大崎善生のレビュー一覧

  • パイロットフィッシュ

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    キレイすぎる、という感想を持つ人もいらっしゃるかもしれないけど私は好きな作品です。

    主人公の山崎のところにかかってきた、19年前に別れた由希子からの一本の電話。
    学生時代、二人が出会い、別れるまでの過去と、別れた後からこれまでの山崎の生活、そして由希子との再開が、交互に書かれていますが、非常に読みやすい構成です。
    所々、うまく理由を説明できない涙が流れました。
    レビューが難しい作品。

    時間の経過、時間の積み重ねは記憶の集合体であり、それが人を形成している。
    記憶は忘れることはあっても完全に消滅することはなく、だから出会った人と別れることは、決してない。
    この考えを、或いはきれい事だと感じる

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    2022年10月12日
  • アジアンタムブルー

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    「パイロットフィッシュ」を読んでから少し経ってしまったのですが、良い意味で独立した作品として楽しめました。

    愛と死と、孤独と寂しさと強さと清らかさがまっすぐに向かってくる作品。

    フィクション故の非現実な諸々も正しく使われていて、違和感がなく、大変美しい作品に仕上がっていると思います。

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    2022年10月03日
  • 聖の青春

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    今まだご健在だったら・・・と思わずにはいられません。
    「将棋の子」で筆者と棋士の距離感を少しイメージできた上で読めたのは良かった。この距離感だからこその名著だなと思います。

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    2022年08月20日
  • 将棋の子

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    強烈な一冊。
    ニワカの観る将レベルだけどひきこまれました。奨励会の厳しさを感じる一方、セカンドキャリア(?)への配慮や対応も必要ではないかなー、時代的にもね、なんて思いながら。

    2022年70冊目。

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    2022年08月04日
  • 角川つばさ文庫版 聖の青春 病気と戦いながら将棋日本一をめざした少年

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    自覚なくこの人と同時代を生きいていた事が惜しく感じられた。
    不幸とは、魂を燃やさず生きることではないのか。その点では幸福な人だったのではないかと思った。神様から与えられたものを、余すところなく燃やし尽くして生きた人だったのだと感じた。

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    2022年07月28日
  • パイロットフィッシュ

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    ストーリーとしてはよく出来ているし、描写もスマートでセンスの良さを感じる。
    単純な恋愛話ではなく、登場人物の幾層にも重なる複雑な心情も、読み手に複数の解釈を仮想させながら物語が進行する。
    ただ、主人公の男が優柔不断でじれったい。まあ、この主人公がいろんな局面でズバズバと決断できるタイプだったらこの物語自体が成立しなくなるけど…
    不思議な切なさと、大人の諦観が心に残る作品だった。

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    2023年10月29日
  • パイロットフィッシュ

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    出てくる音楽とかが自分の趣味だった
    人は一度出会ったら別れることができない
    記憶の中を錯綜する不思議な感覚のストーリー

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    2022年01月30日
  • 聖の青春

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    自分は最近読書をスタートしたが、文章もわかりやすくて、止まらなかったです。本を読んで初めて感動して少しうるっときました。

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    2022年01月18日
  • パイロットフィッシュ

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    忘れられない恋愛、忘れられない人を持つ人には「お守り」になるような1冊。
    物語の空気感は村上春樹に似ています。

    「感性の集合体だったはずの自分がいつからか記憶の集合体になってしまっている」
    「今、自分にある感性も実は過去の感性の記憶の集合ではないかと思って、恐ろしくなることがある」
    「記憶は自分自身の一部だし、俺たちは否応なしに記憶とともに生きているから」

    「人は、一度巡り合った人と二度と別れることはできない。なぜなら人間には記憶という能力があり、そして否が応にも記憶とともに現在を生きているからである。」

    過去に愛した人も含めて自己を形成しているからこそ、その比重が大きければ大きいほど「

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    2021年10月17日
  • 聖の青春

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    確か「3月のライオン」で先崎さんが村山聖について話していたと思う。
    ふと本屋の棚で見かけ、読むことにした。
    難病と闘うとか、不屈の精神とか、出来合いの言葉では表現できない強烈な村山聖の一生。
    読み始めたら最後、彼が死ぬところまで一気に連れて行かれた。

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    2021年09月20日
  • 将棋の子

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    四段に昇段できず奨励会を去った奨励会員にスポットを当てた、ある意味影の話ではある。主人公の退会後の人生には心が何度も痛くなった。度合いは違うにせよ、退会した会員の心には大きな傷がありそれとうまく付き合いながら次の人生を模索する。何人かのその後が描かれていたが、やはり彼らの根底にある誇りや情熱は将棋なんだなと思った。それほどの魔力のあるゲームなんだと思った。

