北杜夫のレビュー一覧

  • さびしい王様

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    子供の頃の愛読書…だったはずなのだが、内容を忘れていたので再読。

    ちょっとおフザケがすぎる感じはあるが、なるほど、子供の頃はこういうのが好きだった。王様の長い名前も、頑張って暗記していたことを思い出した。

    今読むと、さびしい、というより、切ない話だな。

    「さびしい乞食」、「さびしい姫君」を読まないと、お話としては完結しないので、結構な長編である。

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    2021年07月11日
  • 楡家の人びと 第一部

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    時は大正時代。時代の流れのなかで紡がれる楡家の人々の物語。
    物語はその中心地である楡病院の院長にして創始者である楡基一郎の一代記でもある。

    楡基一郎は立志伝中の人である。大ぼらふきの気質にして、終始、躁状態を思わせるようなハイテンションで行動が変人。当時の時勢に乗って衆議院議員にもなるほどの野心家でもある。
    そして、彼を取り巻く家族がまた個性が際立っていてなかなか楽しい。
    印象に残る登場人物では、父・基一郎を尊敬して止まず、偉大な父を厳格に崇め奉っている長女の龍子。
    ぼんやりしていてどこか抜けているが、おませなところもある三女の桃子。
    龍子と桃子に挟まれてどっちつかずの存在である次女・聖子。

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    2021年06月13日
  • 楡家の人びと 第一部

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    作家本人のエッセイを読むと和製「ブッデンブローグ家の人々」らしいです。自分の家族をモデルにし執筆のためにインタビューを入念にしたらしいので書かれている内容はかなり事実に基づいているとのこと。物語としても面白いですが、当時の世相等を知る上での上等な資料としても面白い(貴重)です。

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    2020年06月05日
  • 幽霊―或る幼年と青春の物語―

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    物語後半、主人公は少年期の記憶を思い出す。そのとき、読者も自分自身の少年期の記憶を思い出す、そんな美しい体験をもたらす、美しい小説です。

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    2020年05月23日
  • どくとるマンボウ航海記

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    タイトルを見ると小説かと思ったが、読んでみると随筆で少々驚き。
    ユーモアもあってなかなか面白いと思った。

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    2020年04月12日
  • 楡家の人びと 第三部

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    「小説を飲食物にたとえると」『楡家の人々』は「山海の珍味が入った豪華な鍋料理に当たります。」
    評したのは倉橋由美子(『偏愛文学館』)さん。

    そう
    豪華な食事、いえ読み応えのある小説でした。
    歌人斎藤茂吉の息子北杜夫がご自分の実家「青山脳病院」をモデルにして
    祖父母、叔父叔母、父母の生き生きした姿を明治大正昭和と描き切ったのですから。

    脳病院!これだけでも尋常じゃありませんよ。
    呼称は時代的でもちろん、今や精神科病院でしょうけど。

    個人医師の経営するそういう病院・入院者もいろいろありそうですが、
    明治期「脳病院」を創設する祖父基一郎(きいちろう!)さんをはじめ
    経営する家族・人

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    2019年03月13日
  • 楡家の人びと 第三部

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    第三部の舞台は第二次世界大戦である。登場人物のそれぞれが戦争の波の中で翻弄されていく。そして、ある人は死に、ある人は戦後を大きく生きていく。楡家もまた新しい時代にのって話も終わりになる。実に深い話であった。

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    2019年03月01日
  • 楡家の人びと 第一部

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    じつに面白かった。なんといっても登場する人々がそれぞれユニークで行動も面白い。もちろん楽しいことばかりでなく、大変なことも起こるのだが、それを実によく乗り越えている。1部だけdも終わりそうなものを、これがどう続いていくのか、今から楽しみだ。

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    2019年02月14日
  • 楡家の人びと 第三部

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    アパートの図書コーナーに「楡家の人びと」を見つけました。たまたま、12月24日の日経に紹介記事があり、これも出会いだと思って読み始めたところ、夢中になってしまいました。

    本書は楡脳病院を舞台に、大正7年から昭和22年までの約30年の中で、市井の人びとが何を考え、何を食べ、何に喜び、何で生計を立て、何を娯楽として、何に期待し、何に落胆したのかを、生き生きと描きます。
    この30年は、軍縮会議、昭和恐慌、関東大震災、226事件、日中戦争、太平洋戦争、そして敗戦と激動の時代です。読み終わった後、本書の扱っているのがたった30年であることを不思議に思いました。それだけ、この作品の扱う時代は変化の激しい

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    2019年01月05日
  • 楡家の人びと 第三部

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    下巻は、もはやその殆どが戦争小説でした。反論はあるだろうけど、昭和時代、一番大きな事件はあの戦争だと思うし、その時代を生き抜いた一家を描く以上、頁数を割くのもむべなるかなと思ったけど、(今となっては)それほど目新しい描写がないこともあって、ちょっと冗長に思えてしまいました。影も形もなくなってしまった病院。一家離散してしまった家族。栄枯盛衰が見事に描かれた物語。後日談も知りたいと思わせられながらの閉幕。未読ながら、”どくとるマンボウ”ってタイトルで、なんとなくユーモラスなイメージを抱いていたけど、こういう作家さんだったんですね。機会があれば他の作品も、って思わされる力作でした。

