國分功一郎のレビュー一覧

  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    ハイデッガーの退屈三類型からの考察は、国分の丁寧な導きで、人間の生の暗い?深みをのぞかせていく。これは、第三類型の退屈の発見で、存在の無意味さへの終着を予感させた。
    ところが、そこから国分は、第三類型からの脱却もまた思考停止(存在の無意味さからの逃避)であると喝破する。これがこの本の革新性である。
    いわゆる自己啓発や中二的承認欲求がなぜ胡散臭く幼稚に見えるのか?それは存在の無意味さから目をそらすからだ。
    暇と退屈という観点から人間存在を解析してみせた斬新さと、失速しない展開は、国分の知的胆力の成せる技である。

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    2024年07月09日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    まさにタイトル通り暇と退屈についての倫理学が展開されているが、その元は系譜学(人類史)、経済学、疎外、哲学、人類学、脳科学など様々なジャンルの著作や研究から導かれていて非常に興味深かった。一生手離さない本だと思います。自分も別の視点から倫理学を研ぎ澄ませたいと思い、刺激を大いに受けた。

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    2024年07月03日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    今年1番の衝撃を受け、新しいものの見方を得ることができた一冊であった。この春に受験戦争を終え、急速に暇を持て余すようになった私は暇に悩むようになった。この本は、東大生、京大生に1番読まれている本と謳われるように、確かに暇と退屈を感じる大学生が読むべきものであろう。この本は、漠然と広がる「暇」や「退屈」という概念に対して、そのブラックボックスの中身を我々に提示し、そのからくりを説明するものであった。結論から言えば、特別に生活を大幅に変える必要は感じない。ただ、私を取り巻く暇や退屈との付き合い方が理解できた。

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    2024年06月29日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    ネタバレ

    目的を超えたある種の余白や遊びの部分に、人間の本質があるのではというのは共感。それを実現した人は結果的に目的思考の人を超越している印象。稼ぎたい、子供を喜ばせたいから野球をするのではなく、野球が好きだがら野球をしている大谷選手のような存在かなと思った。

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    2024年05月23日
  • 言語が消滅する前に

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    『暇と退屈の倫理学』『中動態の世界』の國分、『勉強の哲学』の千葉、共鳴し合う2人によるお互いの考えを深めていく対談本

    抽象的なのに現場感があり言葉が軽視されている現代の問題が心に響く。1984と共鳴する。

    今年ベスト10冊入りだ

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    2024年05月06日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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    めちゃくちゃ分かりやすかったです。
    ドゥルーズの入門書がどれも難解過ぎて、一度スピノザを理解したらドゥルーズの世界観を理解しやすいんじゃないかと思って読んでみたら大当たり。檜垣先生の『ドゥルーズ入門』(ちくま新書)が格段に読み進められるようになりました。
    自分も、デジタルよりアナログを信仰しているので、スピノザの汎神論はぶっ刺さりました。

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    2024年04月05日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    暇と退屈の倫理学を読んで
    正直、お腹いっぱい状態から、でも忘れないうちに
    こちらを読みました。

    繋がってるところも理解しやすく
    続けて読んでよかったです。

    ど素人では、引用文だけ読んでも
    ???なところも、
    つまりこういうことでと、わかりやすくお話しされていて
    よかったです。

    贅沢とか自由とか
    そんなに深く考えることなんてなかったので
    まさに、消費社会に閉じ込められて
    管理されるまま、疑問も抱かず生きていたんだと
    2冊読んでまず、今率直な感想です。

    これから生きていく中で
    思い出しつつ
    楽しむこと、本当の自由でいることが
    できたらいいなと思います。

    なかなか難しいけど
    一方でなんか、

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    2024年03月22日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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    ネタバレ

    ・「エチカ」を読んでみたい。

    ・スピノザの哲学の出発点にあるのは「神は無限である」という考え方。

    ・「『いま、自分はこの物について確実な認識を有している。確実な認識とはこのような認識のことだ』、そのように感じることができるのは、何かを確実に認識した後のことだとスピノザは言っている」これは数学を学んでいてその通りだと感じる。

    ===
    ●位置: 289
    神は絶対的な存在であるはずです。ならば、神が無限でないはずがない。そして神が無限ならば、神には外部がないはずだから、したがって、すべては神の中にあるということになります。これが「汎神論」と呼ばれるスピノザ哲学の根本部分にある考え方です。

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    2024年03月12日
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)

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    やっぱ散歩だな!(笑)

    時に人類の歴史を辿り、時に動物の感覚を味わい、時に哲学の巨人に立ち向かいながら、様々なジャンルをまたいで暇と退屈について論じることで、「人間は暇と退屈にどう向き合っていくべきか」という巨大な問いに迫ります。

    過去に読んだことのある哲学チックな軽い読み物(「人生に役立つニーチェの言葉」みたいな?)にくらべると、重厚な文体と内容ですが(それでもおそらくカタい哲学の学術書に比べると相当やわらかく書かれているだろうことは、学術書を読んだことのない私でも察しがつく)、読み応えがあり、読後の達成感もひとしおでした。文章の解像度が高すぎて私の脳では処理に苦しむ箇所もあったりして、

