土橋章宏のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
映画になっていることは知っていたけれど、脚本が原作とは知らなかった。
陸奥国湯長谷藩藩主内藤政醇が松平信祝の嫌がらせで5日で江戸まで参勤交代しなければならなくなった話。
とにかく読みやすい。テンポが良い。決断力もあって、みんな「無理だよ」なんて空気もなく(たぶんあっても将軍の命には逆らえないか)「なんとかやろう」という前向きな姿勢が読んでいて気持ちがいい。
参勤中に会うお咲さんが蓮っ葉だけど、根が優しい懐の深い女性で、タイミングよく嫁が離縁状書いてくれて良かったねとほっこりした。
雲隠段蔵さんに、相馬さん、家臣のみなさんは本当にお強い。八大将軍吉宗公の時代になっても腐らず鍛錬していたのもすごい。後半のドタバタ劇は一番の盛り上がりどころなので奇想天外で楽しめました。
悲しい別れもあったけれど、勧善懲悪の世界でスッキリと終わりました。
史実では正淳さん、31歳の若さで亡くなっているとのこと。この方がずっと治めていたらどんな未来があったのかな、と想像するのも楽しい。そんな一冊でした。 -
Posted by ブクログ
浅野内匠頭が吉良上野介に斬りつけて切腹、でも吉良は咎めもなく生きていた。その吉良を討つ、のが普通の忠臣蔵。
実は吉良が死んでいて、というのが本書。
とにかく浅野内匠頭も吉良もまあ嫌な殿様で、こりゃ両方とも死んだ方が良いわ。死んだのか、それはめでてえ!
とは、いえない。
残念ながら上の者がやらかすと、下の者が苦労する。あの馬鹿のために何で下の者がこんなに苦労させられるのか。腹立たしい。
実際のところ、上に立つ者がしっかりしていたら、赤穂浪士も仇討ちなど考えなかっただろう。
暗愚は浅野と吉良だけではない。その辺の示唆がとても面白くて好き。
上の者がダメなので、結局のところ、仇討ちはしなければならない。やりたくもないのに。
内蔵助の苦労が何とも前向きで、なるほどなー、と思った。
吉良の替え玉となった弟の人物像が、とてもとぼけた凡人で心和んだ。
読みやすいし、軽やかなお話なので、気分転換にちょっと読んで、楽しくてよかった。