伊藤たかみのレビュー一覧

  • あなたの空洞

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    ネタバレ

    東北大震災。あの後私たち日本人の中で何かが変わった。実際に被災はしていなくても。たとえ揺れを感じなかったとしても。
    そして少なくとも私にとって、その変わった「何か」はとても言葉にしづらいものだった。
    この本はその「何か」を形にしようとした作品群なのだと感じる。

    説明が極力省かれた文なので状況把握に時間がかかる作品だ(作者自身の特徴なのかわからないけど)。でもそのわかりづらさや描かれているものへの距離がタイトルに出てくる「空洞」に繋がるようなさみしさや虚無感も感じさせる。

    個人的には収録作はどれも決して面白い作品とは言い難かったけど、印象的な文章がいくつもあった。並べてみると震災に関する表現

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    2018年05月07日
  • フラミンゴの家

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    伊藤たかみ氏、初読みです。2006年角田光代さんと結婚、2008年離婚、現在は2人とも別の相手と再婚してるそうです。「フラミンゴの家」、2008.1刊行、2011.1文庫化。妻翔子36歳と離婚して東京にいる片瀬正人36歳(あや子と同棲)に突然、大阪に住んでる元妻から娘晶12歳(小6)をひと夏預かって欲しいとの連絡が。翔子は子宮癌で入院、手術と。恋人との生活から一転して娘との生活に! 呼称が「片瀬さん」から「ねえ、パパ」に変わるまでの父と娘を描いた物語です。翔子との寂しい別れもあります。不思議な物語でした。

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    2018年04月14日
  • はやく老人になりたいと彼女はいう

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    伊藤たかみってもうちょっと女性の心情を書くのが巧いと思っていたんだけれど、この作品には共感できず。

    なにより自分の息子が行方不明になっているっていうのに、元恋人と缶チューハイ?ビール?(記憶があやふや)飲んだりしてる時点で、ないなー。

    大人のための絵本とは言うけど、設定に無理があるよ。
    残念・・・。

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    2018年04月10日
  • はやく老人になりたいと彼女はいう

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    (わたしもよくハッと気づいたら途中を全部すっとばしておばあさんになっていればいいのになぁと考えていた)
    少年、その母、その元恋人の男、おばあさんが暗い森の中を歩く。挿絵がよい。少年が母を描くためにいるだけのような気がして残念。

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    2018年03月05日
  • はやく老人になりたいと彼女はいう

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    故郷の夏祭りで偶然出会った麻里子と敬吾。昔付き合っていたが別れ、別の人と結婚し、麻里子には和馬、啓吾には美優という中学生の子どもがいる。麻里子は離婚しており、啓吾も別居中。そんな二人と子どもたちが夏祭りの夜に度胸試しの山のなかでさまようことになる。そして、地域で駄菓子屋を営んでいたおばあさんが関わり、一夜の大放浪となる。

    愛とか、結婚とか、難しいね

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    2017年12月27日
  • はやく老人になりたいと彼女はいう

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    人を好きになるって爽やかにいかないもので、ぐちぐちしている。
    頭蓋骨の中に残ってたゆるい土みたいに、ぐちぐちしたところがある。

    あまりにぐちぐちしていて、苦しい気持ちになることの方が多くて、
    でもやっぱり最後には会えてよかった、一緒に過ごせてよかった、好きになってよかったっていう気持ちが残るところまで、たどり着ける強さを持った気持ちなんだと思う。

    そんな素敵な気持ちはきっと、恐れないでたくさん持つのがいいんだと思う。

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    2017年12月21日
  • ミカ!

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    男の子のようなミカが、告白されたり生理が来ておっぱいが大きくなってだんだん男女の違いに気づきはじめて…
    そんな戸惑いやモヤモヤを、双子の弟の目から描く。
    酸っぱい涙を食べる?オトトイという謎の生き物が不思議。ムニュムニュ。

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    2017年09月12日
  • ドライブイン蒲生

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    ネタバレ

    読み終わってるのに、
    ブログに感想を書いてない4冊目と思っていたんですが、
    なんでかポストイットが張ってあって印象に残った文章があったっけ?
    と、
    思って読んでみたら、まだ読み終わってなかった!
    しおり代わりのポストイットなうでした!
    で、
    今読み終わったっす!
    これは、
    小泉今日子さんの「小泉今日子書評集」から気になった本の、
    「八月の路上に捨てる」を買いに行ったんですがなくて、
    あったのがこの「ドライブイン蒲生」だったんですね。
    で、
    離婚の原因なんて一言では決して言い表せない、そういう面倒臭さがいやというほど伝わってくる!
    と、
    言うのに魅かれたの。
    つか、
    結婚もしてないから、離婚もし

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    2017年01月13日
  • ミカ×ミカ!

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    ネタバレ

    先日読んだ【ミカ!】の続編。
    ミカ!は小6で今回のミカミカは中2になった二人のその後。
    女になるのが嫌だったミカが、思春期になって女らしさを考える・・・けどそんな簡単に女らしくはなれないミカだけどそれが読んでて面白い。
    双子の兄のユウスケも色々考える所はあるけど男の子だからか言葉少なく、でもしっかりしてるな~って印象。
    オトトイもそうだったけど、今回は喋るインコが出てくるんだよね
    あの突然のファンタジー感もなんだかホッコリで良い感じです笑

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    2016年11月15日
  • ミカ!

