大崎善生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
山崎はいつも、過去を思い出している。
パイロットフィッシュは循環する水の中で、新しい生態系を作る。
過去を思い出し、過去の中で生き、要らないものを捨てていくのではなく、すべてを蓄積していく。
もう思い出すこともなくなった過去でさえも、ため込んで、山崎という人間が出来ている。
そこから逃げ出すことはできない。
逃げ出す時は、死ぬ時だ。
新しい生態系を作り終えて、不要になったパイロットフィッシュが捨てられるように。
目に見えない糸で織られているかのように、すべての事象が繋がっているのかもしれない。
不要だった過去は一つもない。
だから人間は生き、傷付きながらセックスをするのだろうか。 -
Posted by ブクログ
「八甲田山死の彷徨」を高校の頃に読んで、その時のノンフィクションの印象があまりに生々しく衝撃的ゆえ、以来、ノンフィクションからは遠ざかっていたのですが…
この事件が起こった年、個人的なことですが私自身、母となりました。
事件そのものも、何度もメディアに取り上げられ、お母様の姿もテレビなどを通じて何度も拝見していて、母として、とても強い方なのだろうと思っていました。ひそかに尊敬、応援もしていました。
なのでこの作品を知ったとき、「読みたい!」と強く羨望したのに、いざ本を手にするとなかなか読めなくて…。
やはり事件の残虐性は活字でさえかなり辛いです。本当に起こったことなのだと。
ただ、書き方はノンフィクションというより物語に近く、お母様の感情を何度も何度も書き連ねているのはどうなのかな、とは正直な感想です。
ミクシィの引用などは、もしかしたら利恵さんは望んでいないかも?
それよりも、最後の裁判の経過をもっと詳しく書いてほしかったし、日本の裁判制度がいかに加害者側に立っているか、を、もっと問題定義してもらいたかったなと思いました。
こんな事件が二度と起こりませんように。
利恵さんのご冥福をお祈りいたします。
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Posted by ブクログ
ネタバレ中座真
現五段。三段リーグを戦っていた。26歳を迎え、昇段しなければ年齢制限という奨励会特有の規則のため、これ以上リーグ戦に参加できない状況だったが、昇段が決まった。
中座千代子
中座真の母。
大崎
将棋世界編集長。新宿将棋センターの金田に紹介されて、日本将棋連盟に就職する。その後「将棋世界」編集部に配属され、編集部員として間近で激動する将棋界を見つづけてきた。少年時代に「北海道将棋会館」に時々通う。
成田英二
四段。二段で奨励会を退会し、その後指導棋士となり四段の免状を与えられていた。白石将棋センターに連絡先を変更。小学5年で三段、「北海道将棋会館」に通っていた。
渡辺明
史上4人目の中学生プロ棋士。新四段。
池辺龍大
三段。奨励会を退会。
東山
白石将棋センター。
金田秀信
新宿将棋センターの社長。大崎に日本将棋連盟への就職を紹介する。
勝浦修
A級棋士。九段。日本将棋連盟理事。
升田幸三
髭の九段と恐れられた。
大山康晴
日本将棋連盟会長。
岡崎洋
奨励会三段リーグ最終日に劇的な勝利で昇段する。
秋山太郎
岡崎の劇的な昇段の陰で、年齢の壁に敗れひっそりと千駄ヶ谷を去っていった。羽生世代。
成田晢
成田英二の父。夕張の炭鉱夫として働いていた。
成田サダ
成田英二の母。
浅利
成田が小学一年生の時に行った北海道将棋会館の席主。
五十嵐豊一
八段。札幌出身。成田の師匠。
関口勝男
昭和58年の春の人事異動で、将棋連盟道場の主任に赴任。五段。
花村元司
九段。関口が内弟子になる。東海の鬼とおそれられていた。
田川信之
関口が初段昇格を果たし、二人で笹塚のアパートで同居を始め
先崎学
