國分功一郎のレビュー一覧
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数ある対談本の中でも1,2を争う面白さ。
思想や哲学を生活に結びつけるということはきっとこういうことを言うのだろう。ショッピングモール、保育園、食など、誰もが身近に接するものから見える問題。そしてその問題との向き合い方のヒント。
今を代表する論者である國分功一郎氏と古市憲寿氏との対談はそれぞれの問題へのスタンスを明らかにする。國分氏は熱く、古市氏はクール。きっと大きな意見の隔たりもあるに違いないが、互いのリスペクトが対談を対立ではなく、協調へと導く。
対談自体もそうだが、批判の応酬からは問題の解決の糸口は見つからない。対談は最後は「反革命」というキーワードん出すが、まさにその通りで社会は -
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小平市都道328号線問題のような住民問題は、マンションや道路、ダム、ゴミ処理工場、最終処分場など、問題の構図として必ずと言っていいほど、《住民対自治体(行政)》の構図が浮かび上がってきた。そして、行政をチェックする機能としての議会も、行政の取り組みを認可するだけの役割に成り下がるだけの役割しか見えてこなくなっている…。
上記のような構図が毎回、テレビなどのマスコミで報道される。すると住民や世論は、そんな体たらくな行政を議会が正すべきだと、選挙の重要性をクローズアップする。要は「議会が機能すれば、行政が正常化する」と…。
本書をただ、小平市都道328号線問題がいかに行政がおかしいかを指摘し -
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ドゥルーズやデリダなどの研究を専門にする哲学者が、自らが住む小平市の道路建設に反対する運動に関わる過程で得た現在の民主主義への違和感と課題についてまとめられた本。タイトルにもなっている「来るべき民主主義」は著者が専門とする哲学者ジャック・デリダの言葉だ。「現在の民主主義を見直し、これからの新しい民主主義について考えることが本書の目的である」とのこと。
その内容を端的に言うと、実際の決定は行政機関によってなされるのに、立法権に間接的に選挙で関わることが担保されているが、行政権には公式にアクセスする手段がないということが問題だということになる。立法権の優越は、近代民主主義における欠陥だというのが -
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タイトルの通り、哲学者の國分功一郎氏が、とあるメルマガにて連載していた人生相談を本にまとめたもの。
寄せられた相談に著者が、主に哲学の視点と著者独自の考えから答えを出している。
中でも私が一番面白かったのは、「モテない」という相談に対し、そもそも「モテる」とは何なのか、という著者の結論。
「『モテる』とは『敷居が低い』ことを意味しているーこれが私の結論です。何らかの理由で或る人物の中に他人が入りやすくなっているとき、その人物は『モテる』のです。」(p.38)
誰もが抱える「心の穴」を埋めるため、多くの人が「心の敷居が低い」人に集まった状態。
それが「モテる」であると。
真理を得た気が -
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ネタバレAudible!!
よくある「明日から使える!」系のビジネス書じゃなくて、ひとつのテーマを徹底的に深掘りして、論理を積み上げていくタイプの本!
なのでかなり難解だけど読み応え抜群でした。
【学んだこと】
◆「暇」と「退屈」は別物
ヒマ:客観的(あの人は暇に見える)
退屈:主観的(この仕事は退屈だ)
目指すべき状態は「暇だけど、退屈していない人」
成り易いのは「退屈しているのに、暇がない人」
◆退屈は3つに分解できる
① 電車を待つ退屈(奴隷モード)
「電車まだ?早く来い」ってイライラしてる時。これは時間や外部の状況に支配されてる「仕事の奴隷」と同じ状態らしい
② パーティの退屈(気晴ら -
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再読してまた考えてみたいと思わせてくれる本
難しそうな本だけど序章で引き込まれた。「好きなこと」とは何か?私が好きなものは暇を紛らわすためのお気に入りの気晴らしではないか?
選んできた学問も、選ぼうとしている職業も、人生の気晴らしのために選んでいるのか?それはそれでいい気もしてる。
コスメやアニメグッズ、ファッションの情報を得にSNSを見てしまうが、あれは「欲しいものがあるから探してる」のではなく、「欲しいものを探してる」行為だなと思った。実際、SNSを見て購入に至ったケースが山ほどある。
あの購買ケースは私の欲望を満たしてはくれないことが多い。それはあの購買が「浪費」ではなく「消費」だか -
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「贈与」や「利他」がタイトルに含まれる本が増えていますね。
現代に生きる私たちは、交換や利己によっぽど疲れているのでしょうか。
ただ「贈与」や「利他」に漂う胡散臭さがあるのも事実。
結局人間は純粋に利他的には生きられないのではないか。
最近、私の考えていたことです。
この本を読んで、その考えは合っていると感じるとともに、
利他は意図せずしっかりと存在することも実感できました。
それは自分という器を誠実に生きるということ。
自分が全力になれることを全力でやることが、人類の歴史や系譜に奉仕することになるという作家・磯﨑憲一郎さんの言葉は、私たちの迷いを幾分和らげてくれるのではないでし