司馬遼太郎のレビュー一覧

  • 胡蝶の夢(三)

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    正義・因循の両論は、争いの段階になればもはや根も葉もない。逆に、根も葉もないからこそ争いが血を見るのであろう。実態のあるものには、ひとは決して他人を殺すほどの昂奮はしないものだ(176頁)

    吾等は、樹木を崇拝するにあらず。…沙漠に立つれば一目分明のごとく、森林は人々に崇高の念をおこさしめ、黙思沈考の余裕を置かしむ(180頁)

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    2009年10月04日
  • 胡蝶の夢(二)

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    伊之助を見る不快・不調・不思議は、学習機能が一切ないこと。欠如の意味。


    病人を救うのは医師としての義務である(106頁)
    …今、当たり前であることのはじまり。

    学問、技術というものは、それだけでやってくるのではない(108頁)
    …概念に裏付けられ、また反対に概念に多大な影響を与える。

    絵図による学習という日本人の習性(177頁)

    (思想以外の即物的なものについて)概して日本人は何事でもよいことだとわかれば、すぐわれわれのすることを見習った。その点、かれらは大変実利的である(421頁)

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    2009年10月04日
  • 花妖譚

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    司馬遼太郎のデビュー作ともいえる「ペルシャの幻術師」と同時期に、本名・福田定一で華道の雑誌に掲載された連作短篇です。
    花にまつわる伝奇、縁起、幻想譚。大活字にもかかわらず一篇わずか10ページほどの小短篇です。
    初期に司馬さんが得意とした幻想小説であり、どこか中島敦を思わせる作品群です。
    どの作家であれ、初期の作品には幻滅することもあり、余り期待せずに読んだのですが、それがかえって良かったのか、十分に楽しめました。もちろん生硬さは見え隠れしますが、流石は司馬さんと思わせるものがあります。

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    2016年08月05日
  • 街道をゆく 2

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    やっとこやっとこ読み終えました。
    最近、韓流の歴史ドラマをよく観るようになったので、かろうじて理解できるかなという感じです。
    日本と朝鮮半島との関係は、それはそれは、語れば長い歴史になるわけで、この「街道をゆく」のための旅を司馬遼太郎さんは、1971年になさっています。
    日韓国交正常化6年後のことなのですね。今とは、当然、それぞれの人が持つ感情も違うわけですが、司馬さんは、そんな近い時代の話を追おうとしたわけではなく、
    もっともっと前の時代の、古の人たちの交流史を感じられたかったのだと思います。

    それにしても・・・話を追うのが大変でした。

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    2009年10月04日
  • 新装版 アームストロング砲

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    薩摩浄福寺党/倉敷の若旦那/五条陣屋/壬生狂言の夜/侠客万助珍談/斬ってはみたが/大夫殿坂/理心流異聞/アームストロング砲
    (2004.12.15 初版)

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    2010年02月28日
  • 十一番目の志士(下)

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    上巻の続き。時代によって必要とする人物は違っていき、人斬りも幕末では活躍しても維新後には必要とされない。人が時代を作るのか、時代が人を作るのか。人の存在意義というものを少し考えさせられた。時代に見合う才能を伸ばしていきたいね。

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    2009年10月04日
  • 十一番目の志士(上)

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    司馬遼太郎の著書。
    司馬先生の小説は、人の生き様とか考え、政治的な思惑みたいなところと、その見事な描写が好きなんですが、これはいわゆるアクションシーンばかりが目立っている印象で、やや物足りなかったので☆×3。
    主人公のせいもあるんだろうけどね。

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    2009年10月04日
  • 北斗の人 新装版

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    「坂の上の雲」を読んだあと、これを読んだらシンプルさに吃驚した。
    (それだけ坂雲が情報量多いってことだけど。)
    気楽に読む読み物としてなら良いのかも。
    でも、さすが司馬クオリティ。ちゃんと面白いです。

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    2009年10月04日
  • 新装版 戦雲の夢

