アレクサンドル・デュマのレビュー一覧
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ネタバレモンテ・クリスト伯があちこちに蒔いた罠が、いよいよ仇敵たちを追いつめる。
まず最初に舞台から去ったのはカドルッス。
彼はエドモンが陥れられるのを知っていて知らんふりをしていただけなので、他の人たちに対するよりも憎しみは少なかったのだろうか。
最初は落ちぶれていたカドルッス夫妻に大きなダイヤモンドをプレゼントしたりした。
けれどもそれが引き金になって、小悪党だったカドルッスは人殺しの犯罪者になったのだから、やはり復讐するつもりだったのか、それともカドルッスにチャンスを与えたのか。
カドルッスはエドモンの手によってベネデットとともに監獄から抜け出すことに成功したが、その後もやはり人目を避けてのその日暮らしのカドルッスに対して、ベネデットはエドモンの手引きでイタリアの貴族となる。
それを知ったカドルッスがベネデットをゆすり、結果…。
最後まで小悪党だなあと思っていたら、最後の最後に正体を明かしたエドモンの前で、カドルッスは悔い改める。
「これで一人」とは、カドルッスを看取ったエドモンのセリフ。
やはり最初から殺すつもりだったのか?
フェルナンは過去の悪事を暴かれ、それがモンテ・クリスト伯の仕業と知ったフェルナンの息子アルベールはエドモンに決闘を申し込む。
もちろんエドモンはアルベールを殺す気満々なのだ。
フェルナンの血を引いた者をこの世に残しておくつもりはない。
あんなに目をかけてかわいがっていたように見えたのに、それはフェルナンへのつなぎのためではなく、最初から頃好きだったんだ…。
全てを理解したメルセデスが、「エドモン」と呼びかけ、エドモンを死んだと思ってフェルナンと結婚した自身の罪を詫び、息子の命乞いをすることで、エドモンは己の心にまだ人の心が残っていたことを知る。
それにしても、ただメルセデスを愛していただけの田舎の漁師だったフェルナンが、過去にあんな残虐なことを行っていたというのはちょっと唐突過ぎる気もする。
そんな欲まみれの悪党だったとしたら、いくらエドモンの死で心が弱っていたからといってメルセデスがフェルナンと結婚するだろうか。
過去の自分の行いのせいで妻子に去られ、社交界に居場所を失くしたフェルナンは自殺する。
そしてエドモンのせいで財産をことごとく失うことになったダングラールは、財産目当てで、エドモンがでっち上げたイタリア貴族のカヴァルカンティことベネデットと娘の結婚を画策する。
社交界の歴々が集まった婚約披露のその場で、カドルッスを殺した罪でベネデットは警察に追われる。
結婚自体を嫌がり家から逃げ出すダングラールの娘とベネデットの逃走経路がおんなじで、笑っちゃったわ。
さて、次々に家族が死に見舞われたヴィルフォールは、ついに娘も薬を盛られていたことに気づく。
そしてヴァランティーヌを愛するマクシミリヤンもそれに気づき、なんとかモンテ・クリスト伯に助けてもらおうとする。
しかし彼はすべてを知っていながら、助けを差し伸べようとしない。
ヴィルフォールの娘の命なんて、かんけーない。
ところが、エドモンの恩人であるモレル氏の一人息子・マクシミリヤンが仇敵であるヴィルフォールの娘を愛していることを知り、エドモンは、またも運命の皮肉を、または神の摂理を知り、絶望の声をあげながらもヴァランティーヌの命を奪わない決断をする。
で、メルセデスとの会話で若かりし頃の愛情と絶望を思い出したエドモンだが、フェルナンに父を殺されたエデと今後恋愛関係になりそうな予感。
そこまでしなくてもいいのに、サービス精神の旺盛な文豪です。
新聞小説だったというからというのもあるのかな。 -
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ネタバレいよいよ復讐が佳境に入る。
ダングラールはことごとく株で失敗し、体裁を取り繕う余裕もない。
ダングラール夫人とヴィルフォールの過去の子殺しについては、モンテ・クリスト伯がその事実を知っているのかいないのか判断がつかないまま宙ぶらりん。
ヴィルフォールの家では彼の義理の父母と、父の召使が立て続けに死亡。
かかりつけの医師はこれを連続殺人であり、犯人は娘のヴァランティーヌであると見なす。
検事総長の家族が連続殺人犯である、と。
フェルナンは過去の悪行が新聞に掲載されるが、今のところフェルナンがモルセール伯であることは知られていないので、アルベールが父の名誉を守ろうと動くことが却って事実を顕にしそうな予感。
モンテ・クリスト伯の仇はこの3人なわけだが、このままではヴィルフォールの娘まで無実の罪で破滅してしまう。
それは彼の望みであるのか?
