北杜夫のレビュー一覧

  • どくとるマンボウ青春記

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    「動物のお医者さん」にはまっている中2のAdさんは試験の答案に”カレーライスの作り方”を書くH大学の学生の話がお気に入り。”こんなこと本当にあるの!?””まあ、旧帝大系には昔からよくある話だ””先生もカレーライスの作り方を書いたの?””いや私はマカロニグラタンが得意だった””グラタン!””意外に安いんで一晩に何皿も焼いて友達に売ったことあるな””お金取るんですか!?””当然!””いーなー、こんな大学行ってみたい!”。そういえば私も中学生の時にこれを読んで旧制高校生の青春に憧れて大学に行きたくなったもんだ。

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    2013年10月13日
  • 幽霊―或る幼年と青春の物語―

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    “ぼく”というある人間の心の中にある神話を語る、追憶の物語。彼の語る言葉は彼自身のものであって、決して読み手のものにはならない。繰り広げられるイメージも漂う匂いも手触りも、彼がありったけの言葉を以て伝えようとしているもの全て、似通っている所はあるとしても決して読み手の中の神話とは重なり得ない。けれど人が自分の記憶の奥底に沈む“何か”を追い求めようとするその衝動自体は、きっと誰しもが見覚えのある感情であるはずだ。大抵の人はその衝動を形として認識することはないし、その”何か”にたどり着く前に忘れ去ってしまう。しかし”ぼく”は手を緩めることなくその何かを追い求めついには手にするに至る。その全過程が、

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    2016年05月25日
  • 夜と霧の隅で

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    『楡家の人びと』を読んで再読したくなった初期作品集。
    表題作は述べるまでもないが、他の4作品も締め付けられるような死の臭いが漂う緊張感、そして読者を放り出すような感じでもってそれぞれの解釈に作品そのものを委ねるような結末、いずれも素晴らしい作品ばかり。
    自分の時間を割いたことに対する十二分な報い、小説を読むということの醍醐味を感じずにいられませんな。

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    2013年03月02日
  • 楡家の人びと 第二部

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    戦争に進んでいく不穏な空気と楡家の崩壊(?)が絶妙にシンクロしている。
    史実を背景に物語を語りたい(語りたがる)作家は是非見習ってほしい。
    最後の第三部、期待しとります。

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    2013年03月03日
  • 夜と霧の隅で

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    北杜夫の短編集。『夜と霧の隅で』がよみたかったのだけれど、その他の名前の知らない短編も、非常に繊細で理知的で心に残るものばかりだった。人間の不気味さを綺麗な文章で浮き彫りにしているかんじ。前から読みたいと思っていた『夜と霧の隅で』は、想像以上にグロテスクで悲しい話。ナチスドイツの時代というだけで物語は陰惨なものになるが、さらに精神疾患の患者たちを題材にして扱っている。深く深くまで心が抉られるような、そんな不気味さであり、本当にグロテスク。視点を登場人物から離して語ろうとすればするほど、描写が真に迫ってくる。ここまでじめじめとした話は久しぶりに読んだ。身体的な意味でも心にダイレクトに入ってくる人

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    2012年11月02日
  • どくとるマンボウ昆虫記

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    虫をテーマにしたエッセイ集。
    虫の話をしていたはずなのにわき道に話がそれたりすることも多々あるが、軽妙な語り口によるユーモアあふれる話のネタの数々にクスリとすることが多かった。鳴く虫の話での各国に虫を飼育させるくだりが一番印象に残っている。
    多種多様な虫たちの様々なことを題材にしており知識の扉としても使えるのでは。

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    2012年09月06日
  • マンボウ 遺言状

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    ネタバレ

    北杜夫さんのエッセイはいつも面白い。生前に一度読んでいたが、
    亡くなった後に読み返したら胸に迫るものがありました。

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    2012年08月06日
  • 船乗りクプクプの冒険

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    中学1年の時、私を本の世界に導いてくれた一冊。北杜夫とは思えない馬鹿馬鹿しい内容で、本を読む楽しさだけでなく、書く楽しさまでもが読んでいて伝わってくる。小中学生に読んで欲しい

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    2012年07月28日
  • どくとるマンボウ青春記

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    かなり長時間かけて読みました。
    戦前、戦中、戦後という激動の時代を駆け抜けた北先生や同じ松校の学生たちが過ごした青春時代。読んでいて心から羨ましくなりました。昔の学生は娯楽が少ない割には何か見つけて楽しんだり、のんびりしてたんですね。学業に励むだけが勉強じゃないんだとつくづく思いました。最後の方はもう爆笑しっぱなし。
    「自殺するなら30歳まで生きてみろ」という言葉が重く響きました。

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    2012年07月01日
  • マンボウ 恐妻記

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    北先生が双極性躁鬱病だとは母親から聞かされていましたが、それでも結婚できるんだなぁとこれを読んで思いました。しかし北先生の奥様は強い!

