アレクサンドル・デュマのレビュー一覧
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全六巻のうち既刊三巻の第一巻。
描かれているのは、1815年2月28日から1829年2月28日までの14年間。それが丸々、主人公の主席航海士エドモン・ダンテスがシャトー・ディフに投獄されていた期間。
本作のダイジェスト版が黒岩涙香翻訳翻案の「巌窟王」として有名らしいが、幸か不幸か読んだことがないので、新鮮な気持ちで読めた。
マルセイユに帰港したダンテスは、次期船長に内定し、美女メルセデスとの結婚を控え、幸せの絶頂にあったのに、嫉妬に燃える同僚会計士ダングラールと恋敵でメルセデスの従兄弟のフェルナンの謀略に嵌められ、保身に走る野心家の国王検事代理ヴィルフォールが案件を担当するという不運もあって、裁判を受けることすらなく、政治犯収容所に入れられてしまう。
地下牢の同僚ファリア神父が神がかっていいひとで、ダンテスは何とか精神を維持することが出来る。ついでに(?)宝物のありか(これがモンテ・クリスト島)を知る。二巻以降は、この宝探しと自分を嵌めた3人への復讐が同時並行で進んでいくのだろうか。楽しみだ。
この巻の見どころは、何と言ってもダンテスの脱獄シーンだろう。死体との入れ替わり、というアイデアは見事。土に(願わくば浅めに)埋めてくれるかと思いきや、まさかの、特大の錘を付けての海中投棄。ダンテス君、大いに焦ったでしょうが、何とか縄を断ち切って無事に無人島へ脱出。すばらしいカタルシス。
脱獄をテーマにした作品といえば、映画の「ショーシャンクの空に」を何度も思い出しながら読んだ。こっちも、自分の保身のために無実の囚人を出したくない人(所長)がいて、構造は少し似ている。
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Posted by ブクログ
海外文学に触れた経験といえば、ガキの頃のモモとハリーポッターくらいというズブの素人なもので、正直なところ読み始めてしばらくは独特な表現に慣れず、「もっと簡潔に話せよ!町田康か!」とか「こいつら顔赤くなったり青くなったりしすぎで病気だろ!」とか、違和感と共に読んでいた。
しかし、主人公が監獄にブチ込まれるくらいからはコッテリ文章にどんどんのめり込んでいき、獄中でスーパーご都合主義チートジジイに出会うことを事前に知っていながらも、緊迫した展開と迫真の心理描写でドキドキすることになった。
そこからは熱が冷めることなく、残り2000ページくらいを駆け抜けた(まあ正直言うと、ローマにいた間だけは「この下り長くねえか?今なにやってる時間なのこれ!?」と思ったが…)。
感想としては、単純にエンタメとして面白いし、「ヒュ~!やってやったぜ!ざまーみろ!」という復讐劇の楽しみも格別だったが、なんというか、いやー人間だなー!人間味だなー!!という感じだった(は?)。
復讐対象のどうしようもない連中だけでなく、その周辺の人物も含め、迷い、後悔、欺瞞、自己保身、激情、嫉妬といった、ネガティブな人間味が濃厚に描かれる。そうすると読んでいくにつれ復讐対象のやつらにも魅力を感じてきたりする。「みんなそういう嫌な側面ってあるよな、人間って誰しも弱いよな…」みたいな。そもそもそいつらにしても、純粋な悪意と明確な意志でもって主人公を投獄に追いやったかというと、そうでもないわけで。そして、そんなネガティブな情動が渦巻く中だからこそ、一筋の高潔さをもった何人かの人物が一層輝く。
言うまでもなく、主人公は大変魅力的。復讐鬼に変貌した後の、神の代行者かのような超然とした言動は格好いいし、そんな中でも「あれ、これでいいんだっけ…?」とか「やべっ、やりすぎた!」とか迷ったり焦ったりと人間味も出してきて、でもしっかり無双して爽快感を提供してくれるダークヒーロー優等生だ。
主人公以外では、ノワルティエが個人的に好きになった。初登場時は「なんか厄介そうなおっさんがチラッと出てきたな」くらいにしか思わなかったが、終盤には「うおー!ジジイいいぞ!ジジイがんばれ!!」とファンになっていた。
とまあ、めちゃ長いが、情熱的で修辞的な表現に慣れてくればスルスル読み進められて、夢中になっているうちに読み終わると思う。 -
Posted by ブクログ
アレクサンドル・デュマ
1802-1870フランスの作家.放任された幼少時代をおくったが,パリに出て公証人の書記をつとめながら書物に親しみ,戯曲を書いて成功する.七月革命で革命軍に身を投じるなど,すすんで政治運動にも加わった.戯曲のほかに,紀行,歴史小説,短 ,童話など, 200以上の作品を残したが,協力者との共同作業によるものも少なくない.小説は,劇的な展開と生きいきとした会話が特徴.『モンテ・クリスト伯』とならんで『三銃士』が有名.
