北杜夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“ぼく”というある人間の心の中にある神話を語る、追憶の物語。彼の語る言葉は彼自身のものであって、決して読み手のものにはならない。繰り広げられるイメージも漂う匂いも手触りも、彼がありったけの言葉を以て伝えようとしているもの全て、似通っている所はあるとしても決して読み手の中の神話とは重なり得ない。けれど人が自分の記憶の奥底に沈む“何か”を追い求めようとするその衝動自体は、きっと誰しもが見覚えのある感情であるはずだ。大抵の人はその衝動を形として認識することはないし、その”何か”にたどり着く前に忘れ去ってしまう。しかし”ぼく”は手を緩めることなくその何かを追い求めついには手にするに至る。その全過程が、
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Posted by ブクログ
完結編の第3部ではアメリカと開戦直後から日本の敗戦と同様に楡病院も消滅していく様子が書かれています。関東大震災の後に失火から甚大な被害を受け、間もなく初代の院長が病死。衰退の道を辿りながらも一度は再興した楡病院でしたが、戦争という国家同士の争いが民間の精神病院の存続を難しくさせていきました。病院の職員はもとより一家の壮年の男たちもことごとく戦場に駆り出され、そして女たちも子供や兄弟、想う人から否応なく引き裂かれる現実が描かれます。戦争という非日常がこれまでの楡家の人びとのささいな当たり前の毎日やちょっぴり贅沢な生活そして願いまでも奪い去り、時には人格までも変容させてしまう悲しい出来事を引き起こ