國分功一郎のレビュー一覧
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「利他」について様々な分野の方が論じた本。
ちょっと「利他」との結びつきがよく分からないとか取って付けたようとか思うところもあったが、それが利他という概念の広さや説明の難しさということか。
結論としては、利他とは「うつわ」とか「余白」であるということのようだ。
中動態についての話の中で「人間的因果性(=そ人が加害者として行う行為)」と「神的因果性(=運命の被害者としての行為)」は混じり合うが混同されない、というヴェルナンの定式が紹介されている。どういうことかというと、「人は加害者であり被害者であるという二律背反が肯定されている」ということ。被害者性をとらえることで、加害者性もとらえられるよう -
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学生時代、ソ連の威光はだいぶ落ちていたが、レーニンは毀誉相半ばしており、ロシア革命への興味から、『国家と革命』も『何をなすべきか?』も読んだのだが、今回本書を読んでみて、いかに読めていなかったのかを痛感した。
著者は、この2つの著作を精緻に読み解くことによって、レーニンの思想、国家・革命についての考え方を丁寧に辿っていく。決して読みやすくはないが、著者は一つ一つ順を追って論を進めていくので、諦めることなく読み進めていけば、これまで思いもよらない新しい地平に連れて行かれる。
ただ、第3章、第4章ではフロイト思想との関係が論じられるのだが、抑圧されたもの、<死の欲動>についての議論は、正 -
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四回の講義録+補論で構成される。
語句的にも難解なハイデガーに対するアプローチ、読み解き方を体験できたのはよかった。また第一講の1950年代における核技術に対する思想家の反応、日本の動きは知っておくと原発に対する見方が深まる内容で、第三講の最後部までは概ね星四以上に近いものだったと思う。
ただ他のレビューで言及されているように、原発推進派をナルシズムに結びつけるのはやや性急な感じが否めない。もちろん途中のアレントの指摘、つまり「人間の条件」からの脱出も相まって、原子力というものがある種の全能感を持って受け入れられたのは相応に当たっていると思う。
しかしそれは1950年代やそこらへんの原 -
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『暇と退屈の倫理学』の國分先生が、哲学の視点から人生について考察し、日常生活の中で湧き出てくる問いをわかりやすく解説する本。
恋愛、結婚、仕事、家族など相談内容は多岐に渡り、読者自身が考えを深めるためのヒントを提供してくれる。
「生きる意味」や「人生の目的」といった普遍的な問いについて考察されるが、わかりやすい平易な言葉で書かれているため、哲学に馴染みのない読者でも理解しやすい内容となっている。
ちょいちょい挿入される哲学者の下世話エピソードが結構おもしろい。
ーーーーーーー一以下、抜書きーーーーーーーー
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フィンガレットによれば、岐路に立った人間が自由意志で選択するのが決断であると -
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この本をすめすめてくれた方への私のメールの一部を貼り付けて感想とします
「さっそく、まずは哲学者國分功一郎さん「来たるべき民主主義」を読みましたが、とても勉強になりました。年齢の割に世間知らずということでしょうが、主権者たる国民が政治に関われるのが立法府のみでこれを民主主義というのはおかしい。生活に密着する多くの決定は行政機関でなされる事が圧倒的に多い。行政が道路を決めたら反対するすべもない。住民に説明するだけでよい、了解をとる必要がない。というのです。
署名を集めても住民投票を議会は拒否できるし、住民投票までたどりついた小平市の事例は町長が後出しで投票率が50%を超えないと開票しないとい -
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道具的で記号化してきた現在の言語。
実存主義、エビデンス主義、メタファー、心の闇、アレントやスピノザ、ハイデガーなど引用しながら國分功一郎さんと千葉雅也さんの言語に対する想いも含め、近年変化していく言語をどう取り戻すのか、そもそも言語とはなんなのか、そして言語無き人間とは存在するのか。
例えば「これは違反だ」とか「違法だからダメだよ」とテレビでモザイク入れて、悪い人を煽ることが当たり前ですが、その一つ一つの問題を法外まで考えている人は叩かれてしまう。
しかもその法外までを考えていくと、自分で考えて言語化しなければならないからめんどくさい。そうなると、もう法律がそうなんだからと言って、エビデ -
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利他という言葉を最近になってラジオで耳にし興味を持つようになりました。なんとなく自分よりも相手や周りのために尽くす意味合いかと思っていましたが、利他にも色々あるらしいです。
本の内容は全体的に難しく感じましたが、利他について考える行為自体がとても大切な事なのだと感じた。何のための利他なのか、誰のための利他なのか。
一章 伊藤亜紗さんの
・利他は自分のためになる?
・数値化によって消える利他の感情
・他者のコントロール
・信頼と安心
が良かったです。
利他的な行為を行う上で自身が気をつけること、利他的な行為を相手から押し付けられた時の考え方等自分と相手の関わりの中で客観視するヒントを貰えたように -
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伊藤亜紗の「利他」についての概論が一番よかった。
なぜ今、「利他」なのか、ということが、まず知りたかったので、ジャック・アタリの合理的利他主義や効果的利他主義についての説明がありがたかった。
中島岳志のいう「利他」は合理的利他主義とは違い、湧き起こるものであること、親鸞のいう若松英輔の「利他」は民藝の文脈からの「ウツワ」にその本質を見出すものであった。特に中島岳志に関しては、意外。ここだけではわかりにくいので、中島岳志の「思いがけず利他」もこの後読んでみようと思う。
國分功一郎の言う中動態がなぜ「利他」と繋がるのか興味があったが、なるほど「義」がそうであったか。つまりはやむに止まれぬ、湧き