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    【内容】
    土佐二十二万石の大領を率いる長曾我部盛親は、関ヶ原の戦いに敗れ、一介の牢人の身に落ちた。
    恥多い謫居の中で、戦陣への野望を密かに育くみ、再起を賭けて、遺臣たちと共に大坂夏ノ陣に立ち上がったが・・・。
    大きな器量を持ちながら、乱世の動きにとり残された悲運の武将を、鮮やかに描き出した長編小説。
    (ブックカヴァーより)

    【感想】
    1984年に発売された作品です。
    長曾我部家というと、盛親の父親・長曾我部元親が、四国を統一した覇者として有名ですが、彼が関ヶ原の合戦直前に亡くなり、東軍につくか、西軍につくか、政治的に動かなければならない最も大事な時期に、後を継いだばかりの盛親が、舵取りどころではなかったという不運があります。
    ただ、実際には、京都にいた盛親には、家康有利ということは分かっており、そのため、当初は、東軍につこうとしたが、使者が西軍が固める関所を突破出来なかったため、やむを得ず西軍についたということを考えると、盛親も凡将ではなかったことが分かります。
    作品中では、英雄たる者の条件として、野心、欲望に執着することが挙げられており、盛親にはそれが無いがために英雄になれない、とされる一方で、その真価を発揮するような場面(戦場)にはまだ遭遇していないとも書かれています。

    関ヶ原後、徐々に飢えていく長曾我部の旧臣達を救う(そして、彼らの想いに応えるためにも)、天下が乱れたら再び戦わなければならないということが確定している部分は、盛親の持つ優しさが表れていますが、牢人生活を続ける中で、野心を高めていき、どう生き、どう死するべきか、見定めてゆく過程、そして、大坂城で、他の牢人達と話すことで、純粋に戦で、目覚しい活躍しようとする。
    そして、事実、(わずかとはいえ)目覚しい活躍を見せる。
    そうした意味では、武将としての盛親の面目はたったのかもしれません。
    ですが、盛親に近い人々(雲兵衛や林豪)が見抜いたように、元は武将向きの人間ではない。
    大名家に生まれさえしなければ、僧にでもなった方が良かったような好人物。ゆえに、大坂の戦後は、無事、脱出し、静かな余生を送ったと思いたい、として作品は終わります。

    個人的に感動したのは、郎党を養うために、心ならずも藤堂家に仕えるようになった盛親の傅人子・桑名弥次兵衛が、旧主・盛親の元に戻って共に戦いたいと願いながらも、食べていくために叶わず、遠くから敵将として活躍する盛親を見て涙し、最終的に長曾我部と相見えた際、自殺とも言える最期を遂げるシーン。

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    2013年07月07日
  • 尻啖え孫市(下) 新装版

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    本願寺の鉄砲大名、雑賀孫市の小説の後半。いよいよ本願寺側として信長と対決する。面白いのだが上巻で感じた微妙な設定を当然の如く引きずっているのでそのあたりがやっぱり微妙。ただ孫市のキャラクターはあれでもいいと思う。

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    2009年10月04日
  • 尻啖え孫市(上) 新装版

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    恐らく信長を最もてこずらせた本願寺の戦場指揮官をとりあげた小説。内容的には面白いと言えば面白いが創作的な部分がなんとなく興ざめしてしまう。

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    2009年10月04日
  • 新装版 真説宮本武蔵

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    真説宮本武蔵/京の剣客/千葉周作/上総の剣客/越後の刀/奇妙な剣客

    有名無名五人の剣客を描く短編集。
    個人的には備前長船の名刀竹俣兼光、別名一両筒を巡る物語「越後の刀」が好き。

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    2009年10月04日
  • 新装版 おれは権現

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    戦国時代、それは苛酷残酷な時代であると同時に、気宇壮大な時代でもある。だからこそ、常識を常識とせず、天衣無縫、奇想天外に生涯を送る人物が輩出したのだ。超人的武勇の裏の意外な臆心、度はずれに呑気な神経の持ち主のじつは繊細な真情。戦国時代人の剛毅闊達にして人間味あふれる短編7編を収録。