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    2024年08月21日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    “人間が自由であるための重要な要素の一つは、人間が目的に縛られないことであり、目的に抗するところにこそ人間の自由がある”

    本書は國分功一郎先生による講義、授業の内容を、2部構成でまとめたものである。 

    一つはコロナ危機の中で発せられた緊急事態宣言から考えた、危機的状況下での厳しい移動制限に対する哲学の視点からの考え。 

    二つ目は、コロナ禍でことあるごとに発せられた「不要不急」という言葉が内包する、必要なものと不要なものを区別するという消費社会の傾向についての考え。 


    自分は特に、二つ目の章の中での目的と自由に関する内容がとても興味深いと感じた。

    著者は、人間が豊かさを感じるのは、

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    2024年02月10日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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    スピノザの概念が実例を交えてて分かりやすい。
    後半のデカルトとの関連性も面白い。
    最後の方に語られる実践編についても聞いてみたい。

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    2024年02月08日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    第1部はアガンベンのコロナ禍における主張を通して、哲学者の存在意義を説く。それは当たり前と思われていることに虻のようにチクリと刺す役割だ。

    第2部は、『暇と退屈の倫理学』に連なる、消費と浪費の違い、目的をはみ出す行為の存在を論じる。

    非常によく分かる講義だった。
    質疑応答も実りの多いものだった。

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    2024年02月05日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    ・とてもよみやすい

    ・"贅沢はそもそも目的からはみ出るものであり、それが贅沢の定義にほかならない"
    →目的を見失ってしまうことや手段が目的になってしまうこと,手段に没頭することを悪しきものとせず,これを自覚したらその瞬間をもっと大事にしよう.それこそが贅沢なのだから.
    →合理的な目的設定,最短・経済的・効率的な手段だけを執行する生活は息が詰まりますな.ゲームに没頭しフロー状態に入っている瞬間に幸せを感じるのは,ある目的から逸れ,寄り道をしていることを,それ自体を無自覚になるレベルで行えるからではなかろうか.
    まさに"行為は目的を超越する限り自由”

    消費:記号や

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    2024年01月28日
  • はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

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    思考を深めるにはとても良い本。小難しさ感がありそうで、ちゃんと理解できる。
    生き方・考え方について深い洞察が得られる。

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    2024年01月04日
  • 言語が消滅する前に

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    ネタバレしてもいい。いいものはネタバレしてても感激する。
    というところもそうだな。
    レビューの内容が、感激を伝えてるかどうかではなく、ネタバレしているかどうかで評価されるレビューは果たしてどこ向けのものか。
    評価を下す人は、評価を下すことによって自分の手柄に(私有化)しようとしているのか。

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    2023年12月30日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    『暇と倫理の論理学』の続き。
    コロナ禍で國分先生が考えたこと、現在進行中で考えていることについて、大学生・高校生への講義として話したことがまとめられている。

    目的が幸福を奪っている?

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    2023年12月27日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    アガンベン

    死んだ者たちへの敬意の喪失は、歴史への畏怖の喪失へとつながり、これまでに先人たちが積み上げてきた価値への無関心へとつながるのではないでしょうか。

    移動の自由が認められることが支配されないための最低条件

    現代社会では、生存だけを取り出して、「精神的な生の経験」無しの「身体的な生の経験」を考えることが当たり前のようになってきている。

    例外状態の最悪事例、ナチス。

    権利は一度捨ててしまうとなかなか取り戻せない

    日本の自粛警察、相互監視体制

    オープンが加速すると批判的精神が薄まる

    政治とは、話すこと

    何かを信じる。それを軸にしないと影響されまくる。

    自分より以前に死

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    2023年12月10日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    自分であり続けるために 考えること、すること、を放棄しないでい続けたい

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    ものを考える中でチクリと刺したり、チクリと刺されたりということが起こってほしい

    あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく世界によって自分が変えられないようにするためである

    動機づけや目的が重要な要因ではないというわけではない。それらは行為の個々の局面を規定する要因であるが、こうした要因を超越するかぎりでのみ行為は自由なのである

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    2023年10月17日
  • 目的への抵抗―シリーズ哲学講話―(新潮新書)

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    タイトルからは何の本かわからなかった。

    今はコロナも5類になり、行動制限も緩和、というかなくなったに等しい。

    が、緊急事態宣言下、我々は政府の試行錯誤の政策で、学校の全面休校、

    夜の街の制限、移動の制限等、思い切り行動制限を受けた。

    コロナ禍の影響度合いがわからぬ中、やむを得ない措置であったといえるが、

    ここで考えよ、と著者はいう。

    唯々諾々と、無批判にこれを受け入れていいのか、と。

    コロナ禍で亡くなった方は遺族に送られることも許されなかった。

    それでいいのか、と。アガンベンという哲学者の言葉を引用しつつ語っている。



    幸い自分はコロナ禍の影響はたいして受けずにすんだが、

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    2023年10月09日
  • スピノザ 読む人の肖像

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    新書としては分厚い。

    私はスピノザの『エチカ』を畠中訳で読んだことがある程度だった。

    勇気が湧いてくる本だった。また、頭のいい人が書いた人の本だった。

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    2023年09月11日