【感想・ネタバレ】数理モデルはなぜ現実世界を語れないのか 社会的な視点から科学的予測を考えるのレビュー

あらすじ

すべてが仮説どおりに動く、現実世界とは乖離した「モデルランド」から、私たちは抜け出すことができるのか?

現実世界で起こるさまざまな現象を数式であらわす「数理モデル」。
複雑な世界を理解して意思決定をするために、いまや欠かせない重要なツールだ。
だが、モデルは現実をそっくりそのまま映し出すことはできない。
もしモデルを構築するときに、バイアスがかかったり、社会的な要素が考慮されていなかったら?

どうすれば数理モデルを不確実な現実世界で正しく役立てることができるのか?
感染症のパンデミックや金融リスク管理、気候変動の予測など、数理モデルが使用された実例を提示しながら、
数理モデルに潜む本質的な問題と危険性を検討する。
人々が正しい未来に向かうために、文化や価値観、偏見といった社会・政治的な問題として
数理モデルを根本から問い直す画期的な論考。

◆ ◆ ◆
モデルがいかに頻繁に誤用されているか、いかに使用されるべきかを論じる素晴らしい本。
──ジョン・ケイ(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス客員教授、『金融に未来はあるか』著者)

数理モデルが世界をどう方向づけるかを示す明快で説得力のあるガイド。数理モデルをよく知らない消費者から洗練されたモデルユーザーになる方法を教えてくれる。
──スティアン・ウェストレイク(王立統計協会最高責任者、『無形資産経済 見えてきた5つの壁』共著者)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「あーこれこれ、これが言いたかった」が詰まった一冊。
どんなものでもいいけど、データから何かモデルを作ったことがある人なら納得できる内容よねー。

データを用いてモデルを作ろうとする時点で、ある種の論理/倫理/バイアスに縛られている。というより、まずはモデルありきなんだろうなぁ。仮説を立てて、データを集めて、正しい結果が得られるかどうか確認する。(いわゆるPDCAサイクルというやつだ)
それが選べる中で最良である手段なのはわかるけど、一方で最初に立てた仮説が軸になってしまう。そのモデルが過去の現象を上手く説明できてしまえば修正する必要もない。

『ブラック・スワン』のタレブが「過去50年間で、金融市場における10日間ほどの“極端な日”がトータルのリターンの半分を占めている」と語っていたけど、たぶんこれがモデルとリアルの乖離を何よりも示した一文なんだろう。
モデルはモデルでしかないが、それに寄りかからなくては回せない社会という構造の危うさ。(というよりこれは人の「予測」から来る本能的な動きだと思うけど)
正直この問題点は筆者もうまく回答できておらず、「ロバスト性を持たせる」というのも現実的じゃない気がするなぁ。
まぁここらへんは、モデルを作る人間が責任を持ち、モデルを使用する私たちは客観性を念頭に置くしかないんだけども。

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

数理モデル化と現実世界とのギャップ、そこへの向き合い方的な話で良い。なんとなく感じていたことが丁寧に論証されていく感じ。
良いのだけれどこの本を読みたいと思う人には多分当たり前のことが書いてあり、読まない人にこそきちんと把握して欲しい内容なのでなんだかなあと思ったり

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2025年09月18日

Posted by ブクログ

原題は『Escape from Model Land : How Mathematical Models Can Lead Us Astray and What We Can Do about It』であり、How を Why を使って訳してしまうというかなりよくあるタイプのミスリーディングをタイトルの時点で含んでいる。

本書では著者の専門であるらしい気候や金融といった大規模で複雑なシステムに対するモデルについて言及する。しかし、そのモデルの元となるはずの数理的なモデルについての言及はない。
感染症予防といった予測もコントロールも難しい問題への漠然とした不安感のようなものに共感を示してくれるような内容ではあるが、厳密さはない。

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2025年11月29日

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