竹中平蔵のレビュー一覧
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本書は、小泉新自由主義構造改革のブレーンとして「悪名高き?」竹中平蔵氏によるものであるが、内容はおもしろい。
まず、経済学の歴史と基本をわかりやすく紹介している。「アダム・スミス」「カール・マルクス」「ケインズ」「シュムペーター」「ハイエク」「フリードマン」「ブキャナン」等の経歴やエピソード、理論のエッセンスの紹介は、実にわかりやすい。おそらく難解な経済学の理論を竹中氏なりに噛み砕いているのだろうが、それぞれの理論の違いを良くわかった気にさせてくれる良書であると感じた。
竹中平蔵氏の現在の経済状況に対する認識も興味深い。「われわれは、アダム・スミス以降200年以上の議論を、ここ数年で振り返らざるをえないような体験をしたのである」。
本書には、未来についての考察はほとんどないが、本書の「おわりに」のニュアンスからは、竹中氏は、過去の新自由主義的主張から大きく転向しているのではないのかと感じたがどうだろうか。 -
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p58 経済政策=「強きを助け、弱きをくじく」→優勝劣敗
社会福祉政策=「弱きを助ける」→救済原理
p72 組み立てメーカー=「労働集約」「資本集約」「知識集約」→これからはキー・コンポーネント→圧倒的なシェア→膨大な利益
p75 系列下請け構造=上のメーカーが利益を吸い上げ⇄継続的な商売を保証(…これって終身雇用と似てるね。)→水平分業型への移行
p79 ドミナントモデル≒価格実現力の世界⇄総括原価方式≒系列取引→緩やかな統制経済モデル
P93 財政の基本=恒常的な支出には恒常的な歳入を、一時的な支出には一時的な歳入を→一時的な支出に対して、恒常的な増税をするなんてナンセンス
p128 通信も航空も電力も垂直統合から水平分業へ→産業構造より産業組織のほうが重要
p131 産業組織のデザインを間違えてしまうと、イノベーションが起きません。
p132 水平分業型や分散型の仕組み→競争が起き、やがて世界を席巻するようなイノベーションが生まれるでしょう。
p134 米国の通信政策=体力勝負では儲からない、知恵を使わないと儲からない→地域密着性の呪縛から解き放たれ、全世界を席巻
p150 シュンペーター:現代はイノベーションの時代=もともとの言葉では新結合→新しい出会いと結びつきがある場が都市
p197 世の中には、「みんなで決めたほうがいい問題と、みんなで決めてはいけない問題」があります。 -
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<引用など>
・所得分配という意味での格差は、小泉政権では縮小しました。むしろその後の政権で「正社員」と非正規労働者の格差が拡大しました。
・金利上昇はめぐりめぐって、設備投資の際に企業の調達コストを上げることになります。
・「骨太2006」で社会保障の自然増を抑制する議論を正面から取り上げた
・OECDの統計によると、2010年末に政府債務残高GDP比が200パーセントに達する(これはグロス)
・政府保有の金融資産にも着目し、これを相殺消去したネットの政府債務(純債務)で見ると、対GDP比は110パーセント強となります。(グロス債務に将来の年金給付債務が含まれ、金融資産には年金積立金が入っていることに注意)
・国民が将来背負う税負担の総額は「グロスの債務」プラス「年金給付債務と覚しきもの」マイナス「外国債」マイナス「金融資産」となります。
・日本のバランスシートの大きさは、アメリカの約5倍
・歳出削減より先に税を上げたケースは、必ず失敗している(アルバート・アレシナ)
・法人の配当は法人税課税後の利益から支払われるのに、配当を受ける株主にも所得税を課していて、本来は二重課税です。
・国の一般会計の社会保障関係費の大部分は、社会保険に対して国が出している根拠不明な公費です。(たとえば医療保険、後期高齢者医療制度、国保)
・税金を払っていない商店街のおじさんが、安い保育料で優先的に子どもを保育園に入れ、その送り迎えをベンツでしている。