そして、彼が大切に思っているマクシミリアンは、ヴァランティーヌと恋仲なのだ。
もしヴァランティーヌが冤罪のために死ぬことになったら、マクシミリアンも多分生きてはいない…かどうかはわからないが、不幸になることは明らかだ。
もんて。クリスト伯が身近に置いているエデという奴隷。
彼女の父の仇がフェルナンであるということが読者には明らかになったが、当事者同士はまだ知らないままというのも、今後もう一波乱がありそうで怖い。
全てがモンテ・クリスト伯の計画通りなのだろうけれど、子ども世代に罪はないと思うのだけど。
メルセデスに対しても、多少恨みがましいことは言ったけど、憎んでないでしょ?
やり過ぎると自分も不幸になる気がするなあ。 -
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" アンドレアはとぶようにして部屋へはいると、カドルスの手紙に火をつけて燃やし、灰のあとまで消してしまった。" P.76
"「いやだ」とカドルスはいった。「いやだ。神さまなんていやしない、摂理なんてありゃしない、ただ偶然があるだけなんだ」" P.105
読中、ちょっとぐぐったりすると「モンテ・クリスト伯はラノベ」だとか「モンテ・クリスト伯はなろう」とかヒットしたりする。
この作品に限らず、他の文学作品にもそう思うことはある。「名作、古典、文学」というラベルは、「ラノベ、なろう」などのラベルと競合しないということに気付かされる。『はつ恋』なんて、タイトルの少女漫画感とは裏腹に、すげえNTRだしな!
エドモン・ダンテスはダーク・ヒーローであるし、傷のある男でもある。人気が出ないわけがない。「眼光鋭く覆いかぶさるように威圧する影」という描写は多くの漫画作品にもさり気なく登場するが、原点はモンテ・クリスト伯にあったりするのかなと思ったり思わなかったり。
当時の読者はおそらく、現代において週刊少年誌の連載に熱狂するかのごとくこの作品に熱狂したのだろう。
そもそもいい年になっていまさら未読の名作作品を読んでみようと思った理由はFGOで、なんでエドモン・ダンテスが主人公たるプレイヤーキャラクターを共犯者あつかいしてんの?という疑問から発した。
わかるような分からんような。明示的な理由は見いだせなかったし、暗示的なものは一読では抜き出しできない程度におぼろげだ。「待つこと希望を失わないこと」の一言に由来するのかもしれない。
最新の幕間では主人公のトラウマあるいは罪悪感を、主人公のあずかり知らぬところで忘却させているというというような描写もあった。原典たるモンテ・クリスト伯は暗躍はすれど、そんな働きを見せたことはない。換骨奪胎のたぐいであろうが、さて。 -
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"「ねえ」と、伯爵夫人はいった。「バイロンはわたくしに、自分は吸血鬼はいると信じているといいましたわ。自分でも見たといって、その顔を説明してくれましたわ。それがまったくあの方とおんなじなのです。あの黒い髪、あのふしぎな炎で燃えているような目、あのすさまじいまでの青白さ。それに、いっしょにいる女の人がまた、ふつうの女の人じゃありませんのよ。ギリシアの女……きっと、あの方とおなじに魔法使いの女かもしれませんわ」" P.329
作品解説によれば、二年間、新聞紙上で連載された作品だそうで、連載が途切れると騒ぎになるほどの人気を博したそうである。
なるほど、随分と悠長な復讐物語であると思えば、そういう事情であったか。連載による物語の歪みというものは実在するもので、冒頭から連載モードへの移行がはっきり分かる例もある。
さておき、当時の人が続きを待ち望んだ理由は理解できる。 -
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ネタバレいよいよモンテ・クリスト伯の復讐の罠が、仇たちに投げかけられる。
ダングラールには高裁で大損をさせ、ヴィルフォールとダングラール夫人の昔の罪がいよいよ暴かれようとする。
そしていったん物語から姿を消したカドルッスが落ちぶれて復活。
人を殺してまで手に入れた宝石と大金はどうなったん?
