國分功一郎のレビュー一覧

  • 手段からの解放―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    シリーズ前作に比べると、前半部は論考の形を取り後半部がそれを受けた講話という構成もあるが、内容自体もカント哲学の辺縁から嗜好や享受についての考察ということでなかなか骨の折れる内容。(JT関連との共同研究)
    言われてみると、嗜好品やアディクションへの考察が社会学や生理学的に説かれるものは目にしたが、それを哲学上の議論で目にかかることも少なく、込み入った話になりがちなのかもしれない。
    朱喜哲氏の連載に、似たような話があったような。

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    2025年08月23日
  • スピノザ 読む人の肖像

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    先日『はじめてのスピノザ 自由へのエチカ』をaudibleで聴いて、オーディオブックで受け止めるには限界があるなと感じていたのですが、性懲りもなくこちらもaudibleに出ていたので聴いてしまって、案の定難しかった笑
    スピノザ哲学のポイントを掴めた感じはまだまだしないので、その内紙版で読み直したいなと思うが、國分先生のガイドでスピノザという人物自体にも触れることでこれまでと少しイメージが変わる部分があった。特にスピノザの「神」についての理解や表現について、「神即自然」というスピノザの表現を微妙な時代状況の中でのレトリック的表現なのかなと捉えてしまっていたけれど、宗教的な側面を含めたスピノザの生

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    2025年08月18日
  • 中動態の世界―意志と責任の考古学―(新潮文庫)

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    能動態-受動態の対立する枠組みで物を考えることは現代人にとって至極当たり前のことに感じられる。しかしながら、歴史を遡ると言語にはより古いところに能動態-中動態という対立軸があった。
    能-受の対立に強く結びつく意志と責任の概念が、能-中の対立のもとで批判され、意志概念の不可能性が明らかになる。
    さらに、補遺では意志なき能-中的世界観の中における責任とは何かの論考が追加されており、論のさらなる進展が見られる。
    「暇と退屈の倫理学」と比較して言語的な分析が大半をしめており、ある程度言語哲学に慣れていないと読むのは少し大変かも。

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    2025年08月11日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    コロナとアガンベンについてなど把握していない話は興味深く、『移動と階級』を読んだあとで掘り下げ方としてこういう思索のほうがやはり楽しめた。國分氏の著作では「講話」ということもあって読みやすい。

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    2025年08月10日
  • 手段からの解放―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    カントの「快」に対する分析(快を①端的に善いもの、②美しいもの、③崇高なもの、④快適なものに分類)をベースとして、目的のために手段化する傾向の強い現代社会の問題を指摘し、④快適なもの(目的のための手段としての快ではなく、それ自体を楽しむ享受の快)の重要性を説くもの。

    カントについては名前を知っている程度で全く知識がなかったので、カントの議論を分かりやすく噛み砕いて説明されていて勉強になった。

    前半:論文をベースとしたもの、後半:講演をベースに文章化したものという構成であったため、前半パートでは難解であまり理解できなかったところもあったが、後半パートを読むことで理解が深まった。

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    2025年08月05日
  • 手段からの解放―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    何かに駆り立てられるように生きている、何かに駆り立てられるように何かをしている、それでいて人間自体は虚しさを感じながらカラッポな状態で行きている。そのような現代社会の病理のようなものに言葉を与え、その解決として提案されるもので我々の生や思考に一つの道筋を提案する。

    目的とも手段とも切り離された快を享受することで、所謂精神的な満腹状態に達し、消費社会、資本社会の構造に抵抗する、そして主体を取り戻す、ということがシリーズを通じて繰り返し述べられる。

    「楽しむ」という卑近なテーマからスタートする思索であるが、巻末でも述べられているように、このまま行くと人間が、依存症に陥ることに留まらず、取り返し

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    2025年07月27日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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    すごい平易な言葉で説明されてるっぽいのにむず〜、何度も寝落ちしかける
    でも面白いので進む時は進む
    そしてまたしばらくして読み始めるとどこまで読んでたかわからなくなり1章分くらい意図せず振り返ることになる

    107p
    受動と能動
    一般的には行為の方向性を指すが、スピノザはその行為が誰の力を示しているかで判断する
    親の虐待への復讐心で戦争に走る青年は結局のところ親の力を示しているので受動