・消費税は逆進的といわれますが、むしろ社会保険料の逆進性のほうが深刻なのに、そこを見誤っているのです。
・「金持ちを貧乏人にしたところで、貧乏人が金持ちになるわけではない」(サッチャー)⇒所得税の最高税率を上げるのは、ほとんど儀式的な意味しかなく、税収も増えない。
・スウェーデンやオランダは何十年もかけて社会保障改革をやりましたが、つねに労働市場改革と教育改革が一体でした。
・正規も非正規も等しく、「同一労働・同一賃金にしろ」というならいいのですが、いまの主張は「全員を正規にしろ」というものです。これでは雇用を減らすだけです。
・貧困の理由
1.働きたいけど、健康上の理由で働けない(→生活保護)
2.働きたいけど職がない(→雇用対策)
3.働いているけど賃金が安い(→最低賃金の問題) -
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最短で日本の余命はあと3年か。
確かに個人資産の総額に国債発行額が近付いていることから、そんな感じはしてた。
粛々と準備をしておかないと。
そうならないことがもちろん良いのだけれど、
そうなってしまったときにでも大丈夫なように。
---気になった言葉---
子ども手当(年間5.6兆円)を諦めれば、現在、実効税率40%の法人税を、香港並みの17%にすることが数字上可能です。(P77)
「圧力団体は一つで頑張ると資源配分によくないことが起こるが、利権グループ同士を競わせると、よい均衡に到達できる」(P196)
社会や国家は、「幸せ」という概念について立ち入らないほうがいいと思うのです。(中略)国民の幸せまで追求すると、先ほどのコレクティビズム(集産主義)になってしまいます。(P215) -
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◆書評
小泉政権において、いわゆる小泉・竹中改革を主導した著者が、「改革」や「経済成長」の必要性を強く説く。また、小泉政権下で実施された「改革」の客観的 な検証、民主党の政策に対する見解を述べる。そして、「政策後進国」である日本は、他国で当たり前に行っている政策を実行すれば、技術、資本、人材の水準 が高く、経済の潜在力は依然として強いため、必ず蘇ると力説する。
◆概要抜粋
【Policy to helpとPolicy to solve】
“失業者が増える本当の原因は、日本の企業の国際的な競争力が落ちて、日本の製品に対する需要が減少し続けているからです。したがって、競争力を回復させ、経済を成長させることこそが、根本的な唯一のsolve(解決)なのです。Policy to solveというのは、経済を成長させることであり、Policy to helpというのは、雇用調整給付金のようなものを出すことなのです。”
→Policy to helpとは対症療法のようなものであり、Policy to helpは更なるヘルプを求め、いつまでたっても問題はsolve(解決)されない。それに対して、本質的な原因の解決を目指すのがPolicy to solveである。
【経済成長】
“結局、私たちの社会は健全な経済成長なくしては、問題を解決していくことができません。経済は成長だけがすべてだとは決して言いませんが、世界の経済がすさまじく変わっていく中で、日本もそれに応じて成長していかないと、個人の幸せにつながるようなさまざまな問題も解決できません。安全安心も、所得配分も、強い経済がないと実現できないでしょう。”
【改革】
“改革とは、高齢化とグローバリゼーションの中で、できるだけ政府の規模を大きくしないで、民間の経済の力を強くすること。”
“改革とは、日本経済を強くすることによって日本が直面する様々な問題を正面から解決していこうとする、極めてオーソドックスで常識的な政策姿勢です。”
【格差】
“現実に起こっていることは、格差拡大ではなく、所得減少です。勝ち組と負け組みにわかれたのではなく、全体的に負けているというのが「格差」社会の真実であり、所得減少といったほうが正しく事態を表しています。”
“もっとも、日本が格差に関して解決すべき問題はあります。若者に関する格差拡大や貧困化などがそれです。これを解決するためにこそ、経済を強くし雇用環 境をよくするための構造改革を進め、同時に正規雇用・非正規雇用という制度が生み出す格差を是正するための改革(例:日本版オランダ革命)が必要である。” (一部加筆)