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    2021年05月22日
  • 聖の青春

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    5歳の頃からの病気で、いろんなことを諦めてきた少年。どうしても少年の母親の気持ちを思って涙してしまう。
    聖少年は、将棋で名人になることを目標に前向きに生きていく。自分の死や病気のことも若いながらも客観的に冷静にみて判断していく。小さい頃から窮地に立たされ続けたことによって、あらゆる事の取捨選択が出来ているのだと思った。
    私は、将棋の棋譜も全くわからないけれど、この本を通して、彼の純粋でまっすぐな29年間の生き方にすごく元気をもらったような気がします、

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    2021年02月12日
  • 聖の青春

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    重い腎臓病を抱えつつ将棋界に入門、名人を目指し最高峰リーグ「A級」で奮闘のさなか生涯を終えた天才棋士、村山聖。名人への夢に手をかけ、果たせず倒れた“怪童”の生涯を描く。第13回新潮学芸賞受賞。
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    大崎善生が描くノンフィクション。
    嗚咽するほど泣いた。

    限られた時間の中で、目標を目指すこと。壮絶なまでのストイックさ。将棋に対してだけでなく、遊び、病気、人生そのものに真っ直ぐに向き合う姿が眩しい。少しくらい苦しみから逃げたってバチは当たらないのに、とも思う。
    「その薬は名人への翼をも溶かしてしまう」
    頑固で不器

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    2021年02月08日
  • 孤独か、それに等しいもの

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    「八月の傾斜」
    「だらだらとこの坂道を下っていこう」
    「孤独か、それに等しいもの」
    「シンパシー」
    「ソウルケージ」
    の5つが収録された短編集。

    順番が先にあるほど面白かった。
    つまり、「八月の傾斜」が一番良かった。
    「4」という評価は、ほぼこの作品のものだ。

    ただ、その前に「だらだらとこの坂道を下っていこう」の感想を。
    タイトルがほぼすべてを語っている作品だったが、他の4つの作品と比べてとても柔らかい雰囲気を持っていてよかった。
    「僕が感じている違和感は(中略)周りの風景自体が変わりはじめていることに原因がある」という言葉は、人間関係に深く悩んでいないと出ない言葉だと思った。
    こういうと

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    2020年10月07日
  • 聖の青春

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    重い腎臓病を一生抱えながら闘う、村山聖という棋聖の生き様を描いた作品。病弱な身体に鞭を打ち、様々な葛藤の中、将棋に命を捧げる姿をみて、生きるという事はこういう事なのか、と感銘を受けました。中盤以降棋譜が並んでいるページがあり、将棋の基本的なルールを知ってる方が読みやすいかと。

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    2020年10月04日
  • 将棋の子

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    将棋にという江戸時代から伝わる日本の伝統とも呼ばれるに値するものの魅力に惹かれた者の光と闇の両方にスポットライトを当てているこの作品には作者の本心に似た我々に向けたメッセージとそして自分自身の存在意義をもう一度確かめさせる非常に言葉では表すことの出来ない稀有な作品である。
    勝負の世界に「もし」は禁物なのかもしれない。しかしこの「もし」はあまりにも確率の高い「もし」である。

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    2020年09月20日
  • アジアンタムブルー

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    ネタバレ

    こんな風に純粋に思い出に浸り、人を愛せることの幸せ。そんな風に愛した人を失ってからの空虚な日々。これ以上巻けないねじを巻き上げなければならない苦悩…それでも、前を向いて生きていかなくては、と感じる主人公の苦しみの隙間に、心が少しずつ溶かされていくようでした。言葉や表現が、優しさに溢れていて、じん…っと染み渡る。。

    以下、メモ。
    ・アジアンタム・ミクロソリウム
    ・概念には定義というものが必要で、そしてその定義は要するに自分が気に入ったり、ある程度納得できればなんでもいいんだということが分かりました。
    ・キース・ジャレット
    フェイシングユー
    ・言葉が氾濫している
    ・アジアンタムブルーを乗り越えた

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    2020年04月21日
  • 聖の青春

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    村山聖という棋士にスポットを当てた実話。幼いころから難病と闘ってきたが故に身についた、凄みを感じさせる死生観など、彼の人間性に引き込まれる。

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    2020年04月03日
  • 聖の青春

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    名前だけは存じ上げていたが、こんな興味深い方だったとは。
    たらればの話をするのは意味がないが、もし彼が生きていたなら今頃はなんて想像するだけでゾクゾクする。

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    2020年01月05日
  • アジアンタムブルー

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    とても、綺麗で純粋な小説です。
    何があっても、人は生きていかなければならない。
    体と同じように心もいろいろな物を内包しながら、
    少しずつ成長していかなければならない。
    それってとても大変な事だと思います。
    前を向いて進むって、しんどい事だなぁ。。

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    2019年11月20日