大崎善生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
恋愛小説なの?なんだが詩的で哲学っぽい.そして読み終えてから気が付いた.コレ,三部作の完結編!!前作,前々作を読まないと話が繋がらないとか・・・ミスった.
以下あらすじ(裏表紙より)
恋人の七海と別れ、山崎隆二は途方に暮れていた。成人雑誌の編集部も辞め、校正者として無為に過ごす毎日。そんななか、七海の友人で行方不明になっていた風俗嬢の可奈を見たという噂を聞き、山崎は鴬谷へ向かう。彼女には会えなかったが、やがて「助けに来て」とすがりつく電話がかかってきた。山崎は囚われの身となっている可奈を救うため、海を渡った…。透明感あふれる文体で感情の揺れを繊細に綴った、至高の恋愛小説。 -
Posted by ブクログ
シベリアを越え舞台はヨーロッパ。死ぬために旅をするエリカをついに捕まえる。エリカと会い同じ部屋を共にしたりするのに、なぜあくまで「後から追う」ような旅をするのか。一緒に行こう、とはなぜならないのかが不自然に感じてしまう。それに行ったことがあればわかるが、エンリケ航海王子のモニュメントから身を投げようとしているけれど、モニュメントの先は海ではなく川だしそれこそ都会の中の観光地。日本でいえば京都の鴨川に身を投げようとする感覚。旅の最終地点としては、最西端のロカ岬か深夜特急のサンビセンテ岬がよかったのではないか。
終わり方ももっと何かあったのではないかと思ってしまう…。 -
Posted by ブクログ
最後まで読むとそこまで悪くはなかったなぁ…みたいな感慨を抱きますけれどもやっぱし前半から中盤まではダルかったです…誰かさんが指摘していますけれども、なんとなく村上春樹のノルウェイの森を彷彿とさせる何かが今作には含まれているのであって、それもちょっと僕的には興ざめでしたかね…
ヽ(・ω・)/ズコー
リアリティがあるようでないような? または、ないようであるような? 物語でしたねぇ…個人的には主人公に対し、女性がああいった取り乱した行動を取るのがどうにも解せないのですけれども…現実にはああいった女性もいるのでせうか!?
ヽ(・ω・)/ズコー
まあ、何はともあれ物語は読みえましたよ、ええ -
Posted by ブクログ
ベックの「哀しみの恋人達」がず~~と流れている。
《本文より》
小説を書いてみませんか、と高井の言葉は小さくて性能のいいマグネットのように僕の心にピッタリと吸いついた。
何をしていても、何を考えていても気がつくとふくらはぎや肩甲骨あたりに、離れずに張り付いているそのマグネットの存在を感じる。
僕はこれは恋に似ているなと思った。そう、この感情の揺れは確かに恋に似ている。
それからこう考えた。
恋に似ている感情なんてあるのだろうか。恋に似た感情をも含めて、それを恋と呼ぶのではないか。
そうだとすれば、薔薇窓からの光の輪の中に立ち、それに手をかざしている久美子に、僕は恋をしているのだ。そう思うと -
Posted by ブクログ
ネタバレ作者の自伝とまではいかないまでも、私小説的な作品だと思います。
パリで執筆中の駆け出しの作家が主人公。
上質な日記を読んでいる感覚に近いです。
この作家が後半、酔って「小説とは」を語りだすのですが、これが個人的にあまり共感できませんでした。
「適切な言葉を使って表現する、その枝葉の積み重ねの先にある樹が小説」……「一つ一つの場面を書き連ね、その先に結果的にストーリーや感情がある」……
この書き方では、主人公の望むような大作は書けないと思わずにはいられません。
この小説は、まさにこの主人公が語った手法そのまんまの書き方をしたんでしょう。その場その場でカッコいいフレーズは出てきて読み心地もいい