【政策】
“私たちは分類学をやったわけでも、思想論をやったわけでもないということです。政策とは、そこに常に解決を必要とする問題<What is the problem?>がある、それを解決するためにどのようにしたらいいかということを、現実的に考えます。”
“分類学は分類学として、頭の整理のために大いにおやりになればいいのですが、分類学で政策を語っては間違いを犯します。”
【市場機能】
“市場は失敗も犯すと言いましたが、基本的には市場というのはやはりすごい力を持っています。世の中の仕組みや出来事は、非常に複雑多岐で、一人の人間がすべてを見ることなどできません。その現場、現場の人が、この場合どうすればいいだろう、どういうふうにすればうちの製品が売れるようになって、自分たちも儲かるようになるかなど、細かいことまで思いを致すことで、経済が動いているのです。国が経済のすべてをコントロールすることなどできません。「民間にできることは民間で」というのが、民営化であり、規制緩和です。「地方でできることは地方で」というのが、地方分権です。”
【金融】
“「資本主義の発展の原動力はイノベーションである。企業家がリスクを背負って、将来に向かって投資していく行為の中に、資本主義の発展の原動力があるから、企業家はリスクをとらなくてはならない。その際、リスクの最終的な引き受け手は、まさに金融部門である。投資するのは事業家だが、投資するためには、誰かにファイナンスしてもらわなければいけない。つまり、ファイナスする人、『フィナンシェ(金融家)』こそが最後のリスクの引き受け手である」(シュンペーター)”
“金融というのは、リスクの究極的な負担者ですから、気がついてみると、必然的に社会の最高のストラテジストとなるわけです。”
“バブル以降の日本の金融、特に銀行部門は見る影もありません。つまり、リスクの最大の担い手であり、リスクの管理者であったはずの銀行部門が、長きにわたった護送船団の行政による完全なぬるま湯の中で、本当の意味のフィナンシェではなくなってしまったのです。護送船団方式とは、もっとも効率の悪い金融機関にも利益が出るように、競争を制限するやり方のことです。これを長くやっていたら、銀行に本当のリスク管理能力は育成されません。結局、日本の銀行部門は、バブルを引き起こし、その崩壊によって、日本経済に多大な迷惑をかけてしまうことになりました。”
【供給力と金融】
“供給力を高めるためには競争政策を強化することが必要です。競争的な環境をつくり競争が強化されると、資源つまり資本と労働が有効活用されます。そして、技術進歩も高まります。その結果として供給側から見た成長力が高まります。これが競争政策の目的です。競争を強めるためには、規制緩和を行わなければなりません。同時に、供給力を高めるためには、新しい事業やプロジェクト、ベンチャー企業が現れ、イノベーションを起こすことが必要です。そのためには、こういう分野にリスクマネーが回る仕組みが必要です。リスクマネーが回るようにするためにはどうすればいいでしょうか。それは金融を今以上に競争的にすることです。”
【官僚主導の問題点】
(1)「終身雇用、年功序列組織であるために、政策に自分たちの利権を絡めてしまう」
日本の官僚組織は終身雇用、年功序列に基づく専門家集団であるため、政策を扱う上で、組織としての利権を追求する(例えば、天下り先を確保のインセンティブが働く)。
(2)「族議員との関係があって、思い切った政策ができない」
実務に関するほとんどの情報を握っている官僚組織も、国民から立法権や政策立案の権限を信託されたわけではなく、最終的に国会を通すための橋渡し役となる「族議員」と癒着が生まれる。その結果、特定の利益団体から支援を受ける族議員と業界団体、官僚の「鉄の三角形」の関係が生まれるため、抜本的な政策を打ち出すことができず、既得権益者間の調整しかできず、政策の中身が劣化する。
【強い経済を実現するための五つの提案】
(1)法人税減税
(2)羽田空港拡張・国際化・オープンスカイ(羽田空港のハブ化)
(3)東京大学民営化
(4)農地法改正
(5)インフレ目標導入