とにかくモレル家の長男マクシミリヤンのことが大好きなモンテ・クリスト伯。
ところが彼は、モンテ…めんどくさいな、エドモン・ダンテスの敵であるヴィルフォールの娘と恋仲なのである。
意に染まぬ男と結婚させられそうな娘・ヴァランティーヌを救うため、モンテ・クリスト伯に助けをもとめようとするマクシミリヤンにヴァランティーヌは「私はそんなにいい人とは思わない」と言う。
そのわけは、「人の何倍も大金持ちなだけで両親に愛されていない孤独な私をかわいそうに思って下さらないから」
ええと…すっげえ鼻持ちならんやつだなあと思ってしまったのは貧乏人の僻みなのでしょうか。
もう少し謙虚ということを覚えた方がいいと思うわ。
しかし、彼女の持つ莫大な財産を狙う義理の母は、やけに毒物に興味津々で、それをまたダンテスが煽るものだから、これは死人も出そうな勢い。
ああ、怖い、怖い。 -
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ネタバレ無実の罪で決して脱走などできないシャトー・ディフの監獄に囚われたダンテスは、ファリア司祭から語学や化学などの実学を学び、コツコツと脱獄の準備を進めていた。
しかし、ファリア司祭はついに3回目の発作を起こし、亡くなった。
この機にダンテスは脱獄を実行する。
そして船乗りの経験を活かして、密輸業者の船に乗り込み、機会を見つけてモンテ・クリスト島に隠された宝を見つけ、姿を消したのだった。
とはいえ、ダンテスが変装をしたところで読者にはわかる。
まず最初に姿を現わしたのは、ダンテスのかつての雇用主のモレル氏のところ。
モレル氏は最後までダンテスの無実を信じ、何度も関係者に掛け合ったけれども、ナポレオン派と王室派の権力争いの中でその行動は自ら災難に巻き込まれようとしているようなものだった。
そのうえ、所有していた船が沈没したり行方不明になったりして、モレル氏は今や破産寸前なのだった。
もちろんダンテスがその莫大な財産の中の一部を使って、かつての雇用主であり恩人でもあるモレル氏の窮状を救うのだけど。
結構モレル氏が自殺しようとする直前なんだよね、助けるタイミングが。
もっと早くなんとかして差し上げても良かったのではなくって?
しかもモレル氏の娘に「船乗りシンドバッドより」なんて手紙渡してさ、もってまわったやり方で助けるのよ。
恩人に対する態度とは思えん。
でも、これがダンテスの最後の善行で、これからは復讐あるのみ。
まず最初はフェルナンの息子、フランツ。
この青年、悪い人ではないというか、多分善人だとは思うけれど、金持ちの家に生まれたことによる無自覚の嫌なやつ臭がする。
『レ・ミゼラブル』のマリウスのような感じ。
苦労をしらないから、頭の中の倫理観で行動するけれど、無自覚に庶民を踏みつける。
彼と、友人のアルベールがローマの謝肉祭に出かけた先で、ダンテスが姿を現わすところで次へ続く。
莫大な財宝を手に入れたのはわかるのだけど、お金の使い方がえげつないダンテス。
たとえ復讐のためとはいえ、不必要な出費はなるべく抑えるが肝要かと思いますが。 -
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ネタバレローマでモンテ・クリスト伯が出会ったふたりの青年、フランツとアルベール。
どちらも良家の青年らしく好奇心のままに行動することに躊躇せず、汗して得た金ではないのに(ないから?)無造作に金を使い、社交の場に顔を出す。
比較的慎重で常識的なフランツは、ローマ以前にも一度モンテ・クリスト伯と会っているので、彼の狙いはてっきりフランツだと思ったのだけど、今巻でモンテ・クリスト伯のターゲットはアルベールだったことがわかる。
アルベールを通してフェルナンとメルセデスの夫婦と知り合うモンテ・クリスト伯。
その後ダングラールとヴィルフォールとも出会うが、彼がエドモン・ダンテスであることに気づいたのはメルセデスだけだった。
いや、もう一人、冤罪を知っていて知らん顔をしたカドルッスもブゾーニ司祭となっていたダンテスには気づかなかった。
獄中の14年+脱獄後の9年はそれほどに彼の容姿を変えたのか。
ブゾーニ司祭(ダンテス)から5万フランの価値のあるダイヤモンドを贈られたカドルッスは、ダイヤモンドを売り払うが、欲に駆られてその宝石商とついでに自分の妻を殺害する。
ダンテスはカドルッスを許したのではなく、復讐したってことなのだろうか。
それともカドルッスの行動にその判定を委ねたのか。
仇と狙うフェルナン、ダングラール、ヴィルフォールたちの家族に取り入るモンテ・クリスト伯。
今のところモンテ・クリスト伯が圧倒的に大物感を出しているのだけど、このままいけるのか?
