【感想・ネタバレ】哲学の先生と人生の話をしようのレビュー

あらすじ

『暇と退屈の倫理学』で話題の哲学者・國分功一郎が初めて挑む人生相談。ときに優しく、おおむね厳しい言葉で生きる力を与えてくれます。――父親が生活費を送金してくれません/子持ちの彼女への愛は本物か/勉強よりコミュ力?/恋愛が長続きしないのは?/女性との接し方が分かりません/婚外セックスに虚しさを感じ始めて…/語学を学ぶには?/哲学の勉強をするにはどこの大学がいいですか/夫に主導権を握られてます/彼女のために高級ソープ通いをやめるべき?/「自分に嘘をつく」とは?/年下と仲良くなるには/会社の先輩から行きたくない飲みに誘われます/タメ口の仕事相手が許せません/彼氏の仕事を応援できない/理想を持って働くことは贅沢でしょうか/母親と、母親の夫との距離感がつかめません/気力が萎えて困ってます/悲観的な夫に腹が立つ/自信を持つにはどうしたらいいですか/抑え難い復讐心があります……。人気メルマガ「PLANETS」で話題の連載、待望の書籍化!

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Posted by ブクログ

すごく良かった。人生相談って答える側のバックグラウンドをかけて応答されるんだな。哲学者が答えるというのがとても新鮮でした。ハッとする答えが多いのだもの。差し出された文面にどれほどの情報が含まれているのか。哲学者は、それを深いところから捉える。その威力を思い知りました。文庫買おうかな。

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2025年06月23日

Posted by ブクログ

こちらは、ひまわりめろん師匠の本棚から。

國分さんて本当に凄いですね。いや凄いわ…。
もう月並みな言葉しか出ない位に凄いわ。
大学時代の選考も院の選考も哲学ではないのに何故ここまでの域に達しているのか。

経済学も元は哲学の分野だったと本書で初めて知りましたが、確かに納得。
広告も人間心理を突いたデザインにすると効果が絶大になる訳で、心理学も哲学と繋がっているとなると全てが哲学に通ずるという…

もう「哲学を制するものは全てを制する」のでは説。
かのマルクスアウレリウスも哲学者目指してたしなあ。

國分さんはYouTubeなどで良く拝見していたのですが、文章になってもその軽妙さは健在。
哲学の予備知識がなくても、参考文献をさらりと紹介してくれつつ、非常に分かりやすく説明して下さいます。

ご本人も仰っていましたが、寄せられた人生相談の8割が恋愛に関しての悩みだという事ですが、本書も恋愛関連の問題が多めです。
自分には関係ないよ、と思われるかも知れませんが、ところがどっこい。
その回答の内容を読み解いて行くと、今の自分の悩みにどこか刺さる所が出てきます。

中にはセンシティブなお悩みもありますが、最初のお悩みが強烈。
『バブル世代の父親がドバイから仕送りを送ってこなくて困窮しています』
PNブリティッシュ・ホンコンさん

このペンネームのセンスも凄く好きなのですが、これに対して國分さんはまずブリティッシュさんの文章力と伝達能力を褒めてから、アドバイスに入ります。

このように國分さんの凄い所は、まず相談者の文章の裏の裏まできちんと読み取って、ご本人も気付いていない自己顕示欲や不安を暴いてしまうのです。(本当の所はご本人にしか分からないですが、そうかも、と納得させる説得力)

この辺りをご本人もあとがきで仰っていて、長くなりますがこれが本書の肝だと思うので転載させて頂きます。

「自分が相談相手の文面を、まるで哲学者が書き残した文章のように一つのテクストとして読解していたことに気がついた。哲学者の文章を読むときには、哲学者が言ったことだけを読んでいるのではダメである。文章の全体を一つのまとまりとして眺め、そこを貫く法則を看破し、哲学者が考えてはいたが書いていないことにまで到達しなければならない。
人生相談の相談文は、哲学者が書いた文章のようには十分に彫琢されていない場合がほとんどである。だが、どんなに表現が稚拙でも、どれだけ相談文が推敲を欠いていようとも、そこから読みとれることには何らかのまとまりがある。人間が考えていること、感じていることは、それほどたやすく体系性を免れはしない。人生相談を行うためには、その体系性をある程度までつかみ取らねばならない。そして、そのためには、書かれていることだけを読んでいてはダメである。途中で気がついたのだが、人生相談においてはとりわけ、言われていないことこそが重要である。人は本当に大切なことを言わないのであり、それを探り当てなければならない。」

