大崎善生のレビュー一覧
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2007年8月24日、名古屋市千種区の路上で当時31歳だった磯谷利恵さんが、インターネット闇サイトで知り合った男3人に拉致され、連れ去られたのちに殺害されるという痛ましい事件が発生しました。
本書前半は被害者の利恵さんの生い立ち、当時交際していた男性との出会いなど事件に巻き込まれるまでを追います。次に犯人3人が犯行に及ぶまでの背景をたどり、後半部では事件発生から利恵さん殺害までの経緯と、その後の犯人逮捕、犯人の裁判期間中に犯人の死刑を求めて署名活動に身を投じられた利恵さんのお母さんの姿を描いています。
幼稚園から小学校、中学、高校と成長の様子を描く前半部は子供を持つ親なら誰もが自分の子供の成長に重ねて感情移入できるような、キラキラした生命力にあふれた印象です。
一方で犯人の背景を描いた部分は、場当たり的、刹那的、打算的で前半部の輝きとあまりに対照的な暗さ、邪悪さです。
利恵さんが帰宅しないことにかすかな不安を覚え、そして警察から連絡を受けて次第に自分の娘が殺害されたという事実をお母さんが知らされてゆく部分は、読んでいて苦しくなります。
何の落ち度もない人が、たまたまそこに居合わせたというだけの理由で殺害される事件が、今も後を絶ちません。本書で描かれている遺族の方の悲しみと同じ気持ちを、この事件以降も多くの方が感じられているというのは、本当にいたたまれません。
犯罪被害者の悲しみは、犯人が逮捕され、裁判所で刑が確定してもずっと続くという当たり前の事を読者に強く訴えるノンフィクションです。 -
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ネタバレ大崎善生のデビュー作、第13回新潮学芸賞、第12回将棋ペンクラブ大賞受賞、2001年1月6日/新春スペシャルドラマとしてTBS系列で全国放送、2016年11月19日/映画公開(wki調べ)
昭和57年/中学生名人戦に参加するが聖はベスト8で敗退する。自信を失いかけた聖が新幹線の時間までの間、西日暮里将棋センターで強者相手に全勝するのだが、その中に真剣師小池重明がいた。その彼を負かし「僕、強いなあ」「がんばれよ」と励まされ聖はご機嫌に広島の帰路につくのだった。
真剣師小池重明 (幻冬舎アウトロー文庫) 団鬼六著
2014年8月22日 レビュー
プロ棋士になるには厳しいルールがある。プロ棋士になれなかった真剣師の小池重明は、将棋ではアマはもちろん、プロにも負け知らずの生活破綻者なのである。将棋は確かに強いのだが、飲む打つ買うのデタラメな生活を続ける。結局、そんな生活にも終止符が打たれることになる。生涯、大好きな将棋との縁が切れない、彼の将棋を愛しつづける姿に感動を覚えた。 -
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大崎善生の文章は 妙におもしろいところが
生み出されている。それは 人を語るのが
うまいということだろうか。観察力がある。
棋士に対して、適確なキャッチフレーズをつける名人である。
村上聖の青春で その筆力が発揮されたように思える。
このT君の謎は 週刊現代 に連載されたものを
本にまとめたもので、さらに おもしろさを実現している。
将棋を語りながら 人を語っている。
とりわけ、天才や神童と言われる人たちなので、
そのあり方や自らのアイデンティティの立て方も
実に、興味のある不思議な人間像が生まれている。
棋士の伴走者として長年走ってきたがゆえに、
将棋を愛し、棋士を人間として、また勝負師として
愛していることが 独特の緊張感を生み出す。
勝負は強ければ勝つし、弱ければ負けると言う鉄則。
それ以外の何ものでもないという世界である。
将棋は苦し、人生は面白し。
というのが、著者の渾身のメッセージである。 -
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前作「パイロットフィッシュ」より前を描いたお話し
何というか、後出しジャンケン的なものを感じるなぁ
別に同じ主人公でなくともよかったのではとは思わないでもな
これ単体だったらもっと評価が高かったかも
ただ、この話があるからこそパイロットフィッシュにも深みが出るところもあるけどね
そうか、こんな経験をしてたからこそ、パイロットフィッシュでは博愛的な優しい面があったってことか?
