日明恩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
働く女性の生活の一部を切り取った短編アンソロジー
女性視点で描かれる各小説から、働く女性の悩み、苦しみ、喜びを感じ取ることができ、不覚にも「クール」で涙した。
他にも、伊坂幸太郎さんの書いた短編は短いながらも伏線が貼られており、読んでいて点と点がつながる心地よさを感じることができた。
エール3作を通して、「働くこと」「社会とつながること」の二つについて考えるきっかけを得れたと思う。今までは社会の歯車というマイナスイメージを持っていた会社員も、見方を変えれば誰かを喜ばせる素敵な仕事のように感じた。
社会人になったのちも、誰かを喜ばせる仕事をしたいし、その喜ばせれるかも知れない機会を「面倒だから」という理由で逃げない大人になりたいと強く思う。
エールは女性中心で「派遣社員」「契約社員」「パート」といった人が登場することが多かった。今度は男性中心のエールを読みたいと思う。 -
Posted by ブクログ
救急車がジャックされた。
乗っていたのは、沈着冷静な隊長の筒井、救急救命士の資格を持つ優等生の森(女性)、そして、元暴走族(?)の機関員の生田。
しかし、実行犯(悠木)は、自分は犯人ではないという。
実は、真犯人に人質(家族)を取られ、爆弾を持たされたうえ、無理やり救急車のジャックをさせられたのだと言う。
果たして、真犯人の目的は何か?
動機が見えないまま、救急車は、真犯人の指示で、次々と指定場所を目指す...
疾走感溢れる文体で、読み出すと止まりません。
筒井隊長の怪我やトイレ、ガソリンの欠乏などなど、あらゆる難題が、生田たちを襲う。
果たして、生田たちは、真犯人の企みを阻止することができるのか?
今回の事件により、人生が変わった女子高生やTV局の職員などの人達の心境の変化も見ものです。
また、真犯人の動機につながる救急医療の抱える問題も見逃せません。 -
Posted by ブクログ
救急車ジャックに込められた壮大な問題提起。
日明恩作品は初めてだったけど、
すごくおもしろかったし考えさせられた。
スピンオフらしいので他のも読んでみよう。
生田の昔は悪かった感を出すべくな喋りが
自分の好み的には少し過剰だったけど
みんなそれぞれキャラもよく
どんどんのめり込んでぴゃっと読めた。
みんな、心から救いたい気持ちで
必死で、一生懸命仕事してる。
熱い想いが作品中にどくどく溢れてる。
全然知らなかった救急車や関わる人たちのことを
少しでも知ることができて、
少しでも考えることができてよかった。
まだ自分の生活に関係したことがないだけで、
ほんとはちゃんと知ってないといけないことだし
これからいつどこで初めて遭遇するかもしれないし。
何度か電車の中でぽとぽと涙落ちてしまった。
最終的にはかなり壮大な映像になってるので
映画化とかしてほしいな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ日明恩による消防士の成長物語。
主人公・大山雄大は現役の消防士だが、楽してもうけるために現場の消防士から早く日勤の消防士に変わりたいと願うやる気のない消防士。そもそも消防士になったのも父が助けた仁藤の売り言葉に買い言葉で成り行き上なったようなもの。
そんな雄大がある事件をきっかけに父との向き合い方、仁藤とのつきあい方など、これまで受け入れられなかったことを少しずつ受け入れられるようになりながら、同時に消防士として成長していく姿が描かれる。
といっても、基本はやる気のない消防士の雄大。クラゲのようにこの世から消えてなくなりたいと願う引きこもり中年の守、幼い頃からのダチ・裕二らにせっつかれながら少しずつ消防士としての心構えを理解していく、という程度ではあるが、それが実は大きな成長を感じさせるストーリー展開となっている。
消防士の物語でありながら、一方では入国管理官・小坂を軸とした不法就労外国人やそれを助長するような現代の経済状況を糾弾する社会派ミステリの側面も持ち合わせ、主人公の一面では軽薄な、一面では人情に厚い不思議な魅力もあり、重い気持ちだけを引きずることなく読み切らせる。続編や関連作にも期待。 -
Posted by ブクログ
消防士が主人公と言うことで、本筋はもちろんなのですが、冒頭から随所に差し挟まれる消防士の仕事や制度についての盛り沢山の説明が面白かったです。
現場での緊迫感は、映画の「バックドラフト」を、本筋で扱われるテーマは同著者の「そして、警官は奔る」を彷彿とさせるものがあります。
こんな言い方をしましたが、二番煎じと言っているわけではありません。
むしろ、ミステリー、サスペンス、青春、家族、社会問題などの要素を目一杯詰め込んで、そのどれもをきっちり堪能できる大傑作だと思います。
武本や潮崎が活躍する「警官」シリーズ以外の著者の作品は初めてでしたが、主人公の活躍による痛快な部分と、個人では解決できないような大きな問題に対するやるせなさの部分が、絶妙にミックスされ強く印象づけられるというのが、日明作品の魅力ではないでしょうか。
500ページ越え(かつ、最近にしては字が細かい)の迫力ですが、一気に読ませる力のある作品ですし、ビビらずに(笑)多くの人に読んでほしいです。