すげぇ…すげぇわ。

今後、相談される事があればこの辺を念頭に置いて聞くようにしよう(私の鳥頭でどこまで出来るかは謎である)

基本的には誠意と愛情を持って回答をされているのですが、ひまめろ師匠も書かれていましたが時折、そんなん言って大丈夫?!という辛辣な表現も。
「自慢?」とか言い放ってしまう素直さ。
再三、自分に嘘をついてはいけない、と仰っているのでそれを実践しているのでしょうけれど心配になる。
でも笑える。軽やかです。

中でも私が注目したのは以下のご相談。
「勉強より、リア充のようなコミュ力を磨いた方がいいのでしょうか?」
「ぼくと家族が生き抜くためには何が必要でしょうか?」

前者はご相談者が大学生で、1人でサークルも辞めて勉学に勤しんでいるが所謂リア充の方が良い企業に内定する気がする、といった内容。
これは個人的に言いたい事もあるのですが(良い企業というのは個人的な主観なので視野が狭いなあ、とか偉そうに思っちゃったり、リア充で遊んでるように見えても努力している人多いよ?とか…)これに関しての回答が鮮やか。
ご自身の学生時代の周りの友人の事を例に挙げて、それは結局分からない、と仰っています。(本来はもっときちんと回答されていますが)

後者は我々読書家には密接した問題。
ご相談者は出版社にお勤めで、ご自身で出版業界のことを「斜陽産業」と仰っています。
これに関しての回答も辛辣ですが気持ち良い。
國分さんは売れないと言われる哲学書を数万部売ったし、今も売れ続けている。これは編集者さんのお陰であり、相談者さんのような「自分はこのまま社畜」と思っているような編集者ならばこのようなアドバイスはできないだろう。と。

暗に無能とか言っちゃってるけど、大丈夫…?

気になられた方は是非ともご自身でお読み頂きたいのですが、このようにどの質問にも哲学をベースに、真摯にかつ爽快に回答して行く良書です。
こりゃあ面白い!

何度も出てくる「自分との対話」と「人に話す」というアドバイス。
自分との対話はよくしていますが(妄想とも言う)、後者に関しては決められた相手にしか出来ないのですが、それでも恵まれているなあと実感しました。
これからもその友人には話を聞いてもらおう(迷惑)

ひまわりめろん師匠、これ、めっちゃ面白くて勉強になりました、ありがとうございます♪

哲学とは書かれてますが、基本はメルマガの書き起こしなのでとても読みやすいです。
時には笑えますので、少し普段の考え方に軽やかに哲学を取り入れてみようと思われている方にはお勧めです。
そう言えば國分さんの『暇と退屈の倫理学』が積み読されているのに気付きました。
読まねば。

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2025年02月10日

Posted by ブクログ

うわー、めちゃめちゃ面白かったー!

「哲学の先生」こと國分功一郎さんが人生相談に答えます

もうね、これがもうね鮮やかなのよ
哲学すげー!いや國分功一郎さんがすげーのか
しかもこれ2013年の刊行でこのとき國分功一郎先生は37〜8歳だからね
それでこの鮮やかさまじすごい

相談文の裏側まで読み取って、相談者自身も気付いてないんちゃう?ってところにも回答してます

また時には、こちらが大丈夫?って心配しちゃうほど辛辣なことも書いているんだけど、これがすごく納得感あるんよね

毎度毎度、國分先生には哲学にあるなんとなく小難しいイメージを覆されてスカっとした気持ちにされせらるんよな

中でも本書は半端ないスカっと感でした

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2025年01月26日

Posted by ブクログ

単に質問にたいして、國分さんがそれに答えるというよりは、質問者の問いに秘められた欲望を明らかにして、質問者にそれを再提示するというやり取りが鮮やかで興味深かった。

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2020年06月19日

Posted by ブクログ

相談者のメールにまるで推理小説のような明晰な洞察を加えて普通の人生相談を超えた内容の解答が素晴らしかった。知性の高い人ってこういう人の事を言うんだなぁと思った。

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2016年09月22日

Posted by ブクログ

テクストを読み解くスキルを活かし、哲学者が一般読者の人生相談に答えています。
アドバイスとして言っていること自体は良心的で、即問題解決に結びつくようなものではありませんが、しかしその「悩み」のどこが問題なのかを読み解き、なぜそのようなアドバイスをするに至ったのかを明確に述べています。
相談メールの中には何が書き落とされているのか、何が書かれてしまっているのか、どんな文体で書かれているのか。そこに書き手の人柄が表れるのであり、そこに着目するのがいわゆる批判的な読み方なのだと思いました。
文章を読み、書くための勉強になりました。

