大崎善生のレビュー一覧

  • アジアンタムブルー

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    ネタバレ

    一番苦手だ。
    慟哭の恋愛小説。
    一人称の男性が過去を語る形式の恋愛小説は、間違いなくこれだ。

    この作者の『聖の青春』や『将棋の子』は好きでしたし、感動もしましたが、この作品はちょっと…。
    主人公の人生に登場する人が、みんなドラマチックなのよね。
    だから逆に私の気持がフラットのまま終わってしまいました。

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    2021年08月22日
  • ユーラシアの双子 下

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    好きな著書の1人、本屋で読んだことがない本が売られていたので、購入。

    自殺した娘がいた50代男性が主人公。仕事を辞めシベリア鉄道にてヨーロッパへの旅行中、娘のような暗さを持つ女の子の存在に気付き、軌跡を辿る話。

    話が都合の良い感じに進み過ぎるところは、著者の衰えを感じる。ヨーロッパの国々の描写は楽しく、この本を持って、主人公の行った町を巡りたいという気持ちにはなる。

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    2021年08月09日
  • ロックンロール

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    思春期に読み、今も心に残っている。

    あんまり文体は好きではないですし、さして深みも感じられなかったです(何様なんだ俺w)。

    ですが
    「凡人だけどなんとか抗いたい、小さなロック魂をいつまでも持ち続けたい」
    というわかりやすいメッセージが、なぜか頭に残ってます。何か自分の心にひっかかるものがあるのでしょう。

    まさに、ポケットの奥の隅の隅の方に、糸にひっかかって取れずに、いつまでも入ってる小石のように。。。

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    2021年01月31日
  • ロックンロール

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    パリのホテルに缶詰めになって、ノートパソコンの画面をにらみながら執筆活動をする、という主人公の小説家のスタイルは、まさに著者の大崎氏のエッセイで見た情景そのもの。

    まったく言葉の通じない異文化のなかで、言葉をあたかも「ごしごしと鍋を磨くように」磨いて日本語を紡いでいく。

    その情景を描写するのに「正しい」言葉を探しだし、選び出す地道で根気強い作業。
    そういう雰囲気は割と好きだなぁ。

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    2020年10月04日
  • 聖の青春

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    先に同著者の「将棋の子」を読んですごく面白かったので、こちらも購入。こちらはその後映画化されるなど将棋の子より有名に。
    ただ、一人の半生の話なので、少し退屈してしまった。個人的には断然「将棋の子」の方が面白かった。

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    2020年01月28日
  • アジアンタムブルー

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    シリーズ第2巻。
    この著者の心の機微を言葉で表現する形が独特で、しかも、たのしいうれしいとかよりも、寂しい、苦しい、辛いっていうのをなんとも言えない言葉で表現しながら進む物語。

    ネジを限界までネジあげた後にさらに巻くような、ギリギリとしたこころの感触。そんな言い回しが、主人公の気持ちが痛いほど伝わる。

    こう、読んでてこころの奥底が
    ぎり、ギリギリ、、ギリ、、、ぎ、ぎ、ぎ、ぎ、

    と、ネジを巻かれすぎてしまうようななんとも言えない気持ちにさせられるんだけど、限界の中から気持ちのいい世界が垣間見える、少しの幸せがものすごい幸せに感じる、そんな小さな小さな幸せを一粒一粒丁寧に拾いながら1日を生き

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    2020年01月06日
  • 孤独か、それに等しいもの

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    とても暖かい話の短編集。
    どんなに深い傷も、いろいろな人に優しさに触れながら、
    癒えて、そして成長していくものですね。

    素敵な話ばかりでした。

    一つ一つの話はどれも、感慨深く、
    出来れば、短編でなく長篇で読みたかった。

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    2019年12月10日
  • 聖の青春

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    決して文書は巧いとは思わないが、伝わるものはあった。死を傍らに感じるが故、生が強烈に浮き彫りになって、ここまで激しく濃密な将棋人生を歩めたんでしょうが、神様のされることは時に残酷です。

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    2019年06月27日
  • アジアンタムブルー

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    綺麗な文章で読みやすい。
    恋人への深い愛情が伝わる。

    真実の愛、思いあうということを教えてくれる本。

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    2019年06月09日
  • 編集者T君の謎

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    「聖の青春」も「将棋の子」も、深く心にしみる哀切な傑作だ。しかしまあ、作者の大崎善生さんがこういう人だったとは知らなかったよ。今頃言うのもなんですが。

    先崎学さんのエッセイにチラチラ登場するので、酒飲みであることは知っていた。昨今では世間でも将棋界隈でも珍しくなった、無頼系の方であることも。それにしても、この「昭和のおっさん」ぶりはどうよ。コラコラと思いつつ(主に女性への感覚)、妙な懐かしさがあったりして(濃くて熱い人間関係とか)。

    将棋界周辺の人々の話って、どうしてこんなに面白いのだろう。私は何を読んでも全然飽きない。将棋は指さないし、皆目わからないのになあ。アクの固まりみたいで数々の伝

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    2019年04月04日
  • エンプティスター

