伊藤たかみのレビュー一覧
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『八月の路上に捨てる』自動販売機の補充に回るトラック内で、今日を最後に別の部署に変わる先輩に、結婚から離婚の顛末を語る。『貝からみる風景』奥さんを待ちながら、スーパーのお客様の声コーナーに寄せられた気になる投稿主について、思いを巡らす。『安定期つれづれ』禁煙の様子をブログに綴る退職した男が、実家に戻ってきている妊娠中の娘の結婚について案じる。
なんとなく引っ張り出して、読み返した。
ああ、ゼロ年代、という懐かしい感じがした。
「自分たちは二十代も半ばを過ぎている。夢なんて大久保の排水溝に落っことした。新宿の路上で汗と一緒に流してしまった。それでもその先には、案外、まっとうな幸せがあるような -
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ネタバレ「海峡の南」というタイトルを見た時、私は北海道なら津軽海峡だろう、その南となると本州・青森であると思った。しかしあらすじには北海道紋別とあるから、まさか宗谷海峡…!?この話はまさか、樺太から撤退した話とか??と想像が膨らんでしまった。ちなみに全く関係がない。
閑話休題。
さて、この作品は正直起承転結の分かりやすい話ではないし、ハッピーエンドなど簡単に分類できるものではない。
まず人間関係然り、現在と過去の関係しかり距離感がつかみにくい。小説の中で若干触れられていたが、確かに北海道にいる時の本州はどこか非現実的存在だし(気候とか文化的に違うので)、道内を移動する感覚に慣れてくると、東京名古屋間も -
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読書開始日:2022年7月5日
読書終了日:2022年7月31日
所感
知らず知らずのうちに、自分を抑圧してしまうことが多くなった中年男女が、呆けた老婆の尖った愛に触れ、変化が起きる。
どんどんスピードを上げて坂を転がるように、堕落する。ダメだとわかってるのに、少しの興奮と、面倒臭さから、流されるまま。
どこまで行っても愛に肉は介在するし、愛を捨て去ることもできない。
またくるの、写真を送るの。
愛は少々乱暴を纏う方が健全。
先に自分で自分をこき下ろすと、そのあとなにか言われても不思議と傷つかない
フレネミー
藪蚊やスイカの種と一緒で、なくても困らないけれど、あったほうがやっぱりいい。夏の輪 -
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小学校6年の男女の双子、ミカとユウスケ。空手で鍛えて女になんかなりたくない男まさりのミカと、別居しているが離婚していない父、父親とケンカばかりする姉の間で、思春期のユウスケは揺れる。学校でも派手なミカに対してユウスケはパッとしない。そんなある日、ミカに連れられて団地のベランダの下に行くと、そこには謎の生き物が…。
謎の生き物の存在感が強いので、そっち系の話かと思いきやそうでもないという、思春期の男女の好き嫌いや葛藤を描いた作品である。
全体に小学6年生の視点であり、小学6年生が作文か何かで書きそうな話となっているため、わざと稚拙な文章にしているというところはあるのだろう。よく言えばズバズバ -
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なんというタイトルなんだろうと
思わず手に取って読みました。
大人の為の絵本小説との事。
確かに 普通の本より絵が多かった。
内容もファンタジー?っぽいような
現実感ありのような。。。
タイトルの
早く老人になりたいと思っていた
主人公?の女性は
シングルマザーで 色々悩みを抱えていて
老人になったら 怒りとか悲しみとかから 開放されるだろうから
早くなりたいと思っていたようですが
一晩の さまよいの中
その気持ちも 動いていったのかな?
登場人物それぞれに 抱える悩み
でも 答えを出すのは自分。
ホラー小説なのかなぁ??
不思議なお話でした。