大崎善生のレビュー一覧

  • 別れの後の静かな午後

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    短編集。

    ジャケ借りシリーズだったわけですが、大崎善生はいい!!
    むお〜〜〜!むお〜〜〜!!>歓喜の叫び。

    決して派手な話ではないのですよ、けど何か残る。
    しかも暖かい何かが。泣かせよう泣かせようとする厭らしい
    話ではなく、心の中で凝り固まってた澱のようなものが
    ほぐれます。

    「孤独か、それに等しいもの」よりも明るめの話が多いかな。


    内容も素晴らしいけど、装丁が素晴らしい、本当に。
    こういう仕事に携わりたいな〜。

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    2009年10月04日
  • 別れの後の静かな午後

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    6話から成る短編集。
    相変わらず美しい文章に、美しい情景でした。
    男と女。別れと出会い。ありふれた題材なのにいつも心に沁み入ってくる。
    ひとつひとつの文章を噛み締めながら、1個でもこぼれ落とさないよう読み進め、
    自分に良く似た感情の揺れに共感したり、また共感できない部分でも
    思いを巡らし想像力を高めていく。
    普段早読みの私からは珍しいほど、丁寧に丁寧に読んでいます。
    長編、短編にかかわらず大崎さんの作品を読んでいると、私はいつも
    贅沢な時間を過ごさせてもらってるような気分になれるのです。

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    2009年10月04日
  • 聖の青春

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    泣いた。
    濃密な人生のはなし。
    こんなにも打ち込めることに出会え、言葉はおかしいかもしれないが、羨ましい。

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    2025年10月14日
  • 聖の青春

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    幼少期から重病を抱えながら将棋の世界にハマり、プロ棋士として名人を目指した"怪童"村山聖の生涯。

    昭和の時代で次男に対してここまで尽くしてくれた両親が素晴らしすぎる。

    『3月のライオン』の二階堂のモデルなのかな。

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    2025年10月12日
  • パイロットフィッシュ

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    面白いです。
    ボリュームも多くなく、ちょうどいい構成
    ありきたりな物語でもなく読めば読むほど展開が気になる

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    2025年09月14日
  • パイロットフィッシュ

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    現代日本の作家である大崎善生(1957-2024)による作品。2001年。本書を読み終えてから、作者がすでに他界していることを知った。



    いまの自分というのは、これまでに出会ってきたいろんな人たちや文物たちや体験たちといった諸々からなるモザイク画のようなものではないか。自分の中にいろんな誰かたちが生きているだけではなくて、自分もいろんな誰かたちの中に生きていて、そうやって自分と誰かたちとは互いに浸透しあっている。「一度出会った人間は二度と別れることはできない」というのは、なるほどそうだと思う。

    それは必ずしも思い出だとか記憶だとかということではない。忘れてしまったからといって、すでに深

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    2025年08月22日
  • 聖の青春

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    幼少の頃から重い病を背負い、残された時間と競うように愚直にそして無邪気に将棋に向き合い、29年という短い生涯を駆け抜けた村山聖。時は命なり。
    ただ漫然と生きている自分を省みて、色々と感じさせられる一冊。

    父親が寄せた後書きに綴られた、村山聖本人の言葉が胸に沁みた。
    「人間は悲しみ、苦しむために生まれた。それが人間の宿命であり、幸せだ。僕は、死んでも、もう一度人間に生まれたい。」
    「人間は常に主観的で、自分自身の痛みでしか他人の痛みを理解できません。ですから体に障害があったり重い病気の人の気持ちを真に理解することはありません。哀れみも同情もありません。常に対等という意識です。・・・ネフローゼと

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    2025年07月25日
  • 聖の青春

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    Super8さんの本棚から
    羽生善治さんと同時期に、ともに将棋界を牽引した村山聖さんの短い生涯を綴った作品。

    「20歳になれてうれしいです。
    20歳になれるなんて思っていませんでしたから」

    5歳の時にネフローゼと診断された時から、常に病と、そして死と隣り合わせの生活をしいられてきた聖。

    将棋で強くなりたい。そして勝ちたい。
    その純粋な気持ちだけが聖を支えてきました。

    最後の最後まで病気に耐え抜いた生きかたと、将棋への情熱が心をうちます。
    お父さんお母さんの献身的な愛も聖を支えます。
    家族の絆は最強です。

    名人への執念。
    最期まで貫いたと思います。

    将棋の知識が少しでもあればもっと深

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    2025年07月14日
  • リヴァプールのパレット

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    余命宣告された主人公が病床で、過去の思い出をビートルズの曲と共に語る表題作。高校時代の部活の先輩との思い出、大学時代の恋人との別れ、其々が静謐の中で描かれている。命を繋ぐ絹糸の様な強さと儚さが悲しいけど美しくて、今更ながらに、亡くなられた大崎氏のご冥福をお祈りせずにはいられない。

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    2025年05月23日
  • 聖の青春

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    audible92冊目。

    今まで何度も書店で手に取ってきたのに、ずっと後回しにしてきて、ようやく読めました。
    読もうと思っていたきっかけさえ忘れていたのですが、たぶん、松山ケンイチ主演で映画化されて…だったような。