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2014年02月27日

Posted by ブクログ

相談の手紙に書かれていないところ、相談者が言っていないところに、本当の問題点があること。悩みも、解決策も常に個別・具体的であること。國分先生の、本質を見抜く見方・考え方や、鋭角的なアドバイスが、とても役に立っています。

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2014年01月16日

Posted by ブクログ

働き始めてから、OFFの時間に難しいことを考えられなくなった。難しい情報処理を受け付けなくなった。

疲れた頭でも思わず読み進めてしまったのがこの一冊。

他人の人生相談を読みながら、普段、いい子ぶっている自分の行間に、図々しい自己主張があるのでは、とえぐられるようだった。

それにしても哲学はおもしろい。

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2013年12月11日

Posted by ブクログ

一般的•抽象的なものはこの世に存在しない。存在しているのは個別的•具体的なものだけ(p175)と、相談者の文章から具体的な状況を読み取ろうという姿勢が素晴らしい。
情動と感情の関係、遵法闘争、運と無意識の選択、「観念の物質化」など面白い。
「言われていないことこそが重要である。人は本当に大切なことを言わないのであり、それを探り当てなければならない。」(p251あとがき)

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2013年12月08日

Posted by ブクログ

タイトルの通り、哲学者の國分功一郎氏が、とあるメルマガにて連載していた人生相談を本にまとめたもの。

寄せられた相談に著者が、主に哲学の視点と著者独自の考えから答えを出している。

中でも私が一番面白かったのは、「モテない」という相談に対し、そもそも「モテる」とは何なのか、という著者の結論。

「『モテる』とは『敷居が低い』ことを意味しているーこれが私の結論です。何らかの理由で或る人物の中に他人が入りやすくなっているとき、その人物は『モテる』のです。」(p.38)

誰もが抱える「心の穴」を埋めるため、多くの人が「心の敷居が低い」人に集まった状態。
それが「モテる」であると。

真理を得た気がします。
バーゲンセールにオバちゃんが殺到するイメージでしょうか?
見ててあまり気持ちの良いものではありませんね。
本書では「モテる」と「憧れの対象になる」ことは違うとも述べられています。
「モテ」より「憧れ」。
明日から「憧れ」を目指します!笑



本書には他にも33の相談が載っており、その一つ一つに、著者が丁寧に答えているのが印象的でした。

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2013年12月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

哲学の先生に対してメルマガの形で投げかけられた人生相談の回答をまとめた一冊。
人生相談においては言われていないことこそが重要であり。人は本当に大切なことを言わないのであり、それを探り当てなければならない。
この言葉にあるように、人の相談は文字にして読むと案外、何を求めているかは分かりにくい。

哲学の先生が質問の一言をヒントに、本当に大切なことを本当に聞きたいことを紐解く様子が面白い。

回答の中で、自分の人生においてもヒントになることがある。
恋と愛の違い。
幸せな人は心の穴を塞がない。折り合いをつける。
未練とはサービスを提供したにも関わらずその支払いを受けていないと思うこと。
自分の違和感を大切にすること。
プラス思考の人はある意味では自分にとって都合の悪いものをみないようにしている。

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

自分だったらどう答えるのだろうか、そして国分さんはどのように答えるのだろうか、そこに興味があって読んだのだが、国分さんの答えは、自分からはまず出てこない、自分からすればとてもじゃないがそんな答えは出せない、というようなものばかりだった。
しかし、その答えは共感できるものも多くあったし、そのやりとりは結構面白いものだった。

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2025年05月09日

Posted by ブクログ

ひまわりめろんさんのレビューを読んで手に取った本。
お悩み相談は恋愛関係が多めだったせいか(性的なものが思ったより多かった)、自分の悩みに ピンポイントで当てはまるものはなかったけど、興味津々で読んだ。
相談内容そのものというより、國分先生の文章の読み解き方がお見事でただただ感心。
「人生相談には、言われていないことが重要」という言葉の通り、文章に書かれていないその人の背景にまで思いを寄せて返答されていて、その姿勢は見習いたいなと思った。
同時に、國分先生みたいな人に相談したら、全てを見透かされてしまいそうで、ちょっと怖くもなった。

