國分功一郎のレビュー一覧

  • 近代政治哲学 ──自然・主権・行政

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    やや進歩史観的というか、過去の思想を「乗り越える」という形で単純化して書かれすぎているきらいはあるが、その点を踏まえても本書の試みが、その魅力が損なわれるということはない。
    行政という観点に着目して読み直される政治哲学史は、掛け値なしに新鮮なものだった。

    著者の『来るべき民主主義』と併読されることを強く勧める。ほとんど姉妹のような本だ。

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    2015年05月08日
  • 来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題

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    こども・若者の社会参画について考えていて、間接民主主義やら投票率向上キャンペーンに限界があるんじゃないかでもどうしたらいいんやーみたいなことを考えていた時に先輩から勧められて読んだ。
    まだ「はじめに」しか読んでないけど...
    主権=立法権を前提にしている近代の政治思想や行政が決定している実態への指摘がまさしくその通り!と思うもの。政治思想を平易な言葉で解説しつつ、現実的なアプローチを提案している。さらに読み進めたい。

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    2015年01月04日
  • 社会の抜け道

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    数ある対談本の中でも1,2を争う面白さ。

    思想や哲学を生活に結びつけるということはきっとこういうことを言うのだろう。ショッピングモール、保育園、食など、誰もが身近に接するものから見える問題。そしてその問題との向き合い方のヒント。

    今を代表する論者である國分功一郎氏と古市憲寿氏との対談はそれぞれの問題へのスタンスを明らかにする。國分氏は熱く、古市氏はクール。きっと大きな意見の隔たりもあるに違いないが、互いのリスペクトが対談を対立ではなく、協調へと導く。

    対談自体もそうだが、批判の応酬からは問題の解決の糸口は見つからない。対談は最後は「反革命」というキーワードん出すが、まさにその通りで社会は

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    2014年06月01日
  • 来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題

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     小平市都道328号線問題のような住民問題は、マンションや道路、ダム、ゴミ処理工場、最終処分場など、問題の構図として必ずと言っていいほど、《住民対自治体(行政)》の構図が浮かび上がってきた。そして、行政をチェックする機能としての議会も、行政の取り組みを認可するだけの役割に成り下がるだけの役割しか見えてこなくなっている…。
     上記のような構図が毎回、テレビなどのマスコミで報道される。すると住民や世論は、そんな体たらくな行政を議会が正すべきだと、選挙の重要性をクローズアップする。要は「議会が機能すれば、行政が正常化する」と…。
     本書をただ、小平市都道328号線問題がいかに行政がおかしいかを指摘し

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    2014年05月11日
  • 来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題

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    小平市の都道建設計画を見直す住民投票運動に参加した社会哲学者が、自分の専門である政治哲学と実践とを見事に結びつけた良書。日本の政治や行政に関する「理解不能」な部分をなるほどと解き明かしてくれました。行政権が大きな比重を占める日本では、主権=立法権という政治哲学の前提が間違っているので、住民投票やパブコメをちゃんとやりましょう、という話は目から鱗でした。お薦め。

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    2014年05月03日
  • 社会の抜け道

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    学生時代は社会学に全然興味がなかったんだけど、この二人の対談は、するする頭に入ってきて、世の諸問題への関心が高まっていく。
    國分さんの単著も読んだことなかったんだけど、この本のおかげで大分関心が高まりました。
    そしてシャルル・フーリエがなぜここ最近見直されているのか謎。妙に波がきてる感じがするよね。

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    2014年04月28日
  • 来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題

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    ドゥルーズやデリダなどの研究を専門にする哲学者が、自らが住む小平市の道路建設に反対する運動に関わる過程で得た現在の民主主義への違和感と課題についてまとめられた本。タイトルにもなっている「来るべき民主主義」は著者が専門とする哲学者ジャック・デリダの言葉だ。「現在の民主主義を見直し、これからの新しい民主主義について考えることが本書の目的である」とのこと。

    その内容を端的に言うと、実際の決定は行政機関によってなされるのに、立法権に間接的に選挙で関わることが担保されているが、行政権には公式にアクセスする手段がないということが問題だということになる。立法権の優越は、近代民主主義における欠陥だというのが

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    2014年03月31日
  • 来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題

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    「平易な文章で、よくもここまで上手に説明するものだ」と驚かされた良書。実に面白い!
    小平市の道路開発問題という超ローカルなネタを素材にしているが、議会制民主制に対する幻想・勘違いと限界、そして議会制民主制を補完する方策のアイデア、まで幅広く論じている。自分自身の「政治」に対する向き合い方が変えられるかも。

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    2014年03月19日
  • 哲学の先生と人生の話をしよう

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    テクストを読み解くスキルを活かし、哲学者が一般読者の人生相談に答えています。
    アドバイスとして言っていること自体は良心的で、即問題解決に結びつくようなものではありませんが、しかしその「悩み」のどこが問題なのかを読み解き、なぜそのようなアドバイスをするに至ったのかを明確に述べています。
    相談メールの中には何が書き落とされているのか、何が書かれてしまっているのか、どんな文体で書かれているのか。そこに書き手の人柄が表れるのであり、そこに着目するのがいわゆる批判的な読み方なのだと思いました。
    文章を読み、書くための勉強になりました。

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    2014年02月27日
  • 社会の抜け道

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    古市さんの「絶望の..」を読んだことがあるが、國分さんのものは初めて.的確な論評に感心した.保育園の話しでフランスの少子化対策での成功事例を紹介していたが、女性の労働支援を実施した由.日本も取り入れたらどうかな.國分さんの言葉で「いいものを提供しても、受け取れる人と受け取れない人がいる.リテラシーの問題がそれぞれの人のものの受け取りを規定している」は大事な論点だと感じた.

