スティーヴン・ハンターのレビュー一覧
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まさに娯楽エンターテインメント小説の決定版。
狙撃手(スナイパー)を主役にした小説は数あれど、本書が元祖スナイパー小説の最高峰だろう。
ボブ・リー・スワガーシリーズの第一巻。映画化もされている。
恥ずかしながら僕はこの本のことはずっと前から知っていたのだが未読だった。
いや、みなが傑作ということだけのことはある。
この本が1993年の刊行だとは思えないほど古さを感じさせない。
まさに手に汗握る大活劇。
主人公は、ベトナム戦争で海兵隊の狙撃手として活躍したスワガ―軍曹。現在は退役し、余生を一人で過ごしている。そんな彼のもとに特製のライフル用弾丸を試射してほしいという依頼がくる。そこからスワガ―は大統領暗殺計画という陰謀に巻き込まれていくのだ。
まじで、面白い。
冒険小説が好きで、スナイパーものが好物の人にはたまらない物語。
未読の人はぜひ、騙されたと思って読んでもらいたい。本当に冒険アクション小説の要素がすべて詰まった傑作だ。 -
Posted by ブクログ
【上下巻のレビュー】
あのボブ・リーが20世紀最大のミステリー「JFK暗殺」に挑む!
「JFK暗殺」といえば陰謀説の枚挙にいとまがないが、銃器に詳しい作者ならではの視点から導き出した答えは(小説としての脚色はあれど)何とも説得力のあるものに仕上がっている。それしてもまさか傑作『極大射程』と「JFK暗殺」がこんなにもリンクしようとは!?スワガー・サーガを読み続けている人にはいろいろなピースがピタリと心地良くハマる。そこまで上手くいくとは作者自身も考えてもいなかっただろうから、まさに天啓を受けたといえるような作品(原作を無視したトンデモ映画がシリーズ化していたら、本作は映画化出来なかっただろう)。そして最後に明かされるボブの真の動機とは!?そのカタルシスに酔いしれよ。本作を読むにあたり『極大射程』は必読だが、ボブとアールの親子関係を描いた一連の作品も読んでいるとより一層楽しめる。
ただこのシリーズの難点としては銃器を多少でも知っていればこの上なく楽しめるエンタテインメントなのだが、そこが分からないと銃の名前や口径云々といったこと自体がミステリーとなってしまうのが残念なところなのは変わりない。 -
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前作「第3の銃弾」が上手いことツボにはまったのか、同じ路線で来ましたね。
今度は第2次世界大戦時のソ連のスナイパー、愛称「ミリ」、恐るべき狙撃技術から「白い魔女」と呼ばれた女性が第2の主役。
歴史に埋もれた最後の狙撃が今、スワガーに依って白日の下に晒される。
導入部はいいです。スワガーの事件の関わり方が相変わらず弱いとは思いますが。
「白い魔女」はいったい誰を暗殺したのか?成功したのか?失敗したのか?70年前の狙撃を解き明かすことが、何故現在のスワガーへの妨害に繋がるのか?
