日明恩のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレホントにノンストップでスピード感があり、最後まで退屈させない作品だった!
救急車がジャックさるという事件がどれだけ作品を引っ張れるのかと思っていたが、事件性も人間関係もしっかりと読ませるストーリーが練り込まれているし、過去の作品同様、救急隊員という職業についても掘り下げられている。
『鎮火報』『埋み火』からのスピンオフということで、生田に馴染はあったものの、今までのサブで培ったキャラを損なわず主役格としても十分な存在感を発揮していた。
…奥さんが元警察官だとは思わんかった。。。
物語的にも『鎮火報』『埋み火』のスタイルを踏襲しているのか、エンターテイメント性を表に出しながらも、その軸には救急病院による受け入れ拒否や、救急士が医療行為を行えないといった救急に関する社会問題を提示していっている。その問題に対しても、救急隊員の日常や業務について細かく書かれているからこそ、彼らの抱える葛藤も良く伝わってくる。
これもシリーズの特徴なのかもしれないが、大山雄大がそうであったように、生田も決して生真面目な熱血救急隊員ではない。
元々ヤンキー出身で、本曰くマイナスからのスタートのキャラクターだからこその説得力であったり、その想いが伝わりやすく構成されてたんじゃないだろうか。。。
生真面目と言えば、意外なトコで星野が登場してきたが、こちらも相変わらずのキャラでうまくストーリーに絡んでくれたかと。。。
その意味では、雄大を話題等で触れるレベルに留め、本人を登場させなかったのも程良いバランスだったように思う。
そして、これでとうとう日明恩作品は全て既読してしまったのか、、、、と思いつつ解説に目を通したら、久々の新作があるんじゃないの!!
『やがて、警官は微睡る』って、こっちも久々の続編で武本・潮田コンビが読める!!
…ま、文庫化までは当分待たされそーだが。。。。 -
Posted by ブクログ
青春消防ミステリーということで紹介されていたので、正義感満載のライトな小説かと思ったら、良い意味で裏切られました。
在日外国人問題に切れ込む社会派小説の一面も持っています。
消防にまつわることが詳細に記述されていてそれだけでも情報が豊富で楽しめるのですが、それにも増して登場人物の一人一人のサイドストーリーまできっちりと描かれています。
青春小説らしく「正義とは何か」、「死ぬ権利とは何か」についても主人公を語り部として取り組んでいます。
それにしても、消防士というのはこんなに忙しいのでしょうか?確かに自分の身に災難が降り掛からない限りは無縁の存在ですが、消防に関わっている人達は、一般人が無縁の世界が日常なんですね。
これからは、消防車が鳴らす鎮火報を聞いた時に今までとは別の思いが湧き出てきそうです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ武本に、迷いはなかった。
という最後の一文に次作への不穏な空気を感じたのは私だけでしょうか。
さて、法に準じ真の意味で優秀なな警察官という部品になりきる武本には惚れ惚れします。機械かのような揺らぎのない人間性には感動すら覚えますね。
今回は暫定民間人として登場した潮崎も前巻から変わらぬ素直さが光ります。
登場人物は一新され、『キチク』武本が得た新たな相棒のあだ名は『冷血』。彼らが取り組むのは不法滞在者の無国籍児を取り巻く問題。のぞみ黒幕オチは半ばで読めてしまったものの、さいごまで面白く読めた。ただ最初の人身売買事件については十分な解決がないようで残念。
様々な現行法の問題点を指摘しながら進むのも、煩わしさは少なく興味深い。十分面白いストーリーなのだから、センセーショナルにするためだか知らないが導入部のエグい気持ちの悪さだけは勘弁してほしい。 -
Posted by ブクログ
老人たちの相次ぐ失火火事は、『失火』というには
何やら奇妙に怪しいものがある。
一体それが何なのか。
それを考えている主人公の友人は、『職場』の相次ぐ出火に
見回りを1人でする事になっていて。
何もかもを失くして無に帰す。
しかも子供達がどれもこれも財産の事しか考えていなかったら…。
それはもう、何も残さずどうにかしたいものです。
とは言っても、万全を期しても、それを実行するのは止めていただきたい。
その言葉に、どんな意味があるのか、何の意味もないのか。
人の背後は、その人が語らなければ分からないものです。
語ってもらわない限り、己の思考を言葉にして紡ぐのは勝手ですが
それを押し付けてはいけない、というのは当然です。
意見交換、とは違って、それは自分の『もの』なので。
私はこう思うけど、と参考にしてくれ、というのとも違います。
言い方には、考え方には、気をつけねばなりません。
しかし、結局『あの人』の正体がわかりません。