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    ネタバレ

    このタイトルにしてこの終わり方、それもありかなとは思うが。組織に立ち向かうハードボイルドにならないところが大崎善生なのだろう。

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    2018年10月23日
  • アジアンタムブルー

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    途中、先輩のエピソードのところでありきたりな展開にうんざりして読むのを中断していたけど、もったいないので読み続けた。最後は一気に読み進められた。

    大崎さんの小説を読んでいると、生活のそこここで感じる小さな輝きを繊細に文字にして集めたような、小さいけど気の利いた贈り物のような趣を感じる。

    諦めずに読んでよかった。
    「生きることの意味」が穏やかな筆致ながらも結構突き詰めて綴られているので、人生を投げ出したくなっている人が読むとかなりしんどいのでは。
    この物語の主人公には、挫折しそうな出来事が何度も起こっているのだけど、その時々の心情が丁寧に描かれているので、感情移入してしまって辛くなる。
    でも

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    2018年10月07日
  • 聖の青春

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    将棋読書シリーズ、超有名本。病気との付き合いかたに関してはもっとやりようがあった気がしなくもないけれど、でもやっぱり村山聖にはこの生き方しか出来なかったんだろうなぁ。何かを成す人は根本的に継続して努力家勉強家なんだと改めて思う。

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    2018年08月25日
  • 編集者T君の謎

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    天才か変人か。とにかく棋士は半端じゃない。電線にとまる雀の数を瞬時に当てる、一秒間に一億三手読めるなど伝説は枚拳に暇ない。名人たちの奇抜な行動に目をみはり、本を一冊しか読んだことがない専門誌の編集者に打ちのめされる。非凡で強靱な情熱を傾ける人びとを描き出す、笑いと感動の初エッセイ。

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    2018年06月10日
  • アジアンタムブルー

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    生きているうちに、大切なパートナーと大切なそして濃密な時を過ごすこと。したい事をする。お金と時間はその為に使う。

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    2018年05月23日
  • アジアンタムブルー

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    ストーリーは『世界の中心で愛をさけぶ』に酷似していて、そりゃ泣くでしょっていう設定が好かない。

    けれど、時系列無視の物語展開や、比喩・性描写・グロの表現方法が、ただのお涙頂戴ラブストーリーとは一線を画し、この作品の個性を出しているような気がする。

    個人的には話の内容は好きでないけれど、作家さんの技法は好きという纏め。

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    2017年05月08日
  • 編集者T君の謎

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    タイトルがなんのこっちゃ。発表媒体(週間現代)のせいか、妙に露悪的というかおちゃらけている文体。惜しいなあ。淡々と書けば、いいエッセイ集になったと思うのに。

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    2016年11月06日
  • 孤独か、それに等しいもの

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    恋人の死、双子の妹との分裂、報われない青春、囚われ続ける人たちの決別と新しい一歩を映し出す、優しくてセンチメンタルな短編集。

    「八月の傾斜」
    この中だとこれが一番好き。
    ピアスの穴を開けることによって、大切なものを無くしてしまう。
    そういう迷信じみたものを私も信じています。
    自分がピアスの穴を開けたときもそういう決定的さがあった。
    もう二度と手にすることのできない大久保君との時間。
    それをようやく葬ることができた祐子と、彼女をきっと丸ごと抱きしめてあげられるだろう早津のこれからの幸せを願いたい。

    「だらだらとこの坂道を下っていこう」
    30代も半ばを超えて、自分の人生の山頂にはすでに登りつめ

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    2016年10月10日
  • アジアンタムブルー

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    爽やかなジャケットに惹かれて平積みからジャケ買い。内容はちーーーとも爽やかじゃない。
    人間の死について考えさせられるような作品。
    自分は高校卒業後友人を事故で亡くしてて、感覚的にシンクロするものがあって、これまた通勤途中の電車の中で泣きそうになった。
    ただし、泣くは泣くでも涙がこぼれる系の泣くではなく、悲惨なことに嗚咽系の泣くだ。

    スーツケースに鳥の図鑑を入れるときのシーンがもう駄目だった。泣きたい人は読んでもてもいいんでないかな?ストーリー的には好みじゃなく、小説としてはハズレの部類。

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    2016年01月22日
  • アジアンタムブルー

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    「憂鬱の中から立ち上がったアジアンタムだけが、生き残っていく」

    主人公山崎隆二の恋人葉子が癌で亡くなるときに残した言葉だ。この物語で著者が伝えたいことなのだと思う。

    ストーリーは恋人を癌で失った喪失感に沈んだ主人公の回想でよくあるものだ。
    主人公の一人称視点で淡々と綴られる文章は「ブルー」を表現しているようで、暗澹たる主人公の気分と二人で過ごす最期の地であるニースの青さの対比が切ない。

    目の前で起きる自分ではどうにもできない事柄にうちひしがれるときが人生には幾度も訪れるだろうが、その渦中からも得られるものがあると信じさせてくれる物語だった。

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    2015年08月23日