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    2009年10月04日
  • 新装版 尻啖え孫市(上)

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    実在した人物、鈴木孫一がベースの話。
    あの織田信長にも怖れられた(?)すげえ男性です。っていうかすげえフリーダム。彼が何かと戦う理由は家でも力でもなく女性の為。女の子大好きです。そんな所もフリーダム。徐々に結ばれる木下藤吉朗との友情が、見ていて可愛らしい。

    読んでると、信長様や秀吉様すらも眼中に無い、この男の奔放さにメロメロになります。
    孫市フリーダム。
    もちろん上下でお勧めします。

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    2009年10月04日
  • 新装版 王城の護衛者

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    会津藩の規律の正しさと忠誠心がよくわかる。

    最後まで、忠誠を貫いたのに報われることはなかった。

    報われない忠誠心って‥って思った。

    会津に行って、白虎隊が勉強してたところへ行ったけど、

    小さい時から、「ならぬものはならぬことです」と厳しく
    教育されていた。

    教育って大切だなって思った。

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    2009年10月04日
  • 新装版 戦雲の夢

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    長曽我部盛親の話。
    土佐22万石の領主でしたが、関が原で西軍に属したため牢人になった彼が大阪夏の陣で復活を計ります。

    土佐を舞台にした作品は好きです。

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    2009年10月04日
  • 新装版 軍師二人

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    短編集。
    表題作の『軍師二人』から読みました。

    「又兵衛は又兵衛の死に場所で死ね。」

    このセリフ好き。

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    2009年10月04日
  • 翔ぶが如く(八)

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    アーネスト・サトウは薩摩士族が現政権に対し反乱へ立ちあがった不平の諸条項について以下のようにのべている。一、現政府がおこなった士族への金禄公債化による秩禄処分の強行(註・士族の経済的特権の剥奪)。一、廃刀令などによる士族の身分的特権の剥奪。一、四年前に西郷らの征韓論が現政府によって一蹴されたこと。一、さきの佐賀ノ乱が終了したあと、大久保が首魁江藤新平に対し、不必要なほどの苛酷さで処刑したこと。

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    2009年10月04日
  • 翔ぶが如く(六)

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    薩摩人は幼少のころから「議ヲ言フナ」という教育を受ける。理屈をこねたがる人間はその性癖そのものをもって不道徳とされるという他郷にはないモラルの基準がある。

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    2009年10月04日
  • 胡蝶の夢(四)

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     幕末の医者たちの話。主人公たちはみんな医者だし、基本的に物語は彼らの行動に沿って展開されるんやけど、結局のところ人物は点景として一枚絵に添えられているだけ、という印象を受ける。たぶんそれで間違いない。もちろんその「一枚絵」は「明治維新」という時代なんだけど、言葉としてはこれよりも「幕末」のほうが正しい。主人公たちが幕府に寄っていたから、というわけでなく、司馬が作品で意図したのは新時代の幕開けではなくて、旧秩序の崩壊であったに違いないから。

     作中で語られるこの時代の医者、特に蘭医というのをふたつの側面から切ると、まず身分制度の埒外にいる。それから、蘭学を通していちはやく西洋思想に触れている。このふたつの側面をもって、江戸時代の秩序とその崩壊への過程を考察している。真の意味での時代の変容が外部からの圧力ではなく、内部に白熱する方向性を失った鬱屈によるものだとすれば、時代を読み解こうとするのにこの選択は素晴らしいとしか言えん。軍事の面を筆頭に司馬史観が疑われることは多いけれど、こういう洞察を見ると司馬遼太郎はやっぱり歴史の脚本家、あるいは俯瞰する人、としての天分を持っていたとしか思えへん。

     ということで、例によって英雄譚ではなく時代の点描なんやけど、十分におもろい。人物によるスパイスがよく効いているというのももちろんあるんやけど、恬淡とした人々の向こう側にある悲劇性が滲み出るように感じられるのが良い。

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    2009年10月04日