伊藤たかみのレビュー一覧
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『八月の路上に捨てる』自動販売機の補充に回るトラック内で、今日を最後に別の部署に変わる先輩に、結婚から離婚の顛末を語る。『貝からみる風景』奥さんを待ちながら、スーパーのお客様の声コーナーに寄せられた気になる投稿主について、思いを巡らす。『安定期つれづれ』禁煙の様子をブログに綴る退職した男が、実家に戻ってきている妊娠中の娘の結婚について案じる。
なんとなく引っ張り出して、読み返した。
ああ、ゼロ年代、という懐かしい感じがした。
「自分たちは二十代も半ばを過ぎている。夢なんて大久保の排水溝に落っことした。新宿の路上で汗と一緒に流してしまった。それでもその先には、案外、まっとうな幸せがあるような気もしている。」
「他の誰かがいなければ、失うことも最初からない。安定期も何もそこにはないのだから。平穏だけれど色彩の少ない生活があるに過ぎない」 -
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ネタバレ「海峡の南」というタイトルを見た時、私は北海道なら津軽海峡だろう、その南となると本州・青森であると思った。しかしあらすじには北海道紋別とあるから、まさか宗谷海峡…!?この話はまさか、樺太から撤退した話とか??と想像が膨らんでしまった。ちなみに全く関係がない。
閑話休題。
さて、この作品は正直起承転結の分かりやすい話ではないし、ハッピーエンドなど簡単に分類できるものではない。
まず人間関係然り、現在と過去の関係しかり距離感がつかみにくい。小説の中で若干触れられていたが、確かに北海道にいる時の本州はどこか非現実的存在だし(気候とか文化的に違うので)、道内を移動する感覚に慣れてくると、東京名古屋間もまぁまぁ近い距離判定になってしまう。主人公たちが内地育ちで、それも内地でも移動をした経験があって、北海道に来たのだとしたら、精神的な時空間の広がりが土地に影響されそうだ。ずっと音信不通の父が想起され始めるのは距離感のアンバランスな環境に来たのがきっかけだろう。
戻れない時の中で父を遡り、自分もまた移動していく。そしてまた南の本州に戻る。そういえば鮭は母川回帰といって、生まれた川の匂いを覚えて最後に戻ってくるという。鮭に似て、洋の父も洋も何かしらに惹かれるように邂逅し分かれていくのかもしれない。最後に日本海経由ではなく太平洋経由で帰るのも、名前が洋だからなのか、北から南へ回遊していく様にも思われた。
内地と北海道という距離感、北海道内の距離感、船と飛行機の感覚…流浪するから渡るからこそ知り得て、知り得るが故に土地に根を下ろすことなく寄るべなく生きている感覚は、地元を出たあとに流されゆく自分自身にも当てはまる気がする。
故郷であって故郷でなく、根を下ろすこともできず揺蕩う。揺蕩うから自由で、孤独で、だから人の存在が確かに私がいたことを教えてくれるのも、本当だと思った。
こちらの作品を読んだ方、もしできるなら新日本海フェリーや太平洋フェリーで北海道に来てみて欲しい。青森まで行って津軽海峡フェリーに乗るでもいい。飛行機よりはるかに時間がかかるし、
船酔いもするかもしれない。でも、海の姿も天気もさまざまなことがわかるかもしれない。春先ならイルカの群れが見れるし、海鳥の群れもタイミングが合えば見えるだろう。そうした時、或いは北海道に着いて歩いてからでもいいが、もういっかいこの作品を思い出して欲しい。
国際海峡を越え、ブラキストン線を越えて、隣国との国境が迫る感覚は、遠くに来た事実以上に、本作品におけるミナミを感じられるかもしれない、と思う。
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読書開始日:2022年7月5日
読書終了日:2022年7月31日
所感
知らず知らずのうちに、自分を抑圧してしまうことが多くなった中年男女が、呆けた老婆の尖った愛に触れ、変化が起きる。
どんどんスピードを上げて坂を転がるように、堕落する。ダメだとわかってるのに、少しの興奮と、面倒臭さから、流されるまま。
どこまで行っても愛に肉は介在するし、愛を捨て去ることもできない。
またくるの、写真を送るの。
愛は少々乱暴を纏う方が健全。
先に自分で自分をこき下ろすと、そのあとなにか言われても不思議と傷つかない
フレネミー
藪蚊やスイカの種と一緒で、なくても困らないけれど、あったほうがやっぱりいい。夏の輪郭だってくっきりする
卑怯な自分の心が焼け焦げた、そんな臭い、臭いが恥ずかしかった
色恋等を削ぎ落とした、晩年の心だけでつながる関係を築きたい。でもそれは老いてから叶う、老いたい
カレーの香りで不安に、日常と非日常
私の不幸に相乗りするな
恋多き女だけど、人好きではない、すぐ結婚したのも、他人じゃない人にそばにいて欲しかった
押し付けられた優しさだって、もらえるだけありがたい
家族愛が強まると、性が遠ざかる
夫婦ではなく、自分自身のつじつまを合わせてしまう、防衛本能
愛し合わないといけないなんて、若さの脅迫観念
お正月もだめだったら、人間もうダメ
ようやく恋が終わる。執着。肉の介在しない、心の愛がはじまる。実態など無いのに。距離感
またくるの=愛は少し乱暴なかたち
あのひとに見て欲しいから、送るの -
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小学校6年の男女の双子、ミカとユウスケ。空手で鍛えて女になんかなりたくない男まさりのミカと、別居しているが離婚していない父、父親とケンカばかりする姉の間で、思春期のユウスケは揺れる。学校でも派手なミカに対してユウスケはパッとしない。そんなある日、ミカに連れられて団地のベランダの下に行くと、そこには謎の生き物が…。
謎の生き物の存在感が強いので、そっち系の話かと思いきやそうでもないという、思春期の男女の好き嫌いや葛藤を描いた作品である。
全体に小学6年生の視点であり、小学6年生が作文か何かで書きそうな話となっているため、わざと稚拙な文章にしているというところはあるのだろう。よく言えばズバズバと切れ味よいのだが、説明が足りていないため、序盤はかなり面食らってしまった。
内容は小学生同士の葛藤の部分、煮え切らない父親と姉の確執、実の母親との関係など、普通のドラマとしても密度の高いものになっているため、小学生には読めるのかなあとも思うが(もともと児童文学である)、案外それくらいは普通な時代なのかもしれない。
突っ走って、男子を叩きのめして、でも泣いてというミカの様子を、おとなしく冷静に、しかしうまく選択のできないユウスケが見守るスタイルで、ユウスケに感情移入できればわかりやすい内容だ。
妙に関西弁だと思ったら、枚方から樟葉と、馴染みのある地名もでてきて、キャンプと言うと吊橋のあのへんかなあなんて思いながら読んでいた。
続編もあるようで、そちらも読みたい。 -
Posted by ブクログ
なんというタイトルなんだろうと
思わず手に取って読みました。
大人の為の絵本小説との事。
確かに 普通の本より絵が多かった。
内容もファンタジー?っぽいような
現実感ありのような。。。
タイトルの
早く老人になりたいと思っていた
主人公?の女性は
シングルマザーで 色々悩みを抱えていて
老人になったら 怒りとか悲しみとかから 開放されるだろうから
早くなりたいと思っていたようですが
一晩の さまよいの中
その気持ちも 動いていったのかな?
登場人物それぞれに 抱える悩み
でも 答えを出すのは自分。
ホラー小説なのかなぁ??
不思議なお話でした。