あらすじ
新・芥川賞作家の鮮烈な青春小説。人の心に触れる親指……。「僕はこれ以上、とても十七歳でいられない。色んなものが煙のように消えたこの季節から、一刻も早く別れを告げたいと思った。十七歳であることを憎んだ。」――いびつな、長すぎる、僕の左手の親指は、携帯メールの早打ちが出来る。そして、他人の心に触れることも。顔に傷を負ったみゆき、家族から孤立する清春ら友人たちと、「いまいましい若さ」を共有しながら過ごした17歳の日々。『ミカ!』『ぎぶそん』など、児童文学でも注目を浴びる芥川賞作家が描く、鮮烈な青春小説。
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Posted by ブクログ
言い回しなのか、文の順番なのか海外の小説の様な世界観があります。
全体的に漂う諦念感が、
逆に青春にあっていて一気に引き込まれました。
とっても素敵。。
Posted by ブクログ
【記憶は曖昧で記録は改竄されるものだから】
まず、読んでいて排他的で薄汚くてとてもよかった。まともじゃない事が当たり前でまともな世界で正しくないものばかりが鈍く尖っている。良くある話だ。突っ撥ねる事は僕にはできない。
だからなんだと言う人もいるだろう。わかる。でも敢えて言わなくてもだからなんだと言う世界じゃないですか。現実は。
Posted by ブクログ
内容もさることながら、言葉がいい。流れていく文章の中で、はっとするような素敵な言い回しや描写が光る。
幽体離脱する話、と表現してしまえばありふれていてとてもつまらないものかもしれない。でも伊藤たかみさんの作品は言葉がありふれていない。ありふれていないのに、誰にでもわかるあったかい言葉。あるいは少しふふっと笑ってしまうような、人を元気にさせる言葉。
だけど色々詰め込み過ぎのような気もするし、何より誤字が多い。もったいない。
Posted by ブクログ
他人のレビューを見てると割と評価低いのね。ある意味うれしい。描写と文体、大好き。
取り留めもなく意味もない、それを許容できない立派な人には価値のわからない小説。ストーンズの同名曲のイントロが無限ループで再生されていると満たされる、という人にはわかる(てきとう)。
Posted by ブクログ
書店で、なんとなく手にとったものの、買ってからは、表紙の絵が気にいらず、積読状態だった。読むものがなくなって、やっと読み始めたら、おもしろい!あ、ミカ×ミカの作者だったのか、気づかなかったー。ミカ×ミカも好きだったけど、これも、自分が高校生だったときを思い出して、懐かしい感じ。こんなぐだぐだ高校生だったなあ。あ、同い年だと思って、ウィキで調べたら、本当に小学校の同窓生だったことが判明。え?伊藤たかみって本名かな?伊藤くんて子はいたけど。確認したーい。今めっちゃ気になってます。また、内容とは関係ない感想を書いてしまった・・・
後日談:小学校のときの同級生に確認したら、本当に本人で同じクラスになったことのある男の子だった。で、他の作品も読んだら、明らかに私とのエピソードである部分や友人とのエピソードも発見。そうかあ、あの伊藤くんが・・・
Posted by ブクログ
幽体離脱のように身体から外れてしまう反面身体の方もしっかりと動き、その間人に触れると心が読めるようになったしゅんすけが、顔に傷のあるみゆきや家族から孤立し殺したいと思う清春と共に過ごしたりメル友に会う為東京へ行ったりする。十七歳の彼らの有り様が剥き出しで、万引きや放火等の悪さまで何だか文学的だった。
Posted by ブクログ
人と違うことはそんなにおかしなことかな。気にしているのって案外自分だけなんだぜ。
主人公は左手の親指だけがとても長い。だからメールを打つのはだれよりも早い。でも、それ以外には全然役にはたたない。
高校を中退した女友達と家族に苦しむ男友達。そんな2人を中心に周りの変化と自分の心境の変化していく主人公。
物語の最後に主人公が何を思うのか、読むのが楽しい本です。
Posted by ブクログ
カラオケいって。マン喫いって。マックいって。たこ焼き食って。メールして。メールして。セックスして。メールして。炭酸飲んで。メールして。夢はどこにあって。自分はどこにあって。ここはどこにあるのか。このあいだ。高校卒業したての後輩の女の子が話していたようなこと。その子の行動や思考。これが今の現実。すべての子がそうだとはもちろん言わない。けれどもやっぱり雰囲気は伝わる。そういう世代の。その子もなんだか不安でたまらなそうな顔だった。メールの数とやった数と待っていること。背伸びすること。馬鹿にしないで。みたいな光線がときどきオンオフする。馬鹿になんかこれっぽっちもしていないけど。そうなっちゃう。めちゃくちゃ。わかる。東京にあって東京にないものがわかる頃になると。いろいろどーでもよくなっちゃう。それだって辛いのだ。言ってみれば人というものは耐えることがいちばんキツイのじゃ。とか。