大崎善生のレビュー一覧

  • 孤独か、それに等しいもの

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    「孤独か、それに等しいもの」大崎善生
    「愛」の小説いろいろ集。透き通った青。

    最近人気らしい、大崎善生さんの短編集。
    軽い読み口、愛のかたち、裏に潜むシリアスさ。
    一番印象に残ったのは『シンパシー』でした。主人公の彼の思うところがとても普通で、それなのに飽きなかった。
    何故だか分からないけど・・・。

    でもこういう作品を読むといつも思うのは、自分は決して綺麗な小説に全身が吸い込まれる ってことはないんだな、ということ。
    あくまで本の中にあるストーリーを、テレビでも見ているような気になって読んでしまう。とても残念です。
    もちろん嫌いな訳ではないですよ。でもそうなんだなぁと。(4

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    2010年12月14日
  • スワンソング

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    出口の見えない長い長いトンネルの中を、小さな希望だけを頼りにして進んでいく。
    そんな恋愛小説でした。

    普通のハッピーエンドの恋愛ではありません。
    たたみかける非情な運命に翻弄されながら、一人の女性を愛するということについて、ただひたすら献身的に尽くす。
    僕はここまでできません。ここまで追い込まれた状況になったら投げ出したくなってしまうかもしれません。

    ですが、主人公の篠原良は、「愛している」その一心で、彼女のこのマイナスの状況をプラスじゃなくてもいい、どうにかして0の状態にまででも戻してあげたい。
    彼女がこれまでの日々を取り戻すことができえるように、なんとか助けてあげたい。
    そういった責任

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    2010年10月15日
  • スワンソング

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    パイロットフィッシュとアジアンタムブルーの主人公が一緒で、スワンソングはヒロインの名前があまりにも似通っていたから、また同じ人の違う人生の話かと空目してしまった。パイロットフィッシュのヒロインは、由希子、スワンソングのヒロインは由布子ね。
    そう思うと、そもそも性格が全く反対だ。由希子はしっかりしていて、山崎くんのために就職先まで探してくるような行動派。由布子は、傷から立ち直れなくて不安定になって行く悲劇のヒロイン。
    ただ変わらないのは、主人公の男子の優しいけど優柔不断なところ。優柔不断だけど、彼は彼なりに、彼女を必死で支えようとしているところ。
    無器用だけど、あったかい。
    悲しいけれど、救わ

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    2010年10月02日
  • 孤独か、それに等しいもの

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    大崎さんはタイトルをつけるのが上手い。
    個性を強く持たない人物が、何かを体験して成長するストーリー。彼らは捨てたものを回顧しては前へ進む。

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    2010年09月27日
  • 別れの後の静かな午後

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    恋の短編集。
    なにこれ!ってくらい好き。びっくりした。
    なんてことない設定のなんてことない恋愛話で
    こんなに心地よい気持ちになれるってことに。
    せつなくて、さらっとしてて、静かで、やさしい。

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    2010年08月09日
  • パイロットフィッシュ

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    ネタバレ

    まず、鈴木成一さんの装丁がとてもきれいで目がひかれる本。

    主人公の山崎はエロ雑誌の編集者。
    ある夜中、19年ぶりに大学生の時の恋人・由希子からの電話が鳴る。

    「出会い」と「別れ」が人生において、いかに交錯しているかが描かれている。
    そして、「出会い」にも「別れ」にも意味があるのだということを教えてくれる。
    もっと読み終わったら落ち込んだりするかと想像していたので、妙に心がじんときてしまい、びっくり。
    多少、自分の中で「えっ、あのひとはどうなったの、結局」と未消化といえば、未消化なところもあるけれど、それはそれで良しなのかなと・・・。
    何か、目頭熱くなった。

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    2024年08月05日
  • ロックンロール

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    いつもの大崎さんの空気。大好きな雰囲気。
    中盤の物語の展開がとても好き。

    また読み返します。

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    2010年05月06日
  • 孤独か、それに等しいもの

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    八月の傾斜。
    だらだらとこの坂道を下っていこう。
    孤独か、それに等しいもの。
    シンパシー。
    ソウルケージ。

    の五編。

    孤独か、それに等しいもの。が一番よかったかな。

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    2009年10月29日
  • ロックンロール

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    うーん、やっぱり私はこの人の小説が好きだ。
    世界観とか、そんな大袈裟なものじゃないかもしれないけど
    ちょっとしたところでとっても近いものを感じ、嬉しくなる。

    ロックンロールの教え。
    諦めないこと、悔やまないこと、振り向かないこと。

    転がり落ちる石ころのように、運ぶままに身を任せる。
    ずっとそうなわけじゃない。
    けど、石が転がり始める瞬間って誰にもある。
    そんな瞬間を意識してしっかり心に刻み、
    思いっきり楽しんで前を向いて転ぶような生き方がしたいと思う。