モレル商会の長男も絡んできそうで、先を読むのが楽しみこの上なし。 -
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ネタバレ岩波文庫なのに読みやすい!というのに、まず驚きました。
注釈なしでもスラスラ読める。(初刷は1956年で、私が読んだのは2018年の94刷)
同じく岩波文庫の『レ・ミゼラブル』とはえらい違いです。
ストーリーは子どもの頃に抄訳で読んでいるのでわかっていますが、それでもページを繰る手がとまりません。
エドモン・ダンテスくんの人の良さというか、世間知らずというか…にヤキモキしてしまいます。
ダンテスの美しい恋人メルセデスに横恋慕して、彼を陥れようとするフェルナンの行動はわかるとして、ダンテスと同じモレル商会で働いている会計士のダングラールがなぜあれほどまでにダンテスに対して憎しみを感じているのかが最初のうちわからなかった。
結局それは逆恨みってことになるのでしょうが、この場合、雇い主のモレル氏がダングラールの人となりを見抜けずに重用していたところに問題があったと言えるのではないでしょうか。
というか、ダンテスくん、19歳なのね?
それで結婚というのは…まあ…時代が違うし…3年付き合ってきたのなら、まあいいでしょう。
しかし、船長ですか?19歳で?
モレル氏の人事評価にこの悲劇の大本があるような気がしますよ。
時代は一度失脚したナポレオンが再びパリを目指す頃のこと。
ナポレオン派と親王派に分かれて政治も軍事も争いの予感を孕んで不安定な時。
ダンテスはそうした争いの只中に、政治犯として終身刑を受けてしまいます。
もちろん冤罪。
次期船長の内示をもらい、メルセデスとの結婚直前という幸福の絶頂からの不幸のどん底。
驚愕、不審、怒り、そして絶望。
何年もの歳月をかけて、生きる気力さえも持てなくなったダンテスに、転機が訪れたのは、何かを削るような音が壁の向こうから聞こえてきた時。
脱獄を企てるファリア司祭と知り合い、ダンテスは自分が誰にどうやってこのような境遇に陥れられたのかを知ることになります。
そして脱獄の準備をしながら、ファリア司祭から語学や科学について学ぶことにします。
ところがファリア司祭が病に倒れ…。
フランスの歴史がわからないから、今ひとつ時代背景が見えてこないところもあるけれど、ざっくりフランス革命の後ですね。
ルイ18世って誰?って思っちゃいました。
ルイ16世はギロチンで処刑されたし、ルイ17世はまだ子供のうちに亡くなったはず。
どこから出て来た?ルイ18世。(調べたところ、ルイ16世の弟のようです)
あと、ファリア司祭の話の中に出て来た『セザール・ボルジア』って、『チェーザレ・ボルジア』のことですよね。
フランス読みだとピンとこなかったけれど、ローマ法王の息子で、父とともに大悪人と言えば、多分彼。
西洋史難しい~。
個人的には『モンテ・クリスト伯』より『岩窟王』のタイトルの方が好き。
余談ですが、『レ・ミゼラブル』より『ああ、無情』の方が好き。
なんでタイトル変えちゃったんだろう。