國分功一郎のレビュー一覧

  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    「哲学書で涙するとは思いませんでした」
    そんな帯のコメントが、"倫理学って何?おもしろそうだけど難しそう…"と購入を迷っていた気持ちを後押ししてくれた。
    涙はしなかったけど、豊かな生き方のヒントをくれたような本だった。

    二足歩行が始まって400万年。
    人の生活に革命がおこって1万年。
    法律も経済も信仰もすべてはここから。
    暇ができ、退屈がうまれた。
    常に新しい刺激を求める性。
    気晴らしをたのしむ教養。
    400分の1。なんかちっぽけにみえた。

    消費と浪費の違いを初めて認識できた。
    消費行動の中に虚無を感じていた理由がよくわかった。そして、浪費を求めていたんだと。

    著者自

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    2025年12月07日
  • 中動態の世界―意志と責任の考古学―(新潮文庫)

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    「免責が引責を可能にする」
    この一節に私はしびれた。

    なにかミスがあると、世の中では「責任をとれ!」という話になる。言い換えれば「このミスを犯す意志を持ったものは誰か?」というお話。本書では、このような「意志によって根拠付けられる責任」を「堕落した責任」と呼ぶ。

    責任とは、そういうものではない。責任とは応答することなのだ、と。そしてその応答としての責任の生成は、実は免責※によって生まれる、と本書はいう。

    ※ここでいう免責とは、無罪放免にする、という意味ではなく、自らの行為が、意志ではなく、無数の原因によってもたらされた結果であることを理解する手続きのことを指す

    この考えに、私は驚いた。

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    2025年12月04日
  • 手段からの解放―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    國府先生、これはかなり難しかった。何回も行きつ戻りつしてやっと一周読みましたが理解が追いつかない。。。
    私なりに理解したところによると、目的を持たない快(酒やタバコをを嗜むような)が、現代では目的に蝕まれつつある=純粋に行為自体を快楽として受け取る余裕がなくなってるよ、っていう警鐘なのかなと思いました。実際私も酒びたりのときが一時期あり、現実から一瞬でも思考を切り離す道具として酒を飲んでいたなぁと今は思います、当時は美味しいから沢山飲んでると思い込んでましたが(病)。

    前作の新書より具体性が上がってるのについていけない自分の理解力のなさに悲しみを覚えつつ、一方で凡人がついていけないレベルの内

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    2025年12月01日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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    國分さんの本はとにかく面白いので、いつか読むだろうと本書も積読しておりました。

    スピノザは國分さんの本ではたびたび登場する人物であり、他の人の本でも肯定的に引用されることが多い印象で、どうやら日本人が好きそうな人物です。なぜ現代に肯定的に受け取られているのかを考えながら読んでおりました。

    まず代表的な考え方である、「神即自然」。神は自然であると言い切るスピノザ。キリスト教神学が支配している時代で、この考え方を提示できるのはすごいです。。。自然信仰が馴染んでいる日本人にも受け取りやすい考え方でしょう。

    國分さんは本書の初めにスピノザの凄さを伝えるためにこのように述べています。

    「哲学者と

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    2025年11月25日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    大学生の頃に買って、5、6年の時を経てやっっと了読。

    ここ半年くらいずっと輪郭の掴めなかった不快感。一昨日くらいにふと「もしや退屈なのでは?」と思い至り、久々に引っ張り出して読んだら凄い良かった。
    なんか、安心した。
    人生って退屈とどう向き合うかでもあるんだなってわかったことが収穫でした。

    人は反復によって習慣を身につける。習慣がないと人は生きていけないけど、習慣によって退屈が生じる。とか最近の自分に心当たりがありすぎて「それ〜〜〜!」と思いながら読んでて楽しかった。

    色々な物を受け取れるように自分を育てていきたいし、とりさらわれる瞬間を待ち構えれる場所を増やしたいな。


    読書ってタイ

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    2025年11月23日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    先日全4回を終えた読書会で取り上げたので、再読。増補版は初めて読んだので付録が新鮮。(読書会について後日あらためて投稿したい)暇と退屈を切り口に現代に漂う疎外を射抜いた名著だなと改めて感じた。結論冒頭の、「本書を読むこと、ここまで読んできたことこそ、〈暇と退屈の倫理学〉の実践の一つにほかならない。だから正確には、あなたは既に何事かをなしている。」というくだりは何度読んでも痛快!これを読むと人生深まりますよ。