編訳者 竹村 猛(タケムラ・タケシ)
1914-1987フランス文学者.バルザックを主として,フランス 19世紀文学を研究.訳書に,バルザック『三十女』,デュマ『三銃士』,モーパッサン『男ごころ』,ラクロ『危険な関係』などがある.
—『モンテ・クリスト伯 上 (岩波少年文庫)』アレクサンドル デュマ著
「「しかたがないさ、エドモン君。われわれはみんな、一度は死ぬのだ。古い者は新しい者にその席をゆずらねばならない。それがなければ、進歩ということはあるまいさ。それに、とにかく君もいってくれるように、積み荷のほうは 」」
—『モンテ・クリスト伯 上 (岩波少年文庫)』アレクサンドル デュマ著
「「そう、それは知っているよ、メルセデス」と、青年は答えた。「だけど、カタロニヤ人たちのあいだでは、カタロニヤ人どうしで結婚するというのが、神聖な掟になっているのを、君は忘れているのかい」 「それはあなたの思いちがいよ、フェルナン。それは掟なんかじゃなくて、たんなる習慣だわ。そんな習慣を、自分の都合のいいようにお取りにならないで。あなたは兵役にはいっているのよ、フェルナン。今にも召集がくるかもしれないわ。兵隊になったら、あなたはこのわたしをどうしてくださるの。財産もなく、あるものといったら朽ちかけたあばら屋ひとつの、あわれなみなしごのこのわたしを」」
—『モンテ・クリスト伯 上 (岩波少年文庫)』アレクサンドル デュマ著
「「かまわないさ、メルセデス。どんなに君が貧乏でひとりぐらしだといったって、マルセイユのどんな大きな船主の娘やどんな金持ちの銀行家の娘なんかよりも、ずっと君のほうがこのぼくにはふさわしいんだ」 「フェルナン」と、メルセデスは頭をふりながら答えた。「友情だけでがまんしてちょうだい。くどいようですけれど、わたしがあなたにお約束できるのはそれだけです」 「そうか、わかった」と、フェルナンはいった。「君は自分の貧乏にはじっと堪えているが、このぼくの貧乏はおそろしいんだ。いいとも、メルセデス、君が愛してくれるなら、のるかそるかやってみよう。君が好運を持ってきてくれるんだ。そうしてぼくは金持ちになるよ。このまま漁師の仕事をひろげてもいいし、事務員になって銀行にはいってもいいし、商人になったっていいんだ」」
—『モンテ・クリスト伯 上 (岩波少年文庫)』アレクサンドル デュマ著
「「いいかね、ダングラール」と、カドルスは友人に目くばせをしながら、「このフェルナンという男は、善良で勇敢なカタロニヤ人で、マルセイユ一番の漁師なんだが、これがメルセデスという美しい娘にほれているんだ。ところが、残念ながら娘のほうでは、ファラオン号の一等運転士にくびったけ。しかも、そのファラオン号がちょうどきょう入港した、ということさ。わかるかい」 「気の毒だな」と、ダングラールはいかにも心から青年に同情したようなふりをしながら、「この男は、ダンテスがこんなに急に帰ってくるとは思っていなかったんだな。おそらくダンテスは死んだか、それとも心変わりしたんだ、と考えていたわけだ。こうしたことは、突然やってくることだけに、それだけいっそう身にしみるというものさ」」
—『モンテ・クリスト伯 上 (岩波少年文庫)』アレクサンドル デュマ著
「司祭は微笑をうかべた。 「人間の学問などは、かぎられたものだ。数学と物理学と歴史と、それにわしの話せる三か国語か四か国語を、君に教えてあげたら、それでわしの知っていることは終わりだ。それをそっくり、わしの頭から君の頭につぎこむのに、二年とはかかるまい」 「それでは、はじめになにを教えてくださいますか。わたしは学問にうえているのです、早くはじめたいのです」 「なにもかも教えてあげるよ」と、司祭はいった。 その夜すぐに、ふたりの囚人は教科案を立て、翌日から実行にかかった。ダンテスは、おどろくべき記憶力と、異常なまでの理解力とを持っていた。彼にとって有益な日々が、数えるともなくすぎていった。一年たつと、彼はまったく別人のようになっていた。」