ストーリー的には、恋人が亡くなる&その後の傷心っぷりを描いてるんだけど
そこいらにある恋愛ストーリーのような安っぽさを感じないのは、むしろ恋愛要素はサブでメインは死生観について語られているからだろう
性と生についてもちょっと書かれてある
前作同様、描写はキレイ
特に、水溜りの写真のイメージは鮮明に思い浮かべられるただ、実際にそんな写真があったら想像以上のものかもしれない
どうやら、続編3作目で完結のようだ
機会があったら読んでみよう -
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ネタバレ『パイロットフィッシュ』『アジアンタムブルー』に続く三部作、完結編。
山崎と七海のくすぐったい関係がすごく好きだったから、二人の別れから始まる今作は少し寂しい。
他のレビューにもあるように、村上春樹に似てるなあと思う部分があって、アイコンや、理不尽な悪や。
大崎善生自身、村上春樹を読み続けてるという所もあるんだろうか。
アルコール依存症に陥った森本が語る、感性の集合体から、記憶の集合体への変化がもたらす恐怖。
未来へと繰り広げていた毎日が、いつの間にか過去を向いていることに気付く瞬間。そのスイッチに耐えられなかった気持ちは、なんだかとてもよく分かる。
また、山崎は、殆ど記憶の集合体として動いている。
七海だけでなく、遡って結局は由希子から離れられずにいる。
七海との別れに打ちのめされ、ミリョンとは健全な関係を保ち、佳奈を意識的に救うことで、「パイロットフィッシュ」だった山崎は、誰かにとって意味深い存在になったのに。
それらは結局のところ由希子に集約されてゆく。
多くの人を巻き込みながら、山崎が山崎を突き詰めていった結果は、由希子なんだろうか。
まだまだ大きなものに捕らわれている感を残して完結してしまったなあ。。。
ただ、道中に置かれた布石はクライマックスまで駆け抜けるのに上手く使われていて、面白かった。
私としては『パイロットフィッシュ』が好き過ぎるので、その時点では由希子から解放されていたはずの山崎と七海を眺めていれば、充分(笑) -
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【本の内容】
今日一日をかけて、私は何を失ってゆくのだろう―。
高校三年の初秋、ピアスの穴を開けようとする私に、恋人がささやいた一言―大切なものを失くしてしまうよ。
あれから九年を経て、私は決まりきった退屈きわまりない毎日を過ごしていた…(「八月の傾斜」)。
憂鬱にとらえられ、かじかんでしまった女性の心を映しだし、灰色の日常に柔らかな光をそそぎこむ奇跡の小説全五篇。
明日への小さな一歩を後押しする珠玉の作品集。
[ 目次 ]
[ POP ]
今日一日をかけて、私は何を失ってゆくのだろう―。
孤独の先にあるものを指し示し、明日への小さな一歩をあと押しする珠玉作品集。
憂鬱にとらえられ、傷つき、かじかんでしまった女性の心を繊細に映しだし、灰色の日常に柔らかな光をそそぎこむ奇跡の小説、全五篇。
豊平川の水面に映る真っ青な空。
堤防を吹き抜けるつめたい風。
高校三年生の九月のある日、ピアスの穴を開けようとする私に向かって、かつての恋人は言ったのだ。
「大事なものを失してしまうよ」と。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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泣いた・・・
すごくよかった。
前に「パイロットフィッシュ」を読んだのだけれど登場人物や設定が一緒なので「あれ???」とちょっと戸惑った。
でもお話は別のよう。
葉子という女性が最初は名前しか出てこなくて、山崎くんに深い悲しみだけを与えているから ひどい事があったんだろうと思って好感なんて持てなかったんだけど、想い出の中で葉子という人物が出てきてから、私は彼女が大好きになった。
そして彼が何故そんなにも深く悲しんでいるのかが とてもよく理解できた。
最後の方は涙が止まりません。
若い頃の過ちが年を重ねて大人になってからの自分にまだ深く影響を及ぼすって事、多かれ少なかれ誰にでもあるように思う。
目を背けたくなる事。忘れてしまいたい事。
私もちょうど中学生の頃「死んだらどうなるんだろう・・・」とすごく悩んだ覚えがあって、その時の恐怖とかとてもよくわかった。
本当に、よい本でした。
しかし、高木くんは 相変わらずいい人だなぁ~~。(パイロットフィッシュでもいい人だった)
秋の夜長に是非読んでみてください。