大崎善生のレビュー一覧

  • スワンソング

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    携帯電話がなく、連絡の手段は電話だけ。
    もちろん私の恋愛時代も当然そうだった。
    この時代、電話が鳴ると、心がときめいた。
    ただ、この物語はときめきと恐怖が隣り合わせのベルの音…。
    主人公が昔の彼女と新しい彼女の間に板挟み。そしてはっきり気持ちを伝えないために、彼女たちは心を病んでいく。
    人間の精神なんて、ちょっとしたバランスを崩したのをきっかけに、どんどん崩れていくんだと、この二人の彼女を見て、そう感じました。
    ラストはさすがに涙した私。
    こんな恋愛もあるんだと、そしてこんなに人を想うことが重いことだと…。

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    2013年11月14日
  • アジアンタムブルー

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    ソフトな村上龍の小説のような雰囲気を持った作品。最愛の妻・葉子を失った主人公の山崎の過去と今の瞬間を行き来しながら、巡りあった女性達との思い出、別れの時が柔らかい筆致で綴られる。

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    2013年10月10日
  • アジアンタムブルー

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    水溜りの写真展に飾られた最後の一枚の写真、涙を誘いますね。アジアンタムブルーに象徴される葉子と暮らした日々が、山崎をばらばらにして、前半の憂鬱な日々に繋がってゆく。(あれ?前半の憂鬱な日々の方がアジアンタムブルーなのかな?)最愛の人を亡くしたら、そりゃ誰だって凹みますよ。自分を見失うでしょう。でも生きている人間は普通の生活を続けてゆくしかないんですよね・・・いつか死ぬ日までその人への想いを心のすみに残して。

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    2013年09月24日
  • ユーラシアの双子 下

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    ユーラシア大陸を横断する話。

    全体的にほの暗いけど
    暗い話は嫌いじゃない。

    シベリア鉄道がそんながっかりとは思わなかったけど
    ドイツやらポルトガルやら良さげな国には行ってみたいな。

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    2013年08月28日
  • 編集者T君の謎

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    前の2冊が辛すぎるので、この文庫も読んだ。棋士として成功していてもいろいろあるのだ。それはどんな世界でも同じだろうが・・・。

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    2013年08月17日
  • スワンソング

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     無償の愛とはこの事なのか・・・
    読み終えた瞬間、何かが心に住み着いている。

    薄い愛でも深い愛でも厚い愛でも無い。 愛以上のもの・・・  今の自分では言葉がない。 想いだけである。

    人を想う気持ちと行動をどのようにつなげてゆくのか、言い現しようの無い気持ちである。

    想いが、言えないからこそ小説で表現できるのか。
    風景、色、匂いが、心に写っている。
    自分に問いかける小説である。

    ぜひ読んでもらいたい。


    《本文より》
     由香はどこへいってしまったのだろう。あの空のどこを捜しても、もう二度と見つけることはできないのだ。
    「良ちゃん」
    大空の彼方から声が聞こえたような気がした。
    「頑張れ」

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    2013年06月12日
  • 孤独か、それに等しいもの

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    短編集だけど、全て肌触りは同じだ。人の死と、喪失感と、救いの話。
    登場人物には生々しさがなくて、特に女性はみんな透明感があって、重苦しい諸々の事柄を綺麗に見せている。
    リアリティーは薄れるけれど、それは別に悪いことではなくて、それによって救われたり、浸れたりするような気がする。

    ちょっとした喪失感や、ちょっとした孤独を抱えているときに読むと、気持ちにぴったりはまるかも。

    完全な喪失は、失ったことすら気付けなくて、それはとても恐ろしくて、でも失ったその穴を埋める新しい何かを獲得できるんだ。っていうところが好きです。

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    2013年04月12日
  • 孤独か、それに等しいもの

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    切ない。その人との別れは人生に一度しかない。でも、その一度は大きい。明日へ向かってゆっくりと歩きだす、そんな作品。

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    2013年03月03日
  • ロックンロール

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    大崎善生を読むと小説の醍醐味は中身の内容だけではないことに気づかされる。

    このロックンロールというなんの中身の無い小説が面白く感じるのは、1行1行の文章がとても緻密で、計算されていて、繊細で、優しくて、突き刺さるような言葉の集合体だから。

    この小説の中でも語られていたが、
    「なんでもいいからひとつのことを、正確で美しい、ということはつまり適切な言葉を使って表現する。その枝葉の積み重ねの先にある樹が小説なんだ。」「犬の交尾を正確に描いていても泣くね。」

    とある。1つのことを洗練させる必要性。小説家でないがしろにしてはいけない要素。人にとっても何かを1つ正確に出来る人の方が、心を揺さぶるのだ

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    2012年04月27日
  • 孤独か、それに等しいもの

