國分功一郎のレビュー一覧

  • 手段からの解放―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    「楽しむ」とは何か。
    楽しむとは、何かの目的のためにするのではなく、ただすること。ただその行為が心地よいということ。と読み取った(間違っているかもしれないが)。
    私にとって、楽しむとは、読書することかな。読むこと自体が楽しい。
    …とはいえ、読書をして「賢くなりたい」「世間を色鮮やかに見たい」といった、手段としての側面もある。そういった動機は「楽しむ」とは少し違うかもしれない。
    でも、ただ読むこと、それを楽しむ感覚。
    それこそが「楽しむ」と思う。

    また、著者は「楽しむことは、誰からも奪われてはならない」と書いており、共感した。

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    2025年05月02日
  • 中動態の世界―意志と責任の考古学―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    かつて、出来事を描写する言語は、行為を行為者に帰属させる言語へ移行した。ここで、選択(プロアイレシスorリベルム・アルビトリウム)と区別される意志が、本来多くの要素の協働から実現される過程であるはずの行為を、ある主体に私有化させその責任を占有させることを可能にする装置として現れる。
    名詞から非人称動詞が生まれ、非人称動詞から中動態が生まれ、中動態から、自動詞、自発、受動態が派生したと考えられる。ひいては、能動態も中動態から派生したと憶測することもできる。中動態と能動態が対立するパースペクティブは、やがて能動/受動のパースペクティブに取って代わられ抑圧されたが、現在の言語でも例外的なイディオムと

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    2025年04月24日
  • 手段からの解放―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    カントの「判断力批判」を元に、快の対象を四つに分け、そのうち「ただ快適なもの:享受の快」を重視する議論を展開する内容。(p85の図がわかりやすい)

    これと混同されがちな快として、「設定された目的にとって手段として有用なもの:目的達成の快」がある。

    たとえば健康はそれ自体が快適だが、健康であろうとする目的で運動をするとか野菜を多く食べるとかは純粋な享受の快ではないとされる。(p82)

    お酒の例で言えば、お酒を味わって楽しんでいることは享受の快だが、アルコールに酔いたいという目的のための手段として使われればもはや享受の快は失われている(p92)

    その最たる例がドラッグであり、これは正に目的

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    2025年04月06日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    コロナ禍で行われた自由への強力な制限について取り上げる中で、その必要性には頷きつつも、「目的のためにはどんな手段も正当化されてよいのか?」という切り口で自由とは何かを考えるという筋。

    【前半】
    現代の哲学者アガンベンはコロナ禍で人々の移動や経済活動、葬式で集まることさえも制限を正当化された事態について批判した。
    これによってアガンベンが逆に批判される(炎上する)ことになったが、ソクラテスの言うように哲学者は社会の虻として(p45)ぼんやりしがちな人々の目を覚まさせる役割があるため、アガンベンはそれをしたのだろう。

    逆に、役割を果たしていない者の例として教会と法律家を挙げている。「教会は信よ

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    2025年04月06日
  • 手段からの解放―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    現代社会の風潮が、手段に支配されつつあるという感覚は、確かに感じる。楽しいてなんだろう。なぜ趣味が思い浮かばないのか?趣味も手段化しているのではないのか?例えば、子供の頃は泳ぐのが楽しかったのに、大人になると健康維持の為の手段となっているように感じる。睡眠も、仕事のパフォーマンスを上げる手段になっている。資本主義というOSが知らず知らずに自らをそのように仕向けているのかなと、読みながら思い当たった。

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    2025年03月30日
  • 手段からの解放―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    嗜好品とは何なのか。そうした疑問へのヒントを得るために、今回はカントの哲学の深淵に迫る。
    カントはその認識論で有名であるが、今回は、カントの著作をもとに、享受の解を探る。
    途中の理屈付けはやや納得できない、理解が難しいところもあったが、カントは何かの目的のために行うことを低次の欲求能力を満たすものと位置付けた。定言命法によって理屈付けられる、つまりそれ自体が目的となるような(目的なき合目的性)事象は崇高や美とされるが、なんらかの目的があるからそれを行う、接種するというような事象はレベルの低い欲求とされる。