    お〜と思ったけど、一般的にもそうじゃね?
    脅されてお金を出すのが能動とはもともと思えぬ

    p45
    それ自体として善も悪もない

    これはそう
    最近仕事のチームメイトのやる気のなさ後向き発言にやられてるが、組み合わ

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    2025年07月24日
  • 中動態の世界―意志と責任の考古学―(新潮文庫)

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    「意志」とは何か、という哲学的なテーマを、〈中動態〉というかつてあった文法的な概念から読み解いていく。現在当たり前となっている〈能動態⇔受動態〉だけでは説明がつかないことも、中動態という概念が加わることで絡まった紐が解れる。「暇と退屈の倫理学」同様、このほどけていく過程を楽しめる一冊です。

    英語でも、受動態なのに能動的な意味の表現があったと思います。ああいうのも、中動態が歴史的に除かれていってしまったことによる弊害のようです。

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    2025年07月14日
  • 中動態の世界―意志と責任の考古学―(新潮文庫)

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    読み進めるのに苦労したけれど、最終章で急に理解しきれなかったここまでのことが、像を結ぶような感じがした。
    しばらく置いてもう一度読んでみたい。

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    2025年07月04日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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    【神即自然】
    ・神は無限である→すべては神の中にある。神は宇宙のような存在(自然)
    ・神すなわち自然は外部を持たないから、他のいかなるものからも影響をうけない→自分の中の法則だけで動いている

    【コナトゥス】
    ・個体を今ある状態に維持しようと働く力
    ・スピノザは、コナトゥスをそのものの本質と考えている。すわなち、物の形ではなく、物がもっている力を本質と考えた。

    【変状する力】
    ・刺激に対する反応の仕方も時と場合に応じて大きく変化する・
    ・変状(affectio):刺激による変化。あるものが何らかの刺激を受けて、一定の形態や性質を帯びること。
    ・欲望:刺激によって変化した状態が、自分にあること

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    2025年07月06日
  • 哲学の先生と人生の話をしよう

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    東大の教授でもある哲学者の著者のメルマガでの人生相談をまとめた本。
    相談は書かれていないことが重要とし、本当は何が言いたいのかを推測して鋭い指摘をされている回も多い。一方で親との関係に悩む大学生の回など、相談者の人生に大きな影響を与えるような回もある。

    哲学書を引用しながら相談に答えていくのだけれど、そんな捉え方、考え方があるのか、ということだらけで発見と学びの一冊だった。

    自分が何かを相談された時 表面の言葉だけ受け取って的を射ていない回答になってたんだろうなとか、相談する側のときはただ自己開示をしたいだけというのが滲み出ていたんだろうなと気付いてしまった。気付けてよかった。

    哲学書や

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    2025年06月26日
  • 原子力時代における哲学

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    原子力は核兵器として利用される場合、反対されるが、「平和利用」という巧みなスローガンの元で発電に使われる場合は、長らく肯定されてきた。

    それが、チェルノブイリや3.11福島などを経て、急激に反対に傾いている。

    しかし、3.11以後も、事故が怖い、廃棄物質など忌避感情が強いにもかかわらず、再稼働への国家的な意志はうごめく。それはエネルギー問題に煩わずに生きたいという全能感への欲望だ。

    ただ、ハイデガーのみが肯定が大多数だった時代にも、その技術的特異性に注目し、警鐘を鳴らしていた。根本から考えようとする哲学の威力発揮である。

    原子力に取り憑かれないためには、考えることが必要だが、そのことを

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    2025年06月25日
  • 手段からの解放―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    カントの三大「批判」書のエッセンスを、美、崇高、善、快適という視点で整理。
    現代は、快適なものが直感的なものとして楽しめず、目的を手段化してはいないか、と指摘する。
    健康であることさえ、手段化する。そこには、人間の作った資本主義、消費社会のシステムが見え隠れする。デジタル社会だから逃れようも無いとも言えようが、デジタルデトックスした状態で、暇と退屈を直感的に楽しむ余地は持っていたいと、つくづく思った。

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    2025年06月22日
  • 中動態の世界―意志と責任の考古学―(新潮文庫)

