あらすじ
『極大射程』をしのぐ衝撃のスナイプ・アクション! 最凶の聖戦の戦士[ジューバ]、アメリカ本土上陸。
伝説のスナイパー、ボブ・リー・スワガー、決死の追撃戦!
●あらすじ
ボブの分析をもとに割り出されたジューバの拠点にイスラエル軍が急襲をかけるも、軍はすんでのところで彼を取り逃がしてしまう。その後、消息を断ったジューバが向かったのは、まさかのアメリカだったとの情報が。
イスラム最強の天才シューターが狙う標的とはいったい誰なのか。射撃決行の場所と時間は? マンハントの最前線に復帰したボブが体験する壮絶な追跡劇。そして、やがて訪れる「狩りのとき」、二人の放つ必殺の銃弾がうなりを上げる! 巨匠の新たなる代表作がここに誕生!
【解説・野崎六助】
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
スティーヴン・ハンター『狙撃手のゲーム(下)』扶桑社文庫。
現代最高峰のスナイパー・アクション冒険小説シリーズ。解説によれば、いつの間にか第15作目ということだ。大昔からのファンとしては、この先もずっと続いてほしいシリーズである。
手に汗を握り、血沸き肉踊る展開が続く。年齢を全く感じさせないボブ・リー・スワガーの八面六臂の活躍。流石は伝説のボブ・ザ・ネイラー、我らがヒーロー。
イスラム最強の天才スナイパー『ジューバ・ザ・スナイパー』が消息を絶ち、アメリカに向かい、新たな標的を狙い始める。ボブはFBIと共に『ジューバ』を追うが……そして、迎えた『狩りのとき』。
凄腕シリア人スナイパー『ジューバ・ザ・スナイパー』対72歳のボブ・リー・スワガーの闘いの結末は……
本体価格980円
★★★★★
Posted by ブクログ
やっぱりスワガー・サーガは面白い。それが第一の感想だ。
今作のスワガーは70歳を超えた老人で、もはや激しい銃撃戦では前線に立てない、というか周りが必死に止めようとする。それはそうだろう。いかに鍛えていても、70歳の老人が特殊部隊とともにヘリボーンをしようと言い出したら誰だって止める。結局ヘリボーンはしてしまうのだけど。
そんな本作で主題となるのは、アメリカ国内に潜入したテロリストの発見だ。作者自身の銃への深い造詣をベースに、現代社会ならではのガジェットを駆使した捜査の様子は一級品のサスペンスとなっている。
詳細はネタバレとなるので伏せるが、鍵となっているのはAccuracy InternationalのAW338というライフルだ。普段はドラグノフを愛用するテロリストが、超・長距離狙撃を成功させるためにAW338を使うという設定から、スワガーの知識と経験を総動員してテロリストを追い詰めていくという寸法になっている。
作中でも述べられているが、このライフルは実際に英国軍のクレイグ・ハリソンが当時の最長狙撃記録を打ち立てており(英軍での登録名はL115A3だが、この辺りは気にするとキリがないため、作中と同じくAW338で通す)ハンターも長距離狙撃については相当に調べたことが窺える。銃器知識があるとより楽しめること請け合いだが、銃器知識がなくとも楽しめるだろう。そう、スワガー・サーガではおなじみのM700が出てくるのだから。出る場面については読んで確かめて欲しい。
Posted by ブクログ
狙撃手を追うスワガーだが、銃や弾丸の痕跡を追いかけていくうちに敵はすでにアメリカ領に侵入したことがわかった。
狙撃の練習状況から想定した狙撃ポイントを必死にさぐり、狙撃手の意図を突き止めようとするスワガーとFBI。
果たしては狙撃は食い止められるのか。
後半は手に汗にぎるひりひり感がいい感じです。
Posted by ブクログ
冒険小説が書店の正面の平積みスペースを飾っていた時代には、スナイパーものも決して珍しくなかった気がするが、今では、映画こそスナイパーをヒーローに据えた作品が途切れなく続いているものの、小説作品として花形になることは、本格ミステリーが復活している昨今ほとんどなくなってしまったようである。
スナイパーものの書き手としては自身銃器に造詣の深いハンターは第一人者であると思うが、そのハンターも、シリーズ・ヒーローであるボブ・リー・スワガーも共に高齢化してしまった。もう一作登場があるかどうか、危ぶまれるほどに。
寂しいことではあるが、時代は移ろい、時は流れる。ヴェトナム世代のスナイパーに今できることは何だろう。いまここにある危機、すなわちイスラムからアメリカに潜入したスナイパーを見つけ出し、その目的を探り、最後にはその狙撃を阻止することだ。
かくもシンプルなストーリー。相手は聖戦の戦士ジューバ・ザ・スナイパー。かつてのボブ・リー同様に天分の才能を持つ狙撃手。その意図はアラーの神への深い信仰。ストレートで曲がらない弾丸のような揺るぎなさ。
米国に潜入したジューバと彼をアシストする元メキシコ特殊部隊チーム、対するはボブ・リーやイスラエルの分析官までをも急遽交えて完璧を期した極秘捜索チーム。駆け引きとその行動と分析が面白い。かつて時代を謳歌した冒険小説の断面がここそこに見受けられる。
ターゲットは誰であるのかも最後の最後までわからない。仕掛けられた伏線、知略の攻防、久々にスケールの大きな狙撃スパイゲームを読んでいる感触。誰にでも奨められる小説とは言えないが、銃器や弾薬やスコープに関する専門的かつ科学的な分析、それによって狙撃場所を特定してゆく、スワガー・サーガならではの推理と、追撃の様子が手に汗握る展開で眼を放せない。男の子の小説はこうだと言わんばかりの展開だが、最近では女子でもこういう作品に餓えている方がいるのではないだろうか?
以前に比べれば・・
以前に比べればストーリー性は少し落ちたかなっていう気がします。そして、その分少し無理な設定が増えたような気がする。まあ、それにしても、シリーズものを読み続けてきて、スワガーはこんなに老いたのかという感慨もありますが、自分もともに年を取ってきたのだという感慨がひとしおですね。でも、読み終えた後、やはりスナイパーに復帰して、推理を働かせてほしいという気持ちがわいてきますよ。不思議だ。