この辺が解き明かされていく様は、実にスリリングです。
話が現在のスワガーに、1944年のウクライナに、ドイツに、ソ連に、と目まぐるしく変わるのですが、意外と読み易い。
極端な場合、2~3頁で場面転換してしまうのですが、同じ謎を追う形になっているので話が繋がるんですね。
スワガーの銃撃戦よりもミリの狙撃の方が面白い、と言う逆転現象が起きてしまっていますが。
老スワガーが無理やり事件に巻き込まれるよりは上手に話が展開します。まぁ、面白ければ何でもいいですが。珍しくハッピーエンドですし、後味はいいです。
この調子で次回作もお願いします。 -
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ネタバレスティーヴン・ハンターによるボブ・リー・スワガーシリーズ第三弾上巻。
前作でラマーの父とボブの父の関係がチラッと出てきたが、本作ではそれをより深く描くべく、物語が展開する。一方では前作でラマーを倒したバドの息子、ラスがボブに会いにやってくる。この、父と息子の物語が入れ替わり立ち替わり描かれる中、不穏な空気をまとったレッドや保安官・ドゥエインなどが絡んできて物語は混沌とし始める。
物語の中心を貫くのは、なぜアール・スワガーが殺されたのか、という点だ。アールはラマーの父、ジミーに殺されたと思っていたらどうやらそうではないらしいことが明らかになるし、アールが最後に関わっていた殺人事件の犯人ももしかすると電気椅子に縛られた黒人の少年ではなかったかもしれない疑惑まで飛び出し、これらが一体どうつながってくるのかが見通せず、先が気になりついページをめくってしまう。
それにしても、アールのカッコよさはどうしたものか。ただの警官でしかないが、毅然とした振る舞いにしびれてしまう。ボブはやや変人めいているが、アールは正統派という印象を持った。 -
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ネタバレスティーヴン・ハンターによるボブ・リー・スワガーシリーズの番外編。
本作だけ読むと、ボブ・リーの物語との関連性をほとんど見つけることができず、それゆえか日本語版は本作が最初に刊行されたという。この物語は確かに本作だけで完結しており、他の作品を読まなくても問題なく楽しめる。
とはいえ、前作「極大射程」を読んでいれば本作の中に本当にチラッとだけ現れるシリーズとの関連性に、思わずニヤリとなるだろう。本作中に前作との関連性を見出せるのはここのみであるのだが。
本作はタイトル通り、白人のワルどもの物語である。脱獄囚のラマー一味と不本意ながらもそれを追う羽目になるハイウエイパトロールのバドが、お互いの知恵を比べながら、追いつ追われつを繰り返す。
前作とは異なり、かなり下品で、バドもコンビを組む若手巡査の妻と不倫をしているなど、お世辞にも正義の人とは言えない側面を持っている。だからこそ、生々しく、生き生きと描かれているのだろう、登場人物たちの行動や考え、悩みなどが直に伝わってくるようでのめり込む。
ラマーは完全に悪党であるが、切れる頭を持ち、時折見せる優しさなど人間味あふれる側面もあるため、なんとも憎めない。
前作とは趣の違う形で読者を虜にする作品である。この物語がどのように次作以降に関わってくるのか、それもまた楽しみの一つである。 -
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ネタバレスティーヴン・ハンターによるボブ・リー・スワガーシリーズ第一弾下巻。
容疑者となったボブとFBIを追放されることになったニックがともに協力しながら自らの無実の証明と自らを窮地に追いやった相手への復讐を果たすために動き出す。
やがてニックはボブの無実を確信し、CIAの汚れ仕事を担ってきた組織の証拠集めを始める。ボブは意外とそこへの執着はなく、ニックはそんなボブの態度に苛立ちを隠せない。
この辺りの二人の描写の上手さ、これが最後の最後に法廷でのボブの公判の際まで効いてくる。なぜボブがこれほどまでに証拠に固執しなかったのかが明かされると、ボブという人の奥深さに改めてハッとさせられるとともに、ますます魅力ある人物としての印象を残す。全てがすっきりと、何も思い残すことなくラストを迎えるあたりも素晴らしい。 -
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ネタバレスティーヴン・ハンターによるボブ・リー・スワガーシリーズ第一弾。
様々な書評でかなりの高評価を受けている作品で、シリーズ作品が続々と書かれていることもあり、期待を持って読み始めてみた。
冒頭から上巻の半ば過ぎまではある意味退屈なまでにボブの人となりを描くことに費やされる。大きな展開もなく、淡々とボフの質素な生活、ハンターとしての力量、銃の解説、といったことが綴られ、正直何が面白いのかと思い始めた頃、物語が急展開を見せる。
ここからのジェットコースターばりの怒涛の展開は、まさにこの冒頭から続く下地があってこそで、容疑者となったボブがどんな活躍をしていくのか、下巻が楽しみである。 -
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今になってJFK? ダラスの熱い一日の事件を今になって、さらに新たに新解釈で小説化できるものだろうか?
