野地秩嘉のレビュー一覧
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第二次世界大戦後の復興から経済成長の過程で日本の製造業は世界市場を席巻した。しかし欧米諸国の反撃や新興国の台頭で家電製品、エレクトロニクス、医薬品、化学製品等々の日本企業の優位性は崩れてしまった。その中で、トヨタ自動車が世界最大の自動車会社の一つであり続けている理由がわかるドキュメンタリーであった。本書の最後のところで、アメリカのケンタッキーでトヨタの工場が地元の誇りと見られていることが語られている。トヨタ生産システムによってトヨタは一日本の企業ではなく世界のトヨタになっている。国内国外にかかわらず工場、協力会社、販売店で現場の人たちが自分で考えカイゼンを繰り返している組織であるからこそ、好
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野地秩嘉『トヨタ物語』新潮文庫。
トヨタの創業から『トヨタ生産方式(TPS)』誕生の系譜とその真髄に迫るノンフィクション。
トヨタ生産方式を少し噛じったことのある自分には非常に興味深く、大変面白いノンフィクションだった。しかし、惜しむらくはエピローグのやたらと豊田章男を持ち上げる記述が余りにもわざとらしく、それまでの面白いドラマを台無しにしているように感じた。
ものづくりは事務作業とは異なり、製品という形でQCDの結果が直ぐに見えるというのが面白い。反面、直ぐに結果が見えるということは、ものづくりの方は手を抜けないということにもなる。それは決して事務作業が手を抜いているということではなく -
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「死ぬまで、勉強」
この言葉は一生忘れない
最後の章で綴られていた
西さんの料理に対する想い
西さんの最後のことばに
思わず涙が出てしまった
料理を作ることを、食材を
それを食べてくれるお客さま一人一人を
とても大切にされていて
和食の最高峰と言われるほどすごくても
毎日反省して、もっと良くできたのではと
常に磨いて
勉強し続けていた
高級食材で作られた料理だけが
美味しいものではない
その食材の本当の良さを引き出すような
手間をかけた調理法と技術で
造られた逸品こそ…
人は、もう一歩も進めないと思うくらい
辛く苦しい時でも
お腹を満たせば、前を向くことができ -
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歴史的背景を含めSUBARU(旧富士重工)がどのような変遷たどり現在に至るのかが非常にわかりやすくまとめてある。加えてプリンス/日産プリンスがIHIエアロスペースになったりという航空宇宙防衛に関する相関も学ぶことができる。資料/情報源として非常にわかりやすいと感じるとともに、歴史のロマンを感じられる一冊だった。今後10年で自動車の業界も、航空の業界も大きく変わっていくと思うが、スバルを応援したくなるそんな本であった。
航空宇宙/自動車業界に興味のある方は是非ご一読いただきたい。下手な業界誌などを読むよりも全容がすっきり理解できる気がする。 -
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ネタバレトヨタは、中小企業の時から何度も倒産の危機に立ち向かってきて「このままでは潰れる」という危機感が強い。それを忘れずに見事に引き継がれている。
トヨタ生産方式は、中間在庫を無くす事でピンと糸を張った緊張状態をつくる。不良品は流さない、異常があったらラインを止め手を打つ。
リードタイムを短くする=仕入から代金の回収を早くなる。トヨタ生産方式は経営に直結している。
佐吉と喜一郎が考えた思想を指導でうまく繋いている。
営業改革の話では鶏そぼろ弁当と幕の内弁当の話が納得の面白さだった。
トヨタ生産方式の導入は、指導する人により、結果は大きくかわり、間違いもおき誤解もされる。
全体的にエピソードを混じえ -
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トヨタの生産方式である「カンバン方式」の成り立ちを通して、トヨタを作り上げた指導者目線の思考を学んだ。
自ら考え、行動する。スターバックスでアルバイトをしている私にとって当たり前になってきているこの考え。この意識の大切さを改めて思い知らされた。それと共にトヨタの教育の現場に益々興味が湧いた。
その他にも、戦争や大災害を経験した当時の日本人と日本企業はどうやって逆境を乗り越えたのか。その要因も知れた。
また、この本に書かれていた指導者としての条件のうちの一つは既に私に備わっていると思う。現場と顧客の両方に共感し、寄り添った経営を目指していきたい。 -
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サービス業はAIに代替されてしまうともいわれるが、本書を読むと少し考えが変わる。紹介されている人たちの仕事は決して機械に肩代わりさせることはできないし、他の人間もできない。誰にもできないサービスを提供している人たちなのだ。
しかも紹介されている人の多くは他人のために働くことを自然に行い、苦労を苦労と思わず、自らの人生の一部にしている。それも悲愴感がない。
昨今、ワークライフバランスの考えが浸透しつつある。そこでは仕事は生活と対立するものであり、それ故に平衡を目指すことが求められている。ただ、仕事の中に人生を見つけたり、人生の大きな要素が仕事だったりする人にかような考えは当てはまらないのだ -
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ネタバレトヨタ生産方式を通じて、トヨタ自動車の歴史を振り返る内容。特に喜一郎以降は指導員にフォーカスがあたっており、彼ら、そして生産方式を通じて、トヨタの現場は自分たちで考えることのできる場所に変わっていく、という流れ。
同方式そのものへのフォーカスは多かったが、それを「どう展開するか」、そしてその結果現場は「どうなるか(生産結果という意味でなく内面的に)」に焦点を当てたものはまだ見ていないので新鮮だった。
後工程が前工程に取りに行く、その結果自工程でのきっちりとした簡潔をしていないと、取りに来た人に迷惑をかける。結局渡す流れは同じだが、自分で持っていくと取りに来てもらうということで心理的な変化も -
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【トヨタは、トヨタを超えていく】今で言うところのベンチャー企業としてスタートし、今日では世界に冠たる自動車企業となったトヨタ。その代名詞とも言える「トヨタ生産方式」を軸とし、成功に到るまでの困難続きの道のりを振り返った作品です。著者は、『TOKYOオリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞した野地秩嘉。
トヨタという企業に流れるDNAをわかりやすく解説した一冊。「生産方式」と目にすると、どうしても自働化や製造プロセスにまつわることを想起してしまいますが、突き詰めて言えば、一人ひとりの心構えや考え方というところまで降りて考えていくシステムなのかなと感じました。それにもかかわらず、 -
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会社からの課題図書。
以前、ホンダの創業時の本を夢中で読んでいてその中ではトヨタという会社は重厚な巨人として描かれていたように思うし自分の中でも何か地味なイメージを持っていた。
本書を読んでそのどこか堅いイメージがなぜ自分の中にあったのかを納得した。トヨタでも自分達が破滅しないように日々必死に自分達の仕事を向上していこうという歴史があり、どの会社よりも日々の課題を一人一人の社員の考える力を向上させチームワークで戦ってきたことを知った。
甲子園などが顕著だと思うが人は一人の天才を英雄とみて人気がある。しかし実際に強いチームは一人一人の力に突出したものはないがチームでそれを補えるチームだったりする