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2025年03月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「相談」って難しい、と思う。
誰に何をどんなふうにどこまで伝えたらいいのかが分からない。そして、誰かに何かをどういうふうに伝えられたときにどう返したらいいのかも分からない。
人と人との関係があって初めて成立するコミュニケーションであると感じる。
本書で相談者は、インターネットを利用して仮面を被った状態で著者に「相談」できる。それは顔や表情や性格と言った重要な部分を匿名にできるということだが、著者が推察と妥協で応えていく。
相談者の覚悟の度合いに応じる、それがとても良かったし、哲学的だと感じた。

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2021年12月31日

Posted by ブクログ

引用が上手。引用されてる本を読みたくなる。
関口存男の、世間が面白くない時は勉強にかぎる。 失業の救済はどうするか知らないが個人の救済は勉強だ。という文章が印象的。改めて読んで見たい。
人生相談の回答はなかなか良い。人間は間の抜けた自意識に振り回されてるんだなあ、と自分含めてこっぱずかしいものも多い

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2018年08月06日

Posted by ブクログ

”「運がいい人」は、膨大な情報処理に基づいて
無意識のうちに適切な選択を積み上げている人”
“幸せな人というのは、「心の穴」を無理に塞いだりしようとせず、
おりあいをつけられる人”
”決断とは受動的なもの。
自分がおかれている事態を見つめ、自分の中に決断が出来上がるのを待つこと”

相談者自身で考える事を手助けしてくれる、
意外なアプローチからのツボを突いた回答が面白くて、
こんな考え方もあるんだという、視界が開ける感覚もある。
もっとこの先生の言葉を聞きたくなる。

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2015年06月05日

Posted by ブクログ

相談の裏を読む、水面の下の見えない部分を読む、そういう相談室。参考図書もたくさん挙げられていて、やや偏りがあるかもしれないけど、ブックガイドとしてもよいんでないでしょうか。

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2015年02月12日

Posted by ブクログ

個人的に、最近悩んでもやっとしてたことが、あれやこれや言葉になっている感じであった。
こういう本に出会えたことに感謝

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2014年09月23日

Posted by ブクログ

この本を読むと、哲学とは無用の学問ではなく、世界の捉え方を学ぶ学問だということが分かる。國分功一郎さんは頭が良すぎて世間と乖離してそうなイメージを勝手に持っていたが、とても優しいことが分かる。だが同時にとても厳しいのはイメージ通り。
たくさんの読者からの相談に一問一答で答えていくが、全てが真摯。そしてとにかくテキストを大事にする。書かれていること、書かれなかったこと、ディテールから、相談の背景を読み取ろうとする。このテキストに向き合い読み解く力が、本当に信頼できる学者だと思う。

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2014年04月19日

Posted by ブクログ

つまらない情報でも、ある瞬間には思考の呼び水になったり、感性のツボを刺激してくれたり、目からウロコの体験のきっかけになる。そんな思考経験が詰まった度々ハッとさせられる面白い本だった。哲学を通じてのテクストを読む訓練を、してみたくなった。翻って、自分をながめるとっかかりとしても有効なように思う。

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2014年05月08日

Posted by ブクログ

哲学者の著者が、メールで送られてきた人生相談に全力で回答する、刺激的な本。相談の本質を炙り出し、自分勝手な内容についてはぶった切るのが面白い。自分が悩んでいることも、自分本位であったり、何かをごまかしているのかもしれない。深層心理について考えさせられました。

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2014年01月13日

Posted by ブクログ

実際にお会いして話をしたことがあるだけに、相談に乗っている國分先生の顔が目に浮かぶようで面白かった。

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2013年12月27日

Posted by ブクログ

とても面白かったので昨日今日で一気に読んでしまった。國分さんと相談者との笑えるやり取りや國分さんから相談者への痛快な回答など、実に國分さんらしい人生相談だなぁと思った。書かれたものどう読むか?というテキスト解釈の指南にもなっていて、その意味では大変勉強にもなった。

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2013年12月04日

Posted by ブクログ

直前に岡田氏の同類相談本を読んでいたので、一歩負けるなあという感じで読み終わりました。

以下戯れ言なので本当に失礼だったら申し訳ないんですが。

國分先生は、イケメンなのがもったいないなあって思っちゃうのは私だけなんでしょうか…

いやなんていうか、イケメンキャラを要求されて、要求されたら応えなきゃいけないから人間って。そういう風に形作られちゃってないかなあって思っちゃう。

素かもしれないのですが。

いずれにしても、崩しきれないというか。なんというか、私にはちょっと面白さが足りなくて物足りないでした。イケメンとかどうでもいいんだ!私!

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2014年10月09日

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