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    124ページすごい。ある、は主体的な行動であるとはみなされていない。よかった!本多勝一の日本語の本で主語に関しての議論をこの間読んだのとリンクしてた。ここら辺はやはり日本語使いの方が理解しやすいのだろうか。この間、日本語好きな香港人と話したんだけど、主語がないとか最高だから日本に永住したいって言ってた。意思と責任とかの議論もよい。

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    2025年06月27日
  • 手段からの解放―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    『暇と退屈の倫理学』:國分功一郎
    ・消費は、終わりがない。浪費、すなわち物を受け取って、物を楽しむことを楽しめるようになれば良い。そうなれば、この消費社会から抜け出すことができる。
    →「楽しむ」ということの定義がしっかりしていない。
    ・本書では「楽しむ」を定義する。


    『判断力批判』:カント
    ・快の対象:快適なもの、美しいもの、崇高なもの、善いもの
    ①善いもの
    ・実践理性批判で提唱される、高次の欲求能力の実現
    ・自分自身を決定する根拠が純粋に自分自身の道徳法則にのっとってのみであることが、快を生み出すもととなるカントは、人間は自らのうちに目的を持ち、その目的から逃れることはできず、その目的の

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    2025年06月24日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    自由の根幹は「移動の自由」
    日本国憲法が示すように、場所を選び移動できることこそが自由の土台である。

    行為の本質は“自己を守る営み”
    ガンディーの言葉を引用し、「ほとんど無意味に見える行為」でも、世界に流されず主体性を保つうえで不可欠だと強調している。

    目的に縛られた行為は自由ではない
    「○○のためにやっている」と説明できる行為は、動機や目標に従属しており真の自由とは言えない。

    目的を超えて“遊び”へ―手段‐目的連関からの逸脱
    文化祭の準備の議論が次第に楽しくなる例のように、最初の目的を超えて自発的・創造的に広がる活動を著者は「遊び」と名づける。

    社会運動にも“遊び”の要素が必要
    運動

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    2025年06月10日
  • 哲学の先生と人生の話をしよう

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    決断が必要なときは?意図せずに行われていた逡巡と熟考の末に、ああ、これがなすべきことだったという仕方ですでに決心ができている自分に気づく。

    決断とは受動的なもの。人間はこうしようという形で決断するのではなく、そうなってしまうという形で決断する。
    もっともっと今自分が置かれている自体を見つめること。そして自分の中に決断が出来上がるのを待つ。
    焦ってはいけない。焦りは今心の中に出来上がりつつあるパターンから目を背けさせる。

    こういうことをやっていた人間はこうなれると思わないこと。答えはない。

    愛するとは相手を認めること。相手が存在していることを心からいいと受け止めること。

    心な穴からは確か

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    2025年05月12日
  • 手段からの解放―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    読みにくいけど、読みたい内容。
    その行為が、それ自体を楽しむものでなく、何らかの目的のための行為、手段としての行為になってしまうことの警鐘と受け止めました。目的だろうがなんだろうが何かに支配されていくのは嫌だな思いますが、依存行動と付き合っていくにも、そこから卒業するにも、基本の理解として役立つ考えだったと感じています。

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    2025年05月09日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    ・イギリスの料理が不味くなったのは、資本主義のせい?

    ちょっと脱線しますが、皆さんは「イギリスの食事はまずい」とよく言われていることは知っていますか。

    実際のところ、最近は美味しいんですけどね。確かに一時期までは本当にひどかったようです。かつてのクオリティーの食事を提供する古い食堂は残っていて、そういうところで食べると塩味が付いていない。

    というのも、食卓にある胡椒と塩で各自が自分向けに調整して味付けすることになっているからです。これには面食らいました。

    しかし、イギリスの料理はずっと昔からまずかったわけではなく、それは一九世紀に産業革命と農業革命から決定的な悪影響を受けたことの帰結で

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    2025年05月05日
  • 手段からの解放―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    2025.04.29 かなり考えさせられる良い本だと感じた。全てが手段化する現代社会。コスパなんでいう概念はその最たる証では。余白が無くなっている。well-beingと言われるけど、どんどん逆の方向にいっているのではないか。

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    2025年04月29日