塩原通緒のレビュー一覧

  • 人体六〇〇万年史 下──科学が明かす進化・健康・疾病

    Posted by ブクログ

    本文だけで上下巻合わせて500ページを超える大作だが、著者の言うように、これでもまだ事象の表面をなぞっただけ、もっと深いところまで考察を進めたものを読みたくなる、そんな総論だ。
    非常に壮大なテーマを高く掲げ、網羅的かつ論理的に、それでいて平易な言葉で分かりやすく見解を説いているという点では、ジャレド・ダイアモンド氏の「銃・病原菌・鉄」にも匹敵するようなスケールのノンフィクションといってもいいのではないだろうか。
    和訳者がいい仕事をしているというのも同じく。
    ベアフットランニングやパレオダイエットなどに代表されるように、現代の科学技術や文明の利器による恩恵を受ける前のあるべき人間の姿に戻ろう、と

    0
    2015年12月26日
  • 人体六〇〇万年史 上──科学が明かす進化・健康・疾病

    Posted by ブクログ

    本文だけで上下巻合わせて500ページを超える大作だが、著者の言うように、これでもまだ事象の表面をなぞっただけ、もっと深いところまで考察を進めたものを読みたくなる、そんな総論だ。
    非常に壮大なテーマを高く掲げ、網羅的かつ論理的に、それでいて平易な言葉で分かりやすく見解を説いているという点では、ジャレド・ダイアモンド氏の「銃・病原菌・鉄」にも匹敵するようなスケールのノンフィクションといってもいいのではないだろうか。
    和訳者がいい仕事をしているというのも同じく。
    ベアフットランニングやパレオダイエットなどに代表されるように、現代の科学技術や文明の利器による恩恵を受ける前のあるべき人間の姿に戻ろう、と

    0
    2015年12月26日
  • 人体六〇〇万年史 上──科学が明かす進化・健康・疾病

    Posted by ブクログ

    少しくどい気がするが、面白い。自分の体をこんな風に考えたことがない。
    脳みそは全く大きくなっていない。

    0
    2015年11月15日
  • 世界最高の辞典を作った名もなき人びと

    Posted by ブクログ

    大英帝国が国家の威信をかけた「オックスフォード英語大辞典」
    その礎は一握りのエリート(白人男性)ではなく、辞書作りに情熱を注いだポルノ収集家、殺人者、女性参政権論者など約3000人もの名もなき協力者の献身により築かれていた

    0
    2025年12月05日
  • 技術革新と不平等の1000年史 下

    Posted by ブクログ

    面白かった。が、本当にそうなのかなという思いが拭えない。20世紀の一時期だけ経済成長と労働分配率が同時に上がっただけで、本来的にテクノロジーの進化の利益は投資できる資本家のものじゃないのだろうか。人類は経済活動に倫理観を取り込んできたのだと思うが、その蓄積が20世紀の一時期に社会福祉に向かったものの、その後、新自由主義の価値観に揺り戻されただけな気がする。テクノロジーの使い方や分配方法は選べなくて、そのときの価値観が支配的。戦争とか暴動とか災害とか発見とか、何か契機があってガラっと価値観が変わる、その動態という感覚。倫理観、社会やコミュニティへの信頼が大事。あとパワーバランスは柄谷行人を読まな

    0
    2025年03月20日
  • 技術革新と不平等の1000年史 上

    Posted by ブクログ

    イノベーションは労働者の平均賃金を上げる、労働者の生活水準も上げる、などが起こるには条件があるという話。言われるまでもない気がするが、どんな条件かが気になる。結局は資本家が力を増すようなものは労働者を貧しくするということのよう。しかし、1800年代後半になるまで労働者はずっと搾取されてきたのがわかり、かわいそうになる。人は時間をかけて道徳的になったのだな。下巻は現代また搾取が始まっている話らしい。気になる。

    0
    2025年03月08日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    Posted by ブクログ

    20世紀における不平等を解消した方法は、戦争・革命・崩壊・疫病だった。今世紀もいまだ不平等はなくなっていない。その解決策は紹介だけにとどまっているいるけれども、この実態を知ることができたことは実に有意義だった。

