土橋章宏のレビュー一覧
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購入済み
こんな風に生きてみたい。
還暦を迎えた実直な勘定方の武士である井戸平左衛門がかの有名な大岡忠相より石見銀山代官を引き受ける。江戸時代の還暦である。かなりの高齢者だと思うのだが代官となって切腹するまでの数年の間「領民の命を守る」という一途な想いで飢饉と戦っていく小説である。度重なる苦難と戦っていく平左衛門のバワーにはただただ頭が下がる。飢饉の対策として薩摩の国から「唐芋」を買い根付き領民の食糧となるのを平左衛門は見ることなく亡くなってしまうのである。「いも殿さま」と呼ばれその功績をたたえる碑が中国地方に500基以上にもなるという。碑は別にして平左衛門の生き方の爪の垢でも煎じて飲みたい人が多いのではないだろうか。
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ネタバレま た 綱 吉 か !
今まで何冊か時代小説読んだけど、綱吉の時代って本当大変だ。
とりあえず、物語を動かすにはもってこいの存在なのかもしれない(この何回にもわたる引っ越しは実話のようだけど)が、その時代の人にとっては迷惑で暮らしにくそう。
それから、戦国時代に衆道があったことは知っていたが、江戸時代も割と普通だったんだなぁ。
追記
映画も観た。
原作とヒロインの性格・属性がまるで違い別人で何だかなぁという感じ。
映像として派手にするために原作の良いところを削ってしまっている。
皿を投げるシーンで、せっかく厳選してきた逸品なのに笑いながら粗末に扱われてかわいそうで観ていて悲しかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ映画を見て疑問に思ったので読んでみた。
映画とまったく違う話、とまでは言わないが、小説版の方が面白い。
恐らく外国の人が見た侍の面白さは映画に入っているのだろうが
日本人が見て面白いと思う侍像は断然こちらだろう。
安中藩藩主の板倉勝明も素直に恰好良かった。
映画の主人公は隠密の唐沢だったが、小説ではそれよりも
伊助の話が印象に残った。
映画もこの話の筋書きで撮ってくれた方が楽しめた気がする。
リベンジで来年もやりたいという話から、じゃあ殿も参加してくださいね
というオチは微笑ましくてなかなか良かった。
読みやすい内容だと思う。
解説によると作者は脚本家がそれを小説に起こして小説家になるという -
Posted by ブクログ
安政の遠足とも呼ばれた日本のマラソン発祥の地。
黒船が来航した幕末の世。安政二年、安中藩主、板倉勝明は藩士の心身鍛錬を目的として安中城内より碓氷峠の熊野神社まで七里余りの中山道を走らさせた。
五篇の短編からなる一冊だが、それぞれ伏線となりラストへ繋がる。現代社会の暗部へアンチテーゼを配しながらも、暗くならず爽やかさが漂う。
世の中、性善説で成り立ってると信じたいものだな。
愚直に生き、善意の行いが必ずしも良き結果を招くわけではないのが人生の苦いところ。
色んな人がいるよね。そういう人間だっていると認めてやるという、ただそれだけのことが出来ない者が散見される。