    本書を読んで、個人的に腹落ちした部分としては、『健康経営』というコンセプトへの生理的な

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    2025年03月30日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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     国分さんの解説するスピノザの思想は、万人に寄り添ってくれるような思想で、自分にとってはすごく心強い考え方であった。

     特に印象に残っているのは、自由であるとは能動的であり、能動的であるとは自分の力が表現できている時であるという。また、スピノザは自由を度合いで考える。完全な自由になることはできないが、人間は生まれてから体の使い方を覚え、言語を覚え少しずつ自由になってきた。大人になってからもそれは同じで、自分の力を最大限に表現できるコトを模索していかなければならない。

     完全な自由は存在しないが、その自由の度合いを高めることはできるという考え方はすごく勇気をもらえた。今の情報社会では、他人と

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    2025年03月20日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    「暇と退屈の倫理学」を読んで興味を持った著者の講義形式の一冊。
    目的からの全体主義への視点は、興味深く且つ恐ろしく感じた。
    昨今の選挙の空気とかも薄気味悪さを感じるし、戦争前夜の世論の空気にも通ずるのかなと感じた。

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    2025年02月14日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    暇と退屈の倫理学を読み終わったため、読みました!正直、暇と退屈の倫理学で満足度高かったし色々頭の中でグルグルと考えることが多かったので疲れていたのですが、この鮮明に記憶しているうちに読みたくてすぐ読みました!疲れていても読む手が止まらなかったです。哲学好きにはたまらん。

    #タメになる

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    2025年01月21日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

    購入済み

    退屈なんて普段しっかり考えたことないテーマに惹かれ読みました。哲学書が大好きな私にはとても満足度の高い1冊でした。ちょうど、「幸せ」「不幸」について考えていたので自分なりに少し答えに近づけたような気がします。

    #タメになる

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    2025年01月19日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    東大で行われた学生向けの講義録。平易でわかりやすく、身近な話題を深堀されている。
    2回の講義に分かれており、初回はコロナ禍における「不要不急」について、第二回はそこからさらに広げ、目的、手段、遊びに展開していく。
    初回では、コロナ禍の中で、ジョルジュ・アガンベンを引きながら、通常の民主的プロセスを経ずに不要不急のイベントが延期され、緊急事態宣言の名のもとに行動制限をされることに関する哲学的な考察。感染症対策の是非という観点は一旦脇に置いた上で、アガンベンの批判の論点は以下3つ
    1. 生存のみに価値を置く社会
    a. 感染症対策の目的は、国民の健康維持であるが、健康の維持という名目であれば、あらゆ

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    2025年01月13日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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    これはいわば、自由を求める者たちへの指南書だ。

    スピノザは言った。「物事それ自体に善悪は存在しない。善悪を決めるのは組み合わせだ」と。目から鱗でした。例えば、毒キノコはそれ自体が悪いのではない。人間と掛け合わせると悪い作用が働く。動物が食べても問題はない。すべては組み合わせなんだ、と。さらに人間は無意識と意識でできているから、真の自由は手にすることができないと言う。だからこそ己の真理、己の美学を探究する必要がある、と。

    自由を手にすることはできない。限りなく自由に近づくには、自分に合った組み合わせを見つけなければならない。自分にとっての真理とは、自身が変わっていくことで生まれるのだから、と

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    2025年01月10日
  • 近代政治哲学 ──自然・主権・行政

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    ネタバレ

    國分功一郎先生が、ボダン、ホッブズ、スピノザ、ロック、ルソー、ヒュームの政治哲学を簡潔にまとめてくれてる良書。

    一般意志が行政には適用されず、立法にのみ適用される事が重要っぽい。

    ロックに手厳しくて笑った。


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    以下備忘録
    ①ボダン
    西洋社会においては9-13世紀に封建国家があり、14-16世紀にかけて緩やかに衰退した。
    封建国家では領土の概念は無く、政治的アクター同士の(複雑な)契約関係そのものが国家の概念。
    慣習が法として、信仰が規範として成立している時代。宗教戦争以後、国家の体制が論じられるようになる、その嚆矢がボダン