    0
    2024年12月20日
  • 技術革新と不平等の1000年史 下

    Posted by ブクログ

    少し難しい内容でした。
    上巻で人類の歴史上、技術革新が起きたら特権階級の人が富を得る、労働者階級の人は今まで以上の成果を同じ時間で求められるようになった。という内容だったと思います。
    下巻では、自動車工場等で労働者が集まり、労働組合を設立したことで、対抗策を作り技術向上に伴う利益の分配を求めることが出来た。
    このことから、技術革新の恩恵を分配する仕組みが格差を縮める方法であると予想される。
    ここ最近の技術革新とされる人工知能(AI)にも同じことが言える。この技術が特権階級に有利に働く事になれば、富の格差は広がってしまうだろう。
    このAIの技術は会社の経営者と労働者の話ではなく、国家と国民の規模

    0
    2024年12月01日
  • 引き算思考 「減らす」「削る」「やめる」がブレイクスルーを起こす

    Posted by ブクログ

    著者が強調するほど目新しい考え方とは思えない。制度や法律など「引き算」をすべきところが多いのは事実だが。気候変動への対応はあまり説得力がない。著者の息子の事例が多いのは(小さい子がかわいいのはわかるが)スタイルとしては好きではない。実人生には「こんまり」のほうが有用な気がする。


    SUBTRACT The Untapped Science of Less

    【目次】
    序章 別の変化のありかた

    第1部 世界にあふれる足し算

    第1章 引き算の見落とし――レゴから実験室へ、そしてさらにその先へ
    第2章 足し算本能――「モア」の生物学的背景
    第3章 神殿と都市――足し算が文明を生み、文明が足し算

    0
    2024年10月11日
  • 言語はこうして生まれる―「即興する脳」とジェスチャーゲーム―

    Posted by ブクログ

    言語がなぜ単純化されるのか?複雑性を回避する言語の動態にすごく納得。残る謎(いや残る謎だらけではあるんだけど)としてオノマトペが存在する言語、存在しない言語の、言語の習得過程について知りたい。

    0
    2024年09月02日
  • 技術革新と不平等の1000年史 下

    Posted by ブクログ

    技術革新は必ずしも人間を幸せにしないし、バンドワゴン効果も限られるし、トリクルダウンも起こらないという仮説を、いろいろな事例から検証したもの。過去に、全体が豊かになった時には「社会運動」「社会の連帯」が起こり、方向性が正されていた。今の時代、SNSなどで連携はし易い一方で、ヘイトなども起こりやすくなっているし、ネット遮断や監視に走る国家もあり、過去の事例は期待できそうもない。これは気をつけておかないと。

    0
    2024年09月01日
  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

    購入済み

    悲観的絶望的な記述

    長大な著書であり 膨大な実例を挙げて不平等.格差の変化の実情 原因について論じている。かなりの箇所で同じエピソードの繰り返しがあり「冗長」との印象を抱いた。
    しかし、印象に残る箇所 感銘を受けた箇所も数多くあった。例えば下記のような文章である。

    歴史的に見れば、格差の是正 平等化には黙示録の四騎士黙示録の四騎士(戦争 革命 崩壊 疫病)による大惨事が必要であった。黙示録の四騎士のうち平等化に一番貢献したのは一番多くの割合の人を殺した「疫病」である。労働者が減ると労賃が上昇し、格差が解消してゆく。
    現在の日本の労働者減も、移民による労働力補充などをしないと労働力不足による賃金向上が実現でき、格

    0
    2024年08月08日
  • 技術革新と不平等の1000年史 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    経済学の大御所であるダロン・アセモグル氏が、「技術革新」といったまさに現在タイムリーな論点について本を執筆してくれるのは本当にありがたい。

    上巻では「技術革新」というテーマについて、主に労働市場の観点から議論が展開される。押さえておくべき論点は、生産性バンドワゴンが機能するための2つの前提条件であろう。1つ目は、「労働者の限界生産性の向上」で、2つ目は、「労働者の交渉力」である。上巻では、これらの条件が歴史を通じて満たされてきたのか否かについて、歴史的エピソードを用いながら検討していく。

    0
    2024年08月03日
  • 人体六〇〇万年史 上──科学が明かす進化・健康・疾病

    Posted by ブクログ

    上下巻読んで評価が難しい。上巻は面白かったと思う。類人猿からホモ・サピエンスまでの進化を時系列でまとめつつ、それぞれの特徴がわかりやすく解説している。ホモ・サピエンスとはなんなのか。狩猟時代から農耕時代への移管など、忘れかけているが、ジャレド・ダイアモンド「サピエンス全史」に近いのかもしれないが、サピエンス全史の方が新しかった。しかし下巻になると主にディスエボリューション、ミスマッチといった言葉で、糖尿病などの病気に焦点がうつる。人類は現代社会に主としてまだ適合できていないため現代病にかかってしまう。そうなのかもしれないが、私の興味フレームからは飛び出てしまい、飛ばし読みしてしまった。