予測はできるのですが…答えを下さい!w -
Posted by ブクログ
警察官と麻薬捜査官の、2人が関わっていく事件。
分厚さに、かなり長い事件なのかと思いきや…いや、話も長かったですが
非常に分かりやすく、双方の違いが書かれていました。
正直、同じようなものかと思っていたのですが
権限も何もかも、双方違うものでした。
そして、その人達の背後と言うか、人間関係。
ちょっと連ドラを見ている気分でした。
が、確信に行くまで長いな、と。
しかし削ったら、多分これほどラストでの
わくわくもどきどきもないかと。
最後になるにつれ、先は? という一心で
次々とページをめくってしまいました。
とりあえず、警察内のものすごいなあなあ感が…w -
Posted by ブクログ
消防士雄大が活躍する「鎮火報」続編。
老人世帯で続く不審火と焼死。
その原因究明に、消防士の仕事としてではなく、矜恃として雄大が臨む。
前作同様の600P級の大作ながら、一気に読み進める展開はさすが。
前作と異なり消防仲間との人間関係の描写は少なめであるが、
あらゆる登場人物達の親子関係に焦点を当て、
それぞれが成長を果たしていく姿を見ていくのは実に気持ちが良い。
放火・焼死ととかく暗くなりがちなテーマを取り上げつつも、
全く暗い内容になっていない点も良い。
前作で大活躍した守の出番が少ないのはやや残念であるが、
雄大の消防士として、そして人間としての成長を、
まるで親のように見守ることのできる本シリーズ。
次回作も楽しみにしたい。 -
Posted by ブクログ
前作の「鎮火報」に引き続いて9時5時の内勤勤務を目指すやる気のない消防士、雄大の一人称で語られる物語で普段はなじみの薄い消防士という仕事を垣間見れる作品となっている。ただ、今回は雄大のプライベート部分でのエピソードが多く、前作に比べると消防士の業務や消防隊の面々に関する描写が少なくなってしまっていたのが少々残念。一方、親友である裕二の登場の度に行われるくどい表現は前作同様で、ここまで徹底されると本シリーズの"特色"と納得して諦めるしかなくなってきた。。
ストーリーの主軸は老人宅での連続失火に疑問を抱いた雄大がその裏に隠された真実を暴くコトではあるのだが、祐二の職場である工事現場での連続放火事件などのサイドストーリーが多かったり、真相自体にはギミックと言うかひねりがなかったりで消防ミステリとしての深みはあまり感じられなかった。その分、失火を手引きしていた中学生の裕孝も絡めて「家族」「親子」「絆」そして「個人の存在」といったテーマを描いたヒューマンドラマとして仕上がっている。当然、主人公である雄大と母の民子との親子にも一つの区切りが訪れ、それまでのテーマと相成って雄大の成長への布石となっているあたりは良い展開ではなかったのかと思う。
それにしても、前作から比べると雄大も成長したもんだと。。。
なんとなく正義感も強くなったし、やっと飲酒運転もやめたしで。。。
まぁ、読む前からの期待値が大きすぎた分、若干物足りなさも覚えた部分があったのは事実だが、それでも読みどころ満載で楽しめた作品だった。
ただ、このシリーズの存在を知りつつ、長らく敬遠していたのに気まぐれに今のタイミングで読んだコトには若干後悔が…
まさか、最後の最後に急な変化球で謎を残されても続きってまだないじゃんって感じで。
どーせならシリーズが出揃うまで待ってればよかった。。。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「Fire's Out」シリーズ
前作「鎮火報」の続きだけど、読んでなくても楽しめる
長身でガタイの良い若手消防士・雄大が主人公の物語
≪あらすじ≫
相次いで一戸建ての失火事故が発生する
共通点は
家が全焼
住人の老人が焼死
ただし周りへの被害はゼロ
出火原因は不運な偶然が重なったこと
不可解と感じた雄大が事故を調査すると
中学2年生の少年・裕孝が裏で手を引いていたことがわかる
彼は放火自殺をする老人達に、失火に見せかける方法を教えていたのだ。。。
≪感想≫
前半は事件のあらましと、火事や消防士の知識
中盤で少年・裕孝を見つけ
後半は「家族」と「人生」の話。
前作のようなミステリー要素は一切なく、完全にヒューマンドラマだった。
雄大とその友人・裕二、そして裕孝の三者三様の掛け合いは楽しく、名言もチラホレ出て良かったけど、所々説明が長く感じてしまった。
※巻末の「解説」より----------------------------
彼女の作品世界は地続きである。雄大の所属する赤羽台派出所のメンバーは「ロード&ゴー」にもちらっと出て来るし、本シリーズで裕二が働いている武本工務店の息子は、「それでも、警官は微笑う」「そして、警官は奔る」の主役なのだから。
------------------------------------------