感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2022年03月28日
初めて読んだ犯罪被害者の本
書き手の優しさが伝わってきた
ただの、お涙頂戴ものにしていない
夏が来る度、思い出す
すべての女性たちの強さと優しさ
Posted by ブクログ 2019年09月06日
これは実際に起きた事件を基にしたフィクションである。
また同時に、強く、賢く、生き抜いた女性の記録である。
私はこの本を読んで決して泣いてはいけないと思った。
無残に殺されたかわいそうな女性の話ではない。
強く誠実に人生を生き抜いたひとりの女性の姿と
その女性がどうして強くあれたか、をつまびらか...続きを読むにしてくれている。
その女性は決して特別な人ではなく、
ごく普通に壁にぶち当たり、
それを乗り越え、日々を過ごしてきた
私と変わらない人だったことに驚きを隠せない。
また、その最後の瞬間まで
彼女のように私は強くあれるか。
いや、強くありたいと勇気をもらえた。
事件の生々しさ、犯人や被害者が守られない
理不尽さに憤りを覚えた。
裁判の意味のわからない前例、
被害者を苦しめる環境の中、
強く戦う母と恋人、
それに賛同して活動する周りの方々に
私もそんな風に強く強く生きたいと思った。
当たり前の明日が約束されてると
なぜ私たちは考えているのだろうか。
考えさせられる良書。
Posted by ブクログ 2019年05月21日
単行本刊行時から気になっていて、ノンフの文庫化はハードルが高かな、とか思ってたんだけど、まずは無事文庫になって良かった。はらわた煮えくり返る胸糞悪い内容だけど、より汎用性の高い形で読み継がれるのは歓迎すべき。
注意していれば避けられたというようなものじゃなく、災害とでも呼ぶしかない凶事には、心底慄然...続きを読むとさせられる。愚者が群れることによって無駄に膨張した負のエネルギーが、何の罪もない平和を踏みにじる惨状は、戦時における無辜の市民にも重なる。極刑然り。そして最後のメッセージが"2960"。本当はその何倍も、感謝の意を遺したかったであろう無念を思うと、我がことのように胸が痛む。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
Posted by ブクログ 2019年06月27日
2007年8月24日、名古屋市千種区の路上で当時31歳だった磯谷利恵さんが、インターネット闇サイトで知り合った男3人に拉致され、連れ去られたのちに殺害されるという痛ましい事件が発生しました。
本書前半は被害者の利恵さんの生い立ち、当時交際していた男性との出会いなど事件に巻き込まれるまでを追います。次...続きを読むに犯人3人が犯行に及ぶまでの背景をたどり、後半部では事件発生から利恵さん殺害までの経緯と、その後の犯人逮捕、犯人の裁判期間中に犯人の死刑を求めて署名活動に身を投じられた利恵さんのお母さんの姿を描いています。
幼稚園から小学校、中学、高校と成長の様子を描く前半部は子供を持つ親なら誰もが自分の子供の成長に重ねて感情移入できるような、キラキラした生命力にあふれた印象です。
一方で犯人の背景を描いた部分は、場当たり的、刹那的、打算的で前半部の輝きとあまりに対照的な暗さ、邪悪さです。
利恵さんが帰宅しないことにかすかな不安を覚え、そして警察から連絡を受けて次第に自分の娘が殺害されたという事実をお母さんが知らされてゆく部分は、読んでいて苦しくなります。
何の落ち度もない人が、たまたまそこに居合わせたというだけの理由で殺害される事件が、今も後を絶ちません。本書で描かれている遺族の方の悲しみと同じ気持ちを、この事件以降も多くの方が感じられているというのは、本当にいたたまれません。
犯罪被害者の悲しみは、犯人が逮捕され、裁判所で刑が確定してもずっと続くという当たり前の事を読者に強く訴えるノンフィクションです。
Posted by ブクログ 2019年05月30日
「2960」これに全てが集約されていると思います。
心よりご冥福を申し上げます。磯谷利恵さんのみに。
犯人は地獄の底で壮絶な苦しみに永遠に踠き続けることを願います。