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    決別からの一歩を描いた短編集
    大崎さんの透明感ある文章と、シビアな設定が、もの哀しさを出しつつも、その先の一条の光が救いです

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    2012年04月13日
  • スワンソング

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    切ないな〜けっこうきついお話。
    この人の物語は容赦ないです。
    長野の冬のピュアな感じが美しくて、壮絶すぎるラブストーリーが心を打ちます。

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    2012年03月01日
  • ロックンロール

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    なぜだろうか?この著者は私と同じ様な恋愛経験をしてきたのではないかな?と感じる。文章を読んでいると、言葉に共感でき、過去の甘酸っぱい思い出が甦ってくる。著者が言葉を磨いているからだろうか、文章を読んでいると癒される。文章を読むことが楽しいと思う数少ない著者一人。でもこの本を読み終えた後、ストーリーは何だかなぁ、と思った。

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    2011年10月28日
  • 傘の自由化は可能か

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    エッセイ。大崎さんの小説は読んだことがないのですが、タイトルと表紙に惹かれて手にとりました。
    「ヨーロッパの空」「記憶の湖」「言葉の宇宙」「世界の端で」の4節にわかれています。
    ひとつひとつが短いので、移動時間に読むのもいいかも。
    将棋連盟の方なのですね…将棋がやりたくなりました。

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    2011年10月13日
  • 別れの後の静かな午後

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    ネタバレ

    短編集でした。
    あまり普段小説を読んでこなかったので的確な感想は書けないですけれど、個人的にこの人の比喩表現がとても気に入りました。
    最初の話がやっぱり印象的。バーの常連客の、「共通の友人をさがす」やりとりが、思わず感心してしまった。

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    2011年07月16日
  • 孤独か、それに等しいもの

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    はじめて大崎善生さんの本を読んだ。
    いろいろな"孤独"を表現した短編集。"孤独"の程度が結構激しいものが多く、辛い場面もありましたが、なんだか読後は清涼感が残ります。作者のタッチと、少し前向きな終わり方からくるものかな。
    個人的には「だらだらとこの坂道を下っていこう」が好きです。ある意味で一番”現実的”でラストがとってもいい感じ。疲れたときにまた読みたいな。

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    2011年05月06日
  • スワンソング

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    スワンソング、それは白鳥が死の間際に発するおそろしく美しい声のこと――。

    救いのない内容に、涙なしには読めなかった。
    自分の過去と重なってしまって、途中、苦しくて、苦しくてしょうがなかった。

    普通に恋愛ができないなんて。
    普通に恋愛を終わらせることができないなんて。
    そう思いつつ、自分だってそうだったじゃん、と自嘲的な気持ちに。

    「暗闇にいる由香に手を差し伸べることはもうできない、由香が一人で抜け出すしかない」
    というくだりがあったけれど、これは絶対に違うと思った。

    良がしなければいけなかったことは、由香に対して誠実に向き合うことだったと思う。
    それをしないで逃げていながら、よくも

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    2011年04月30日
  • スワンソング

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    大好きな彼が、
    後輩社員と付き合ってたら??
    考えれませんね。
    考えたくもないですが。

    決断しなきゃいけないときは
    必ず来るんですね。


    何か‥
    個人的には重い内容でしたが、
    分からないでもない感じが・・

    嫌いじゃないし、
    読みやすいので☆4つ。

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    2011年04月24日
  • 孤独か、それに等しいもの

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    日常の中の繊細な心の動きを映し出した短編集。
    「孤独か、それに等しいもの」というタイトルに惹かれて購入しました。
    とても丁寧に主人公の心が描かれていて、繊細に切り出された切り絵のような印象を受けました。
    個人的にはソウルケージが好きでした。

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    2011年02月21日
  • 孤独か、それに等しいもの

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    すごく絶望的なココロの一片を、すごく透明に抽出した短編集。
    どうしようもない、逃げ場のない、自力で越えて行くしかないヤマを、
    無理矢理に越えさせるわけでもなく、かといってアイロニックに書くでもなく、
    非常にすっきりと、明るく、凍みるほど鋭利にまとめてある。
    その刹那を「分かる!」と共鳴できてしまうことは、
    果たして幸せなのか不幸なのか。

    表題作よりも、「八月の傾斜」と「シンパシー」が印象大。
    開けたピアスの穴はモルヒネのようなものだったのだろう。

    卑近な例を挙げて申し訳ないが、鬼束ちひろの世界観と似ている。

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    2011年02月06日
  • スワンソング

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    女性の言動が男性視点過ぎない?とか、死んで悲しいってあざとい!とか色々突っ込みたくなる点もあるけれど、やっぱこの人が書く小説はどうにも切ない。個人的には駐禁取り締まる女性警官の優しさにグッときた。

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    2011年01月21日