大崎善生のレビュー一覧

  • 孤独か、それに等しいもの

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    2020年2月2日日経朝刊 文化欄に大崎さんが書いていて、中学生の受験問題に取り上げらる件から息子さんとの会話がある。作者本人にここで何を示唆しているのかという問いに、本人に聞いてみたいよと、回答にバツがついて…国語の授業が楽しみになるといいだが。著者の生き様に感化され、作品に浸る

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    2025年10月29日
  • パイロットフィッシュ

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    読書の秋ってことで積読してきた本を読んでいて、その中の一冊がパイロットフィッシュでした。
    何でずっと読まずにいたんだろうと思うくらいとてもいい本でした。章ごとによって話の展開が異なるので少し頭を整理しながら読む必要はありましたが、内容も非現実的なお話ではないので、感情を重ねながら読むことができます。私の性格的に、感情移入をしがちなのですが、この本は特にそうでたくさんの登場人物に感情移入をしてしまいました。次は?次は?とどんどん内容が気になります。一つの章もそんなに長くないのでサクッと読めますが、読んだ後の余韻はしっかり重いです。
    記憶を消してもう一度読みたいと思えるような本です。

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    2025年10月22日
  • リヴァプールのパレット

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    癌闘病の中で書かれた作品

    幼い妹との思い出
    いつも2歳違いの兄の後をついて
    同じことをやりたがった元気な子
    不治の病で入院し
    兄と同じ中学校に行きたいと
    泣いた妹の為に医師である父親に
    抵抗しついに通えるようになる
    その間兄は毎日車椅子の妹に付き合う

    再入院した時も毎日見舞いに行く
    何だか切ない
    姉からプレゼントされたビートルズ
    妹にも聞かせて
    彼女もファンになり
    習いたての英語で訳詞を試みる

    作家となり
    イギリスの取材旅行を終え思い立って
    リバプールへ向かう
    セントピーターズ教会で思いがけない
    エリナ・リグビーの墓を見つける

    札幌で育った著者の感性が育まれた
    風景が絡んで
    過去を思い

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    2025年09月29日
  • 聖の青春

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    すごい小説?伝記??だった。
    生きた軌跡が、奇跡が
    猛烈な筆圧で記されている。
    力強すぎて、苦しい程だった。
    それは村山聖の凄み以外の何物でもない。
    彼が執念強く生きたこと、
    そのこと自体に感謝せざるを得ない。

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    2025年09月03日
  • パイロットフィッシュ

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    美しい水槽で輝きを放ち、群れを成して泳ぐパイロットフィッシュ。心地良いビートルズナンバー…どこか切なく、透明感ある筆致に心を引かれる。吉川英治文学新人賞受賞作品。

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    2025年08月23日
  • 将棋の子

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    名著。
    プロローグの中座真の最後の三段リーグの話で、本書の魅力に一気に引き込まれた。
    深く心を動かされるのは、著者の、夢破れたものに対する眼差しの優しさなのだろうと思う。

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    2025年07月12日
  • 聖の青春

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    プロローグ

    盤上には、初手とは思えぬ重苦しい空気が漂っていた
    相手の顔を一瞥し、ゆっくりと右手を駒へと伸ばす
    その一手に、数十通りの読みが詰まっている
    指先が駒に触れた瞬間、部屋の空気が微かに揺れた気がした

    本章
    『聖の青春』生命賛美の★5
    皆様は、ご存知だろうか?
    あの天才、羽生善治の裏にもう1人の天才がいたことを、、、

    プロデビュー当時、東の天才、羽生善治に対し
    西の怪童、稀代の棋士、村山聖という漢がいた!

    彼は、5歳の時、腎ネフローゼを発症し、29歳という短い生涯を全うするまでその病と晩年に発症した癌そして、将棋と闘った

    病を抱えながら、14歳で故郷広島を離れ、師匠森信雄がいる

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    2025年06月23日
  • リヴァプールのパレット

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    好きな作家さんだった。
    まさか、亡くなっていたなんて・・・
    たまたま手に取った本が、最後の作品だったなんて・・・

    心にしみるような文体の流れが、好きだった。
    言葉の使い方が丁寧で、表現がとても豊かだった。

    とても、切ない・・・
    以前の作品をまた読みたくなった。

    ビートルズの歌が脳内に反響しながら、
    北海道の雄大な景色を浮かべつつ、
    ストーリーにのめり込み、涙が止まらなかった。

    あちらの世界でも、書き続けてほしい。
    ご冥福を祈ります。

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    2025年05月28日
  • リヴァプールのパレット

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    3つの短篇小説と藤井聡太氏への『声なき祝辞』を収録。淑やかで透明感のある文章が胸を打つ。『リヴァプールのパレット』に落涙。著者の作品をもっと読みたかった。優しい作品をありがとうございました。合掌。

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    2025年05月23日
  • 将棋の子

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    将棋にはタイトルが竜王、名人、叡王、王位、王座、棋王、王将、棋聖とある。テレビやメディアで取り上げられるのは勝者のみ。各メディアに取り上げられるのはいわゆる上の人たちだけで、この作品は、子どもの頃から将棋しか指して来なかった人たちが、奨励会を辞めるという決心。すごく心に響きます。

