伊藤たかみのレビュー一覧
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30歳までには結婚する、とOLさんのような決心をしていたのに、学生の頃から同棲していた彼女に「いつまでも子供っぽくて大人にならない」と言われて30歳を目前に振られてしまい、その腹いせもありとりあえずプロポーズまでは20代のうちに済ませようと指輪も購入したのに、スケートリンクで転んで頭を打って、直前の数時間の記憶を無くしてしまった男、テル。人生の一大事にもかかわらず誰に指輪をあげようと決めていたのかも思い出せない。なぜなら3人のタイプの違う子と付き合っていたから!記憶と自分の本心を探して迷いに迷う男心をきれいごとにせずに描いたイマドキ小説。最後にどんなオチがあるのかと思っていたけど何やら拍子抜け
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Posted by ブクログ
8月最後の日に、飲料自動販売機の商品補充に回るドライバーとその相方のそれぞれの人間模様を描いた作品。
ドライバーの水城さんは、この日を最後にドライバーから内勤へ異動する。主人公は、妻との離婚届けを明日提出する。
登場する2人の人生観や価値観に、強い何かを感じさせない表現になっている。どちらかの登場人物からも強いメッセージ性のある言葉が語られません。淡々と、精緻な自販機への商品補充業務を表現しています。ある八月の仕事の情景を描きながら、2人の男女間、結婚感が語られます。プライベートの上手くいかない部分も、仕事という生きていくための作業の一部に組み込まれているかのような感じです。離婚することにな -
Posted by ブクログ
夫婦とはどういうものか
【内容】
芥川賞を受賞した表題作をふくむ、全2編の短編集。
離婚届の提出を翌日に控えた男性が、自動販売機にジュースを補充する仕事をしながら同僚の年上女性に結婚生活を振り返る。
【感想】
「結婚生活が破綻していくプロセス」のリアルさには、しみじみとせつない気持ちになります。どちらが悪いのではなく、ボタンの掛け違いが積み重なることによって、結婚生活は破綻していくものなのだろう。
タイトルのセンスは抜群だ。
ただ、個人的には文体がグッとこない。
芥川賞受賞作であるが、村上龍氏の選評が興味深かったので記載する。
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『現代における生きにくさ』を描く小説はもううんざり