八段。自らを小卒と名乗る。小学3年で米長邦雄の内弟子に入る。水戸の天才少年、略して水戸天と呼ばれる。昭和57年組に飲み込まれる。
米谷和典
福島育ちの青年。昭和57年組に飲み込まれる。24歳で奨励会を退会した。
西森照幸
札幌出身。成田の弟分。
加藤昌彦
小林健二八段門下として関西奨励会に入会。25歳て四段になれず、年齢制限で奨励会を退会する
江越克将
第1回世界将棋選手権の優勝者。ブラジル代表。森信雄六段の弟子として奨励会に入会した。6級で入会したものの、これといった成績を一度もあげることができないまま7級で退会となった。
内山佐和子
北見のパチンコ屋「フェニックス」に入ったばかりのパートタイマー。成田より5歳上。 -
Posted by ブクログ
読み終わった後、感情の整理が出来なかったのですが、落ち着いてきた今感想を書いてみようと思います。
読んでいる途中で、何度も泣きスポットがありました。
将棋のプロを目指すべく奨励会に入ったものの、プロになることはできずに奨励会を去っていた瞬間。
それ以上に胸を熱くさせるのは、奨励会を後にした後にどうやって人生を立て直ししていくかの過程です。
涙なしには読むことができません。
成田という一人の男性を中心にストーリーは進みますが、それ以外のかつてはプロを目指していた人についても書かれています。
奨励会を退会しても将棋を別の世界で続ける者、将棋の世界とは別の世界で生きる者。
夢破れても人生は続いていきます。
私は夢が破れるタイミングが悲惨に感じました。
十代(早いと)、二十代で自分の一生をかけて努力してきたものの結果を突き付けられ、その道を絶たれてしまう。
普通の人はこれから人生の目的に向かって歩き出そうとしている時期に、人生賭けて目指していたものの道を絶たれてしまうのです。残酷です。
文中に下記のフレーズがあります。
”これまでの人生で、将棋のほかのことは何もしていない。こんな自分が将棋をやめていったい何ができるというのだろう。”(抜粋)
夢を目指している時には考えもしなかった不安が諦めの気持ちを持ち始めた瞬間に押し寄せてきます。
人生が狂ってしまうのもわかる気がします。
しかし、人生賭けて何かを頑張ってきたという事実は消えることはありません。
それに気づけたときに、人生が開けていきます。
それは夢を追いかけていた世界では報われなかったのかもしれません。でも、長い目で見るとこの時期があったからこそ、今の自分が存在している。この時期こそが生きる原動力であり、自分の人格を形成している全てであることが理解できると、次のステージに進むことができるのかもしれません。
成田の言葉に以下のフレーズがありました。
”「いや。これだけはさあ。これだけは置いていけなかったんだ。だからポケットにつっこんでさぁ、持ってきたんだ。だって、これがこっちの人生のすべてなんだもの。これがなきゃ、こっち何やってきたのかもわからなくなっちゃう、何も証明できなくなっちゃうもの」”(抜粋)
訳あって、借金取りから逃げて生活していた成田ですが、逃げる際に母親の写真を置き去りにしても奨励会を退会した時にもらった駒は持ち続けていました。
奨励会を卒業してプロになれなかった。その一点を見れば「負けた」という事なのかもしれません。しかし、人生は長い。その先もずっと続いていきます。
目指した世界では勝てなくても、自分の勝てる場所を見つけることは誰にもチャンスが与えられています。
死にたくなるくらい辛い経験をしても、生きていれば勝てる時がくる。
たとえ夢破れたとしても、人生を賭けてやりきった先に見えるもの、そこからでないと見えない景色は絶対にあるのだと思います。
その経験をした人はやっぱり強い。
そういう人ってGRITっていうのかな?やり抜く力が尋常じゃないと思うんですよね。
将棋の話というよりは、人生再生の物語といったほうがいいかもしれません。
個人的には江越のストーリーが好きです。