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    2025年11月20日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    ひたすらに、普段なら見過ごしてしまうような行動に対する疑問を追求し、より深い理解へと掘り進めていく印象であった。そうした問答の積み重ねが自然と私を惹き込み、読み手を思索へと誘う力があった。

    また、挙げられるエピソードの多くに共感できたため、読み進めるほどに面白さを感じられた。時折、話題が急に転換する場面もあったが、そのタイミングは絶妙であり、しかも「暇と退屈」という主題から逸れることなく一貫しているため、飽きを感じることは一度もなかった。

    筆者の哲学者に対する理解は底知れないものがある。しかし、こうした哲学的テーマに不慣れな読者からすると、数多くの哲学者の局所的な見解が次々と引用され、しか

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    2025年11月17日
  • 中動態の世界―意志と責任の考古学―(新潮文庫)

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    「読んでて難しい」「難解だ」と感じる人ほど(少なくとも私はこちら側だと思う…)、「能動↔︎受動」の言語に基づく思考体系に浸かってしまっているということなのでしょう……


    中動態について、言語の歴史やスピノザ哲学など、あらゆる側面から國分先生の哲学論が展開されていきます。難しくても読み終えて初めて「中動態の世界」の入り口に立てるのかもしれない。
    最後に能動態↔︎中動態的思考から「責任論」に話は移行していきますが、社会の分断が進む現代社会が進むべきヒントを与えてくれるカギとなるのではないでしょうか。

    「暇と退屈の倫理学」でもあった通り、本書もまた「(理解しきれない部分があったとしても)通読して

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    2025年11月09日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    なかなかに読み応えのある内容とボリュームの本ではありますが、普段身近にある"暇と退屈"というものを、様々な著書を引用しながらロジカルに講じられていくので、どんどんと内容に引き込まれながら読み進めていけます。シンプルに倫理学とは奥深いものだと思うばかり。

    感想を簡単な言葉で言い表せる内容でもないけれど、自身の考え方に一石を投じる本でした。故に、ふとした時にまた読み返したくなる本でもあります。

    個人的には浪費と消費の考え方がとてもツボでした。

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    2025年11月09日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    ネタバレ

    めちゃくちゃ簡潔に言うと、
    「退屈を恐れすぎず、気晴らしに身を任せ、楽しみ方を訓練して心得よ。」
    というふうに解釈したが、それに至る過程を理解していなければ、真に実行出来ない、という意味で、読んで非常に良かったと感じる。

    人間は1万年ほど前から、気候変動による植生の変化により、定住を余儀なくされた。それ以前、遊動生活をしていた際に、遺憾なく発揮された洞察力や探索する力は、定住と農業によって必要性を失った。そして発揮する場所を失った人間の能力は、文明や文化の発展へと向かうことになる。
    暇を得た人間は気晴らしをせざるを得ない。現代社会、消費社会では産業からあらゆる形の気晴らしが供給される。そこで

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    2025年11月06日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    (堅苦しくて難しそうだな)とこの本を敬遠している人は今すぐにでも読んだ方がいいと思う。確かに堅苦しい内容のところもあるが、作者が噛み砕いて1から説明してくれているのでスラスラ読める。本当に頭が良い人というのは小難しい内容を芯から理解し、相手の分かりやすいように伝えられる人なんだなと実感した。

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    2025年11月04日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    非常に面白かった。
    自分の中に世界の見方が新たに一つ追加された感じ。
    とっつきにくい哲学の考え方を知ることができたのもよかった。
    著者は読者の理解に非常に寄り添ってくれたおかげで、抽象的な内容にもかかわらずサクサクと読み進めることができた。
    結論の部分は爽快感すらあった。

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    2025年10月29日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    咀嚼して書いたと本の中で著者の方は言っているが完全に理解するには何度か読み直さなければいけないくらい、分かっているようで分かりきれてない、そんな感じ。
    しかし自分が普段感じていた人生とはなんだろうみたいな違和感をこの本が説明してくれた。

    人は定住するようになってから退屈と感じるようになったという点は非常に納得した。

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    2025年10月17日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    退屈から逃げるため人はミッションや仕事の奴隷になる、浪費や退屈と向き合うことを通して、物事を楽しむ訓練がなされる。

