土橋章宏のレビュー一覧
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浅野内匠頭が吉良上野介に斬りつけて切腹、でも吉良は咎めもなく生きていた。その吉良を討つ、のが普通の忠臣蔵。
実は吉良が死んでいて、というのが本書。
とにかく浅野内匠頭も吉良もまあ嫌な殿様で、こりゃ両方とも死んだ方が良いわ。死んだのか、それはめでてえ!
とは、いえない。
残念ながら上の者がやらかすと、下の者が苦労する。あの馬鹿のために何で下の者がこんなに苦労させられるのか。腹立たしい。
実際のところ、上に立つ者がしっかりしていたら、赤穂浪士も仇討ちなど考えなかっただろう。
暗愚は浅野と吉良だけではない。その辺の示唆がとても面白くて好き。
上の者がダメなので、結局のところ、仇討ちはしなければならな -
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「超高速!参勤交代」の作者が史実にある遠足(とおあし=マラソン)を題材にした痛快スポーツ時代小説。
独立した5編の話が、同じ遠足を舞台に繰り広げられる秀作です。特に第5章は読みながら思わず涙ぐんでしまいました。
作者:1969年、大阪府豊中市生まれ。関西大学工学部卒業。「超高速!参勤交代」で第三十七回城戸賞受賞。2013年に同作の小説『超高速!参勤交代』で作家デビュー。同名映画で第三十八回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。作品も第五十七回ブルーリボン賞に輝く。15年にはシリーズ二作目の『超高速!参勤交代 老中の逆襲』を刊行。同作は16年「超高速!参勤交代 リターンズ」として映画化された。 -
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映画化した「サムライマラソン」に、数々の疑問点が湧き上がり原作を読んで確かめることにしたのだけど、原作の方がはるかに面白く共感を覚えた。映画が外国人監督によって撮られているせいか、従来持つ「侍」のイメージが優先され、同著者による「超高速参勤交代」などに著される良さが消されていると思った。
日本のマラソン発祥とされる”安政の遠足(とおあしと読みます!)”を題材にして書かれ、全5篇の連作形式でそれぞれ遠足に参加した侍たちが描かれていた。出場したそれぞれの主人公たちは身分、年齢、人生観も違うが「遠足」に参加することで、他人より秀でたい、自分は特別でありたい考えを改め、平凡な日常の中にこそ幸福があると