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    2025年05月21日
  • 聖の青春

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    第2回広島本大賞
    第13回新潮学芸賞

    素晴らしい棋士がいたのですね。
    命懸けで将棋に向き合い、真っ直ぐで、頑固者で、でも憎めないキャラクターの村山聖さん。
    多くの人から愛されて支えられていたことに胸が熱くなりました。
    特に師匠の森さんが献身的に世話をしていたことには驚きましたし、村山さんを大切に思っている様子がよく伝わってきました。
    子供時代の入院生活の辛さは計り知れませんが、病気だったからこそ、将棋だけを追求する時間をとことん過ごせたことで才能を伸ばせた一面はきっとあると思います。
    子供の強みを伸ばす子育ては理想だけど、現実的には好きなことだけをやらせているわけにはいきません。だけど、

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    2025年04月27日
  • 聖の青春

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    将棋については全く詳しくないが、漫画「3月のライオン」を読んでいた中で村山聖さんの生涯について知りたくなり、この本を手に取った。彼の生き方、病への向き合い方、いきものや物事に対する考え方、すべてに感動した。「生き抜く」とはこういうことかと思い知らされた、素晴らしい1冊だった。

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    2025年04月11日
  • パイロットフィッシュ

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    いつこの本を読んだんだっけな。20代の、一人暮らしの部屋、そして大学の近くのカフェ。記憶があいまいで、記憶のそこに手を伸ばすように、インターネットで検索した。なんとかフィッシュ、、タイトルが出てこない。そして、大崎善生の本作品を探し当てて、読んだ。なぜか、この本が記憶に残り、そして今なんとなく読むべきだと思った。本とは本当に不思議なものだ。
    読み始めてすぐ、この本の本質、つまり出だしにびっくりした。体の中に記憶を沈めておく湖のようなものがあり、時としてその記憶に手を伸ばし、こぼれ落ちてしまう。まるで水をすくっているような感覚で記憶をとらえて、その記憶は決して戻らないこともある。本作は、こうした

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    2025年04月01日
  • パイロットフィッシュ

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    ネタバレ

    パイロットフィッシュ

    「人は一度巡り合った人と二度と別れることはできない。なぜなら人気には記憶という能力があり、そして否が応にも記憶と共に現在を生きているからである」という文書から、この本は始まります。

    アダルト雑誌の編集者をしている主人公山崎のもとに、真夜中に電話がかかってくる。声だけで誰かを理解する主人公。それは大学時代の彼女である由希子だった。
    由希子は、かつて山崎が就職で苦労していた頃に、編集者として勤める文人出版を探してきた女性であった。また、大学に馴染めず、アパートの一室で沈んでいた山崎を救い出した女性でもあった。
    電話の話の中でパイロットフィッシュの話を由希子にする山崎。パイ

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    2025年03月30日
  • リヴァプールのパレット

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    思い出を振り返るタイミングって、やっぱり死を強く意識したときなんでしょうね。

    さて、私はその時に、思い出を思い出すのでしょうか? 今から楽しみです。
    恋愛に関係したものだったら嬉しいな。

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    2025年03月27日
  • 聖の青春

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    昨年亡くなられた大崎善生さんの「聖の青春」を読みました。お恥ずかしながら大崎善生さんも村山聖さんも存じ上げなかったのですが、甥っ子が村山聖さんと同じネフローゼを患っており、村山聖さんが病気とともにどんな人生を歩んだのか知りたくなり本を手にとりました。繰り返す熱など、甥っ子と重なる部分もあり読んでいて苦しかったですが、病気を患いながらも力強く生きぬいた姿に希望を抱きました。甥っ子の病気を治すことはできないけど、師匠(森先生)のように側で支え、心の拠り所になるような存在でありたいです。

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    2025年03月23日
  • パイロットフィッシュ

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    自分にとって手放しで褒めれる1冊。一度出会った人とは二度と別れることは出来ない という言葉、人は人に影響を与え、影響を与えられ続けていく言わば相互補完的な役割で構成されているということを気付かされる一節やった。
    他にも、飲食店でやっていくにはタダで出す水こそ大事 みたいな言葉が本質を突いているなと思った。
    煙草酒女音楽の盛り合わせでたしかに一昔前の村上春樹みたいやった

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    2025年03月02日
  • 聖の青春

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    打ち込めることをみつけ、ひたむきに生きた様子に胸を打たれました。将棋を知らない私でも読みやすかったです。村山聖さんから芯の強さや優しさを感じました。読んで良かったと思いました。
    漫然と生きている自分の生活と比較してしまい、
    不甲斐ないと実感しました。もっと時間と命を大切にしたいと感じました。

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    2025年02月28日
  • ロックンロール

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    大崎善生作品の中で、一番のびのびとしたほんわかヒューマンラブコメディ。

    大崎作品の中で、これほどコメディ色が強い作品は珍しい。

    一番、大崎さん自身を生身で感じられる、まるで大崎善生さんと旅をしているかのような作品。

    大崎作品の中ではトップレベルに読みやすく、またふんわりとして温かい。

    それでいて、キュンキュンする。
    「スワン・ソング」とは正反対で、この登場人物である冴えないのか冴えてるのか分からない、"のしイカ"のようにヒラヒラとした"おじ"に、淡く鮮烈に恋する読者は少なくないのではなかろうか。


















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    2025年01月06日
  • 聖の青春

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    2002年刊行だから、結構古い本である。
    評者は数十年来の将棋ファンだから村山先生の強さも病気のことも知っているつもりでもあったが、本書を読んで愕然とした。
    「天才」と呼称するのが憚られるほどの努力と情熱。壮絶な闘病生活。家族や森師匠をはじめとする棋界関係者との愛憎溢れる濃密な関係。何も知らなかった。今更だが、読んで良かった。
    村山vs藤井戦が見られないのは痛恨の極みだが、天国の村山先生はきっと対藤井の研究をしていることだろう。合掌。

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    2024年11月24日