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その少年に目が留まった理由は、ただ一つだった。こぼれ落ちる涙を拭おうともせずに、立ち尽くしていたからだ。それもホラー映画の並ぶ棚の前で。しかも毎日。――ある事件がきっかけで、職を辞した元刑事の須賀原は、死者が見えるという少年・明生と、ふとした縁で知りあった。互いに人目を避けて生きてきた二人。孤独な魂は惹かれ合い、手を結んだ。須賀原と明生は、様々な事情でこの世に留まる死者たちの未練と謎を解き明かしていく。
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Posted by ブクログ
映画のシックスセンスをモチーフにしている小説で、自分がきっかけで少年を死に追いやってしまった元警察官の主人公と、幽霊が見えるという中学生の少年の話。 シックスセンスのような恐怖のシーンは全然なくて、ただ温かく、でもミステリーのようなドキドキ感も兼ね備えている小説で面白かった。
久しぶりに本読みながら泣いてしまいました。 (犬の話) 主人公の不器用だけど人思いな所と、パートナーの少年の純粋な優しさがたくさんの人を救っていくストーリー 亡くなってもなお思い続ける気持ちと、残された人たちの思いがとても感動しました。 少し長めの本でしたが、あっという間に読み終えてしまいました
幽霊の見える少年:明生と、過去の出来事がきっかけで職を辞した須賀原。現世に未練がある幽霊の想いを汲み取り、送り出していく連作ものである。明生の腕に触れることで須賀原は幽霊を見ることができる。 ホラー要素というより、人生の後悔や生きている人、亡くなっている人双方の心情に迫った内容。 犬や池で亡くなった...続きを読む少女のように同情するエピソードもあるが、圭子のエピソードのように、読んでいるこちらが恥ずかしくなるような「死に方」もあり、飽きずに読み進められた。 終章では須賀原本人の過去の伏線回収に至る。心がギュッとなるような思いだった。 坂木司『和菓子のアンソロジー』に参加した作家であり、こちらの作者がその本で書いた『トマどら』がとても面白かったので本書を読もうと思った。 文体も読みやすく、また他の本も読んでみたい。
訳あり元刑事と死者が見える青年の物語。びしょ濡れの少女の話が、謎解き要素的にも家族を巡る人間ドラマ的にも一番面白かった。
死者が見える少年と、ある少年の死に自責の念を抱えている男性の出会いの物語。 死後もなお現世に留まっている死者の「やり残したこと」を推測し、2人で解決に導くことで、死者の成仏を手伝う。 全5章+終章で構成されるエピソードは、基本的には後味が悪くなくスッキリ終わるので、安心して読める小説。個人的に好きだ...続きを読むったのは、「犬」の短編エピソード(秋の桜)。 主人公の抱く「自責の念」について、何度も匂わせで出てくるのが若干鬱陶しい(わりと冒頭で予想できるようになっているので余計)。 テーマは重いけれど、わりと淡々と進むので、さらっと読みたい人にはおすすめの本。
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