかってる。私も同じ。うまくできるはずがない。
必ず恣意的なものになる。権 -
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タイトルから少し重たい本かな?と思い、ついつい積読をしていたのだが、読み始めると止まらず一気に読んでしまった。言語という文化への視野が増えたように思える。
単語の意味を覚えたり理解するのではなく、如何にチャンク(かたまり)で前後と共に覚え、互いの背景、フィールドを理解してコミュニケーションをするのか。単語の意味に囚われていた私にとって、考え方を180度変えてくれた。
AIの大規模言語モデルも、AIに一つ一つの単語の意味を教え込むのではなく、その文脈の確率を覚えさせているのだと言う。例えば「空」という単語の前に付く形容詞は「青い」が多く、「黄色い」が少ないように。そうやって、文脈の単語間の -
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四騎士として戦争、革命、崩壊、疫病を挙げ歴史上それらが不平等の解消にどれくらい寄与したのかが細かいデータに基づいて述べられている。
結論から言うと暴力を伴わない富の再配分は効果が薄く、累進課税制をはじめとした平和的な制度によるアプローチは論外でフランス革命や共産主義革命ですら効果は限定的だったという救いのない考察。個人的にはベターな選択肢として第三次世界大戦が始まるよりも格差のある平和な世界を望んでしまう。
Chaos isn't a pit.Chaos is a ladder.
読みながら「ゲームオブスローンズ」リトルフィンガーの言葉を思い出した。
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ネタバレコミュニケーションについて興味、関心があれば読むべき本。認知科学者二人による。事例による例示が多い。
私自身の興味分野でもあり、かつ、かなりの分量、結論→説明の順でない、などの体裁により読むのには一苦労。1日かかってしまった。
ヴィトゲンシュタインな哲学論考、言語ゲーム。コミュニケーションの基本となるジェスチャーゲーム。ノーム・チョムスキーの生成構文。などが本書のキーワード。
本書における筆者の主張。そのひとつが言語に正解はないということ。また、法則があるようで実は例外もたくさんあるということ。生活や文化的な背景によりその言語の利用が制限されてしまうということ。
言語に対する絶対視。正解を求め -
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普遍文法への真っ向勝負。
言語は文化的な産物なのだという主張は、近年の言語生得説に対する見方とは違う観点を学ばせてもらいました。
最後のAIへの知見は、シンギュラリティ到達に戦々恐々としている私としては安心材料の補強になりました。ChatGPTが世間を賑わせていますが、無数のデータの蓄積を統計的に紡ぎ合わせているだけで人間的な相互関係を加味したやり取りにはまだ至っていないのだという。でも、ニューラルネットワークの底力はムンムン感じますよね。
後は、「3000万語の格差」についての言及で、子どもに単に単語数を稼いで浴びせまくるのではなく、家族との会話に引き入れて相互作用を組み入れることが肝 -
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ダークマターと彗星と恐竜、これらは(本文中で著者も語っているが)、自分の中の5歳児の心を魅了する。もちろん私も大好きなテーマだ。加えて、リサ・ランドール博士の著書は読んでいて楽しい。「ワープする宇宙」を読んだ時も、物理の楽しさを味わった(内容は難しかったけど)。本書は難しい理論も数式も出てこない。でも宇宙の構成から恐竜まで見事に解説する。しかもランドール博士が提唱するDDDM理論は、私の中の5歳児の心をくすぐる。銀河の中に薄いダークマターの円盤が存在することで、定期的な生物大量絶滅を説明できることにワクワクした。科学書だけど、読んでいて面白い。ランドール博士の筆力と翻訳者の実力に脱帽だ。
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・600万年前、Last Common Ancester (LCA)から人類の祖先(サヘラントロプス・チャデンシス、アルディピテクス)とチンパンジーが分かれる。人類の祖先は果実食だったが、気候変動に伴い二足歩行で省エネしつつ、遠くまで食べ物を探しに行くようになった。また、栄養的により粗悪な食べ物である葉、茎も食べなければならず臼歯が発達した。
・400~100万年前にアウストラロピテクスが出現。イモ類を掘って食べる。
・190万年前、ホモ・エレクトスが出現。よりカロリーが高くミネラルも豊富に含む肉を食べる。
・旧ホモ属(ホモ・ハイデルベルゲンシス、ホモ・フロレシエンシス、ホモ・ネアンデルターレ