大崎善生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「パイロットフィッシュ」の心地よい切なさがとても気に入ったから
本作もそういう感じなのかなと気軽に手にとったのだけど、全くそんなことはなかった。
あの心地よいさわやかな痛みじゃなくて、心臓をえぐられるような、息がつまる痛み。
たくさんのどうしようもない想いが自分の過去や現在の痛みとリンクして、
涙をこらえ、吐き気をこらえながら読んだ。
「二股かけてうだうだしてはっきりしなくて結局はどっちも守りきれなかった最低なろくでもない男」の話。
途中で読むのをやめてしまおうかも思ったけど、なんとかよみきった。
ストーリー全体としてどうこうという話ではないけれど、
ところどころに大切なフレーズが眠って -
Posted by ブクログ
おれの大好きな大崎善生さんの作品。
身を切られるような切ない恋愛が描かれていました。
三年付き合った恋人を失った元彼女の気持ちも、大好きな人の生活を壊してしまったと病んでいく彼女の気持ちも、そのどちらも満足に救ってやれないことに苦しむ主人公の気持ちも、どこかしら自分の中に共通する気持ちを見つけてしまい、読むのが苦しかった。
主人公のただひたすら献身的な愛。それに応えてあげられない彼女。静かに退場していく元彼女。
大崎さんの綺麗で透明な言葉で紡がれる物語は心に響きます。
電車の中で読んでいて、危うく泣きそうになりました。
これから先も、何度も読み返したい名作です。 -
Posted by ブクログ
たまたま知り合いが『今のあなたに読んで欲しい』と言って貸してもらいました。
別れの後の静かな午後。この話とその時の私は驚く程設定が似ていたのもあってか泣いてしまいました。
この作品に出会わなければ、今の私はもっと弱かったかもしれません。
作品と出会えて考え方が変わりましたしかなり大きな影響を受けました。
今後、付き合っている方と遠距離恋愛する予定にある方、もしくは既に遠距離恋愛中の方は一度ページをめくってみると良いと思います。
ただその経験に遠い方が読むと入り方が違うかもなぁ…
体験したから分かる。。
いい作品です!
ランプコントロールも今から読みます。楽しみです。 -
Posted by ブクログ
大崎さんの短編集。
この人が書きたい方法・ものごとが少し分かった気がする。
そして、それが好きだと思う。
多分、何度か読み返すだろう本です。
なぜだか勝手に、この人は男性を書くと思っていたので、「八月の傾斜」の語り手が女性だと気づいたとき慌てて最初から読み直した。
「ソウルケージ」が凄く良くて、『ラバーソウル』を今すぐに買いに行きたいと思ったくらい。
これだけのページでこんなに沢山のことが起きて、人が傷ついて癒され始めたりする。気温だとか美しい景色だとか、そういうのと同じくらい痛みとか不快さだとかが迫ってくる。
ドラマティックが過ぎると普段なら思うかもしれないけど、今わたしが読みたかったの -
Posted by ブクログ
同僚の恋人との三年越しの恋愛にけりをつけた僕は、アルバイトの由布子と付き合うことに。しかし愛の歯車はそのときから少しずつ狂い始める・・・。蝕まれる心と身体、公私にわたって逼迫する生活。心を閉ざし壊れていく恋人を見守り、献身的に尽くす僕の日々に突然の別れが押し寄せたとき、脳裏には美しい白鳥の歌声がこだましていた・・・。狂おしいまでの情熱に駆けられラスト1ページまで突き抜ける、哀しみのラブストーリー。(背表紙より)
泣きました・・。電車の中で、最後、どうしようかと思っちゃいました・・。泣いたら恥ずかしいぞ~と。笑。でもでも、本当に、切ないお話でした。普通の恋愛小説じゃない・・と読み始めて、これが