    消費ゲームから抜け、浪費を楽しむ
    自分が動物になることを待ち構える

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    2025年10月13日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    退屈の第1・2・3形式の話は、とても勉強になった。

    というのも、私自身がこれらの退屈にのっとった行動を繰り返してきたからだ。

    空白の時間が生まれると、何もしていないことが不安になり、躍起になれる目標を探して、しばらくするとそれに飽きて(もしくはうまくいかず)、また空白の時間が生まれる……

    本書でいうところの第1と第3の退屈を繰り返してきたのである。
    まさか反復してきた出来事が「暇と退屈」で説明できるなんて、この本を読み始めるまで一切思ったことがなかった。

    著者は哲学を専門とされており、本書での話の進め方も「これでもかっ」というくらい、丁寧に慎重にじっくりと進められる。本書のなかで、先人

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    2025年10月06日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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    國分功一郎はスピノザの哲学を、やや象徴的に「ありえたかもしれない、もうひとつの近代」の哲学と形容する。
    実際に、近代哲学の在り方を規定したのはスピノザではなくデカルトだ。現在の社会も、多かれ少なかれデカルト的な考え方に則って成立している。

    本書はそういった「近代的な」発想とは異なる、スピノザ哲学の概念を紹介する。
    各章ごとに①組み合わせとしての善悪(↔︎一般的観念としての善悪)、②力としての本質(↔︎形相としての本質)、③必然性としての自由(↔︎自由意志としての自由)、④自己変容としての真理(↔︎客観性、明晰性としての真理)といった具合だ。

    これらの概念は新鮮というよりむしろ、現代社会にお

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    2025年10月06日
  • ドゥルーズの哲学原理

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    何回でも読み直したい作品
    ここ最近で一番、日常における認識にざらつきを与えてくれる本だった

    p.131
    人が積極的意志(「…をしよう」)によって真理に至ることはない。真理は常に、思考を余儀なくされたことの結果として獲得される。人は思考するのではない。思考させられる。思考は強制の圧力によってのみ開始されるのであり、それを強制するシーニュは常に偶然の出会いの対象である。

    p.298
    欲望のアレンジメントは、権力装置を伴うだろう(…)だが、権力装置はアレンジメントの様々な構成要素の中に位置づけられねばならない。(…)権力装置とは、したがってアレンジメントの一構成要素ということになるだろう。

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    2025年09月28日
  • ドゥルーズの哲学原理

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    哲学者・國分功一郎先生が記すジル・ドゥルーズの研究書です。ドゥルーズの方法と対象を、國分先生が精緻に分析し、その実像に鋭く迫ったものですが、お読みになる場合には「格闘する」と言う言葉が当てはまります。




    正直なところを言ってしまえば、僕は國分功一郎先生の本に出会わなければ、ジル・ドゥルーズの哲学に関心を持つことはなかったのかもしれません。本書は哲学者、國分功一郎先生によるジル・ドゥルーズの哲学を読み解いた『研究書』であります。

    元々、國分先生の専門はスピノザ研究との事で、全体の構成や「発生」はヒューム。「潜在性」についてはライプニッツからのアプローチが行われております。

    ただ、本書を

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    2025年09月15日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    講話を収めているからかめちゃ読みやすい。

    第一部のアガンペンの主張から始まる読者への問いかけ。刺激的なものをそれを理由に排斥してしまうのではなく、それを足がかりに自らを問い直すことの意義。
    社会にとってチクリと刺してくる虻のような存在としての哲学の役割。

    賛成/反対のテンプレを越え、自ら問うてみる姿勢で批判的に物事を見ることの重要性はそれはもうわかる。
    ただ自分が考え、主張し何の意味があるのか。「何も変わらないじゃないか」という論調が強いのが昨今の潮流な気がする。
    この論調を否定するでもない、フレーミングを提示してくれた。
    「あなたがすることのほとんどのことは無意味であるが、それでもしなく

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    2025年09月13日
  • いつもそばには本があった。

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    本との向き合い方を再検討させてくれる一冊だと感じました。
    人文書であれ何であれ、一人の読者がその本の中に自身の物語を見出し、接近し、その過程で己の知を組み上げていく。
    そうした姿勢を持つことの大切さを読み取ることが出来た気がします。

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    2025年09月08日