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    2016年09月26日
  • 楡家の人びと 第一部

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    何十年も前に書かれた作品だけど、一切色褪せていないのがまず凄い。明治以降の近現代に起こった重大事件を縦軸に、その中を生き抜いた楡家の人々の上に起こるイベントを横軸に、飽きさせないように緩急つけた物語が紡がれる。一家の大黒柱の一代記なのかなと思いきや、上巻の最後で呆気なく退場。中心人物を入れ替えながら、一家の栄枯盛衰が綴られていくんでしょうか。ここからの展開も楽しみです。

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    2016年08月27日
  • 楡家の人びと 第三部

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    「戦後に書かれたもっとも重要な小説の一つである。この小説の出現によつて、日本文学は、真に市民的な作品をはじめて持ち」「これほど巨大で、しかも不健全な観念性を見事に脱却した小説を、今までわれわれは夢想することも出来なかった」
    ー三島由紀夫
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    この三島の批評も、大好きで。
    市井の人の普通の生活をみずみずしく。
    本当に傑作。

    楡家ほど個性的ではないけれど、北さんの家族への思い、共感できる気がします。家族って近すぎたり知りすぎたり。憎たらしく思うこと、呆れたりすることもあるけれど、そこも含めて家族愛。

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    2016年02月24日
  • どくとるマンボウ航海記

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    北杜夫が若い頃乗り込んだ船の船医をしながら見た世界一周旅行の旅日記。
    なんか、面白い。くすっと笑ってしまう。
    でも風景の描写は真面目。
    なんだかんだ言っても、とても素敵な場所なんだということが伝わる。
    昔は飛行機が発達していないせいなのか、船の旅がすごく新鮮に思えた。

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    2016年01月24日
  • どくとるマンボウ青春記

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    ネタバレ

    北杜夫という人物のルーツを垣間見る。
    旧制松本高校時代、寮生活。東北大学医学部、下宿生活。主にその2つの時代を回顧して書かれた日記。

    40歳間近の著者は、ただ昔を懐かしんでいるわけではない。嵐のように駆け抜けた10代20代の記録は戦中戦後の激動の時代を反映して活力、雄々しさを感じさせる。

    父、斎藤茂吉を父に持ち”おっかない父”に医学に進めと強制されながら、文学への憧れを捨てず、詩や短歌、小説を書きつづける。
    大学を卒業くらいになると内省はどんどん進み、当時の文学と相まって死をも思うようになる。

    そんな北氏だからこそ、生きる事についてや、愛という言葉が重いのだ。

    これは高校時代から書いて

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    2015年11月14日
  • どくとるマンボウ青春記

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    「自己を高めてくれるものはあくまでも能動的な愛だけである。」


    俵万智の解説にもあるように、北杜夫のユーモアとシリアスな二面性が刺さってくる。

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    2015年09月06日
  • 船乗りクプクプの冒険

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    ネタバレ

    最も敬愛する作家である北杜夫さん。
    久しぶりに再読。
    北さんのユーモアが詰まった童話。
    軽妙な内容で軽く読み進められるが、最後は作者の思想を突きつけられて、爽快。
    クプクプ改めタローがどうなるか分からないままに終わるのも、単に行って帰る物語でない面白さがある。
    キタ•モリオなる人物も登場するが、自分自身をここまで面白く、嫌味なく、笑いに出来る北さんの魅力溢れる作品。

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    2015年01月26日
  • マンボウ家族航海記

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    あとがきに、平成23年8月19日とある。
    北杜夫が亡くなったのは、同年年10月24日、ほぼ絶筆であろう。

    絶筆であっても、北杜夫のユーモアはたっぷりで、夜密かに、喉をひきつらせて笑ってしまった。まことにもって、偉大な人である。

    その偉大な人が畏れおののいていたのが、北杜生の父親の斉藤茂吉である。

    先日、私は浅草寺を参拝した。斉藤茂吉の晩年、北杜夫が茂吉を背負って、浅草寺を参拝した写真を、上山の斉藤茂吉記念館で見た。その写真を思い浮かべながら参拝した。

    写真の前で、少しの間、立ち尽くした記憶がある。偉大な人である。

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    2014年09月23日
  • 夜と霧の隅で

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    全体的に灰色がかった雰囲気の中、救いがないストーリー。短編で読みやすいのだが、すべて読み終わるのに時間がかかってしまう矛盾が・・・とても考えながら読んだ作品。
    表題作も引き込まれたが、「岩尾根にて」が一番よかった。

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    2014年05月06日
  • 船乗りクプクプの冒険

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    題名からして、小さい子が読む冒険のお話?っという感じで、
    あまり期待していなかったのですが集英社の冊子で勧めていたので
    読んでみました。
    でも読み進めると、物語に引き込まれてとてもおもしろい!
    大人が読んでも漫画感覚で楽しめる♪

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    2014年01月19日
  • 夜と霧の隅で

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    読み始めました。何年ぶりでしょう。30数年ぶり。
    (2013年11月23日)

    ◎「岩尾根にて」
    ○「羽蟻のいる丘」
    ほかは、「×」
    (2013年11月25日)

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    2013年11月26日