あらすじ
働き方改革、補助金バラマキ、農地・農協改革、デジタル歳入庁
「円安」「米中摩擦」「生成AI」を
日本経済浮上の好機とせよ!
「失われた30年」に何があったのか?
政治と政策、政策と制度の仕組みがわかれば
構造改革の道が開ける
「円安」「米中摩擦」「生成AI」は日本経済にとって大きなチャンスだ。
だがこのチャンスを生かすには、小手先でない制度改革と規制緩和が不可欠だ。
著者は小泉政権で経済再生の任を負い、政策と経済の複雑なしがらみのなかで奮闘してきた。
「失われた30年」の元凶は何なのか?
政治と政策、政策と経済はどうからみあい、どうしたらうまく機能するのか?
理論と体験による分析を踏まえ、「デジタル化」「富裕層ビジネス」「東京再開発」など、追い風を加速させるヒントも提示する、今こそ必読の日本経済再生論。
(目次)
■気がつくと日本のデジタル化は世界31位まで後退
■マイナンバーとキャッシュレスが結びつくメリット
■テレワーク――日本とアメリカの違い ■補助金が地方中小企業を「ゾンビ化」させている
■ミッドタウン・六本木ヒルズ・麻布台ヒルズ ■自民党総裁が、内閣総理大臣になるという仕組み
■「政府・日銀アコード」とアベノミクスの功罪
■「政治はあまりにも重要だから、政治家だけに任せてはおけない」
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Posted by ブクログ
日本経済の停滞を為替・国際競争力・政治プロセスという視点から説明し、「なぜ日本に追い風が吹かないのか」を論じる。為替決定を長期(ファンダメンタルズ)・中期(経常収支)・短期(金利差)に分けて説明したり、経済を専門としない読者にも理解しやすい雰囲気で。
竹中平蔵の説明者としての力量を示しているようで、しかし本書を「政策論」として読むとき、どうしても避けて通れないのが、竹中平蔵という人物をめぐるレントシーカー論。疑惑、世評。というか、ほぼ悪評。
彼はしばしば「新自由主義の象徴」「自己責任論者」「格差拡大の元凶」として語ら、こうした評価は感情論的な面もあるが、一方で完全な言いがかりとも言えない。なぜなら、政策立案者でありながら実業家としての受益者でもある“都合の良い立場“がモラルハザードに見えるからだ。
竹中は既存の官僚的レントや既得権益を強く批判し、構造改革を推進したが、同時に、労働市場の規制緩和やアウトソーシング拡大といった政策は、制度によって新たな市場を作り出すものであり、その受益者側に彼自身がいたのだから。
彼が語る「構造改革が途中で否定されたために日本のファンダメンタルズが悪化した」という物語は、論理としては一貫している。しかしその一貫性ゆえに、改革がなぜ中断されたのか、そして改革が生んだ社会的コストがどのように分配されたのかについては、ほとんど触れられない。非正規雇用の拡大や雇用不安の増大といった現実は、「市場の結果」や「競争の必然」として背景に退けられ、政策設計者としての責任は曖昧なまま、というか、非正規雇用の件は、本書では、ほぼスルー。
国会運営における衆参の質疑時間の違いや、官僚組織に支配された暗黙のルールの存在を描写する内容は初めて知ったが、日本の政治プロセスの閉鎖性を理解するうえで示唆に富む。ただしそれは彼がその「内側」にいた当事者であることを生々しく思い出させもする。制度の歪みを熟知していた人物が、その歪みを利用しうる位置にもいたという事だ。
意図の有無にかかわらず、モラルハザードの疑念を晴らせない。竹中平蔵とは。単なる悪役でも、無垢な改革者でもなく、理論的信念を持ちはするが、それを実装する段階で、自らをもって倫理の限界を露呈させた人物だと言える。
追い風を最も強く受けるのは誰か。そして向かい風は誰が受け止めるのか。悪評ゆえ、素直には読めない本だ。