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    ネタバレ

    伊藤たかみさんの【ぎぶそん】が好きなので作家さんの名前だけで買った本。
    児童出版賞だから児童書だと思うんだけど大人が読んでも、懐かしい気持ちで読める本。
    子供の頃には何も思わなかった事が大人になって児童書読んで、あ~あの時あんな気持ちだったなぁとか
    素直な気持ち?で読めるんだよね。あの時読みたかったとか思う本って多いけど、その時読んでもきっと何も心に響かない物語が大人になってから響く物もあるよね。逆もあるけど・・

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    2016年11月15日
  • 歌姫メイの秘密

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    小学4年のとき、メイと母親はN神聖教会から逃げ、離れの古い家に住むことになった。
    「僕」はメイを見守り、共に成長していく。
    残酷になったり、不安定になったり、揺れ動くメイが悲しい。
    伊藤たかみさんの描く世界観が大好き。
    過ぎ去った日々が懐かしく思い出される。

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    2016年10月25日
  • ミカ!

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    主人公ユウスケは双子の妹ミカがいる。
    男勝りでやんちゃんで、いつも喧嘩してるミカ。
    そんな二人は小学6年生。
    大人になるには早いけど、子供のままではいられないお年頃。
    体が成長してくることに耐えられないミカは
    さらに最近暴れ気味。

    そんな二人に目まぐるしくいろいろ起きる。
    両親の別居、
    姉の家出、
    ユウスケとミカを取り巻く淡い恋模様、
    そしてオトトイと名付けた変なペット。

    めまぐるしくいろいろ起きて、少しずつ子供から卒業していく。
    甘酸っぱいお話でした。

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    2016年06月24日
  • 八月の路上に捨てる

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    ”「あたしがそっくりなの。色んなものをなくしてなくして、それでも最後は勝つかもって夢見ながらやってんだもん」”

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    2016年03月26日
  • あなたの空洞

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    それぞれテーマが違っている短編集でしたが、ぶっちぎりで印象に残ったのは3編目の【母を砕く日】です。妻に先立たれた夫が妻の遺骨を砕き、海に捲き、供養しようとする話ですが、夫の連れ子と亡き妻の連れ子の血のつながりのない兄妹の会話ややりとりが本当に人間味に溢れ、家族っていいなと思わせてくれました。他に震災をテーマにした作品もありましたが、少し控え目に書かれた感のある作品かなと。全部で4編からなる作品ですが、どの作品もごく普通の日常にありながら、誰もが大なり小なり悩める話に、不思議と強く共感してしまいました。

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    2016年02月23日
  • あなたの空洞

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    表題「あなたの空洞」ほか3篇を含む短編集。
    「母を砕く日」では亡き妻の散骨のためにあることを企てることが伏線となっているが、題名に現れている通り一目瞭然でそこまで隠す意図がはかりかねる。
    震災後の虚無感が全体のベースになっているようだが、登場人物が淡々としすぎて物語に入り込めなかった。

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    2016年02月13日
  • 八月の路上に捨てる

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    安定期つれづれの、禁煙に励むお父さんが微笑ましい。
    娘のために、生まれてくる孫のために、と思うと、一生懸命になれるんだな。禁煙や娘との会話を通して、考えが研ぎ澄まされて、自らの幸せにじわじわと気づいていく姿も印象的だ。

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    2016年01月31日
  • ミカ!

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    男女の双子の話。

    かなり前に読んだ作品ですが、大好きでした。

    子供って、舐めちゃいけないですよね。
    小さい体で大人でも考えない様なことを考えつくから。

    引っ張り出して久々に読みたくなりました。

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    2015年12月20日
  • 誰かと暮らすということ

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     それぞれが抱える孤独が絶妙な距離感で書かれていて、決して軽くないけど重たすぎない。登場人物たちの住んでいる町が自然と頭の中に浮かび上がり、笑ったり泣いたり衝突したりしながら今日も生きているんだろうなぁとじんわり感じる作品。「誰かと暮らすということ」に恐怖感しかなかった私だけど、全部が全部理解しあえるわけではない誰かと暮らすことで癒える孤独もあるのかもしれない、とうっすら前向きになれた。

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    2015年12月13日
  • あなたの空洞

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    経験したから偉いのか、経験していないから傷ついていないとも言えない、あのことを誰もが少しずつ抱えている。

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    2015年11月11日
  • あなたの空洞

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    東日本大震災と福島第一原発の事故、そして放射能汚染は、多くの日本人、特に関東圏に住む多くの私たちの生活にも、少なからぬ影響を与えた。

    関東圏に、直接の被害を与えたのではなく、多くは心理的な意味で。そして、忍び寄る圧力(=恐怖)として。
    そんな、普通に暮らす人々の生活、考え方の違い、変わり方に触れた4つの小品集。

    まとまったテーマに貫かれているとか、これが言いたいんだとかいう雰囲気ではなく。そうだよね、みんなそれぞれ、いろいろ生きてるよねと読みました。

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    2015年10月27日