そんな疑問で本書を首を捻りながら手に取る読者は多いだろう。そうした懐疑的な多くの視線を切り裂いて、スナイパー小説の第一人者である巨匠スティーブン・ハンターが、アメリカ最大の事件に対し真っ向ストレート勝負を試みた。
その志もあっぱれだが、その切り口もこんなにも鮮やかだとは、誰に予想できたろうか。ここのところ、失礼ながら鳴かず飛ばずのボブ・リー・スワガー・シリーズで、スナイパー小説の王道から逸れたような作品を書いていたこの作家が、こんなにも原点に立ち戻って、しかもあの傑作『極大射程』の続編という形でメインストリートもど真ん中に戻ってきた快挙の一作を作り出してくれたのである。かつてのハンター・ファンが泣いて喜ぶ傑作、胸のすく快作に仕上がっている。これはことによるとハンターの代表作と呼べる新機軸となるかもしれない。
ボブ・リー・スワガーも初老となったが、かつてのベトナムの特殊部隊兵士、銃撃のプロフェッショナルとしての勘は衰えることを知らない。今回は、まるでハンターの分身のような銃器アクション作家が、まるで『黄昏の狙撃手』そのままに車で轢き殺されるところから始まる。彼が調べていたのは、実はJFK事件の真相だった。彼の死を調査すべく依頼されたボブ・リーは、依頼以上に銃器のプロフェッショナルとしての観点から、ダラスのJFK暗殺事件の真相に多くの疑問を感じる。
リー・ハーベイ・オズワルドの犯行説を最も疑問視させた魔法の銃弾の解析が、銃弾のブロの視点から見ると意外なものであり、オリバー・ストーンの映画とは全然別視点からハンターの作品は発射された弾丸の謎に迫る。第三の銃弾とは本作品のオリジナリティを高らかに掲げたロマンであり、タイトルである。
その向こうに見え隠れする車椅子のスナイパー、極大射程の残党たち。そしてあのダラスではなく、現代の対決と復讐劇へと誘うプロットの見事さ。事実とフィクションによって糾われる縄のごとく、ボブ・リーの運命は、世界最大レベルの暗殺劇の中心軸へと下降してゆく。これは宿命の舞台劇でありながら、もはや歴史に対峙するプロフェッショナルたちの叙事詩そのものである。
ここのところ隠れがちだった。そもそものハンター小説の文学性、高密度性が戻ってきた感がある。ハンターは『極大射程』の緊迫した空気を蘇らせてくれた。読後も興奮冷めやらぬ何やらほてりすら感じさせるハンター世界の新たなる地平が見えるかのようだ。しばしスワガーのサーガから足が遠のいていたかつてのファンたちに、改めて再集結を促したくなる傑作小説が、厳然とここに存在する。 -
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ボブ・ザ・ネイラーシリーズ最新作。
シリーズ最高傑作!「極大射程」を超えた!は明らかに言い過ぎ。「極大射程」の20年後の世界、且つ「極大射程」におけるボブの立ち位置を上手に、本当に上手いことJFK暗殺事件にはめ込んで、ザプルーダーフィルムやウォーレン委員会でよく知られた事実を元に作者の想像(創造?)を重ねて1級のサスペンスに仕上げています。
上巻の終わり近く、ボブの決め台詞「狩りの時間だ。」が出てくるとゾクゾクします。
徐々に謎を解き明かし核心に近づいていくボブ、ラスボスはボブを「最期の地」に誘い込もうとする。
そして罠にはまったと思いきや。
またもや丘の頂からボブ・ザ・ネイラーの大反撃が始まる!この辺は1種のお約束事です。
怪獣が街を破壊する、キャリーがステージを火の海にする、と同様のカタルシスがあります。
大銃撃戦は終わるが本当に悪い奴はまだ生きている、と思いきや、最後の一撃。これもお約束。
安心して読めるサスペンスアクション巨編って言ったら変な誉めかたでしょうか。
大変面白かったですが、私の中でこのシリーズ不動の1位は「極大射程」に変わりありません。2位は「ブラックライト」3位が「狩りの時」かな。本作は次点。
ベトナムが遠くになるにつれボブの動機付けが弱くなるのは致し方のないところ。そこにJFK暗殺事件を持ってきたのは作者の慧眼。久々に楽しめましたよ。