やればできる、けれども禿げ上がるほど大変である。
という感想です。
題名で感じるより遥かに読みやすい、テンポの良い文章です。
行政の縦割りと、ごった煮状態の区民の中に入って動き回った経済学者の鈴木亘さんのお話です。
綺麗事と正統法だけでは絶対に解決しない問題を、経済学者の物の見方とフットワーク、広
...続きを読むい人材からなるチームワークで、焦げを削いでいくように進んでいく改革が凄かった。
素晴らしいと思ったのは、自分達の話を正直に明かした上で、面倒な相手であってもしっかりと話を聞いて受け入れるという覚悟です。
会議が騒動屋にひっかき回されても、様々な立場の方達と揉めることになっても、ゴールに向けて包摂していくという姿勢が強く優しく堅実で確実でした。
排除し押し殺して進んでいったら、またどこかで揉めることになる。
そりゃそうだろうと思うけれど、楽で早い解決法として押し通されている事も少なくない。
自分が解決する側に回った時に、鈴木亘さんのようなやり方ができるだろうか。
胆力という言葉が浮かびます。
「理不尽な怒声を浴びせられながら進めなければならない会議」というだけで胃が痛くなる。
終わってから1冊の本になっているので読む方は
「なるほど〜、大変だったけど良かったね!」
だけれども、渦中で闘っていた方々のご心労たるや想像を絶します。
人と人、集団と集団の間を繋ぐ「ハブ人材」の重要性についての本でもあると思いました。
良いものが個別に存在しても、繋がらないと力にならない。
これから社会が良くなるためのキーの1つなんじゃないかな。