塩原通緒のレビュー一覧

  • 暴力と不平等の人類史―戦争・革命・崩壊・疫病

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    平等だった人間の狩猟採集社会は、農耕・牧畜で余剰生産と蓄積が可能になったことで、不平等化した。社会のしくみはレントとして不平等を維持・増加させる。過去、不平等を大きく減らしたのは、近代の戦争・革命や社会の崩壊・疫病、大きな厄災なしに起きたことはない。

    如何に富を増やすかというテーマの本ばかり読んできたので、いかに不平等を減らすかという視点が新鮮でした。というか、いかに世の中、不平等に向けて染まっているか、ということを再認識しました。

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    2019年07月22日
  • 人体六〇〇万年史 下──科学が明かす進化・健康・疾病

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    後半は人類進化を踏まえた人間の健康に関する内容。

    中東では、新石器時代が始まってから身長が4cmほど高くなったが、7500年前から低くなり始めた。中国や日本でも、稲作が発達するにつれて8cm低くなり、メソアメリカでも農業が確立するにつれて5.5~8cm低くなった。感染症との闘い、断続的に起こる食料不足、長時間の農作業にエネルギーを費やしていたためと考えられる。ヨーロッパ人の身長は、1950年頃になって旧石器時代のレベルに戻り、その後上回るようになった。

    狩猟採集民の標準的な栄養量は、炭水化物35~40%(日本人の摂取基準50~65%)、脂肪20~35%(同20~30%)、タンパク質15~3

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    2019年03月16日
  • 人体六〇〇万年史 上──科学が明かす進化・健康・疾病

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    人類のこの1万年の文化的進歩、狩猟採集、農業、産業革命に体がついていっていないためのミスマッチを明らかにする。上巻ではその前提のどういう環境に初期人類から適合し、ホモサピエンスだけが残ったかを考える。
    近視、虫歯、腰痛、がん、心臓疾患、アレルギー、糖尿病、親不知はミスマッチ病であり現代では対処療法により自然選択を妨げない形で対応されておりこれからも特に新興国の経済成長とともに増えるだろう。これら快適とのトレードオフを防ぐ方が対処療法より経済合理的であるが予算は割かれていない。
    昔に戻る必要はないが、運動とバランスのとれた食事は重要である。

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    2016年04月23日
  • 人体六〇〇万年史 下──科学が明かす進化・健康・疾病

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    農業と産業が人を不幸にしたという第2部、環境が変化するスピードにあわせて人体の仕組みを変えられないことから病を得るのだという第3部。たしかにとは思うが、第一部に比べて平凡という印象。

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    2016年04月02日
  • 人体六〇〇万年史 下──科学が明かす進化・健康・疾病

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    購入。

    下巻では農耕とはどのような生活かを人体に与えた影響から解説し、ミスマッチ病の説明をしている。

    一例として、人体は一日に数キロ移動することに適応しているから動かないことによる病が存在する、というような指摘を著者はしている。面白いのは、だからエレベーターなどの動かなくてすむような機械を使わないようにすべきだ、という提案を行わないことにある。
    著者の提案は万全だと思えないが、人がどのような存在かを理解する際にはよい内容だと思う。

    現代が病気への対処は行うが予防には全然お金をかけていないという指摘があったのは嬉しかった。

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    2016年01月19日
  • 人体六〇〇万年史 上──科学が明かす進化・健康・疾病

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    上巻では、ヒトがどのように進化してきたかを解説している。扱っている範囲は類人猿のあたりから旧石器時代までだった。最後の章でミスマッチ病の簡単な説明をして、下巻への橋渡しとしている。

    現代の社会にヒトの身体は適応できているのか、という疑問に答えてくれると信じて下巻を読み進める。

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    2015年12月27日
  • 人体六〇〇万年史 上──科学が明かす進化・健康・疾病

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    上巻の約8割は、サルから新人類に至るまでの進化の過程、とくに身体的特徴について焦点をあてて説明されている。
    サル→原人→旧人→新人という過程の中で、身体的にどこが変わったのか、そしてその進化は自然淘汰上、何に優れていたのか。
    知っている人にはかなり退屈かもしれない。

    上巻の最後の2割は下巻のイントロである。それがサブタイトルにもなっているように、健康と疾病である。
    新人類が登場して数千年がたつが、そこから劇的な身体的な特徴の変化はなくなっている(ように見える)。
    細かく見ると、身長や皮膚の色などは地域ごとに差が出ており、自然淘汰の結果だそうだ。

    しかしその代わりに、文化的な側面で劇的な変化

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    2015年12月21日
  • 人体六〇〇万年史 上──科学が明かす進化・健康・疾病

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    生物的進化と文化的進化。人類は、長時間移動可能に、協力するように、獲物を分け合うように、よく噛めるように、脂肪をためるように、身体を使うように、進化してきた。

    狩猟採集民というと、現時代の未開地のイメージでしたが、人類の歴史にとってはむしろそれが長かったということが改めてわかりました。

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    2016年10月09日