感情タグBEST3
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単に質問にたいして、國分さんがそれに答えるというよりは、質問者の問いに秘められた欲望を明らかにして、質問者にそれを再提示するというやり取りが鮮やかで興味深かった。
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相談者のメールにまるで推理小説のような明晰な洞察を加えて普通の人生相談を超えた内容の解答が素晴らしかった。知性の高い人ってこういう人の事を言うんだなぁと思った。
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テクストを読み解くスキルを活かし、哲学者が一般読者の人生相談に答えています。
アドバイスとして言っていること自体は良心的で、即問題解決に結びつくようなものではありませんが、しかしその「悩み」のどこが問題なのかを読み解き、なぜそのようなアドバイスをするに至ったのかを明確に述べています。
相談メールの中には何が書き落とされているのか、何が書かれてしまっているのか、どんな文体で書かれているのか。そこに書き手の人柄が表れるのであり、そこに着目するのがいわゆる批判的な読み方なのだと思いました。
文章を読み、書くための勉強になりました。
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相談の手紙に書かれていないところ、相談者が言っていないところに、本当の問題点があること。悩みも、解決策も常に個別・具体的であること。國分先生の、本質を見抜く見方・考え方や、鋭角的なアドバイスが、とても役に立っています。
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働き始めてから、OFFの時間に難しいことを考えられなくなった。難しい情報処理を受け付けなくなった。
疲れた頭でも思わず読み進めてしまったのがこの一冊。
他人の人生相談を読みながら、普段、いい子ぶっている自分の行間に、図々しい自己主張があるのでは、とえぐられるようだった。
それにしても哲学はおもしろい。
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一般的•抽象的なものはこの世に存在しない。存在しているのは個別的•具体的なものだけ(p175)と、相談者の文章から具体的な状況を読み取ろうという姿勢が素晴らしい。
情動と感情の関係、遵法闘争、運と無意識の選択、「観念の物質化」など面白い。
「言われていないことこそが重要である。人は本当に大切なことを言わないのであり、それを探り当てなければならない。」(p251あとがき)
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タイトルの通り、哲学者の國分功一郎氏が、とあるメルマガにて連載していた人生相談を本にまとめたもの。
寄せられた相談に著者が、主に哲学の視点と著者独自の考えから答えを出している。
中でも私が一番面白かったのは、「モテない」という相談に対し、そもそも「モテる」とは何なのか、という著者の結論。
「『モテる』とは『敷居が低い』ことを意味しているーこれが私の結論です。何らかの理由で或る人物の中に他人が入りやすくなっているとき、その人物は『モテる』のです。」(p.38)
誰もが抱える「心の穴」を埋めるため、多くの人が「心の敷居が低い」人に集まった状態。
それが「モテる」であると。
真理を得た気がします。
バーゲンセールにオバちゃんが殺到するイメージでしょうか?
見ててあまり気持ちの良いものではありませんね。
本書では「モテる」と「憧れの対象になる」ことは違うとも述べられています。
「モテ」より「憧れ」。
明日から「憧れ」を目指します!笑
本書には他にも33の相談が載っており、その一つ一つに、著者が丁寧に答えているのが印象的でした。
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「相談」って難しい、と思う。
誰に何をどんなふうにどこまで伝えたらいいのかが分からない。そして、誰かに何かをどういうふうに伝えられたときにどう返したらいいのかも分からない。
人と人との関係があって初めて成立するコミュニケーションであると感じる。
本書で相談者は、インターネットを利用して仮面を被った状態で著者に「相談」できる。それは顔や表情や性格と言った重要な部分を匿名にできるということだが、著者が推察と妥協で応えていく。
相談者の覚悟の度合いに応じる、それがとても良かったし、哲学的だと感じた。
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引用が上手。引用されてる本を読みたくなる。
関口存男の、世間が面白くない時は勉強にかぎる。 失業の救済はどうするか知らないが個人の救済は勉強だ。という文章が印象的。改めて読んで見たい。
人生相談の回答はなかなか良い。人間は間の抜けた自意識に振り回されてるんだなあ、と自分含めてこっぱずかしいものも多い。
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”「運がいい人」は、膨大な情報処理に基づいて
無意識のうちに適切な選択を積み上げている人”
“幸せな人というのは、「心の穴」を無理に塞いだりしようとせず、
おりあいをつけられる人”
”決断とは受動的なもの。
自分がおかれている事態を見つめ、自分の中に決断が出来上がるのを待つこと”
相談者自身で考える事を手助けしてくれる、
意外なアプローチからのツボを突いた回答が面白くて、
こんな考え方もあるんだという、視界が開ける感覚もある。
もっとこの先生の言葉を聞きたくなる。
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相談の裏を読む、水面の下の見えない部分を読む、そういう相談室。参考図書もたくさん挙げられていて、やや偏りがあるかもしれないけど、ブックガイドとしてもよいんでないでしょうか。
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この本を読むと、哲学とは無用の学問ではなく、世界の捉え方を学ぶ学問だということが分かる。國分功一郎さんは頭が良すぎて世間と乖離してそうなイメージを勝手に持っていたが、とても優しいことが分かる。だが同時にとても厳しいのはイメージ通り。
たくさんの読者からの相談に一問一答で答えていくが、全てが真摯。そしてとにかくテキストを大事にする。書かれていること、書かれなかったこと、ディテールから、相談の背景を読み取ろうとする。このテキストに向き合い読み解く力が、本当に信頼できる学者だと思う。
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つまらない情報でも、ある瞬間には思考の呼び水になったり、感性のツボを刺激してくれたり、目からウロコの体験のきっかけになる。そんな思考経験が詰まった度々ハッとさせられる面白い本だった。哲学を通じてのテクストを読む訓練を、してみたくなった。翻って、自分をながめるとっかかりとしても有効なように思う。
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哲学者の著者が、メールで送られてきた人生相談に全力で回答する、刺激的な本。相談の本質を炙り出し、自分勝手な内容についてはぶった切るのが面白い。自分が悩んでいることも、自分本位であったり、何かをごまかしているのかもしれない。深層心理について考えさせられました。
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とても面白かったので昨日今日で一気に読んでしまった。國分さんと相談者との笑えるやり取りや國分さんから相談者への痛快な回答など、実に國分さんらしい人生相談だなぁと思った。書かれたものどう読むか?というテキスト解釈の指南にもなっていて、その意味では大変勉強にもなった。