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    2014年02月19日
  • 哲学の先生と人生の話をしよう

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    相談の手紙に書かれていないところ、相談者が言っていないところに、本当の問題点があること。悩みも、解決策も常に個別・具体的であること。國分先生の、本質を見抜く見方・考え方や、鋭角的なアドバイスが、とても役に立っています。

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    2014年01月16日
  • 哲学の先生と人生の話をしよう

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    働き始めてから、OFFの時間に難しいことを考えられなくなった。難しい情報処理を受け付けなくなった。

    疲れた頭でも思わず読み進めてしまったのがこの一冊。

    他人の人生相談を読みながら、普段、いい子ぶっている自分の行間に、図々しい自己主張があるのでは、とえぐられるようだった。

    それにしても哲学はおもしろい。

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    2013年12月11日
  • 哲学の先生と人生の話をしよう

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    一般的•抽象的なものはこの世に存在しない。存在しているのは個別的•具体的なものだけ(p175)と、相談者の文章から具体的な状況を読み取ろうという姿勢が素晴らしい。
    情動と感情の関係、遵法闘争、運と無意識の選択、「観念の物質化」など面白い。
    「言われていないことこそが重要である。人は本当に大切なことを言わないのであり、それを探り当てなければならない。」(p251あとがき)

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    2013年12月08日
  • 哲学の先生と人生の話をしよう

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    タイトルの通り、哲学者の國分功一郎氏が、とあるメルマガにて連載していた人生相談を本にまとめたもの。

    寄せられた相談に著者が、主に哲学の視点と著者独自の考えから答えを出している。

    中でも私が一番面白かったのは、「モテない」という相談に対し、そもそも「モテる」とは何なのか、という著者の結論。

    「『モテる』とは『敷居が低い』ことを意味しているーこれが私の結論です。何らかの理由で或る人物の中に他人が入りやすくなっているとき、その人物は『モテる』のです。」(p.38)

    誰もが抱える「心の穴」を埋めるため、多くの人が「心の敷居が低い」人に集まった状態。
    それが「モテる」であると。

    真理を得た気が

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    2013年12月04日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    ネタバレ

    Audible!!

    よくある「明日から使える!」系のビジネス書じゃなくて、ひとつのテーマを徹底的に深掘りして、論理を積み上げていくタイプの本!
    なのでかなり難解だけど読み応え抜群でした。

    【学んだこと】
    ◆「暇」と「退屈」は別物
    ヒマ:客観的(あの人は暇に見える)
    退屈:主観的(この仕事は退屈だ)

    目指すべき状態は「暇だけど、退屈していない人」
    成り易いのは「退屈しているのに、暇がない人」

    ◆退屈は3つに分解できる
    ① 電車を待つ退屈(奴隷モード)
    「電車まだ?早く来い」ってイライラしてる時。これは時間や外部の状況に支配されてる「仕事の奴隷」と同じ状態らしい
    ② パーティの退屈(気晴ら

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    2025年12月13日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    再読してまた考えてみたいと思わせてくれる本

    難しそうな本だけど序章で引き込まれた。「好きなこと」とは何か?私が好きなものは暇を紛らわすためのお気に入りの気晴らしではないか?
    選んできた学問も、選ぼうとしている職業も、人生の気晴らしのために選んでいるのか?それはそれでいい気もしてる。

    コスメやアニメグッズ、ファッションの情報を得にSNSを見てしまうが、あれは「欲しいものがあるから探してる」のではなく、「欲しいものを探してる」行為だなと思った。実際、SNSを見て購入に至ったケースが山ほどある。
    あの購買ケースは私の欲望を満たしてはくれないことが多い。それはあの購買が「浪費」ではなく「消費」だか

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    2025年11月30日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    本書の帯にも「暇と退屈の倫理学」の深化と書かれた國分さんの新作。コロナ禍の政策に対して、哲学者がいかに「社会の虻(あぶ)」として重要な提言をしていたかをわかりやすく解説。「目的の本質とは、手段の正当化にある」との指摘にハッとさせられる。Purposeを求める前に読んだ方が良いかもしれない。目的の奴隷になってはいけないことを学べる一冊。

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    2025年11月24日
  • 「利他」とは何か

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    「贈与」や「利他」がタイトルに含まれる本が増えていますね。

    現代に生きる私たちは、交換や利己によっぽど疲れているのでしょうか。

    ただ「贈与」や「利他」に漂う胡散臭さがあるのも事実。

    結局人間は純粋に利他的には生きられないのではないか。

    最近、私の考えていたことです。

    この本を読んで、その考えは合っていると感じるとともに、
    利他は意図せずしっかりと存在することも実感できました。

    それは自分という器を誠実に生きるということ。

    自分が全力になれることを全力でやることが、人類の歴史や系譜に奉仕することになるという作家・磯﨑憲一郎さんの言葉は、私たちの迷いを幾分和らげてくれるのではないでし

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    2025年11月13日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    退屈から逃れるためには、「人間であること」を楽しむことで「動物になること」を待ち構える。いろんな物事に対して、疑問を持ったり、どうすればより良い物を作れるかなど、思考をできるのは人間だけ。その思考によってある種フロー状態になり動物のように物事に入り込んで楽しめる。仕事で重要な姿勢のようにも感じた。
    本書の内容は普通に面白かったがそれ以外に、著者は高校生の頃から自分の哲学を意識しており、それを実際に本書で実現させたという部分のストーリーが興味深かった。

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    2025年11月09日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    読む前には難しそうな話だと思っていたけど分かりやすく書かれており自分事として考えながら読み進めることが出来ました。
    ワクワクする人生を送れるよう沢山勉強したいと思いました。

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    2025年11月05日