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    2012年05月16日
  • 船乗りクプクプの冒険

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    中学時代の愛読書。こんな面白い小説があっていいんだ!と感動した。登場人物が、みんな可愛らしくて素敵。

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    2012年04月11日
  • どくとるマンボウ青春記

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    北杜夫が亡くなってすぐ、
    「北杜夫という作家が人生に影響を与えた一人」だという話を、
    大学の先生と音楽家の叔父から立て続けに聞いた。

    二人が憧れたという、マンボウ氏の青春。


    笑っていながらの、どこか、負け惜しみ。

    ブルース、的な。

    読めば読むほど、
    「ここには俺のことが書かれている!」
    と、自意識過剰な気持ちになれる。


    この本で描かれている舞台と、そう遠く離れていないところで育ったということは、ラッキーだった。かもしれない。

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    2012年08月28日
  • どくとるマンボウ青春記

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    高校時代、何度も何度も繰り返し読んで、
    (私は女子高だったのでまた違った独特のコミュニティに属しておりましたが)
    当時の泥臭い青春、知的成長への追求…
    すべてが憧れでした。

    ご冥福をお祈り申し上げます。

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    2012年02月17日
  • 楡家の人びと 第一部

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    本日読み終わりました。楡家の人々の人生を描いた本。楡家は精神病院てことで、付近では有名だったけれど、歴史から見たら小さな存在(こんなことを言ったら院代に怒られそうだ)。でも一人一人にはものすごいドラマがあって、そういう営みが社会を作っている。人間の営みは小さいけれど、大きいと思った。思わず、東日本大震災のことを考えた。
    人の営みを偉い、偉くないといった、評価はできないのではないか。皆、懸命に生きてるんだものね。
    人物が個性的で、楡ワールドにどっぷり漬かってしまった。

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    2012年01月09日
  • どくとるマンボウ昆虫記

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    ネタバレ

    人はなぜ虫を集めるのか
    冬から春へ
    詩人の蝶
    神聖な糞虫
    虫とり百態
    蛾は人類をおしのけるか
    はじめ20の短編集

    挿絵を有藤寛一郎が書いている.
    小さいが虫の特徴をとらえているので楽しい.

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    2012年01月02日
  • 船乗りクプクプの冒険

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    小学生の頃の愛読書。大きなハードカバーで何度となく読み返し、どうすればクプクプと友達になれるのか、読むたびに切ない想いをしたものだ。

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    2011年12月29日
  • 怪盗ジバコ

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    子供の頃、田舎の本棚にあったのを読んで面白かった印象がずっと残っていて、今でもときたま読み返す。猿のパイプ、トプカピ宮殿、007号出撃す、ジバコの恋、どれも面白い。そんな作者の北杜夫さんも亡くなってしまった。

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    2011年12月29日
  • どくとるマンボウ青春記

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    これを読まずと大学生は語れない。
    バイト先の社長にそう言われ読んでみた本の中に僕はなにか運命を感じた。

    人生は棒に振れ、しかし一日はもっと大切にすべきだ。

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    2011年12月09日
  • 楡家の人びと 第三部

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    完結編の第3部ではアメリカと開戦直後から日本の敗戦と同様に楡病院も消滅していく様子が書かれています。関東大震災の後に失火から甚大な被害を受け、間もなく初代の院長が病死。衰退の道を辿りながらも一度は再興した楡病院でしたが、戦争という国家同士の争いが民間の精神病院の存続を難しくさせていきました。病院の職員はもとより一家の壮年の男たちもことごとく戦場に駆り出され、そして女たちも子供や兄弟、想う人から否応なく引き裂かれる現実が描かれます。戦争という非日常がこれまでの楡家の人びとのささいな当たり前の毎日やちょっぴり贅沢な生活そして願いまでも奪い去り、時には人格までも変容させてしまう悲しい出来事を引き起こ

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    2011年11月29日
  • 木精―或る青年期と追想の物語―

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    北杜夫のお父さんは歌人の斎藤茂吉です。自伝的要素の強い小説として「楡家の人びと」が代表的ですが、この木精という題名も「はるかなる国とおもふに挟間には木精おこしてゐる童子あり」と詠った茂吉の短歌から採っています。私の父の本棚には茂吉の短歌集と北杜夫の小説が並んでいたのですが、娘の私は短歌にはあまり興味がなく、茂吉の方ではなく北杜夫の本を抜き取りよく読んだという経緯がありました。今回本屋さんで見かけて新たな気持ちで読みました。
     
    副題にあるように、ひとりの精神科医の青年時代の追憶の中に住む人への思慕を中心に自分自身を語る形式を取っています。この小説の前に「幽霊」と題した幼年時代を語る小説がありこ

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    2011年11月26日