山口恵以子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
山口さんには何回目かのトライでやっと当たって嬉しい。序章では地面師達がいきなり集合する場面から始まり、そもそも地面師詐欺の手口がイマイチ把握出来ずに、最初は面食らったが、メンバーの年齢がそれなりで悪感情を抱けない。主人公・唯(70代)の背景が次章で明かされ共感していく。何故、唯が地面師詐欺の”なりすまし役”を手配する『手配師』となったかが描かれていた。唯自身が20代で詐欺に引っかかってしまった経緯が書かれ、唯はそれを受け止め、それならばと湿っぽくならずに次の生き方に踏み出す。冷静沈着な女主人公に惚れ惚れとなった。犯罪であるのにこうありたいものだと思わせるのはさすがだ。
唯は社会の底辺層で働きながら”なりすまし役”をストックし、その中から最適な人材を見つけ作り上げる役目だ。唯は長い歴史で信任を得ている一方で、なりすまし役を演じた窮地に陥った人々に大金をもたらし、第二の人生を歩ませているのだった。半世紀にわたり裏社会で腕を振るった唯が、70代で迎えた最後にして最大の仕事を請け負う。
途中で出て来た事件や人物が最終章で回収され辻褄が合い気持ちよく本を閉じられた。
まさに『痛快ノワール』だった! -
Posted by ブクログ
「食堂のおばちゃん」第19弾。
最近は、名前の上がる常連たちの顔ぶれが決まってきた。
賑やかさよりも、会話の内容重視な感じ。
常連客との会話は、懐かしい昭和を思い出させる。
今と昔の世相の違いを一緒に雑談している気分。
私も作者と同じ、昭和の人だからかも。
それは、単純な、「昔は良かった」という懐古ではない。
変化を楽しんだり、あれはちょっと黒歴史だったと苦笑いしたり。
客観的に見られる場合はいいが、いわゆる「生き残りに失敗した」立場の人はそうでないのだろう。
近くの病院の変遷が語られた。元は造船所で働く人々のための病院だったが、時代に合わせて変わって今も続いている。
はじめ食堂も、一流ホテルで修行をした孝蔵が一子と一緒に洋食屋を開き、孝蔵が亡くなると息子と一子でできる範囲の、家庭料理の食堂に暖簾を掛け替え、息子も亡くなると、その嫁の二三と一緒に続けることになった。その時々で、一子は自然に選んできたけれど、あまり気負っている風ではなく、お客への感謝を忘れないところが、大きな人柄を感じさせる。
今回の若い人たちの新しい動きは、いよいよ千歳の産休が明けて、ラーメン屋を再開することが決まった。
ということは、永野つばさのサンドイッチ屋は出て行かなくてはいけないということ。
千歳は保育園を探し、つばさは物件を探す。
そして、神田明神での結婚式の様子。
昭和懐古だけでなく、新しい風も吹いている。
昔の孝蔵の料理を食べたという人が二人、はじめ食堂を訪れる。
その後、いろいろあった人生。人はずっと過去の中にいることはできない。
はじめ食堂は、過去と現在、人と人が交わる十字路のような場所かもしれない。不思議な場所。
【第一話 ちょっとタイスキ】
【第二話 シェアする珈琲】
【第三話 お神酒でウェディング】
【第四話 牡蠣フライの賭け】
【第五話 復活の豚かつ】