日明恩のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
消防署を舞台とした青春お仕事小説かと思いきや、やはり「警官」シリーズをものする著者ならではの、登場人物それぞれにキャラが立ち、そしてサービス精神てんこ盛り、業界情報満載、一味も二味も違うエンターテイメントだった。
何しろ、売り言葉に買い言葉の勢いで「あくまで楽して得するためだけ」で、消防士になった元不良少年が主人公なのだから。そして、彼を取り巻く面々もそれぞれ過去を重荷に生きている。さらに、『そして、警官は奔る』でもテーマになった不法滞在外国人問題が絡んできて、入国管理官がキーとなる。
重い話や深刻な社会問題を取り上げながら、決して暗いストーリーにならないのは、主人公はじめキャラクターが魅力的 -
Posted by ブクログ
ネタバレ日明恩による消防士の活躍を描くシリーズ第二作。
相変わらず口では日勤消防士を目指すといいながらも、第一作と比較しても随分まともな消防士となった雄大。後輩消防士の香川との仲がギクシャクしていたり、自衛官出身の星野がいなくなってたり、何より漆黒の引きこもり中年・守がいないなど、前作からの違いが経過した2年を物語る。
本作では雄大の親友・裕二が勤める工務店の、完成間近の建物だけを狙った放火事件や死者が出ているのになぜか近隣に被害を及ぼさない程度の失火が相次ぎ、それらの謎に雄大と裕二が迫っていく。
当たり前ではあるが、消防士はチームで救助活動を行うため、誰かが足を引っ張るとみんなが危険にさらされる。そ -
Posted by ブクログ
日明恩のそれでも、警官は微笑うを読みました。
日明恩のデビュー作の刑事物のミステリーでした。
無口で武骨な武本刑事と名家の出身でおしゃべりな潮崎警部補の二人は密造拳銃のルートを探すために犯人を追っていました。
ところが、そこに麻薬捜査官の宮田という邪魔が入ってしまいます。
何とか犯人を検挙した武本と潮崎はその犯人から密造拳銃の販売ルートを解明しようとします。
宮田の恩師の泉は5年前に麻薬を打った状態で自殺していたことから犯罪者として糾弾されてしまいました。
このため、宮田は泉の汚名を返上するために事件の捜査を続けていたのでした。
二人の捜査が進んで密造拳銃のルートの糸口がつかめてきた矢先 -
Posted by ブクログ
とある赤羽の消防士視点の一人称語りで、ある意味ライトノベル。前半は、老人宅での連続不審火焼死の真相を調べるべく奔走する。これが半分くらいで終わってしまい、あとは若者たちの友情、家族とは、友達とは?みたいな説教臭い話になる。
作者も文中で書いているが、主人公(つまり、一人称視点の主)は馬鹿なので、しゃべる語彙がものすごく少ない。その反面、普通の文中(つまり、自分の考えていること)は非常に多弁で苦悩が有るというギャップは面白い。
文章は口語的に書かれていることも影響し、「てにをは」や主語の省略が多用されるため、読み始めてペースに乗るまで、相当鍛錬が必要な文である。
また、主人公の思考には非常 -
Posted by ブクログ
伊坂さん目当てで購入。
最初、どこか伊坂さんぽくないなぁと思ったのは、女性が主人公だからかな。何人かの語り手のなかに女性がいるパターンはあったけど、完全に女性が主人公と言うのは、伊坂さんでは珍しい気がします。設定もぶっ飛んでなくて、どうなのかなーと思い始めた頃に楽しませてくれるあたり、さすがですね。今回は他の作家さんの話とリンクしてたりして、この遊び心溢れるところが、やっぱりこの人が好きだと思わせてくれる。
他の作家さんもとても良かったです。皆さん職業のチョイスがいい。華やかさはないけど、裏方で大事な役割を果たしてるような、普段全く意識したことないような仕事が多くて。こんな仕事もあるのか、 -
Posted by ブクログ
ネタバレそもそもこのシリーズを読み始めたのが、この伊坂先生の短編が読みたかったからなのだけれど
思いの外どの話も面白くて表題通り元気が出るので1から順番に来て、
遂にこの3冊目。
いろんな職種の女性が描かれていて、本当にとても興味深い。
『ヴィーナスの誕生』
美術品展示と一口に言っても、華やかな表舞台だけでなく
作業着に身を包んでトラックで運んでくれる人もいてこそ。
両極端の場所にいるように見えるふたりの学生時代からの共通の夢が
叶うというのがとても良かった。
『心晴日和』
考えてみれば当たり前なのに、消防というと消防車に乗って現場へ駆けつける
というイメージが強く、電話を受けてくれる人にまで目が -
Posted by ブクログ
二か月前、渋谷消防署恵比寿出張所に異動となった消防隊機関員の生田は救急車の運転をも担当することとなる。ある日、出動中に収容した男が生田たちの乗る救急車をジャックし、爆弾事件を起こす。マスコミ、警察を巻き込みながら、犯人の設定した爆弾爆破のタイムリミットの中、街を疾走する救急車は目的地まで辿り着くことができるのか?また犯人の真の目的は?
下調べが素晴らしく医療関係者、消防関係者が読んでもその内容は読み応えがある。アマチュア無線との絡みが単調さを打ち消しおもしろさを増している。ノンストップの展開は読み手を一気に引き込み最後まではなさない。最後の展開の無理矢理さはともかく社会的問題に切り込みながら興