    天才棋士といえば藤井さんの活躍がめざましいですが、元祖は羽生さん、のイメージでした。
    が、羽生さんと同世代にもう1人、こんなにも素晴らしい棋士がいらしたのですね。
    どうして知らなかったのだろう…

    将棋界に入ってからもかなり病気に苦しめられていましたが、ただ、闘病生活があったからこそ将棋に出会い、とことん将棋と向き合えたともいえるのですよね。
    そこがなんとも、複雑です。

    大崎

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    2025年05月18日
  • パイロットフィッシュ

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    10年以上ぶりに再読、あらためて良かった。
    たんたんとしているようでロマンチックというか物語的な言葉を持っている主人公に惹かれる。
    言葉って美しいなと感じる、
    水や、静けさ、明るさや、記憶、色んなものを浮かび上がらせる流暢なことばにストーリーとは別で癒される。
    ストーリーは少し寂しさもあり、少し希望もあり、優しく、現実的。
    友達に貸そうと思う。

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    2025年05月08日
  • リヴァプールのパレット

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    ベテランならではの文体と文章が印象に残る。説明し過ぎない良い後味。作者の病気と人生の振り返り。なかなか良い時間でした。

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    2025年04月29日
  • アジアンタムブルー

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    ネタバレ

    大崎善生さんの小説『アジアンタムブルー』。
    大崎さんの代表作だと私は思います。

    主人公・山崎隆二と恋人・続木葉子との出会いから別れ、そして彼女の死後の再生までを描いています。

    山崎隆二は、東急百貨店の屋上で1人過ごしていた。そこで中川宏美という女性と出会い、過去を話しだす。宏美は、夫が宏美の友人の女性とともに電車に飛び込んだという。
    隆二も色々なことを思いだす。
    友人に万引きに巻き込まれ、デパートのガードマンに叩きのめされたこと。高校生のときの美術部の先輩である美津子との情事のこと。ヌードモデルとして職場に来て、泣いてしまって脱げなかったモデルのユリのこと…。
    山崎隆二はアダルト雑誌の編集

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    2025年04月13日
  • ロックンロール

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    ネタバレ

    大崎善生さんの『ロックンロール』

    主人公の作家の植村は、第2作目の小説執筆のため、パリ近郊のポートオルレアンのホテルに滞在しています。そもそも彼は、熱帯魚の雑誌の編集長をしていたが、高井という編集者が彼を訪れ、口説き落とし、小説家にしたのだ。植村のデビュー作は評価が高かったが、2作目の筆が遅い。そのため、ヨーロッパに来訪し、小説を書くことにしていた。しかし、それでも筆が進まず、焦燥感に苛まれる日々を送っている。
    植村は、彼宛に送られてきたCDをふと思いだす。ジョージハリスンの『All things must pass』。送り主の名前に心当たりはない。
    ではあるが、20歳の頃、ジョンレノンが亡

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    2025年04月12日
  • 聖の青春

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    7年前に松山ケンイチ主演の映画を録画して見てたけど、原作のことは全く知らなくて読んでなかった。映画も良かったが、原作は涙なしでは読めない。広島の人やったんや。同時期に広島や関西で過ごしてたのね、将棋に興味がないんで知らなかった。今も活躍してて欲しかったなあ~

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    2025年02月10日
  • 聖の青春

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    天才棋士 村山聖の生涯を描くノンフィクション小説で有り、文章に凄く引き込まれましたね。
    その生涯には非常に驚きと悲しみなど色んな感情をかき立てられました。

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    2024年12月06日
  • 聖の青春

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    幼い頃にネフローゼという難病に罹りながらも将棋に出会い、いつか「名人」になることを夢見て命がけで指す、ノンフィクション小説。

    なんという精神力…
    素晴らしい師弟愛…
    ライバルたちとの友情…

    言動の端々が胸にささります

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    2024年12月02日
  • 聖の青春

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    師匠の森さんと村山聖さんの関係性がまずすごく良い。村山さんの死生観や人との向き合い方のあまりの純粋さに時に圧倒され、涙しながら読んだ。将棋好きはもちろん、生きることを考える時に、向き合う時にお勧めしたい1冊

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    2024年11月30日
  • パイロットフィッシュ

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    出版勤める主人公山崎はある夜19年前に別れた由希子から電話を受け、翌週再開することを約束する。19年前のこと、その後の19年のこと、様々な人との出会いと別れを経て、さらに何者かであろうとする、そんな山崎の思い巡らす様子を丁寧な文章で語った秀作と思います。
    星4つです。

    #美文

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    2024年12月04日
  • パイロットフィッシュ

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    山崎はいつも、過去を思い出している。
    パイロットフィッシュは循環する水の中で、新しい生態系を作る。

    過去を思い出し、過去の中で生き、要らないものを捨てていくのではなく、すべてを蓄積していく。
    もう思い出すこともなくなった過去でさえも、ため込んで、山崎という人間が出来ている。
    そこから逃げ出すことはできない。
    逃げ出す時は、死ぬ時だ。
    新しい生態系を作り終えて、不要になったパイロットフィッシュが捨てられるように。

    目に見えない糸で織られているかのように、すべての事象が繋がっているのかもしれない。
    不要だった過去は一つもない。
    だから人間は生き、傷付きながらセックスをするのだろうか。

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    2024年11月01日