—『モンテ・クリスト伯 上 (岩波少年文庫)』アレクサンドル デュマ著
「ある夕方、ふたりがいつもいっしょにいた近くの樅の林から、ほんとに狼が出てきました。狼は十歩も走らぬうちに、撃ち殺されてしまいました。ヴァンパは意気揚々と、狼を肩にかついで農園に帰りました。これが付近の評判になりました。すぐれた人間というものは、どこにいても、一群の賛美者を得るものでございます。この若い羊飼いは、このあたり十里四方でいちばん腕のよい、いちばん強い、いちばん勇敢な若者だ、といううわさになりました。テレサのほうは、もっと広いうわさで、サビーヌいちばんの美しい娘だとされていましたが、ういたことばをかける者はひとりもおりません。娘がヴァンパに愛されていることを、みんな知っていたからでございます。テレサは十六、ヴァンパは十七になっておりました。 」
—『モンテ・クリスト伯 上 (岩波少年文庫)』アレクサンドル デュマ著
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Posted by ブクログ
18歳のころ、船長への昇進と結婚を目前に彼を妬む者たちにより貶められ、犯罪者とされ、孤島の土牢に収容された、エドモン・ダンテスは14年後に奇跡の脱出を果たした。
そして「モンテ・クリスト伯」という謎の大金持ちとして、かつて彼に陰謀を働いた知人やその息子たちに復讐を計画する。彼にかつて陰謀を働いた者たちは狡猾に立ち回り、成金、新参者の貴族になっていた。モンテ・クリスト伯は社交界にデビューし、華々しいジェントルマンとして注目されながら、じわじわと彼らに近づき、着々と復讐の足場を固めていく。
まだどんな形で復讐するのか分からないのだが、少しずつ少しずつ化けの皮を剥がしていく過程は探偵物のようでスリルがあり面白い
フランス革命、ナポレオン帝政、王政復古という激動時代だったからこそ、人生大逆転ドラマも実際にあったんだろうな。 -
Posted by ブクログ
【脳に馴染みがあるかどうか】
以前読んだ『古事記』が難しくて
スムーズに読み進められなかったのは、
次はどうなるんだろうと
ワクワクする前に
「え…土地がおぎゃあおぎゃあと生まれた…?」
などと脳に馴染みのない状況で
こまめに一時停止してしまったから。
全然楽しむレベルに辿り着けなかった。
それと比較してこちらは楽しくスイスイ読めた♪
人に陥れられ、
無実の罪で14年も暗い牢屋に閉じ込められたら、
そりゃあ復讐もしたくなるでしょう。
そのために変装?
うんうん、わかるわかる。
でも具体的にどうやって?(ワクワク)
という脳に馴染みのある展開で
一時停止することなく
楽しむところまでスッと辿り着けた。
本以外でも同じことが言えるよなー。
物事の色んなパターンを知っていることで、
フリーズすることなく対応ができる。
知らないパターンには変に身構えてしまうから
幅広く本を読んで
日々自分の知っている世界を広げておくと
それが物事を楽しむことに繋がるね。
(岩窟王とモンテクリスト伯は同じ作品だったのか!) -
Posted by ブクログ
もはや半世紀以上前になるでしょうか。その頃、世界文学全集を持っていて、その中に同じ題名の本・・確か厚い本で3巻に分かれていたと思います。
それを読み始めてから気になって夜もろくに眠れなかったくらい。
そして読み終わってからしばらくほかの本を読めなかった‥‥
もっと子供の頃はラジオで、巌窟王 として放送されていて、
♫牢屋の石の壁は俺の心を知っている 虚しく過ぎた14年 忘れられないこの恨み♫
多分誰も知らないと思いましたが、私は鮮やかに思い出してしまい、読み始めました。少年文庫というのを複数の中から選びました。
そして「上」を読み終えました。
薄い記憶の底にあったものが少しづつ浮かんできました。
早く読み終わりたい‥‥