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    2015年11月12日
  • ロックンロール

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    他の作品でもちょくちょく目にしますが、フランス(特にパリ)・ドイツなどのヨーロッパ、ツェッペリン、ジョン・レノン、ポリス、クラプトンなどのロックが著者はお好きなようです。
    関係していく女性がおまじないみたいに繋がるっていうのが今までにない感じでスキです。他の大崎さんの作品と比べて、暗くないのが新鮮。

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    2009年10月04日
  • パイロットフィッシュ

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    帯にもありますが『人は一度巡りあった人と二度と別れることはできない』というお話です。19年前、大学に失望した山崎は由希子と出会い、恋に落ちた。しかし彼らはその後、別れることなり、また再び再会する。彼は「別れても、その人やモノとの思い出、記憶がある限り、いつでも会える」という境地に達します。「読んでよかった〜」と思える一冊です。

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    2023年07月23日
  • 編集者T君の謎

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    将棋界という特殊な世界に生きる人々を描いたエッセイ。 軽妙洒脱な描写の中にも、将棋という修羅に魅せられた人々の悲哀みたいなものが垣間見えるのが切ない。 団鬼六にまつわるエピソードが一番面白かった。

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    2011年08月30日
  • ロックンロール

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    最近の作家さんで唯一読み続けているのが大崎善生です。
    作品のトーンは毎回似ているんですが、でも、読み出すとしみこむように文章が頭の中に入ってきて、さくさくと読み続けることができます。

    この作品の主人公が語った言葉にそのヒントが。

    「僕にとっての小説の感動は、ストーリーや感情の起伏というよりも、もっと単純で文章そのものということが多いんだ」

    「何でもいいからひとつのことを、正確で美しい、ということはつまり適切な言葉を使って表現する。その枝葉の積み重ねの先にある樹が小説なんだと僕は考えている」

    これは主人公の小説家の小説感として描かれていますが、筆者自身の小説感ではないかと思うのです。

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    2009年10月04日
  • 別れの後の静かな午後

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    自分の体調がいいからなのか
    読むほどに映像が、イメージが、浮かんでいき、装丁にあるような淡くて深い心地よい緑に包まれているようでした。
    そんな描写は一つもないのに。

    気持ちよかった。


    こんな短い短編でこんなにももってかれるかぁ

    やっぱうまいなぁ。    



    6つの話、どの始まりとどの別れを選びますか?

    僕には選べません。

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    2009年10月07日
  • 別れの後の静かな午後

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    【メモ】短編6編・北海道、東京、ヨーロッパ・〜負に向かうエネルギーが強かったのだとしたら、正へ向かうそれもまた同じくらいのパワーをもっているものなのかもしれない〜(「球運、北へ」より)・表題作はドラマチック過ぎ?・「空っぽのバケツ」寡黙な父の強さ

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    2009年10月04日
  • 別れの後の静かな午後

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    背表紙に惹かれて。
    北海道に関係がある人の出てくる短編集。6つどれもよかった、かな。後半3篇(空っぽのバケツ、ディスカスの記憶、悲しまない時計)がよかった。
    (06/11/30)

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    2009年10月04日
  • アジアンタムブルー

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    【再読・2016.4.15】
    大崎善生さんの小説は、もののたとえが本当に秀逸だ。
    『パイロットフィッシュ』では、まるで命の息吹がしないかのような静かで透明な水槽になぞらえた主人公の暮らし。静かで透明な水槽は、いつまでも動かずにそこにあり続ける記憶を表しているみたいな気がする。
    そちらが静なら『アジアンタムブルー』は動で、ちりちりと葉が丸まって枯れるまで精一杯生ききるアジアンタムの生命力と儚さが病気で命を削られていく恋人に重ねられている。主人公の感情の動きが生々しい。
    主人公の思春期と現在とを行ったり来たりしながら進み、恋人を失うまでが描かれる。王道のストーリーとも言えるのだけど、恋愛小説の甘さ

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    2016年04月25日
  • 別れの後の静かな午後

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    出版社/著者からの内容紹介
    君を想えば、別れすら愛しくなる──痛みと哀しみが去りゆくとき、永遠に消せないぬくもりが胸に灯る。『パイロットフィッシュ』の作者が贈る〈別れとはじまり〉を描いた至高の恋愛小説集。

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    2009年10月04日
  • 別れの後の静かな午後

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    うん?と思う話もあるけれど、これはこれで良いのかも。個人的には「空っぽのバケツ」がしんみりとして好き。

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    2009年10月04日
  • 別れの後の静かな午後

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    いろんな形の恋愛の様子を描いた短編集。
    すべての話が、ハッピーエンドなのが、幸せだった。
    特に最後の「悲しまない時計」は、こころにずっしりきた。悲しいときなんかにもう一回読み返したいかんじ。

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    2009年10月04日