    内容は、絶対主義国家、主権概念。

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    2024年12月21日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

    ネタバレ 購入済み

    より多くの人に読んでほしい。

    2024年12月読了。

    ず〜っと気にして買っていたのに、中々手が伸ばせずに積ん読状態だったのだが、数年前にTVでオードリーの若林さんが称賛していたのを見て興味が湧き、読み始めたのだが、自分はうつ病を患っており、その時は具合が悪く途中で手を止めてしまった。
    その後(つい最近だが)思うところがあり、改めて初めから読み返したところ、夢中に成る面白さで、半日弱で読み終えてしまった。
    哲学書でこんなに読み易い本は、早々お目に掛かれない良書だと思った。そして若い読者にも理解しやすい書き方で、現国のテキストに使われたのも頷ける内容だった。

    中身を多くは語るまい。読み終えた人だけが、感想をスタート地として

    #アガる #深い #タメになる

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    2024年12月10日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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    今まで読んだエチカ解説本の中では一番わかりやすい。
    語彙も平易で、読みやすい工夫が凝らしてある良作。
    しかし、根本のエチカが難解なので、まだまだ小生の努力が必要である。

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    2024年12月08日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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    『エチカ』のエッセンスを、近代社会のとは異なる価値観として捉えて論じていく。現代人の常識からは、まさにOSの入替を要求される内容である。

    本質というとガチガチに固定された不変の形状という認識であるが、スピノザは個々人の活動能力を高める力であるという。人間を画一的に定義するのではない、人間に対する寛容さ、温かな眼差しを読み取ることができる。
    近年徐々に広がりつつある個人を尊重し認め合う風潮は、スピノザ的な感覚なのではないかとも思う。

    一旦は読み通したが、各章を自分なりにまとめ直したいと思える良著。国分さんの文章は主張が押し付けがましくなく、読みこぼしてしまう読者にも優しく手を差し伸べてくれる

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    2024年11月02日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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    ありえたもう一つの近代。
    國分さんの、哲学者が作り出した概念を体得し、それをうまく使いこなせるようになることという言葉に、スピノザを学ぶ生き方が見えた気がしました。
     学ぶことで、少し楽に生きることができます。

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    2024年09月29日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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    ・2回通読。学びつづけることに対して背中を強く押してくれる良書
    ・受け取れる刺激の幅を広げるもの、例えば精神的な余裕、学ぶことが有益である。ものを知り、自分を知り、自分が変わる。真理、神の存在を悟るためには、主体の変容、自己精錬が必要。これらの考え方は、腹落ちかつ目から鱗な金言
    ・神即自然、自由意志の否定などの表面だけ見てると、決定論的構造主義的な考えに偏ってるような印象を持つけど、上述のような主張を見るに、実存主義的な考えも併せ持っていると思った。そういうところはニーチェにも通ずるところを感じた
    ・再読時(2026/01/10)メモ。著者は近代以降の一般的な考え方とOSが異なると言っていた。

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    2024年09月05日
  • 社会の抜け道

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    古市さんと國府先生の対談。二人に接点あるかいな?と思ったけど、穏やかに噛み合わったり全く噛み合わなかったりする対話が粛々と進んでた。賢い人同士だと、分かり合えない部分で口論になったりしないんだなぁとしみじみ。

    最後の部分が良かったので引用。

    >(古市)僕たちがこの本を通してずっと話してきたのって、社会は革命的には変わらないってことだと思うんです。何か新しいシステムを導入するとか、新しい政治家が登場するとか、強大な敵を倒すとか、そんなことで社会は変えられない。社会はちょっとずつしか変わらない。
    >(國分)そうだね。「新しい何か」への願望って、本当に解決しなきゃいけない細かな具体的

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    2024年08月13日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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    少し難解だった点がいくつかあったが、スピノザの概念について浅くではあるが理解できたと思う

    まだ早い気もするがいつかエチカを読んでみたい

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    2024年07月23日