    0
    2024年01月15日
  • 言語はこうして生まれる―「即興する脳」とジェスチャーゲーム―

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    言語をジェスチャーゲーム、つまりその場その場の約束事の積み重ねとして捉える視点は大層面白く、説得力も十分あった。「正しい言葉」を求めてやまなかった人々の話も身につまされる。
    また3.0のころではあるが、ChatGPTが引き合いに出され、AIが言語の背景をまるで理解していないことが示されるくだりはなるほどを膝を打った。

    0
    2023年12月18日
  • 言語はこうして生まれる―「即興する脳」とジェスチャーゲーム―

    Posted by ブクログ

    ジェスチャーゲームというシンプルかつ驚きの内容で言語が生まれた理由、子どもが言葉を覚える方法を説明しており直感的に納得できる。言語間や動物との対比も面白く一気に読めた。

    0
    2022年12月07日
  • ダークマターと恐竜絶滅 新理論で宇宙の謎に迫る

    Posted by ブクログ

    なんとも心惹かれるタイトルではないか。
    恐竜絶滅はチクシュルーブ・クレーターをつくった隕石によるものだ、ということになっているのが、なぜダークマター?
    まあ、風が吹けば桶屋が儲かる、とかバタフライエフェクトのような気もしないでもないが、太陽系外のオールト雲にある小さな天体がダークマターによって影響を受けて軌道を変え、地球にむかってきたのでは、という説を、科学的に、そして結構わかりやすく説明している。
    太陽系は天の川銀河を約2億4000万年で一周しており、その間、銀河平面を上下に移動する、という動きがポイント。銀河平面にはダークマターが集まっており、普通の物質とダークマターによる二つのディスク、

    0
    2022年10月09日
  • 疫病の世界史(下)――消耗病・植民地・グローバリゼーション

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    p.183 マラリア
    マラリアは、人間と環境との結びつき、人間と人間との結びつきを含めた全体を、最も色濃く反映した感染症なのである。運動の当事者たちは、その結論に基づいて、貧困、環境悪化、栄養不良、貧しい住環境、非識字、無知、難病の発生、不適切な濃厚など、これら全てがマラリアの要因なのだと主張した。最初の特効薬としてキニーネが無料で配布されたのも、住宅環境や住宅事情や賃金や識字率の向上、十分な栄養、国の道徳的な関与を背景にしてのことだった。これらの要因は、キニーネそのものと同じ位重要な抗マラリア剤だった。マラリアは、強力な科学技術的ツールの適用とともに減少したが、社会主義が広まるにつれても減少

    0
    2022年06月19日
  • 疫病の世界史(上)――黒死病・ナポレオン戦争・顕微鏡

    Posted by ブクログ

    ・ウイルスvs微生物
    微生物は微小な生物を差す一般的な言葉で、ペスト菌などの最近と天然痘ウイルスなどのウイルスの両方が含まれる。最近は単細胞生物であり、疑問の寄りなく生命体である。DNAがあり、その情報を読み取って複製に必要なタンパク質を作るために不可欠な細胞の仕組みをすべて備えている。ウイルスは最近とは全く違うものだが、最近の1/10~1/500の大きさしかなく、フィルターを通過し、宿主に規制する美声粒子である微生物をさして使うことにする。ウイルスの存在は簡にして要を得た科学実験によって1903年までに確実になったが、実際に観察されたのは電子顕微鏡が発明された1930年代、そして生物学的な機

    0
    2022年06月19日
  • 疫病の世界史(上)――黒死病・ナポレオン戦争・顕微鏡

    Posted by ブクログ

    「ワクチン接種は激しい論争を巻き起こした。国家による侵害だと考える自由論者、神の定めた秩序に反すると訴える宗教観、科学と科学が及ぼすかもしれない危険への何とは無しの不安が波のように押し寄せ、反対論は絶頂に達した。」
    『疫病の世界史 上』p.159。
    天然痘ワクチンに対する反応の描写。

    0
    2022年03月06日